私は昨日ワールドアイテムの事で嘘をついた。
NPCを作り出すアイテムではなくただ作ったNPCを外に連れ出せるものだと。
理由は、私が彼ら、ナインズオウンゴールを信用しきれていなかったからだ。
異世界の転移は信じている、だがそこから先で仲間割れが起きないとどうして言えようか。
だから私はワールドアイテムの情報を隠した、自分が少しでも生き残るために。
***
「う~ん、やっぱりナヅキさん。
攻撃下手ですね、頭の動きや体の動きでどこを攻撃したいのか滅茶苦茶わかりやすいです。
もっとフェイントとか入れたほうが良いと思いますよ?
武器いくつか貸すので素手以外の武器も使ってみます?」
「やっぱりそうですか…
読まれてるとは思ってるんですけど中々対策が立てれなくて…
武器ちょっとお借りしてもいいですか?」
「もちろんです! どうぞ」
私は朝からログインし正午になるまでほぼルーチンワークとなった七色鉱探しを進めた。
その後丁度12時ぴったりに昨日解散した酒場からたっち・みーと合流しクランメンバーで借りているというゲーム内通貨の拠点内で私のプレイヤースキルを見てもらっていた。
私はたっちみーから借りた直剣を装備し(マスターファイターを持っていたため装備できた)、たっち・みーに対して斬りかかる。
それを軽々躱し私の背後に回って頭に攻撃を加えられた。
「うーん、本当に読みやすいですね…
もうちょっとこう動きを小さくしたりとか…
あ、武術系のゲームとかってやってますか?」
「あ、はい
一応買ってプレイしています」
「どんなタイトルです?」
「武術大全2125ですね。
色々な武術見れて面白かったです!」
「それフルプライスの結構高い奴じゃないですか…?
ま、まぁわかりました。
で、めちゃくちゃ残念なこと今から言うんですけど…
そのゲーム、プレイヤースキルを育てる目的ならゴミです」
「買ったゲームがゴミ!?」
練習のために奮発して購入したゲームがゴミだと告げられ驚愕するも、たっち・みーは丁寧に理由を説明し始めた。
「理由としては1つが、その武術大全2125内での動作感知環境が最悪でして、どうしても大きく動かなくちゃいけなくなる、そのせいで動きが読みやすくなる、だから勝てないというループに嵌ってしまいます。
もう一つがそもそも現実的過ぎてこういうゲームに流用しにくいという部分ですね。
近接職でプレイヤースキルを上げたいのなら売りに出されてるゲームではなく、プレイヤーメイドの物が特におすすめですよ。
後でurl送りましょうか?」
「ええ!? いえいえ! 名前さえ教えてもらえれば自力で探すので大丈夫です!」
「そうですか、えっとPSアッパーという名前なので、最新バージョンを入手して一通り、レートが80を超えたらかなりいいと思いますよ?」
「レートなんてあるんすか!
ちなみにタッチさんはどれぐらい…」
「私なんてまだまだですけど、一応92ですね!」
「すごいじゃないですか!」
そんなこんなで話しているとおもむろにたっち・みーが質問をしてきた。
「そういえば、拠点とか課金アイテムとかに結構課金してるみたいだけど、大丈夫です?」
その言葉に私は何も考えず。
「ええ、問題ないっす!
金は滅茶苦茶貯まってますし!
食事と飲み物は毎日出てくるんで!」
と答えた。
「…そうなんですね。
親御さんとかには何も言われないんですか?」
「え? あ~私両親居なくて、っていうかもう働いてますよ!」
思わず口走ったその言葉に、たっち・みーが少し動揺したように返答する。
そして親というワードが出たことで、私は子供だと思われている可能性に気付き、言い訳がましく働いてると口に出した。
「親御さんが…それは…無遠慮な質問して、申し訳ありません…
でも、ナヅキさんは日中もログインしてませんか?」
「ああ、緊急用のストレージあるじゃないですか。
あそこに業務用のアプリを入れてるんです。
こっちで適当に回りながら仕事できるので楽しいですよ?」
だがそこでたっち・みーは黙り込む。
何かを思案するように腕を組み始め、疑問をこぼす。
「二つのアプリを起動すればすぐに脳内ナノマシーンが枯渇すると思うんですが」
「えっ? そうなんですか…?
