取り敢えず、世界樹の種はいつもの課金ギルド拠点倉庫に封印し、私は考える。
世界樹の種を使用するという選択肢はあり得ない、現状ゾンビの分岐進化先であるパンデミック・キャリアーのスキルは異世界での有用性が非常に高い。
人間種と同等の精神異常が効果を有するということは、人間性の補完にとても重要な役割を持たせることが出来る。
欲望の上昇も人間性の保全に良い影響を与える可能性もある。
このゲームであるユグドラシル世界では単なるデメリットだが、異世界ではそれがメリットに裏返る。
だからと言って異世界で使用しようにも種族に合わせて装備を作るのが常識であり強力なユグドラシルだ。
異世界にはレベルの非常に低い素材しかない、データクリスタルはそもそも存在しない。
そんな世界で新しい種族に合わせて装備を作ることは不可能だろう。
よしんば種族にあった装備を作れたとしても装備自体のレアリティが低ければ高レベル帯の戦闘にはついていけない。
じゃあNPCに使わせるのは……?
それこそ意味がない、最初に種族を選択して作り出せるのだから後に変える必要性も薄いし、別種族を作りたいならワールドアイテム:アスクとエムブラ、二振りの木の枝で事足りる。
(使い道が……考えつかねぇ……ッ!
無理やりに使うの諦めて封印だけしとこうか……? 一応アイテム装備欄に持たせたら世界の守りは発動するだろうし)
私が辻斬りをかましながら一人で考えてた時、
ビクゥッ! となりながらも連絡先を確認すると、そこには
(ペロロンチーノ……?)
バードマンのプレイヤーであり、変態性癖の代名詞ともいえるその男、ペロロンチーノからの連絡であった。
まぁ出てもええやろと応答する。
「繋がった! 良かったー! ナヅキさんだよね!」
「あ、どうも……そうですけど……
何の用ですか……?」
「えっとね、最近俺たちギルドに代わってさ! アインズ・ウール・ゴウンって名前になったんだよ!
それででっかいギルド拠点ゲットしたんだけど、ギルドメンバーのNPC造型師が大枠は作りだせたらしいんだけど細部のブラッシュアップがまだ出来てなかったみたいでさ!
レアドロップとか渡すからちょっとNPC作るの手伝ってくれない?
めちゃくちゃ造型上手かったからさ、頼むよ!」
(ええ……クランからは追い出したけどそこらへんは頼るんだ……
判断基準謎じゃない……? っていうか私が拒否されてまだ半月ぐらいしかたってないんだけど……
まぁいいか、っていうかこれは滅茶苦茶、好機なのでは……?
造型に触らせてくれるってことは、設定も触らせてくれるだろうし……
部外者だけど私も創造主になれるかもしれない……
設定いじれそうなキャラは……
っていうか現時点では設定が効果発揮するなんてわからないんだし、ペロロンチーノとかは義姉妹とかNTRで萌えそうだからいけるかも
出来ればアルベド触りたいけど……タブラがな、設定魔らしいし設定いじったのバレて、「だが本当は……」とかされると終わるから手は付けられねぇ
設定をほぼ見ないようなキャラ……メイドとかか……?
いや、まずは返事をして、向かった先で考えよう、とりあえず設定いじったことがばれないことが最優先、ばれてもあえてギルメンが設定に付け足した感じで……!)
「あ、えっと、そうですね……
分かりました、いいですよ。
どこのギルド拠点ですか?」
「ヘルヘイムの突き刺す水晶平原、そこから100メートル程離れた場所にある猛毒の沼地が点在する紫毒の沼地の奥のグレンデラ沼地内にナザリック地下大墳墓って名前の場所があるんですよ、そこです!
ってこれは俺が連れて行った方が早そうですね!
ヘルヘイムの中心街、広場で待ってます!」
そういうとペロロンチーノは
私は少し緊張しながら、羽川翼のワープゲートを通る。
***
中心街の広場でペロロンチーノと合流した私は滅茶苦茶に変わった装備に驚かれるも、一見するとただの墓地に見えるその地下をくぐり、様々な地形を通り抜ける。
その先にあったのは装飾の施された墳墓の一室だった。
「ここです!
この娘! 名前はシャルティア・ブラッドフォールンっていうんです!
吸血鬼なんですけどめちゃくちゃかわいいでしょ!
ただやっぱり全体で見るとまだ違和感があって……
違和感を直そうと思ってもギルメンの造型できる人が少ないので今引っ張りだこになってるんですよ!
俺はもう結構完成はしてるんですけどもっときれいにできると思うんです!
