ソロプレイヤー、ナザリックに挑む   作:No_46

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めっちゃ長くなりました…
どうぞ


ユグドラシルバトルロイヤル 下

 フゥ……と一息

 

 刀を握りしめた私は呼吸を整える。

 アインズ・ウール・ゴウン一の魔法攻撃力を持つウルベルトの背後を取った私は隠密状態で発動していたヤミウチのパッシブスキル、幽刃の極意に重ね、ローニン:抜刀術スキルLv5、心臓穿ちを発動する。

 

 通常ならばまともに使えないローニン:抜刀術のクラススキル、大きなタメが必要な心臓穿ちはしかし、狭い範囲だが長く延びる射程と高倍率な基礎威力、胸の心臓部分という限られた範囲に限り基礎威力が跳ね上がる性質により当たるのならば100レベルモンスター相手に一撃必殺ともいえる威力を叩き出す。

 更に幽刃の極意によってクリティカル倍率が非常に高くなっている今なら、ツジギリとバットウサイのクラススキルによってクリティカル確率が8割を超えているため、クリティカルによってレベル100のゴッズ装備持ちでも確実にHPを削り切れるはずだ。

 

(だから大丈夫……! ここで2割引くなんてことは確率的にあり得ない! 

 頼むぞ~妖刀ちゃん!)

 

 素早く鯉口が切られた刀は斬りかかるでもなく大きく弓を引くように切っ先をウルベルトへ向けたまま、鍔が胸元を越えるほど後ろに置かれる。

 そして

 

 ヒュパッ! 

 

 一瞬の間を置いて、刀が光の線に見えるほどの速さで突き出されたその刀身がウルベルトの左胸を貫いた。

 ウルベルトの上部に表示されたHPが急激に減少していく。

 だが

 

(うそぉここでクリティカル外すかなぁ! 普通!)

 

 クリティカルが出なかったことでHPバーは半分を割る程度しか減らすことが出来なかった。

 だが私が攻撃を行ったことで隠れていた連合メンバーも一斉に飛び出し攻撃をしようとする。

 私もすぐさま攻撃スキルによって追撃しようとした時にはもうアインズ・ウール・ゴウンの全員が私を視認し攻撃態勢を整えている。

 

 追撃を取りやめ急いで離脱しようとした時には既にモモンガは魔法を発動していた。

 

 魔法抵抗難度強化(ペネトレートマジック)魔法位階上昇化(ブーステッドマジック)時間停滞(テンポラル・ステイシス)

 

 流れるように素早く発動されたその強化された第九位階魔法は、私を含め奇襲を仕掛けようとしたメンバーの動きを一斉に停止させる。

 

 私はまだ時間系魔法に対する完全耐性の指輪を完成させることが出来ていなかったことを悔やむ。

 最悪なことに他に時間系の完全耐性を持っている仲間もいなかったようで止められた時間は数秒以上存在していた。

 

 たかが数秒だが数秒の時間さえあれば超火力の魔法を唱えることすら容易い。

 

「腹いせか? 残念だったな」

 

 ウルベルトがそう吐き捨てるように言い放ち、目の前で魔法遅延化(ディレイマジック)により時間停止のタイミングを合わせた魔法を多重に展開される。

 私たちは見ていることしかできないと諦めかけた、その時

 

「流石に何もできず全滅はアカンやろ」

 

 その言葉と共に私がウルベルトの真後ろへと転移する。

 

(は!?)

 

 何が起きたか理解できなかったが考えるよりも先にスキル:刀閃を発動してウルベルトを切り飛ばした。

 そのダメージエフェクトは、クリティカルだ。

 

 ウルベルトが消失して見えた、私が拘束されていた場所には長文ニキが拘束されている。

 おそらく位置交換系の盗賊スキルだろう。

 逃げてもよかった筈なのに身を挺してチャンスをくれた長文ニキに応えるように私は刀を硬く握り納刀した。

 

 半分近くあったウルベルトのHPが消し飛び、私はツジギリとバットウサイの殺害バフを得たことで攻撃力が上昇する。

 ウルベルトが脱落したことで展開されていた魔法は不発に終わり、再度すぐ隣にいたモモンガが捕縛系魔法を使おうとするがそれよりも私が刀を振り抜く方が早い。

 

 バットウサイのクラススキルLv1刀閃、居合斬りの上位互換ともいえるこのスキルは居合斬りよりもさらに発生スピードが上昇し、斬撃威力とクリティカル率、クリティカル威力にボーナスもつく。

 攻撃範囲の拡大などといった特殊な効果の一切ないスキルだがお陰で近接において常用するほどの威力となった。

 何より気に入ってるのは

 

 袈裟にモモンガを切り裂くエフェクトはまたしてもクリティカル……ではない。

 

(あれぇ! 確定クリティカルのはずなんだけど! バグかよ! つーか硬ぇ! 斬撃ダメージ半減か!)

