ソロプレイヤー、ナザリックに挑む   作:No_46

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作戦会議

 ムスペルヘイムの宿屋兼酒場である燃え盛る火酒はさびれた町はずれの、一軒家の地下にあった。

 入れば中は上の一軒家以上に広大な地下、テーブルと椅子が大量に並んでいる。

 周りを見れば大きな酒場の割に人の入りは非常に少ない、30人いるかいないかぐらいの人数が纏まって壁に掛けられた2ちゃん連合の垂れ幕の前にたむろしていた。

 後ろの一人がこちらを見て声を掛けてくる。

 

「ゾンビネキさん、2ちゃん連合参加するんですか?」

 

 その男性プレイヤーは全身に布系の装備をした盗賊のような出で立ちだった。

 予想通り緑のエンブレムを貼っていることからシーカーのようだ。

 

 名前を呼ばれたことに驚愕しつつ、は、はい……と返事をすると周りのプレイヤーが一斉に盛り上がり歓声を上げる。

 

「あ! おいお前ら! 掲示板にこのこと書くなよ! 掲示板見たらゾンビネキ参加ってバレるやんけ! 

 狙い撃ちにされて詰むわ! 

 ゾンビネキ参加してくれるんやったら優勝の確率も滅茶苦茶上がるんやし、何よりソロってことはどっかのスパイの可能性も低い! 

 ええなお前ら!?」

 

 と、そこで垂れ幕の一番近くで座っていた全身鎧に赤いエンブレムの男性プレイヤーが周りにいるプレイヤーに釘を刺す。

 周りのプレイヤーの中でウィンドウを開こうとしたプレイヤーたちが動きを止め、おお……と力なく返事が返る。

 

「ワンチャンあるな……ここ集まったの全員100レベ超えてるし」

「なおゴッズ所持率」

「そもそもゾンビネキってアタッカーって判定でええん?」

「エンブレムの赤色見ろ、色盲か?」

「っていうか緑色多すぎない? シーカーばっかじゃん」

「隠れて色々動いてた情報班来てるし」

「アタッカー数えるぐらいしかいなかったから助かる」

「声弄ってないならマジ女かよ……ユグドラシルって女プレイヤーいたんだ……」

「ナヅキってプレイヤーネームなんだ、ゾンビネキとしか呼んでなかったわ」

「それ、実際話すのもゾンビネキって言った方がわかりやすそうだし、なんか呼ばれたい名前ないならゾンビネキって呼んでいい?」

 

「あ、は、ハイ、す、好きなように、呼んで……」

 

 周りのプレイヤーの圧倒的なマシンガントークに圧倒されていると最初に声を掛けてきた緑のエンブレムの盗賊が仲裁する。

 

「ほら、ゾンビネキめっちゃコミュ障だから、これ以上貴重な人員減ったら洒落ならんし本格的に作戦会議始めるぞ~

 ほら、集会主初めてクレメンス」

 

「おk」

 

 そうやって話を振られた集会主、恐らく掲示板でキレていた男だろうその人が話し始める。

 

「え~今回の作戦会議、もともと百何人ぐらい来ると予想してたから立てた作戦なんだけど、まぁゾンビネキ大会3位なんで作戦このままで行きます」

 

「なんでそんな甘い予想を立てたんですか……?」

「実際きたのその3分の1以下なんだが」

 

「はい、お前らの茶々は聞き流します。

 実際ここで話す予定だったのはその後ろにいる長文ニキの知識から上位層のスパイだけに偽情報を話して、解散した後にスパイ以外の集合した奴にメッセージかなんかで再招集掛けて本命の作戦を話すっていうの何ですが

 まぁお前らの集まりが悪いせいで糞みたいな作戦がマジモンだとここに集まった奴以外が認識しちゃってるのが最悪な点です」

 

(最初に話しかけられた盗賊エンブレムのプレイヤーが長文ニキなんだ……

 っていうか長文ニキ上位ギルドのギルメンとか全員覚えてるのか?)

 

 私の他にもその疑問を覚えたプレイヤーはいたようで

 

「長文ニキが見逃す可能性ないのん?」

「そうだそうだー」

 

 とヤジが飛ぶが

 

「あ~一応ここ一週間以内で参加とかじゃない限りは上位ギルド全員分のプレイヤーネームと外装は分かってるぞ。

 あと俺一応隠密特化だけど偽装看破系も入れてる100レベル盗賊職なんで今のところここら辺に遠見とか潜伏してるやつはおらんよ

 これでダメならもう諦めるしかないね」

 

「そういうことだよ、わかったかお前ら」

 

 長文ニキの釈明でヤジは収まり、ようやく作戦の話へと移った。

 

「え~最初に考えてた作戦としてはみんなで暗号とか決めてそれを基に動くという作戦だったんですが、人数少ないので意味ないです。

 マジでさぁ! せっかく暗号考えた俺の苦労を返せよ!」

 

「暗号とか教えられても覚えられないゾ」

「草、かわいそう」

「暗号って自作? マジ? 思いっ切り徒労じゃん」

 

「まぁ30人来ただけでもええわ、何よりゾンビネキ居るし、一応この中でゴッズ装備複数持ちなの手あげろ」

 

