先行していたはずの私たちにアインズ・ウール・ゴウンが到達できたのは何故か、飛んでいる三本脚の鴉を見れば理解できる。
「
最短距離での強行、それは目の前に現れた六人程度のメンバーでは厳しいだろう、せめて体力が減っている筈だ。
だが
「損傷エフェクトが見えねぇ……
ってことは、長文ニキ! 人数は!?」
「隠密中やぞ……【
……最低13」
「多すぎぃ!」
「数でゴリ押しとかそれでも上位ギルドかよ!」
「俺ら数に関しては人のこと言えなくね?」
対するアインズ・ウール・ゴウン、こちらが隠れていたメンバーを看破したのに気付く。
既に私たちの6人パーティへ向け倍以上の人数で迫っていたアインズ・ウール・ゴウン、ここから覆すことは非常に難しいだろう。
バレたことを察知し隠密バフが切られたことで隠れていた複数人の姿が現れ、紛れていたたっち・みーが威勢よく声を上げる。
「問題なし、正面突破です!」
「ですよね~」
先手を打つのはアインズ・ウール・ゴウンのメンバー、たっち・みーの言葉にやるせなさの籠った言葉を返した集会主と私は、飛び交う魔法の隙間を縫って迫る。
隠密のお陰で魔法職から正確に狙われていない私に迫る弾幕が薄いが、その分の弾幕を集会主は一身に受ける。
集会主はその高密度な弾幕に対して無理やり体を押し込むように避けていく、やはり大会常連の名は伊達ではない。
「【気配縫い】」
そんな時、集会主を横目に薄い弾幕を避けながら後衛職へ迫っていた私へ投げられたのは苦無。
目の前に飛び込むように前転し、ギリギリで避けた私の足元に刺さると共に、私の隠密バフがすべて強制解除された。
バレていなかった隠密の看破、投げられた苦無の先にはニンジャ装束に身を包んだプレイヤー。
「弐式ィ!」
「隠密勝負は俺の勝ちってことで!
たっちさん!」
「ありがとうございます! 今度は勝ちますよ!」
たっち・みーは隠密が解除され、弐式を殺そうと飛び出した私の目の前へ移動系スキルを使用し一瞬で現れた。
手に握りしめ、既に堪えられないほどの光を発している魔封じの水晶、その封じられていた魔法が発動しながら。
たっち・みーを中心に広がった魔法陣と白い光は私のバフとデバフを両方消滅させ動きが一瞬鈍る、同時に視界がふさがれたことでたっち・みーの目前までの接近を許した。
が、スキルによって視界に深い赤に染まった剣だけが浮かび上がり
「【
「ッ! 【
初手で大技を放つたっち・みー、防御不可のワールドチャンピオンスキルに私は唯一防御可能な次元断層という数少ない防御スキルを使わされる。
既に視界は戻り、赤く見えていた刃が通常の純白の剣に戻る。
赤に染まった刃、それは新しく入手したクラス、
死乃淵渡Lv1スキル、死線読み
私が範囲内に入っている攻撃全てに赤いエフェクトを追加するその効果は、隠密系のスキル効果で隠されていない限りその濃淡によって確実に危険度を教えてくれる。
鬱陶しくなればオフにもできるのが非常に嬉しいところだ。
連合に対する大規模襲撃から約3年間、私に対する対策はほぼ完成していた。
基本初手でバフを素早く解除し、そこから高火力を叩き込む。
私もただ対策を練られていたわけではないが、やはり対策を取られているのは私の根幹をなしている部分だ。
入れ替えることは不可能だからこそプレイヤースキルの補助的な効果はありがたかった。
間を置かずたっち・みーは更に続けて唱える。
「【エインヘリヤル】、【聖誓】、【極聖撃】!」
バフを獲得し、出現させたエインヘリヤルと同時に放たれた大剣による振り下ろし、その刃の色は赤く染まりつつも致命傷を示す濃さではない、同時に受ければ大ダメージは避けられないだろうが……
私が選択したのは転移魔法による回避とカウンター。
課金ニキとの戦いで転移を使った近接戦闘の有用性を思い知った私は大金をはたいて【
たっち・みーの後ろに転移で飛び、次元切断を叩き込もうとするが。
「【
たっち・みーは読んでいたかのように次元断層を発動、更に上半身を捻り次元切断によって生まれた隙を見逃さず振り下ろしが叩き込まれる。
私も無理やり身体を逸らすが次元切断を止められた硬直で間に合わない、エインヘリヤルの攻撃は転移する前の場所に向かっているため1人分の攻撃だったがそれでも体力が4割減少する。
しかしそれ以上に私はミスを犯した。
(無理やり身体動かしたから死体酷使が発動しちゃったよ!