 

 だが一度懐に入れば魔法職にできることはほぼ無い、ツジギリクラススキルの血酔連斬によってモモンガのHPを削りきった。

 

 魔法職が一斉にやられたのを見て急いで突撃してきたたっち・みーを含む前衛職に、ヤミウチの朧月影で一瞬の目くらましを行い唯一、盗賊職によって見逃さずに食らいついてきた弐式炎雷をバットウサイスキルLv2:逸機刀閃によって迎撃する。

 カウンタースキルである逸機刀閃にクリティカルが発生し、紙装甲だったからか一撃で脱落した。

 残りの注意するべきプレイヤーはたっち・みーと武人武御雷が残っているのみだ。

 

「うぉおおお! 弐式の仇!」

 

 カウンター攻撃により隠密が解けた私へと突っ込んできた武御雷、だが忘れてはいないだろうか。

 2ちゃん連合のメンバーは時間が止められただけでダメージは受けていない。

 魔法遅延化(ディレイマジック)も発動しきっていなかったことで確殺もできない。

 時間停止が、解除された。

 

 解除タイミングを見逃さず攻撃スキルを打ち込もうとしたたっち・みーをタンク職は二人掛かりのスキルで押しとどめ、集会主がメインアタッカーとして立ち回りつつ魔法職のバフや盗賊職の妨害などで万全に動けなかったたっち・みーも速攻撃破される。

 

「たっち!?」

 

 私が振り回される刀系スキルを避け続けていたタイミングにたっち・みーが撃破されたことで動揺した武人武御雷、隙を見せたそこに刀閃のクリティカルが決まり、これでアタッカーが全滅する。

 残った少数のメンバーは私が出るまでもなく連合メンバーに一瞬で撃破された。

 

「いや……あそこから何とかなるとは……

 あ、生き残った奴らは早くこっちに集まれ! 

 これで漁夫来たらめんどいからさっさと隠れるぞ!」

 

 そう言う集会主の言葉に、何とかギリギリの戦いを切り抜けることが出来た私はコクコクと首を動かして頷き集合する。

 

 やがて全員が集まったことで長文ニキと他盗賊職が協力して結界を張り

 

「正味、時間魔法で全員動き止まった時は終わった……って思ったわ」

「なんで誰も時間対策してなかったんですか……?」

「一応積んでるけどやっぱ完全耐性じゃないとマキシマイズ化と抵抗難度上昇化された魔法で抜かれるしなぁ」

「移動阻害対策は持ってきてた」

「使わなかったら意味ない定期」

「いや、マジで長文ニキMVPだわ。

 ニキ居なかったら初手全滅だったし」

「それ言うなら拘束時間切れるまでに面倒な魔法職とアタッカー排除してくれたゾンビネキもでは?」

「ゾンビネキの居合斬りの威力高すぎない? こんなもんなの?」

「わからん、たぶんそういう特殊クラスなんでしょ」

 

 なんとか全員生存で終わった事実に喜びながらも、長文ニキが周囲に隠蔽の結界を再度張ったことで一気に空気が弛緩し雑談が始まる。

 

「次はまたターゲット見つけるまで隠密しながら行動かね、長文ニキはどっちに行きたいとかある?」

 

「まずは安置に行くのが最優先だと思うんだが、マップ確認してるか?」

 

 長文ニキの言葉に皆各々のマップを確認すると、最初の円はすでに縮小を終え、2度目の縮小が始まっているところだった。

 私たちのいる場所はまだ縮小範囲ではないが円の外縁部にかなり近い。

 

「あ~じゃあ中心目指して行くか、隠密最優先でな」

「おk」

 

 そう言った集会主の言葉に周りのプレイヤーも賛同し、私たちは中心部へと向かい始めた。

 

 

 *

 *

 *

 

 

「だからさぁ! 

