特にモンスターなどと出会うこともなく無事に町へとたどり着いた私たちは近くの酒場に入り各自適当に注文をした。
街にある酒場は基本的に集団で同じ椅子に座ることで特殊なスキルなどを使わない限り周りの音を調整しそれぞれの声だけをグループチャットのように届ける機能がある。
ちなみに無銭飲食や何も頼まないで長時間居座ると迷惑客として追い出されたり出禁措置としてシステム的に入れなくなったりすることも多い。
「いやー大人数の席空いててよかったですね!
では、仮ですが新しい仲間を祝して、乾杯!」
モモンガの音頭に合わせて周りのメンバーもカンパーイと注文した飲み物を掲げる。
MMOでは残念ながら味や匂いは電脳法による規制で感じられない、ただの真似事だがそれでも楽しい雰囲気に私は少し緊張がほぐれてきた。
「じゃあナヅキさん、ちょっと自己紹介でもお願いしていいですか?」
そう話しを振ってきたのはたっち・みー、私は頷いて周りからメンバーの視線を感じつつ口を開いた。
「えっと、ナヅキです。
メインで使ってる職業は近接系のモンク、後はサブでですけどアルケミストも取っていて、アルケミストで作ったホムンクルスやバフアイテムとかでダンジョンとかをソロ攻略してたんですけど…
自分のプレイヤースキルなどで限界を感じてこのクランに参加させてもらいました!
よろしくお願いします!」
私の自己紹介を聞いて周りからよろしくと声が掛けられる中
「ん? ちょっと待てよ、サブにアルケミストってどういうことだ?
中途半端な職業じゃ大会優勝なんて夢のまた夢だろ?」
「確かに、それで3位ってどういうこと?
流石に全身ゴッズでもレベル差の方がPVPでは重要だし」
そう疑問の声をかけたのは武人建御雷というプレイヤーネームの虫系異形種、追従するように弐式炎雷というゴーレムアバターのプレイヤーも? アイコンを浮かべ疑問の声を上げる。
「あ! もちろんどっちも取ってるわけじゃないですよ!
一度アルケミスト系を一通り最上位まで置き換えたってわけなんです!
アルケミストでアイテムや自立味方NPCを作ったりしたらまたレベルダウンしてモンク系に戻すっていうのを繰り返してるだけなので!
何なら私の取得クラス欄見ますか!?」
笑顔のアイコンを浮かべて話す私は内心
(確かにそうじゃん!
この言い方だと滅茶苦茶疑われるぅ!
ちゃ、ちゃんと釈明しなければ…!
く、クラス欄見せたら流石に晴れるよな!? 大丈夫だよな!?)
と戦々恐々だった。
私の周りにメンバーが集まるのを確認し、クラス欄を開く。
「うおっアスラ持ってんの!?
これ連闘クエストのソロ攻略で取得条件満たせるらしいけど取ってる人少ないんだよなぁ
時間かかるし情報少ないから俺も手を出せてなくてさ!
あとゾンビの上位種族っぽいウォーキングデッドって奴が素早く動ける理由なの!?
教えてよ!」
「というか習得可能クラス本当に多いですね、アルケミストも最上位の5レベ職いくつかありますし
どうやって一人でここまで進めることが出来たんですか…?
私もアルケミスト系の最上位職ありますけど取得にはダンジョンボスのレア泥が要りますよね?
それにバイオアルケミストとフランケンシュタイン…ホムンクルス合成特化というところですかね…面白い!」
「でも構成結構雑だな…ナイキあるのに体力減少系のバサカ職はたぶん体力減少をナイキスキルで補おうとしたみたいだけど結局回復する隙生まれるから武器やアイテムで回復するほうが良い。
あとファイターモンク、キマスター系2つにバサカの最大15レベル下位職5つは多くないか?
レベル途中で止めて上位職に回してるみたいだけどそれやるぐらいだったら結局10レベの中位職とかもっと5レベルの上位職で纏めたほうが良いぞ」
「というよりモンク系がナヅキさんに合ってない可能性ありませんか?
大会見てましたけど避けるの上手いのに攻撃かなり見切られてましたよね?」
「ねぇねぇ! いつも連れてるNPC酒場で紹介するって言ってたよね!
出してください! お願いします!」
見せた結果、怒涛の質問に私は目を回し、CPU使用率100パーセントのパソコンのように固まってしまった。
「ちょっとあんたらいきなりナヅキちゃんに詰め寄りすぎ! もっと離れる離れる!」
何とかぶくぶく茶釜の一声によって怒涛の質問は収まっていく。
何とか再起動を果たし私は口を開いた。
「あ、じゃ、じゃあまずは私が持ってるNPCについてお見せしますね!