お願いします!」
「あ~わかりました。
そういえば私も吸血鬼のNPC作ってるんですよね、見ます?」
「マジすか!? 是非!」
私はペロロンチーノが作ったであろう吸血鬼とのつながりがある、アーカードを連れてきた後、譲渡された編集権で細々とした細部の違和感を直していく。
その間、お互いに言葉は無かった。
1時間以上経ち、凡そ違和感がなくなるまで仕上げることが出来た私は、ペロロンチーノに声をかける。
「終わりましたよ。
どうですか……?」
その声で、アーカードを見終わり、手慰みにインベントリをいじっていたペロロンチーノが顔を上げ
「う、うぉおおおおお!!!
めっちゃいいっすよ! めちゃくちゃかわいいです!」
喜びの声を上げるペロロンチーノに私は少し、緊張しつつ声を投げかけた。
「あの、私、裏切りが性癖なんですけど……
説明にそういう文章足してくれませんか……?
レアアイテムはいら……半分でいいので……どうです?」
結局確実にバレないなんてことは、あり得ない。
ならば性癖と開示して、制作者であるプレイヤー自身に受け入れてもらうのがベストだろう、性癖ならば他人に話さないでほしいという願いも受け入れやすいだろうし、造形の対価とするならなおさらだ。
驚愕した雰囲気のペロロンチーノを見つつ、全部要らないは怪しすぎると訂正した私に、返答は……
*
*
*
あの後、私はシャルティアと他2体のNPCに裏切りと私が本当の主である設定を付けることに成功した。
ペロロンチーノにレアドロップアイテム2つと設定の書き込みとその他言無用だけで造型を整えるのはかなり割安だったようで他のギルドメンバーにも驚かれつつ設定に踏み込めた。
また、知識としても多くの情報を得ることが出来た。
造型を丁寧に直した後は、ギルド内のちょっとした、まだ整えられてないナザリック内部を色々と見せてくれた。
その中で、私は攻城ゴーレム:ガルガンチュアを見て思い出す、ほとんど忘れていたオーバーロードの考察の一つ、カロリックストーンの使い道。
NPC、ゴーレムにワールドアイテムを組み合わせるという事例。
私はそこで思いついた。
世界樹の種の使い道を。
ナザリック地下大墳墓から自分の課金ホームへ戻った私は、まずカロリックストーンの取得を最優先、かつその過程でプレイヤースキルを上昇させることを暫定的な目標に定める。
(ナザリック、内側から崩せたら儲けものだけど、絶対それだけじゃあ無理だ。
あくまでちょっと戦力を削いで、かつ情報を流させることが出来れば最上
そして今の目標は七色鉱山を探し、カロリックストーンを最速で見つけ、量産する!
なんか原点回帰してるけどやっぱお願いアイテムはつえーんだ!
まだ大会まで半年以上もあるし、たっち・みーから教えてもらったプレイヤースキル上昇のゲームも、同時に進めてプレイヤースキルも鍛える!
七色鉱探し中にプレイヤーと出会ったらツジギリクラスの進化のためになます切り!
完璧なプランだぜ!)
私はチマチマした造型の手直しという苦行を終わらせた高いテンションのまま、山脈系マップに向かい始めた。
***
【ユグドラシル】質問スレ【part27】
584:名無しの電脳
暇~
585:名無しの電脳
そういや七色鉱って今いくつ判明してるんだよ
586:名無しの電脳
7つじゃねーの?
587:名無しの電脳
七色鉱ってなんやねん
588:名無しの電脳
>>587
初心者か?
ユグドラシル最高レベルの鉱石の事や
589:名無しの電脳
あれ、長文ニキおらへんな
590:名無しの電脳
寝てるんでしょ
591:掘ホリホリック
起きてるぞ
592:名無しの電脳
ファッ!?
593:名無しの電脳
いつ寝てんだよマジで
594:名無しの電脳
7色鉱の説明頼むわ
595:名無しの電脳
即丸投げ、これは近年稀にミラー☆
596:掘ホリホリック
これぐらい自分で調べろ……って言いたいけど結構七色鉱の情報ってネットに載ってないんやな
ええわ、説明したる
597:名無しの電脳
これは近年まれにみるせいひと
598:名無しの電脳
せいじんやぞ
599:名無しの電脳
前はせいひとだっつってただろうが! タヒね!
600:名無しの電脳
ぜんもんのせいひと
こうもんのせいじん
601:名無しの電脳
どっちでもええわ、話逸らさせるな
602:掘ホリホリック
まず七色鉱ってのはユグドラシルに七つあるらしい鉱石の種類のことで、それをまとめて七色鉱って呼んでるらしい。
発見数が滅茶苦茶に少ないくせに採掘量も雀の涙。
ただ大手ギルドが定期的に流してくれるから高いけど最近は落ち着いてきた方
一番の特徴は、七色鉱が無いとゴッズ装備を作れないってこと
だからめちゃくちゃ高いけどみんな死に物狂いで探したりトレードとかで買ったりしてる。
ちなみに現状見つかってるのは
アポイタカラ (武器系)
ヒヒイロカネ (武器系)
ゼノニウム (時間系)
アンオブタニウム (鎧系)←NEW!