最近ミスって発動増えてないか!?)
最速ではない為スタミナ消費は低め、即時に倒れはしないがたっち・みーとの戦いで私だけに制限時間が追加されたことはかなりのデバフになる。
そんな私の絶望をつゆ知らず、アインズ側の後衛職から放たれた遠距離攻撃を後ろに下がって躱し、広範囲スキルでエインヘリヤルごと削ろうとして、視界の端に真紅の光を見た。
たっち・みーから少し視線を逸らした先、集会主がヘロヘロとぶくぶく茶釜に足止めされている奥、悪魔のアバターであるウルベルトから非常に濃い真紅の光が放たれている。
「ッウルベルト警戒!」
私の叫び声を聞くまでもなく集会主はウルベルトを見て後ろに反転、移動スキルで私たちの後ろでゴーレムを足止めしていたタンク職まで戻り始める。
私は転移の指輪を使用するか一瞬考えるが
(無理だ距離が足りねぇ! 絶対間に合わない!
そもそも頼みの綱だった防御スキルも切れてる……
どうする!?
死体酷使のバフ完全に使うか?
いやスタミナ回復中に猛攻来るだろ!
こっちの魔法職も妨害魔法出してるけど全部他メンバーにレジストされてるし!
詰んだか!?)
せめての足掻きで後ろからジリジリ距離を詰めてきていた味方タンクの後ろに入ろうとする。
「【
ウルベルトから私たちへの直線上に飛び出したのは全裸ネキの召喚したテイムモンスター。
壁となるように土の体を持ったエレメンタルが体を晒し、巨大な空色の鯨が大音量の鳴き声を上げてバフを撒き、青白い火の塊が巨大な結界を張った。
滑り込むように逃げていた集会主と私、後衛職を狙っていた長文ニキが結界の中に入り込めば
「【
ウルベルトから放たれる圧縮された呪詛、純然たる破壊エネルギーの渦が一瞬でアースエレメンタル、スカイフラッドホエールを巻き込み、結界がヒビ割れていく。
「お、合わせて追撃来てるわ」
「これもう駄目かもわからんね」
「殺し切るの無理だろうけどカウンター入れとく、看破頼むわ」
「りょ」
「俺も一応追撃準備するか」
集会主の言葉を最後に結界を包んでいた大災厄の呪詛が消滅、同時に長文ニキが看破スキルを発動、目の前にまで迫っていたたっち・みーに私は至刀:独閃を放つ。
お互い攻撃が入ったことで私の体力は最初にリジェネが解消されたのが響き残るところ2割弱、たっち・みーの体力は6割を保っていた。
長文ニキが片手剣でダメージに怯んだ隙を見逃さず切り上げるが盾に防がれる。
同時に一斉に迫るのはアインズ・ウール・ゴウンのメンバー。
「後ろのゴーレムもそろそろやばい!」
「これ以上は止められないんだが!?」
せめてたっち・みー以外は下がらせようと稀術:絶刀乱麻で周囲の広範囲にダメージをばら撒くが迫っていたぶくぶく茶釜らのタンクスキルによってダメージカットが入り止められない。
たっち・みーは集会主に盾を構えていたお陰で更に残り体力3割にまで減少するがたっち・みーを殺せたとしても残りのアインズ・ウール・ゴウンに押しつぶされる。
(もう駄目やな……)
そんな諦めの境地に至った時、アインズ・ウール・ゴウン達が入ってきた扉が開かれた。
「お・ま・た・せ」
「やっぱりアインズ居ましたわ〜!」
「サーチアンドデストロイ! サーチアンドデストロイ!」
「超ピンチやん、タイミングバッチリやな」
「げぇっ! アインズ・ウール・ゴウンじゃん」
「とりあえず殺して装備奪おうぜ」
「結構いるな、こんな大人数って珍しくない?」
「とりあえず回復投げとく」
現れたのは連合で見た顔ぶれと連合ではない上位ギルドメンバーがごっちゃになったプレイヤーの山、そこから投げられた指定回復で私と集会主の体力が全快した。
「なんだあのメスガキ!?」
「OJT様やぞ」
「クソデカ縦ロール絶対邪魔だろ」
「助かったわ、後ろの魔法職とタンク止めてくれ!」
コテハンOJT様を知らないタンクが場違いなドレスを着たお嬢様に驚くのを横目に私はスタミナを確認。
スタミナは残り僅か、このまま待機して回復するまで待つか、いやそれだとアインズ・ウール・ゴウンは逃げ出しているだろう。せめて一矢報いたい。
そんな思いに応えたように
ゴンッ! ゴゥンッ!