手に持っていた
すぐに私の後ろにゲートが開き、そこから出てきた羽川を見て
「今までネットに流れてた画像しか見てなかったけど実際に見るとやっぱり可愛いね!
それどうやって作ったの!? 造型師は誰に依頼したの!?
設定は!?」
とペロロンチーノが興奮気味に尋ねてくる。
他の反応は驚きや疑問が多い
「えっと、NPCだよね?
どうやって連れてるの? 拠点のNPCって外に出せなかった気がするんだけど…?」
「うわっ! これ全身ゴッズじゃん!
NPCの方が手間かけてない?」
私は、少し息を吸って答え始めた。
「え~実はですね、私NPCを連れ出せるワールドアイテムを持ってるんです。
それでいろんな鉱山とか狩場に回して素材とかをたくさん集めれてるんですよね。
だから大会でも全身ゴッズ装備にできましたし、NPCにもゴッズを付けることが出来たんです。
NPC自体は私が借りてる課金のホームでNPC制作数増加やレベル増加の課金をしました!
あ、あと姿を作ったのは私自身ですよ!」
…
私たちの間に天使が通る。
「それマジ?」
ペロロンチーノの言葉に頷くと
「本職レベルだなこれ…」
「だよね~ウルベルトさん! かわいいな~NPC私も作りたくなってきた」
「そんなワールドアイテムが…情報出てないよね?」
「ソロプレイで入手できるとかでしょうか?」
「自分の好きなNPCを作れる…
実際見るとかなり良いですね…
ギルドホームとかほしくなってきたな…」
「あ! モモンガさん! 俺良さそうなギルドホーム系ダンジョン見つけてるんだよ!」
「マジですかニシキさん!」
そうして私は交流を続け、1時間が経った頃
「あ、いつの間にか時間もかなり遅いですし、そろそろ解散としますか?」
とのモモンガの言葉でそれぞれがログアウトしていく。
私もログアウトしようとした時にたっち・みーが声をかけてきた。
「ナヅキさんはプレイヤースキル磨きたいって言ってましたよね。
明日は土曜日ですし時間空いてたら模擬戦でもしませんか?」
「え! いいんですか!?
ありがとうございます!
じゃあ明日の12時にまたここで会いましょう!」
そう約束をして、私はログアウト処理を進めた。
現実世界に戻った私は、体に違和感を感じてしまう。
やはりユグドラシルの体躯に合わせ、武術ゲームなどをしているからこそ本当の体ではないという違和感。
しかしその日は少し違った。
「あれ? なんか体重いな…
一応こっちでも運動はしてるけど、やっぱもっと広いところでしたほうが良いよなぁ」
私はそう考え、いつもの不味い水とブロックを口に含むと味わわないように飲み込み、就寝した。
***
どう思います? ウルベルトさん
いや~俺はやっぱりいいところのお嬢さんだと思いますよ
声から予測できる年齢の割にゲームに金掛け過ぎてますからね、気に入らない
子どもで働いてるのかもしれませんよ?
だったらなんでこんなにログインできるんだって話ですよ、たっちさん
それに課金の力ごり押しで強くなってるのもムカつく
そういえば無課金同盟とかしてましたね…
金が無くてもプレイヤースキルがあればなんとかなるんですよ
でも私に一度も勝ってないですけど?
うるせーよ糞たっち!
そもそも魔術系と近接のワンオンワンなら負けるに決まってるだろ!
んんッ…
ああ、それとです
どうしました?
いくら課金してるって言っても、出来過ぎてないですか?
ワールドアイテムを2つも持ってるなんて、ワールドアイテムが盗られたライトフィンガード・デーモンの狩場にも常駐してたらしいです
盗られた後は一転して見なくなりましたが
…偶然じゃないですか…?
まぁそうかもしれませんが、俺はあいつがユグドラシル運営のお偉いさんの子供だとにらんでますよ
だからゴッズを比較的早く作れたし、ライトフィンガード・デーモンのワールドアイテムを盗める情報も知ってたんじゃないかってね。
なるほど、じゃあ明日私がそれとなくそこらへん聞いてみますよ
憧れてるそうですから、少しは口が軽くなるかもしれませんし、実際その予想が当たっているなら誰かが諫めないといけませんからね。
けっ、お前に憧れてるって部分が一番気に食いませんよ俺は
ま、それはやはりこの特殊エフェクトがカッコいいからというのもありそうですけどね!