 なんでお前らは言うこと聞けねぇんだよ! 殺すぞ!」

「もうすでに殺されかけている定期」

「黙れ死ね!」

 

 私達は中心に向かう途中に鉢合ったthe fatherに猛攻を仕掛けられていた。

 

 何故隠密特化の長文ニキと盗賊職三人の隠密がバレたのか、理由は単純だ。

 

「言ったよなぁ! 探知系魔法に引っかかるかもしれないから遠見系の魔法やスキルは使うなってよぉ! 

 使ったやつ後で絶対ぶちのめすからな!」

 

 集会主が言い放っている通り、移動中にthe fatherを見つけたという報告の直後誰かが遠見監視系魔法もしくはスキルを使用して何重にもかけていた隠密スキルの殆どが、強制解除されてしまった為である。

 

 それだけならばまだ残った隠密スキルで逃れられたかもしれないがthe fatherは何らかの探知魔法を発動していたらしく、急いで隠密し直してる間に接触、猛攻を受けてしまったのだ。

 

 すでに最初の猛攻によって名無しの盗賊プレイヤーが死亡し、なんとか2人のタンクとアタッカーである私、集会主の四人で押し留めているが、相手はバランスの良いチーム構成、ジリジリとリソースを削られていく。

 魔法職のバフによって押し止められている現状、魔力切れになれば一気に押し込まれるが攻勢に出られるほどの余裕はない。

 

「まほうのおとが、てきのちょういまほうや、もうだめぽ」

「バフばっかだとつまんないし攻撃魔法使いたいよ〜」

「俳句詠んでんじゃねぇ! 口動かしてる暇あったら手ぇ動かせ! 

 あと攻撃魔法なんて使ってバフ切れたら瓦解するから絶対すんなよ! 絶対だぞ!」

「フリですか?」

「フリなわけねぇだろ殺すぞ〜!」

「集会主が一番しゃべってるじゃん」

「死ねッッ!!」

「でもこのままだとジリ貧だし大規模魔法にかけるしか無くね?」

「まーじで全然抜けねぇわ、たぶん探知系盗賊プレイヤー複数いるぞ」

「長文ニキ! なんとかなんない!?」

「スキルクールタイム終わってないから無理やぞ」

「クソがぁぁぁぁ!!!」

「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの」

「あああああGAAAAAAAッッ!!!!!!!!」

「もう言葉にもなってないっすね」

「超位魔法発動されてるみたいなんで逃げなきゃ終わりなんだけど全く動けねぇわ」

 

 集会主は言葉とは裏腹に敵と一対一の状況を無理やり作り出し繊細な動きで攻撃を避けつつ猛攻を食い止めているが敵の背後に起きている超位魔法のエフェクトまでは切り開けない。

 

 私に対しては大会順位による評判でツーマンセルを固められている為、命を拾うので精一杯だ。

 

(本当はプレイヤースキルそこまで高くねぇんだよぉ! 

 前回の大会で高順位まで行けたのだって装備が強かったからなんです! 

 お願い見逃して〜!)

 

 連携されたスキル攻撃を避け前に出ている妨害系魔法の使い手を刀閃で怯ませてなんとか魔法の発動を阻止しているが稀に抜けて妨害魔法が発動され、それを魔法職のバフで切り抜けることの繰り返し、超位魔法の発動者に対してはタンク三人でガチガチに固められており、近づいても強制ノックバックで後ろへ弾き戻される。

 

 私の考えとは裏腹に、逃すつもりは全く存在せず、確実に殺すという決意だけが伝わってきている。

 

(くっそ、アインズ・ウール・ゴウンとセラフィム倒せたのにここまでかよ!)

 

 そんな考えと共に諦めかけた時

 

「これマジ? ゾンビネキいるじゃん」

「めっちゃ削られてて草」

「援護に来たぞぉおお!」

「奇襲するんじゃねぇの?」

「ノリだよノリ」

「取り敢えず魔法最強化(マキシマイズマジック)連鎖する龍雷(チェイン・ドラゴン・ライトニング)

「龍神の剣を喰らえ!」

「龍神の剣(店売り三千万ユグドラシル金貨)」

「お買い得やね」

「っしゃあ! 集団位置交換(マス・トランス・ポジション)!」

「しゃあっ遠当二衝っ!」

「タフネタはルールで禁止スよね?」

「ユグドラシルはルール無用だろ」

「やっぱし怖いスねユグドラシルは」

「HPが低いと戦線に復帰できないんだ、悔しいだろうが仕方ないんだ、魔法三重化(トリプレットマジック)集団全種族治癒(マス・ヒール・スピーシーズ)