宇宙船自体が揺れた。
「むっ!」
「うおっ! 今度は何だよ!?」
たっち・みーが少し体勢を崩し、たたらを踏んだ隙。
最高のタイミング、至刀:陰惨を発動し、死体酷使もフル発動、トップスピードに乗った瞬間
ビキィッ!
体中に痺れと攣った様な激痛が走る。
その痛みを無視して無理やり体を動かした私はたっち・みーに突っ込むように体を投げ出し、至刀:独閃を放って……
意識が闇に飲まれた。
***
【ユグドラシル】質問スレ【part153】
860:名無しの電脳
そろそろ前線で戦ってた奴らも宇宙船に手が届くぐらいまで詰めれたな
861:名無しの電脳
そりゃ(他ワールドのプレイヤー集結したら)そうよ
862:名無しの電脳
めちゃくちゃ宇宙船取り囲んでんな
863:名無しの電脳
そこら中で小競り合い起きてて草
864:名無しの電脳
コテハン勢もう行った?
865:名無しの電脳
行ったぞ
866:名無しの電脳
お嬢様が上位ギルドと交渉してくれて助かったわ
お陰でスイスイ行けてる
867:名無しの電脳
やっぱ上位ギルドすげー
レアドロップ専門職とか居るしパーティのバランス完璧
868:名無しの電脳
パーティのバランス程度を揃えれてない連合がおかしいんだよなぁ
869:名無しの電脳
最初は鎧袖一触状態だったのによく纏めれたよな
870:名無しの電脳
ある種の才能持ちなんやろ
女かつ外縁民で体売らずに仕事できてる時点でやばいし
871:名無しの電脳
今日も肉体労働でした……
872:名無しの電脳
>>868
俺等のパーティーが弱いってそれ、弱すぎって意味だよな?
873:名無しの電脳
一人ひとりはある程度装備とレベルあるはずなのに偏りすぎてるから弱いぞ
874:名無しの電脳
うわっ……連合のバランス偏りすぎ……?
875:名無しの電脳
そうだぞ、じゃけんタンク職業に転向しましょうね〜
876:名無しの電脳
いやです
877:名無しの電脳
タンク職足遅いからレアアイテム争奪戦で負けるじゃん
878:名無しの電脳
コイツら自分のことしか考えてねぇ……
879:名無しの電脳
まぁ人数はいるし……
880:名無しの電脳
4000人ぐらい居るんだっけ?
881:名無しの電脳
それ最盛期な
今はもっと減ってるはず
882:名無しの電脳
定着率終わってるから結局今は2000人ぐらいしか残ってない
883:名無しの電脳
半分で草
884:名無しの電脳
ある程度進めたら面白いのに……
885:名無しの電脳
そのある程度までが苦行過ぎるし結局育っても装備ドロップは課金でしか防げないからレア装備奪われて萎えてやめるのもわかる
886:名無しの電脳
しかもガチャのレアだし
あれ装備できるのアーコロジー民ぐらいだろ
887:名無しの電脳
仕事で稼いでガチャで散財をずっと繰り返してるわ
888:名無しの電脳
っていうかみんな割と課金してるよな
そんな稼いでんの?
889:名無しの電脳
普通に食費削ってるだけやぞ
890:名無しの電脳
仕事で腕取れた慰謝料を課金しようと思ったらまさかの雀の涙で泣いた
891:名無しの電脳
可哀想
892:名無しの電脳
土木やレーン系の仕事の安全管理終わりすぎてる
893:名無しの電脳
安全確認ヨシッ!
894:名無しの電脳
何を見てヨシッ! って言ったんですか……?
895:名無しの電脳
慰謝料の額でしょ
896:名無しの電脳
腕取れたニキはどうやってプレイしてんの
897:名無しの電脳
あれじゃね?
システムアシスト
898:名無しの電脳
電気信号読み取ってるしなくても問題ないんじゃね?
899:890
そうそう、現実に帰ったらカタワだけどな
お陰で仕事も地質調査とかの遠征系になって死亡率爆上がりですよ神
900:名無しの電脳
神に祈っても今は変わらないんだよなぁ
901:名無しの電脳
神は死んだ(至言)
悲しいなぁ
902:名無しの電脳
俺等が殺したんやぞ
903:名無しの電脳
ってことは神殺しやん
ゴッドスレイヤーって名乗るわ
904:名無しの電脳
地質調査とは何ぞや
905:名無しの電脳
知らんのか?