…それは多分ないと思います
***
【ユグドラシル】質問スレ【part25】
566:名無しの電脳
結構有名なんすね、ナインズオウンゴール
567:名無しの電脳
そりゃどこでも(略)
568:名無しの電脳
知ってるけどPKKだからそこまで話題にもなってなかったのに…
569:名無しの電脳
第3位の加入で結構装備も充実しそう(小並感)
570:名無しの電脳
ゾンビネキ…
571:名無しの電脳
もう半分以上ナインズオウンゴールの話題じゃねぇか
他に話題ねーのかよ
572:名無しの電脳
ワールドアイテムが新しく発見されたって噂
573:名無しの電脳
噂じゃねーか
574:名無しの電脳
質問スレなのに雑談スレみたいになってる…
575:名無しの電脳
実際質問者来たら答えるから…
576:名無しの電脳
答えてるの長文ニキぐらいしか居なくね?
577:名無しの電脳
君が次の長文ニキになるんだよ!
578:名無しの電脳
(誤情報流しちゃうかもしれないので)いやです…
579:名無しの電脳
ちゃんと裏取りしてから情報流さないとね
580:名無しの電脳
そういえばMPポーションって見つかった?
581:名無しの電脳
見つかってない
戦士職スキルが時間経過回復なんだからMPポーションないんじゃないの?
582:名無しの電脳
その為のアーティファクト
583:名無しの電脳
あとその為の
584:名無しの電脳
スクロールも入れて差し上げろ
585:名無しの電脳
ワンド! スクロール! アーティファクト! ワンド! スクロール! アーティファクト! って感じで
586:名無しの電脳
全然ハマってないんだよなぁ
587:名無しの電脳
飛び出過ぎだろ、字余りかよ
588:名無しの電脳
地味に字余りとか教養出してきたな
589:名無しの電脳
こんなところで教養出さなくていいから…(良心)
590:名無しの電脳
みんなよく使うのは何使ってんの?
ワイはワンド
591:名無しの電脳
俺はスクロールだわ
592:名無しの電脳
スクロール一回しか使えないじゃん
インベントリギュウギュウなるわ
593:名無しの電脳
ワンドたけーんだよ
594:名無しの電脳
まぁ同じ回数分買ってもワンドの方が2.5倍ぐらいするもんな
595:名無しの電脳
俺はアーティファクト
596:名無しの電脳
アーティファクトとかブルジョワっすね
597:名無しの電脳
高杉、落ちなさ杉、装備欄一つ使うのめんど杉
598:名無しの電脳
3本杉じゃん
599:名無しの電脳
あの伝説の波紋の!?
600:名無しの電脳
伝説か?
601:名無しの電脳
言うほど知名度ないぞ
602:名無しの電脳
刃文な、それじゃあ太陽エネルギーと間違える
603:名無しの電脳
また教養が高まってる
604:名無しの電脳
俺もこのスレにいるから教養高いってことにならない…?
ならないか…
605:名無しの電脳
ちゃんと自己認識できててえらい
606:名無しの電脳
そもそもHPポーションの作り方が多すぎ
607:名無しの電脳
仲間にアンデッド参加していつものHPポーション使ったらダメージ入って死んだときは思考止まった
608:名無しの電脳
HPポーション、神官系が作ってるとアンデッドにダメージはいるようになるの罠だろ
609:名無しの電脳
ロンギヌスって知ってる?
610:名無しの電脳
いきなりなんだよ
611:名無しの電脳
キリスト殺した槍
612:名無しの電脳
わかりやすい
613:名無しの電脳
キリストって?
614:名無しの電脳
ええ…
615:名無しの電脳
お前まじ?
616:名無しの電脳
世界一有名なチート小説の主人公やぞ
617:名無しの電脳
因みに父親いないのに生まれてきた
618:名無しの電脳
化物では?
619:名無しの電脳
欧州アーコロジーだとみんな知ってるぞ
620:名無しの電脳
どこでも知ってるだろ
621:名無しの電脳
知らないやつが今そこにいるんだけど
622:名無しの電脳
一気に教養減ったな…
623:名無しの電脳
教養って減るんだ…
624:名無しの電脳
で、いきなりロンギヌスとか聞いてきて何?
625:名無しの電脳
それ
626:名無しの電脳
キリスト知らないやつに流れ持っていかれそうだったけど
627:609
俺の友人が最近ワールドアイテム入手したんだけど使えねーって嘆いてた
628:名無しの電脳
使えない…使用したら消えるタイプ?
629:609
それどころじゃないってさ
630:名無しの電脳
ん? どういうこと?
631:609
アカウント消えるって
632:名無しの電脳
アカウント消失!?
633:名無しの電脳
クソゴミじゃん
634:名無しの電脳
はぁ~(クソデカため息)
635:名無しの電脳
それでどんな効果なんだよ
636:名無しの電脳
相手のアカウント消失
637:名無しの電脳
バカアホドジマヌケッッッッッッ!!!!!!!!!!
638:名無しの電脳
罵倒のレパートリーが足りねぇよクソ運営!
感想評価誤字報告いつもありがとうございます。