 その集会主の言葉にちらほらと手が上がる。

 

「複数で15人ぐらい居るんか、意外と多いやんけ」

「スレ民は持ってない奴多かったけど集まった奴はほとんど持ってる的な?」

「俺持ってない……俺持ってない!」

「残念だな、この作戦ゴッズ持ちだけなんだ」

「○ネ夫!?」

「かわいそう」

 

「あ~この作戦別にゴッズ持ってた方が生き残りやすいってだけで前提条件とかじゃないから安心しろ。

 複数持ち半数ぐらいいるのは助かるが、とりあえず今回の作戦は奇襲からの内側から撃破って感じの作戦だな。

 とりあえず、メイン軸なりそうなゾンビネキは基本的な戦闘スタイル教えてくれると助かる」

 

 いきなり話を振られて驚くものの、ナザリックでの友好のために磨いたコミュニケーション能力を思い出し答える。

 

「あ、えっと私の構成はサムライ系のロンリーで固めてる。

 あと隠密から最初の一撃にボーナスがかかるから奇襲の一撃目が一番強い感じ、盗賊には簡単に見破られるけど隠密スキルもある」

 

「お、ええやん。

 とりあえず俺たちは最初にその後ろにいる情報班が空にクソデカい花火打ち上げるんで、島みたいなステージ系なら打ちあがった場所から北西に100mぐらい行ったところで、遮蔽物もなんもない闘技場みたいなところなら打ちあがった地点に合流な。

 次に長文ニキメインのシーカー部隊で強いギルド見つけて接触、最初はHP高いタンクとかで様子見してその後ろからアタッカーをぶつけるっていう作戦やな

 長文ニキそこら辺の有名どころは知ってるらしいから超課金ニキとかの強すぎる個人にはゾンビネキとゴッズ複数持ちで対処するように。

 ただ人が少ないんで漁夫をメインで狙っていくから変に攻撃したり目立つ行為すんなよ、目立つのは生き残ってからや。

 基本的に俺ら数は多いんやから逃げなきゃダメなときはバラバラに逃げて適当な連合のパーティ入って逃げ切ったらまた再集合するんやで」

 

「おk~」

「超課金ニキ勝てるかなぁ……?」

「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」

 

 そうして他に気を付けることや長文ニキが見つけた有名プレイヤーの習得してるらしきクラス講座などが終わり12時に至りそうになった頃

 

「そういえばゾンビネキ、ゾンビ辞めた説出てたけどどうなん?」

「やめたんじゃないの? 目は濁ったままだけど」

 

 その質問に私は

 

「い、いや、ゾンビのままですね……」

 

 と答える。

 

「え!? いや、そうやったやん!」

 

 私の答えを聞いて声を上げたのは集会主だった。

 

「あ~人間種前提で話しとったわ、ここ人間種プレイヤーしかおらんし

 すまんな

 ただ、それだとセラフィム対策ねぇぞ……

 この中で対天使装備ある奴いるか?」

 

 手を上げたのは魔法職のエンブレムを付けた一人だけ。

 天使が通ったように静寂し

 

「……やばくね?」

 

「やべぇよ!」

 

 集会主の迫真の声が酒場に響いた。

 

 

 その後、アインズウールゴウンならセラフィム対策あるだろうしぶつければよくね? という一人の意見が採用されたが、うまくいくのかまだ不安が大きい。

 

 それでも時間は無常に過ぎ去り、あと10分後にはバトロワの開始時刻となる。

 既に参加申請は終わっており、後は時間になれば自動的にワープする。

 

 やがて、時計の針は1時を指し、視界が一気に地下から地上へと切り替わった。

 

 

 ユグドラシルバトルロイヤル開始! 

 

 

 ***

 NPC説明欄

 

 カペラ・エメラダ・ルグニカ

 

 他者を見下す様な甲高い声が特徴な一人称は「アタクシ」の一見すると幼い少女。

 老若男女問わず、この世の全ての人物を平等に愛していると語る、自称博愛主義者。

「じゃねーですよ」「してねーんです」などの礼節に唾を浴びせて踏み躙るような語り口調をしている。

 承認欲求が強く、愛される努力を惜しまない。

 だが実際はその語り口調に違わず、自分以外の全てを平等に見下し、踏み躙り、存在を凌辱することをこの上なく楽しむ悪辣な少女である。

 自分以外を性欲だけの猿だと見下し、愛なんてただの性欲だと言って憚らない。

 自分はそれを上から侮蔑し、嘲笑い、全能感に浸り酔い痴れることを楽しみとしている。

 背面側の腰には紫色に染まる羽の様な何かと球体状の物体が二つくっついていて、それこそが世界樹の種を取り込んだ名残である。

 観察眼が異常に鋭く『声』『表情』『仕草』等何気ない動作による外部要因からその人間の好みを完璧に把握することが可能であり、これこそが変身能力の精度に大きな役を果たしている。

 

 だが創造主であるナヅキとその仲間にだけは比較的寛容であり、肉欲に溺れることを良しとしている。

 それは自らを愛する創造主がいたからだろうか。

 ***

 




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