「サンガツ」

「アンデッドに配慮している+114514点」

「あれ? もう終わりかけ?」

「まだ来るのかよ」

 

 雑多な言葉を発しながら現れたのは同じ2ちゃん連合のエンブレムをつけた雑多な集団。

 1人が唱えたスキルか魔法によって体力が大きく削られていた私達は全員が集団の前衛職と思われるプレイヤーと入れ替わり、待機していたらしき神官に3重の回復呪文で回復を受ける。

 最初は神官であることからダメージを懸念してポーションを使用しようとしたがアンデッドの私も体力が大きく回復した。

 やっぱり全種族治癒はありがたいスね。

 

 私達が回復を受けている間にも続々と増援が到着する。

 全てが2ちゃん連合のプレイヤーだ。

 何とか助かったと思うが一体何でここに? 

 

 その答えはやらかしたプレイヤーだった。

 

「あ……多分、ワイのフレンドがthe fatherにゴッズ取られたらしくて見つけたら教えるように頼まれてたからだと思うわ。

 ワイが伝言(メッセージ)で伝えたんやで」

 

 よく耳を澄ませば「此処で会ったが百年目! 俺のゴッズ装備奪った報いじゃ! 大地開断!」とthe fatherのリーダーらしきプレイヤーに大剣で斬りかかりリーダーごと大地を真っ二つにして周囲のギルメンも纏めて落し殺しているプレイヤーを見つけた。

 

 臆面もなく言い放った魔法職プレイヤーの言葉に周りのプレイヤーはみな(こいつ……マジか……!)と心が一つになる。

 しかし非難は起きなかった。

 

 それは

 

「え……バトロワなのに伝言使えんの? 

 メール欄は消えてるのに……? 

 なんで?」

 

 バトロワなのに他者との通信が可能という本来なら規制されていると予測されていた魔法が使用できたショックからだ。

 

 集会主が確認の為かメッセージを発動すると

 

「うお、マジで繋がった……

 

 生きとるわ。

 あ? てめぇが来ねぇから作戦説明できなかったんだろうが! 

 とにかく俺たちは連合吸収しながら中心部目指すから拡散よろしく。

 ……はぁ!? 超課金ニキのギルドに太陽と聖魂ももう消えてんの!? 

 こっちは目の前でセラフィムつぶれてそのあと漁夫でアインズ倒したぞ、今は父が……あ、今魔法使いの超位魔法でまとめて圧し潰されていったわ

 後は……どこだ? 

 長文ニキー! theの3ギルド全滅したって! 超課金ニキのところも! 残り何処ある!? 

 ……あ~魔術ギルド……でも全く見ないんだが……

 ま、中心に行かなきゃペナルティっぽいし最終的に辿り着いたらわかるだろ……

 そういうわけで中心の……なんか建ってるところ集合な」

 

 一息に伝言(メッセージ)で話し切った集会主は

 

「もうこんな集まったら隠密意味ねぇし突っ走るぞ!」

 

 真っ先に走り出す。

 

 走り出した集会主に釣られて周りの連合プレイヤーも一斉に移動し、敵と出会えば数の暴力で圧殺という何とも言えない成果を上げながら円の中心に到達する。

 

 たまに敵対プレイヤーと出会い、それによって全体も足を止めて観戦に回るので到達したころにはペナルティエリアが見渡せば見えるほどに近づいていた。

 

 その中心にあったのは荘厳なコロシアム。

 

 だが正面に掲げられた2ちゃん連合の垂れ幕が荘厳さを台無しにしていた。

 

「え? 連合以外もう居らんの? マジで!?」

 

 コロシアムに到達し、集会主が既にコロシアムでたむろっていたプレイヤーの一人に声を掛け現状を聞けば既に他のギルドや敵のプレイヤーは(エンブレム偽装などで潜伏している場合を除いて)もういないらしい。

 今は探知系盗賊職たちが隠れた敵はいないか見ているらしい。

 

「まぁ……メッセージ使えたら数多いと有利だからな……」

 

 そう零す長文ニキは少々肩透かしを食らったようだが、結局腰を落ち着けて周りの観察をし始めた。

 

