湖を割って出た巨体、最初に見つけていた長文ニキが即座に情報を提供する。
「物理攻撃特化の攻城ゴーレム。
防御耐性も高いし動き遅いけどデカいから巻き込まれたら即死やろな。
弱点は……「中心の赤い亀裂やろ!」
ドンッと、言い終わる前に構えていた銃剣から放たれた弾丸は攻城ゴーレム、ガルガンチュアのHPを揺らす。
レイドで使用されるだけはあり非常に硬いそのHPをたった一撃で揺るがした威力の高さに驚くが、次の瞬間には一斉に遠距離攻撃がガルガンチュアへ襲いかかった。
対するガルガンチュアが腕で胸部分を守りながら踏み出した一歩、足元でワーワー騒いでいたプレイヤーが踏み潰され死亡する。
「……なんで足元にいるの???」
「遠距離攻撃ケチってんだろ、それで死んでたら世話無いわ」
「今のでタダでさえ少ない2chギルドメンバーが何人か死んだっぽいんですが……」
「攻城ゴーレムには攻城ゴーレムだろ、誰か呼べよ」
「流石に屋内で攻城ゴーレム出てくるのは予想外だったわ」
「……もしかして誰も呼び出し出来ないの?」
「室内戦に攻城ゴーレム呼び出すアイテム持ってくる方がバカ定期」
「そんな定期は無い定期」
集会主は呆れながらも銃撃する手を止めず、ガルガンチュアの腕から小さくはみ出した亀裂を正確に撃ち抜く。
ガルガンチュアが腕を盾にしてるとは言え周囲を取り囲むように移動したプレイヤー集団からすればデカい的、亀裂部分が弱点というだけで他の部分にも攻撃は通る。
攻城ゴーレムであるガルガンチュアはハエを追い払うかのように腕を振り抜き足を踏み鳴らすが、千名以上のプレイヤーを未だ保っている大規模連合の飽和攻撃により即刻停止した。
「……警戒無駄だったな……」
「絶対来ると思ったんだが」
「分断できなかったら数で押しつぶされるってよく理解してるわ」
「シュパシュパ転移で現れるのウザすぎる、ほぼラグ無しでギルメン全員可能ってやばくね?」
「多分ギルド内且つ特定の場所みたいな制限はあるでしょ」
奇襲を警戒していた何名かが隠密を解く、私は特にやることもなく早めに終わった事実に驚きながらも「まぁ、ここまで人数いればそうなるわな……」と一人納得していた。
「じゃあ一応足元で遊んでたバカども蘇生するか。
ヒーラーは?」
一息つける程度に落ち着き、周囲でも死亡した仲間を蘇生し始めたことで集会主がヒーラーを呼びかける。
だが、誰も出て来ない。
「……蘇生使えるやつ誰も居ないの?」
「いや、ヒーラーは居るでしょ」
「攻略中も蘇生してくれたしな」
「スクロールだけならあるわ」
「使い道のないスクロールを……? 妙だな……」
「そういえば完全蘇生のスクロール使ってたの一人だけだったような希ガス」
「盗賊職の条件無視スクロール使用スキル誰か使えよ」
「取って)ないです」
「条件無視系のジョブ弱いじゃん
尖らせても結局メンバー万全なら意味ないし」
「死んだんじゃないの〜?」
現れないヒーラーに動揺が広がり、参加メンバー全員のジョブを知っていた長文ニキの言葉で決定的なものとなった。
「残ってた死体確認した、死んだやつ蘇生使えるヒーラーで確定だわ」
「なんで後衛職のヒーラーが前線出てんだよ!?
馬鹿過ぎるだろ!
そもそもヒーラー一人ってどういう事!?」
「あのクソデカノロノロゴーレムくんに舐めプして死んだってこと!?」
「情報ゼロの上位ギルド第四層でヒーラー無し……終わった……」
「他の連合ギルドからヒーラー借りてこいよ」
「そもそも終わったら襲撃かけようって喧伝してるようなギルドの手助けするわけ無いやん」
「AOGへの恨みでなんとか共同戦線張ってるだけだからな……
やってること俺らもAOGもほぼ変わらんし」
「めちゃくちゃ無様に負けて溜飲を下げるという高等テクニック使ってるかどうかの差やぞ」
「どうすんだよこれ……」
「……無理やり蘇生するか……
拠点帰ればレベルダウン無効化の蘇生使わせてもらおう」
唸っていても解決策は浮かばない、集会主は蘇生のワンドを取り出した……
*
*
*
「まぁ完全蘇生は使えるけど、レベルダウンで最上位職のスキルいくつかは使えなくなってる
集会主もせめてメンバーバランス考えて集めたりとかしとけよ」
蘇生されたのは金髪の、清楚なシスター服を着たプレイヤー。
蘇生して開口一番に放たれた名指しの文句に苛つきを隠せないのは集会主だ。
「元々はちょっとゾンビネキ手伝う程度の気持ちだったんだよ!
俺だって手伝ってくれたら良いな程度で募集したんや、そこまで求めてない!
ただ余計なことすんなや……!」
「蘇生してもらっといてその言い草は面の皮厚すぎ」
「ヒーラーじゃなかったらここでPKしてたわ」
「口悪すぎだろ」
「でも殺せないんでしょ?