603:名無しの電脳
NEW! で笑った
604:名無しの電脳
はえ~もう四つ見つかってるんすね
605:名無しの電脳
まだ4つだぞ
残りの3つどこにあるんやろ、そしてどんな性質なのか……
606:名無しの電脳
名前の後ろにある~系って何?
607:名無しの電脳
あ~たしかその鉱石にあった武器や装備を作ることでゴッズの中でも上に位置する容器ができるんだっけ
608:名無しの電脳
ゴッズの中にも差があるの!?
609:名無しの電脳
当たり前だろ
610:名無しの電脳
わかるよ、最初それ知ったらマジで頭おかしいって思うよな……
でもこれがユグドラシルだ、諦めろ(ドンッ!)
611:名無しの電脳
容器ってなんや
612:名無しの電脳
お前マジ?
613:名無しの電脳
ユグドラシルって武器を作ったらその中にスキルとか攻撃力強化とかのデータクリスタルを入れるタイプのゲームなんだよね
614:名無しの電脳
データクリスタルを入れる入れ物=容器ってことや
615:名無しの電脳
なるほど
616:名無しの電脳
ちなみに容器を七色鉱だけで作ってもゴッズにはなりません
その七色鉱に適合した超希少金属を付けなければなりません
その組み合わせ、実に数万を超える!
617:名無しの電脳
なそ
にん
618:名無しの電脳
頭お菓子なるで
619:名無しの電脳
クッキーマンかよ
620:名無しの電脳
>>619
ちゃんと正式名称で呼べ
ジンジャーブレッドマンだ
621:名無しの電脳
実際発狂しそうなレベルの組み合わせあるのにどうやって組み合わせてんの
622:名無しの電脳
大体鉱石同士の元ネタっぽいのが同じ神話とか出身だったりするとゴッズになること多いよ
623:名無しの電脳
あ? そんな知識ある訳ねぇだろ!
624:名無しの電脳
それはそう
625:名無しの電脳
そしてさらにデータクリスタルがゴミだとレジェンドに落ちます
626:名無しの電脳
もうこれ作らせる気ないだろ
627:名無しの電脳
作ってるやつまぁまぁいるんだよなぁ
628:名無しの電脳
ここで結構ゴッズの話あるから意外と簡単なんだと思ってた
629:名無しの電脳
みんな血反吐を吐きながら作ってんだよ
630:名無しの電脳
実際1から造形含めて装備作れるのは最高だし
631:名無しの電脳
わかる、絶対オンリーワン装備作れるのは男心くすぐられまくる
632:名無しの電脳
最悪見た目合わなくても外装データクリスタルあるし
633:名無しの電脳
ユグドラシルはコスプレゲーみたいな所あるから
634:名無しの電脳
にしてはサツバツしすぎてない?
635:名無しの電脳
思い入れがデカくなる自作装備作れるのにそれを死ぬと落とすのがゲームシステム的に合ってなくない? とは思う
636:名無しの電脳
実際PKして獲得した装備強いと脳汁ドバドバ出るし
637:名無しの電脳
なお奪われた側
638:名無しの電脳
発狂不可避
639:名無しの電脳
ユグドラシル鍛冶職スレはもう怨嗟に呑まれちゃったからな
640:名無しの電脳
怨嗟?
641:名無しの電脳
怨嗟 えんさ
うらみなげくこと
642:名無しの電脳
そんな頭いい文字使うなよ、バカに見えるぞ
643:名無しの電脳
この程度で頭が良い……?
644:名無しの電脳
バカはお前定期
645:名無しの電脳
そんな定期はない定期
646:名無しの電脳
あ、鍛冶職で思い出したけどゴッズ装備やっぱり100レベル鍛冶職が作った物の方が容量大きいっぽい
647:名無しの電脳
ここまででもお腹いっぱいなのにさらに追加で……!
648:名無しの電脳
もういいよ
649:名無しの電脳
データクリスタル掘も全然終わらねぇのに
650:名無しの電脳
プレイヤー作品の装備見てると厨二病要素たくさんで共感性羞恥になる
651:名無しの電脳
NPC作品でも似た命名されてるからどっちにしろ悶絶しない?
652:名無しの電脳
厨二病以外でユグドラシルプレイしてる奴なんて居ないからセーフ
実際カッコいいと思ってんだろ?
653:名無しの電脳
はい
654:名無しの電脳
いいえ
655:名無しの電脳
【速報】ユグドラシルバトルロイヤル開催決定!
656:名無しの電脳
正直になれよ
657:名無しの電脳
元からバトルロイヤルでは……?
いつも感想評価誤字報告ありがとうございます!