 私も周囲を観察しながら狭まっていく円を見ること十数分、コロシアムから100メートルぐらいまで円は狭まっている。

 運営としてはコロシアムで戦いをさせたかったのだろう、最終円の中心もコロシアムとなっていた。

 

 最後の偵察が戻り、本当にエンブレムを付けたプレイヤーしかいないことが分かる。

 最終的にコロシアムに到達し生き残ったプレイヤーは50人未満だが、全員が2ちゃん連合だと考えればやはり、数の力の偉大さがよくわかる。

 

「マジか……つーか垂れ幕も持ち込めるって事実の方が驚きなんだが」

 

「ポーションの代わりに持ち込めたぞ」

 

「馬鹿がよお」

 

 集会主はいろいろと用意していたのか肩を落としながらも返答の切れ味は落ちていない、流石だ。

 

「まぁ、他に居ないっていうんならもう戦ってよくね?」

「それな」

 

 そんな言葉がメンバー達から零れ出したタイミングで集会主が一つの案を出した。

 

「あ~じゃあ最後に写真撮って、シャッターの音が鳴った瞬間に開始は?」

「ええんでね?」

「また2ちゃん連合が伝説を残してしまったのか……」

「伝説なんて作れてないんだよなぁ」

「さっさと写真撮れよ~」

 

「うるさいわ、ほな垂れ幕後ろに写真撮るからさっさと並べ!」

 

「カリカリしすぎやん、更年期か?」

「ハムスターってなんであんなかわいいんだろうな……」

「話飛び過ぎでは?」

 

 集会主の後をついていくように全員がコロシアムの外に出る。

 

 もうペナルティエリアは目の前だが何とか写真を撮ることぐらいはできるだろう。

 

(意外とこうやってワイワイするのも楽しかったな……

 って違ぁう! まだ終わってねぇよ! 緊張感は持っておかなければ)

 

 全員がいくつかの列になり写真機能を持つ魔術を発動したらしき魔法使いが「あと三秒~!」と声を上げ

 

「死ねぇ! 勝利はVIPのモンだぁ!」

「あっ! きったねぇ!!」

「裏切り者だ殺せ!」

「ふふふ、騙されていたとは知らずに愚かな事よ!」

「お前らほんとさぁ! 写真ぐらい撮れねぇのかよカス共がぁ!」

 

 ブチギレた集会主が剣を抜いた時にシャッターは鳴った。

 

 真面目に並んでいるプレイヤーと乱戦に巻き込まれたプレイヤーなどがごっちゃになった写真は。2ちゃん連合のwikiのホーム画面に飾られることになる最初の一枚だった。

 

 ちなみに私は戦いが始まってすぐに隠密スキルで身を隠し、同じく隠密スキルを発動させた長文ニキと観戦していた。

 

 *

 *

 *

 

「まさか盗賊職も最初に殆どpkされたから生き残った戦士職にずっと捕捉されなくなるとはな……」

 

「わかり味が深い」

 

「はぁ、まぁ折角ラスト二人になったんだし、俺も優勝狙うかね!」

 

「最初から狙って行け定期」

 

「そんな定期はない定期、じゃ行くぞ」

 

 隠密し、ばれたら即殺を繰り返して生き残った戦士職を首ちょんぱすれば、生き残りは既に私と長文ニキだけだったようだ。

 ちなみに集会主は最初の方で魔法使いの範囲攻撃に巻き込まれて死んだ。

 

 長文ニキの姿が掻き消える。

 本気の隠密だろう、アタッカーの私は見つけることなどできない。

 だが

 

肉切骨断(肉を切らせて、骨を断つ)

 

「やるやんけ」

 

 私は長文ニキの致命一撃でドット1ミリも無い状態にまで減少したHPを見向きもせず、長文ニキを断ち切った。

 攻撃の瞬間だけは確実にそこに居るのだから。

 見るからに効果を失うように光を失った指輪を隠す。

 12時間に一度だけHPがゼロになるダメージを受けても1だけ残して耐えるこの指輪は、連撃やドットダメージに弱く本当は全回復や一撃だけ攻撃威力8割カットなどの方が欲しかったのだが、無いものをねだっても仕方ないと持って行ったものだった。

 

 ***

 Congratulations! 

 

 You are survivor! 