自分は何とも…そもそも枯渇したこととかないですし…」
「枯渇したことが無い…ですか。
そういえば話は変わりますが…もともとライトフィンガーディアン・デーモンの狩場によく居たそうで…
なんでそんなおいしくない狩場にずっと回っていたんですか?」
「あ…え~っと
実はですね…レガシー級の装備が盗まれたことがあるって聞いて…
それでレア装備を落とさないかと、ずっと回ってたんですよ…
まぁ人がいきなり増えて諦めたんですがね!」
いきなり変わった話題に少し動揺しつつ、私は嘘を吐く。
元々そこは疑われると思い、少しは話を考えてきていたから嘘はスラスラと私の内から流れ出る。
「そうですか…
ああ、脱線しすぎでしたね。
ではまたプレイヤースキルとか何が合ってるのかを考えましょうか。
私としては抜刀系、いいんじゃないかと思うんですよね。
居合系の攻撃は素早いですし、手首とか刀の向きとかしか先が読めないので読まれやすいナヅキさんには合いそうなんですよね。
ちょっとやってみてくれません?
この刀お貸しするので」
「おお、又しても高そうな…
でも私居合系のクラス持ってませんよ?」
「大丈夫です、居合スキルが封入されているアーティファクトなので」
「マジですか!
じゃあ失礼して…」
私とたっち・みーはその後数時間、話し合いながら私に合致する職業や武器種などを一緒になって考えてくれた。
私は意外にも間合いを測る能力自体はあるようなので居合はかなり合致しているとたっち・みーからもお墨付きを貰い。
たっち・みーの保持しているゴッズの刀を要らないという理由で一本貰った。
性能はそこそこだが私は滅茶苦茶感謝をし、最後には
「たっちさん本当にありがとうございました!
マジで武器感謝してるっす!
早速教えてもらったアプリダウンロードしてるんで、今日はこれぐらいですかね?
明日とかはどうするっすか!?」
とかなり口調も砕けた。
「はは、私はちょっと明日は用事があるので、掲示板でも見てダンジョン攻略したいなら仲間を募集してみるのもいいと思いますよ?」
「なるほど!
ちょうど攻略したいダンジョンがあったんすよ!
じゃあまた!」
私はログアウトして、早速たっち・みーから紹介されたゲームを起動した。
「めちゃくちゃ疑われてたよな…
無理やり気分上げてたけどバレてたかな…
…まぁいいか! やるぞぉ!」
***
どうでした?
たっちさん、かなり懐かれてましたけど。
…そうですね、アレは懐かれてたと言って良いのか…
? まぁいいです、警察官なんですから色々聞き出せたんでしょ?
早く教えてください。
はいはい、わかってますよ。
まず金銭に関してですが、自分で働いてるそうです。
はぁ!?
流石に嘘ですよね?
だったらどうやってこんな長時間インしてるんですか。
でも反応的にそこの部分は嘘じゃないんですよねぇ。
ただ手段が少し疑問が残るんです。
手段?
はい、インターフェイス上に緊急のストレージ有るじゃないですか。
有りますが、それがどうしたんです。
それで同時に業務アプリを起動してユグドラシルをプレイしながら仕事をしているそうで…
??? それは無理でしょう。
そんなことしたらナノマシーン足りませんよ。
そのはずがですね、ナノマシーンが枯渇したことがないそうで、本人も何を言ってるんだって反応でしたよ。
本人が嘘を言っている可能性は?
これで嘘なら稀代の詐欺師ですね。
何よりその後聞いたライトフィンガードデーモンに付いてでは詳しい情報は知らないって言ってましたけど明確に体が不安そうに動いていたので、そこで嘘の反応出すなら今まで演技する必要はないですよ。
チグハグですね…
まさか運営側のデバッガーとか?
はは、確かに可能性はありますね。
ま、私が見ながら色々聞き出してみますが、明確な違反や嘘が無ければこのままでいいと思いますよ
そうですね、じゃあ後はよろしくお願いします。
ウルベルトさんの要望でこんなことしてるんですから報告は聞いてもらいます。
…めんどくせぇ
***
【ユグドラシル】質問スレ【part25】
729:名無しの電脳
そもそも今出てるワールドアイテムって何よ
730:名無しの電脳
アトラス、ダヴはオリーブの葉を運ぶ、ロンギヌス
731:名無しの電脳
有名どころはそれぐらいか
732:掘ホリホリック
アトラス(仮称)
詳細不明
有名PKKクラン、ナインズオウンゴールから奪ったらしいがその後奪ったギルドが空中分解し所在不明に
古印欧語で「支える者」「耐える者」「歯向かう者」を意味することから何らかの支え(ギルド運営や耐久系、攻略にブーストがかかるバフ系)だと予想されている
ダヴはオリーブの葉を運ぶ
拡散元がここ、質問スレの有名ワールドアイテム
名前、画像、説明欄全てが写真付きで判明している
ゲーム開始数ヶ月で発見されたアイテムだが効果が意味不明
【使用者を1日1回新天地へと転移させる】という具体性が薄すぎる説明に加え、最初に獲得した人物が使用していなかったことからも転移系の効果ということしか判明していない。
元ネタは聖書の箱舟
ロンギヌス(仮称)
昨日報告されたワールドアイテム
元ネタから槍の形をしていると考察されているが詳細は不明
報告者の内容によると自アカウントの消滅と引き換えに対象のアカウントを消滅らしい
不可避なのか、投げたら効果は発揮されるのか、それらの検証はアカウント消失というデメリットが大きすぎるため行われていないらしい
733:名無しの電脳
長文ニキサンガツ
734:名無しの電脳
まとめ助かる
735:名無しの電脳
っていうかワールドアイテムまだ公に情報出てるの3つだけなんだ
736:名無しの電脳
基本秘匿しようとするし…
737:名無しの電脳
そもそも装備してるとドロップするから狙われたくないねんな
738:名無しの電脳
ロンギヌスのデメリットがデカすぎる
739:名無しの電脳
そもそもワールドアイテムの使い所限定されすぎでは?