906:名無しの電脳
まぁマイナーだけどな
死亡率一番高いし
907:名無しの電脳
地質調査(過去の土地の盗掘)
908:890
アーコロジー民の依頼で大昔の大都市とかの残骸を漁って目的の物探すのが仕事やな
見つかんないと給料でないからみんな必死よ
909:名無しの電脳
ひぇ~
910:名無しの電脳
話聞く限り只もの探すだけやん
なんで危険なの?
911:名無しの電脳
まともな整備もされていない土地プラス汚染地帯プラス大体地面に埋まってる=崩落の危険あり
912:890
まぁ見つけたら結構長期間休めるし
腕なくても雇ってくれるからありがたいわ
913:名無しの電脳
それめちゃくちゃ人手不足なだけでは?
914:名無しの電脳
そうとも言う
915:名無しの電脳
これ見てると小指と薬指飛んだ俺が幸運に思えてくるわ
916:名無しの電脳
どっちの指?
917:名無しの電脳
小指と薬指やぞ
918:名無しの電脳
どっちって指じゃなくて腕や
919:名無しの電脳
ああ左
920:名無しの電脳
結婚指輪つけれないじゃん可哀想
921:名無しの電脳
元から結婚できる見込みないしセーフ
922:名無しの電脳
セーフか?
923:名無しの電脳
子供も指数関数的に減ってるらしいっすね
924:名無しの電脳
ストリートチルドレン見ると可哀想になるけどどうすることもできねぇって自己嫌悪になる
925:名無しの電脳
わかる
孤児院とか経営されてるけどあれアーコロジー内だけなんだよな
926:名無しの電脳
孤児院までそもそも行けないから……
927:名無しの電脳
なんか暗い話ぶった切るようで悪いけどなんでクソデカロボット出てきてんの?
928:名無しの電脳
宇宙船から落ちて来たやつやぞ
めちゃくちゃでかいけどダメージとかどんな感じよ
929:名無しの電脳
くっそ痛い
ダメージも全然入らないしタゲ取って足止めが限界
930:名無しの電脳
ええ……マジか……
931:名無しの電脳
草、誰だよこの密集してるところに攻城ゴーレム召喚したの!
932:名無しの電脳
めっちゃ踏み潰されてるんだが
933:名無しの電脳
大・惨・事
934:名無しの電脳
っていうか宇宙船城判定になってるってこと?
935:名無しの電脳
多分そう
936:名無しの電脳
俺等戦う分野間違ってたのか……
937:名無しの電脳
攻城戦も侵入して占拠すればいいしそこまで間違ってないでしょ
938:名無しの電脳
とりあえず攻城ゴーレムの近くにいると巻き込まれるし早くクソデカロボットを攻城ゴーレムまで誘導して
939:名無しの電脳
こっちもやってるけどプレイヤー多すぎてタゲ分散しまくってんだよ!
タンクは勝手に挑発使うなマジで!
940:名無しの電脳
とりあえず誘導するやつ以外引くか
941:名無しの電脳
これもう攻城ゴーレムから行ったほうが速そう
942:名無しの電脳
邪魔なやつは踏み潰していけ
943:名無しの電脳
戦い始まったけど結局誰が持ってきて起動したの?
944:名無しの電脳
連合プレイヤーやぞ
945:名無しの電脳
また俺らか……
946:名無しの電脳
絶対また色々言われるし集会主がキレるだろ
947:名無しの電脳
他ギルドの言うことなんか気にするな!
948:名無しの電脳
少しは気にしろ
949:名無しの電脳
まぁロボット壊せばほかプレイヤーの利にもなるしセーフ
950:名無しの電脳
セーフか? (足元で踏みつぶされるプレイヤー)
951:名無しの電脳
攻城ゴーレムつええええ!
このまま立ちふさがるやつ全部ぶっ殺していこうぜ!
952:名無しの電脳
意外とあっさりやな、胸貫いたら死んだし搭乗できる説ない?
っていうかゴーレムそのまま残ってるし攻城ゴーレムに新しいレパートリー来た感じ?
953:名無しの電脳
とりあえず城攻めなら城攻撃しとくわ
954:名無しの電脳
めっちゃ揺れてて草
955:名無しの電脳
その攻撃してる城の中に集会主達と上位ギルドメンバー詰まってるんですが
956:名無しの電脳
城壊せば攻城戦が終わるようにした運営が悪い
957:名無しの電脳
また運営かよ
958:名無しの電脳
実際今なかどうなってるんやろ
959:名無しの電脳
スレにコテハン居ないってことは結構難易度高め説
いつも感想評価誤字報告ありがとうございます!