 ***

 

 ***

 特殊クラス:ワールド・サバイバーの前提条件を満たしました。

 ***

 

 最後の長文ニキとの戦いはほぼ賭けだった。

 カウンタースキルの使用を考えたが完全に隠密特化なニキが対策をしていない訳が無い。

 だからこそ手動迎撃の選択に至った。

 

(早速クラスの確認と、最近根詰め過ぎてたからNPCいくつか作ろう……

 明日やるぞ明日!)

 

 私は喜びを噛み締めて、元居た場所へと帰還していった。

 

 

 ***

 

 

【ユグドラシル】質問スレ【part36】

 

321:名無しの電脳

 お、ゾンビネキ達、セラフィムとアインズ・ウール・ゴウンの戦場に到着したみたいやな

 

322:名無しの電脳

 なんでバレてないんやろ、隠密特化とか使ってるけどこっちには筒抜けみたいな? 

 

323:名無しの電脳

 まぁそうやろ、流石に隠密して写らんとかだったら中継の意味もなくなるし

 

324:名無しの電脳

 一撃必殺狙えそうかね? 

 

325:名無しの電脳

 相手レベル100のゴッズ装備だしかなり厳しそうだけど

 

326:名無しの電脳

 全くバレてないしかなり隠密レベル高そうやね

 

327:名無しの電脳

 ここで乱入者のエントリーだ! 

 

328:名無しの電脳

 めっちゃ狙われてて草

 

329:名無しの電脳

 は? なにこれ

 

330:名無しの電脳

 ウルベルトってプレイヤーのスキルみたいだけど威力えぐいな、属性不利のはずなのに一撃って

 

331:名無しの電脳

 巻き添えで死ぬ連合メンバー……

 

332:名無しの電脳

 しゃーない、レアスキル見れたことに喜べ

 

333:名無しの電脳

 お、仕掛けるか

 

334:名無しの電脳

 後ろ回ったのに気づかないってことはゾンビネキについて行ってるのめちゃくちゃ隠密特化のプレイヤーかな

 

335:名無しの電脳

 やったか!? 

 

336:名無しの電脳

 フラグ立てるな

 

337:名無しの電脳

 ダメでした。

 

338:名無しの電脳

 致命傷やろ

 なんでHP半分で済むねん

 

339:名無しの電脳

 ゲームですしお寿司

 

340:名無しの電脳

 糞中二悪魔が

 

341:名無しの電脳

 嫌われてんな、なにされたんや

 

342:名無しの電脳

 PKめっちゃするやつってのは知ってる

 

343:名無しの電脳

 長文ニキいたら解説してくれるんやけど今バトロワ参加中なんよな

 

344:名無しの電脳

 会話聞いてるとゾンビネキと一緒に居たのが長文ニキらしいで

 

345:名無しの電脳

 そマ? 

 

346:名無しの電脳

 隠密特化だからいろいろ情報持ってこれたのか

 

347:名無しの電脳

 なるへそ

 

348:名無しの電脳

 とか話してる間に全員時間魔法で拘束されましたと

 

349:名無しの電脳

 あ~あ、終わりか

 

350:名無しの電脳

 まぁどうせ有象無象だし有名ギルドには勝てへんわ

 

351:名無しの電脳

 ファッ!? 

 

352:名無しの電脳

 ウルベルトザマあああああwwwwwww

 

353:名無しの電脳

 長文ニキの入れ替え系スキルっぽい

 

354:名無しの電脳

 半減してたとはいえ一撃か

 

355:名無しの電脳

 ゾンビネキのスキル威力も異常に高くない? 

 

356:名無しの電脳

 発生もめっちゃ早いな

 

357:名無しの電脳

 スケルトンのやつ動揺したな

 

358:名無しの電脳

 クリティカル除いてもHP3割消し飛ばすんか、えぐいな

 

359:名無しの電脳

 はえ~あんなスキル見たことないんだが

 

360:名無しの電脳

 俺はどのカメラで使われてるスキルも観たことないよ

 

361:名無しの電脳

 こうやって見てると隠密系とか隠してた能力丸裸にされそうだけどどうなんやろ

 

362:名無しの電脳

 スキル名とかだけだと効果分からんしセーフ

 

363:名無しの電脳

 セーフか? 

 

364:名無しの電脳

 攻撃スキルの方がいろいろバレてヤバそうではある

 

365:名無しの電脳

 時間停止解けたか

 

366:名無しの電脳

 魔法使い消えてデバッファーいない状況でアタッカーだけならまぁ数多い方が勝つわな

 

367:名無しの電脳

 あの状況で入れる保険があったんですか!? 