740:名無しの電脳
今のところ絶対欲しいレベルの性能見たこと無いわ
741:名無しの電脳
ワンオフ性能はロマンだけど自分のプレイスタイルと合致することの方が少なそう
742:名無しの電脳
ワールドアイテムってどうやって獲得するのかも不明やし
743:名無しの電脳
そりゃ全部違うからな
744:名無しの電脳
ラスボス最初に倒したら貰えそうではある
745:名無しの電脳
ラスボスなんていたっけ?
746:名無しの電脳
ストーリー読め
747:名無しの電脳
九曜の世界喰いって名前だけが出てる
748:掘ホリホリック
ユグドラシルの公式ストーリーによると
ユグドラシル自体が一つの大樹で俺達のいるワールドが葉っぱ。
なのにその葉っぱを食いまくるやばいモンスターが出てきたので助けてみたいなストーリー
因みにワールドアイテムは食われずに落ちた葉っぱが形になったものらしい
749:名無しの電脳
長文ニキ今回はそこまで長文じゃないっすね
750:掘ホリホリック
いつでも俺が長文書けるほど知識あるわけ無いやろ
751:名無しの電脳
それはそう
752:名無しの電脳
人間アピールか?
753:名無しの電脳
まぁまだストーリー攻略もそこまで進んでないっぽいし多少はね
754:名無しの電脳
そもそもDMMOストーリー読み込むほうが少数派でしょ
755:名無しの電脳
ユグドラシルは特に対人戦が主流だしな
756:名無しの電脳
(なんで世界の危機なのに仲間割れしてるんですか…?)
757:名無しの電脳
人間だからな
758:名無しの電脳
人間は闘争を求める
759:名無しの電脳
あいつらは人間じゃないからセーフ
760:名無しの電脳
セーフか?
761:名無しの電脳
PK判定されないしセーフってことだろ
762:名無しの電脳
確かに
ほな異形種は人間の敵か
763:名無しの電脳
それは短絡的過ぎる
764:名無しの電脳
俺等の現実みてぇだな(内ゲバ)
765:名無しの電脳
ちゃんと企業が内ゲバしてた国を終わらせただろ
766:名無しの電脳
実質的には企業が世界をこんなふうにしたんですが…
767:名無しの電脳
つまりユグドラシルは企業だった…!?
768:名無しの電脳
それはそう
769:名無しの電脳
はいはい、リアルの話はしまっちゃおうねー
770:609
俺の友人なんか別ゲーに行くらしくて適当なNPCロンギヌス投げようか迷ってるって
771:名無しの電脳
!?
772:名無しの電脳
はぁ!?
773:名無しの電脳
誰か止めにいけよ
774:名無しの電脳
俺以外の)誰か
775:名無しの電脳
え…流石にNPCなら大丈夫だよな
776:名無しの電脳
NPCは殺されても再配置されるやろ
777:名無しの電脳
まぁそりゃそうだよな
778:名無しの電脳
前回みたいにワールドアイテム獲得しにいかないんですか?
779:名無しの電脳
流石にデメリットがデカすぎる
780:名無しの電脳
いらねーよそんなの
781:名無しの電脳
まだワイはこのゲームプレイするんや!
782:名無しの電脳
迷ってるなら流石に大丈夫だろ
783:609
一応また復帰するかもしれないだろって諌めといた
784:名無しの電脳
609が有能過ぎる
785:名無しの電脳
偉すぎ
786:名無しの電脳
>>778
ワンミスでアカウント消失はリスクデカすぎ
787:名無しの電脳
流石にプレイヤーだけだろ
788:名無しの電脳
この運営ならNPCでも消す
まぁ同じ様なNPC再設置するだろうけど
いつも誤字報告評価感想ありがとうございます!