 

368:名無しの電脳

 まさかの逆転、この李白の眼をもってしても読めなかった

 

369:名無しの電脳

 ゾンビネキと長文ニキの活躍すごいな

 

370:名無しの電脳

 普段プレイヤーまとめてる集会主ニキの事もほめてあげて……

 

 *

 *

 *

591:名無しの電脳

 言うことすら守れなくて全滅の危機ってマジ? 

 

592:名無しの電脳

 マジやぞ

 

593:名無しの電脳

 なんで隠密中にそんな事したんですか……? 

 

594:名無しの電脳

 集会主ニキのブチギレ様も分かる

 

595:名無しの電脳

 こんな会話しながらも押しとどめられてるのはすげぇ

 

596:名無しの電脳

 まぁ超位魔法後ろで唱えられてるんですけどね

 

597:名無しの電脳

 終わりやね

 

598:名無しの電脳

 >>595

 実際集会主ニキもPS自体は高いし

 

599:名無しの電脳

 尚ソロでアタッカー二人をすり抜けながら拘束魔法を妨害し続けるゾンビネキ

 

600:名無しの電脳

 攻撃大会の時からかなり上手くなったよな

 

601:名無しの電脳

 回避に関しても上手いぞ

 

602:名無しの電脳

 まぁ人数不利は覆せないんですがね

 

603:名無しの電脳

 盗賊職でも抜けないんか

 

604:名無しの電脳

 ああ……集会主ニキが……もう言葉すら……

 

605:名無しの電脳

 まさか援軍かよ

 

606:名無しの電脳

 幸運なのか不運なのか分からん

 

607:名無しの電脳

 不運は大体身内のミスから発生してるだけでは? 

 

608:名無しの電脳

 それはそう

 

609:名無しの電脳

 っていうかなんで場所分かったんだ? 

 

610:名無しの電脳

 それ

 

611:名無しの電脳

 めっちゃ来てんな

 

612:名無しの電脳

 そういえば同盟組んだはずなのにthe sonとthe holy spiritだけなんで居らんの? 

 

613:名無しの電脳

 the fatherの独断専行やぞ

 

614:名無しの電脳

 草

 

615:名無しの電脳

 なんでですか……? 

 

616:名無しの電脳

 ザ・父だけ探知使ってたから今のうちに他のtheギルドにぶつけて数減らそうとした説

 

617:名無しの電脳

 ありそう

 

618:名無しの電脳

 欲をかいた結果、自分たちより多くのプレイヤーに磨り潰されるなんて哀れだなぁ

 

619:名無しの電脳

 ええ……

 

620:名無しの電脳

 名無しの魔法職君マジ? 

 

621:名無しの電脳

 ガイジムーヴかましたのに発言内容が衝撃的過ぎてみんな黙っちゃうの草

 

622:名無しの電脳

 元からゾンビネキずっと黙ってない? 

 

623:名無しの電脳

 あの人はコミュ障だから……

 

624:名無しの電脳

 草、マジで伝言使えるのかよ

 

625:名無しの電脳

 運営君? 流石にこれば仕様外だよね? 

 

626:名無しの電脳

 仕様です(来年は禁止)

 

627:名無しの電脳

 やってきそう

 

628:名無しの電脳

 草、めっちゃ集まってくるじゃん

 

629:名無しの電脳

 おー続々と

 

630:名無しの電脳

 動きに統一感出たからか滅茶苦茶強いな

 

631:名無しの電脳

 破竹の勢いじゃないか我が軍は! 

 

632:名無しの電脳

 実際そう

 

633:名無しの電脳

 あれ? もう他で固まってるギルドとかクランなくね? 

 

634:名無しの電脳

 そマ? 

 

635:名無しの電脳

 マジじゃん、カメラに写ってる個人っぽい奴以外全員エンブレム付けてて草

 

636:名無しの電脳

 おいwwwwコロシアムにそんな垂れ幕掲げんなwwwwwwwww

 

637:名無しの電脳

 荘厳な雰囲気台無しで草

 

638:名無しの電脳

 やっと、合流終わったか

 

639:名無しの電脳

 ここから更にアタッカーとタンクを護衛につけた探知盗賊職がソロプレイヤーを狩り尽くすんですね

 

640:名無しの電脳

 やっぱり数はパワーだぜ! 

 

 *

 *

 *

670:名無しの電脳

 写真撮影のシャッター音で戦闘開始か、ええやん

 

671:名無しの電脳

 あと少しだったのに……

 

672:名無しの電脳

 >>671

 ドンマイ

 

673:名無しの電脳

 やっぱVIPのやつら隠れてやがった! 

 

674:名無しの電脳

 まぁだろうなと

 

675:名無しの電脳

 写真ごちゃごちゃしすぎて草

 

676:名無しの電脳

 集会主ニキブチギレwwww

 

677:名無しの電脳

 そこかしこで乱戦起きてんな

 

678:名無しの電脳

 つかの間の平和だった……

 

679:名無しの電脳

 ゾンビネキすごいな、殆ど一撃で殺害してないかこれ

 

680:名無しの電脳

 全部クリティカルってマジ? 

 

681:名無しの電脳

 装備枠滅茶苦茶圧迫されてそう

 

682:名無しの電脳

 クリティカル無効装備大会に向けて作ろうかな……

 

683:名無しの電脳

 クリティカル無効な異形種あるから是非

 

684:名無しの電脳

 ぬるりと沼を勧めるな

 

685:名無しの電脳

 クリティカル出てなくてもかなり威力高くなかった? 

 

686:名無しの電脳

 それはそう

 

687:名無しの電脳

 クリティカル無効化貫通装備とかゾンビネキ獲得したらどうなるんだろう

 

688:名無しの電脳

 貫通無効入れたらいいけどそれはそれで結局他の部分のリソース足りなくなるからなぁ

 

689:名無しの電脳

 ゾンビネキ見てる限りは行動阻害無効系は入れてるみたいだけど時間系はないっぽいね

 

690:名無しの電脳

 いや、father戦で放たれた時間停滞魔法を援護のバフなしで無効化してたぞ

 

691:名無しの電脳

 マジ? 見間違いじゃなくて? 

 

692:名無しの電脳

 マジやぞ

 

693:名無しの電脳

 じゃあ完全無効化まではいかない感じか

 

694:名無しの電脳

 実際完全無効化の要求ドロップアイテム多すぎ

 

695:名無しの電脳

 鉱石と貴金属も足りてないんですが

 

696:名無しの電脳

 集会主ニキwwww

 

697:名無しの電脳

 魔法職の一斉攻撃に巻き込まれるなんて……w

 

698:名無しの電脳

 最後のこのカス共がぁあああ! ってセリフが悪役の断末魔みたいでいいと思いました(小並感)

 

699:名無しの電脳

 生き残ったと思ったら即死したんだが

 

700:名無しの電脳

 おっつおっつ

 

701:名無しの電脳

 隠密? してたっぽいゾンビネキに首切られてたよ

 

702:名無しの電脳

 マジか……

 

703:名無しの電脳

 ラストは長文ニキとゾンビネキか

 

704:名無しの電脳

 長文ニキが本気出したのか……

 

705:名無しの電脳

 こっちには丸見えだからどんな状況なのか分からん

 

706:名無しの電脳

 はっや、目で追えた奴いる? 

 

707:名無しの電脳

 何とか

 

708:名無しの電脳

 何が起きた? 

 

709:名無しの電脳

 今北産業

 

710:名無しの電脳

 ユグドラシルバトルロイヤル最終戦ゾンビネキVS長文ニキ

 隠密特化とクリ殴りアタッカーで隠密特化の長文ニキが一撃に掛けて全力隠密の後に奇襲

 背中に長文ニキから攻撃を受けた瞬間ゾンビネキが反転して一閃

 

711:名無しの電脳

 マジで一瞬だったわ

 

712:名無しの電脳

 ゾンビネキも今の一閃は後隙めっちゃデカイっぽいけど

 

713:名無しの電脳

 ミリ残りで勝利かっけー

 

714:名無しの電脳

 まぁこれでユグドラシルバトルロイヤルの優勝者は正式に2ちゃん連合メンバーって胸張って言えるで! 

 

715:名無しの電脳

 なおギルド未所属

 

716:名無しの電脳

 最後はなんか話せてたけど

 

717:名無しの電脳

 ほぼ語録だったから多少はね

 

718:名無しの電脳

 肉を切らせて骨を断つってなんや

 

719:名無しの電脳

 ダメージ覚悟で相手にダメージ与えることやぞ

 

720:名無しの電脳

 ゾンビネキ優勝おめでとう! 

 




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