ザッコwwwww」
「なんだコイツ無敵か?」
「いつものヒーラーニキ今からでも呼ぼうぜ」
「4階層も突破して来てもらうのは無理過ぎる」
取り敢えず蘇生したヒーラーが死んでいたプレイヤーを完全蘇生のスクロールで蘇生し、何人かの盗賊職が周囲の探索へ向かっていった。
少しの時間が経ち、空中に花火のような信号が見えた。
盗賊職達が何かを発見したようだ。
2ch連合メンバーの蘇生は終わっていたのでゾロゾロと信号が放たれた場所に到着し、見たのは。
「すっげぇ同人誌で見覚えあるんだけど……」
「これは……どう見てもエロ触手です。
本当にありがとうございました」
「触手とかキモいだけじゃん」
「触手は一般性癖だぞ」
「は?」
「お?」
「レベルあるしNPCっぽいけど雑魚だな……なんで作ったんだ?」
「性癖やろなぁ」
巨大な洞穴にびっしりと蠢く触手たち、観察しているその中へ真っ先に突っ込んで行くのは2ch連合のメンバーだ。
「おお! どう!? 今めっちゃワイエロ同人みたいになってない?」
「神官がエロ触手に……アリだな」
「写真撮って大丈夫?
これ結構際どくない?」
「AOG問題なく運用できてるんだし平気やろ」
「ダメだったら君がBANされるだけや」
「こんなことでBANされたくねぇ〜末代まで恥だろ」
「君が末代やから問題はない」
「あっやばい毒かかった死ぬ」
「ワイもCC入って動けんわ
集会主助けてクレメンス」
そんな好き勝手をする仲間を見て死にそうなプレイヤーから助けを求められた集会主は吠える。
「俺言ったよね!?
余計なことすんなってさぁ!
なんなんだよお前らッ!?」
でもその後しっかり助けたのは面倒見の良さがにじみ出てると思った私だった。
*
*
*
その後、第5階層まで到達。
だがそこは正直、吹雪で何も見えねぇ状態になっていた。
話を聞けば予想外に状態異常対策をしていなかった攻略連合プレイヤーが百単位で死亡したり、ホワイト・アウトするほどの吹雪で視界を妨害されながら転移で奇襲をかけられたりもしていたらしい。
が、大量の盗賊職によるスキルで奇襲を探知していたからこそ連合メンバーがこれ以上死ぬのは回避ができたそうだ。
そして、目玉ともいえる階層守護者、コキュートスは……
「攻撃力は高かったけどNPCだったからね……」
「無敵もあったけどやっぱNPCに取らせるもんじゃないわ」
「ゾンビネキとのサムライバトル始まったかと思ったらほぼ一瞬で決着したしな……」
「NPCほぼゾンビネキが倒してるよな、やっぱ装備ドロ美味いのかね」
「肉体武装は弱いってはっきり分かんだね」
「全裸って聞いたから期待したのに……虫じゃん!」
「その分武器はゴッズだっただろ!」
「NPCにゴッズ装備なんて上位ぐらいしかやってないのによくやるわ」
「大体プレイヤーの方が有効に使えるし殺されたらドロップするの変わらんっていうのがクソ過ぎる」
「つまりゴッズをNPCに装備させてる2ch連合も上位ギルドってことだな」
「一部だけやぞ」
「次は美少女NPCがええな」
「色々見てたら拷問部屋とかもあったしガチなロープレ勢なんやなって」
「なんでロープレメインギルドなのにあんなに強いんですかね?」
「”謎”や」
まぁ硬いという訳でもなくNPCだったので攻撃が鋭いわけでもない、苦戦はしなかった。
面倒だったデバフ地帯を突破して口が軽くなった面々が好き勝手に感想を話し合いながら、第六階層への転移門を起動し皆が続々と門へ入っていく。
そんな転移門へ、私も警戒しつつ通り過ぎ……
飛んだ先の通路を出て、第6階層に到達したプレイヤーの会話はいつの間にか途切れていた。
現実で見たこともないようなその自然と美しい星々が光る夜空にその一瞬、全員が魅了されたのだ。
「……すっげぇ」
「綺麗だな……」
多くのメンバーから、そんな言葉が誰に向けるでもなく、ふと口をついて出ていた。
だが
ドドドッ! と聞こえるのは大量に重なった足音。
「ヤバイ、囲まれてる」
長文ニキの言葉で周りを見た一人のギルドメンバーが口を開く。
「神獣までいんのかよ……!」
闘技場のような建築から出てきている私たちを取り囲むように集まっている大量の高レベルモンスター。
「ここからが本気ってことか?」
集会主の言葉が終わると同時、まだプレイヤー全員が集結できていない第六層で、私たちにモンスターが一斉に襲いかかった。
***
【ユグドラシル】質問スレ【part159】
900:名無しの電脳
うーん可愛くない……
901:名無しの電脳
パット見エロ同人のワンシーンに見えないこともないんだけど中身がね
902:名無しの電脳
なんでや!
中身は俺らでもアバターは可愛いやろ!
903:名無しの電脳
中身がゴミだとガワまでゴミに見えてくる不思議
というか動きにおっさんが滲み出てる
904:性癖爆盛
ワイはイケルで
905:名無しの電脳
異形種になっちゃったんだが……
どうにかして戻せない?
ギルド追放されそう
906:名無しの電脳
それはお前の性癖が特殊すぎるだけ定期
907:名無しの電脳
>>905
無理
908:名無しの電脳
>>905
やっちまったな
909:名無しの電脳
垢消しして一から再プレイ頑張るんやで
910:名無しの電脳
>>905
なんで種族変えたの?
911:名無しの電脳
↑これ
ある程度プレイしてたら異形種のデメリット分かるだろ
912:名無しの電脳
最近は異形種狩り減ったとはいえ無くなったわけじゃないし
913:名無しの電脳
人間種お断りのギルドは少ないのに異形種お断りはまだ山ほどあるという
この差よ
914:905
新要素の自動人形になってみたくて……
915:名無しの電脳
新要素触ってみたいのはわかる
でもやっぱりデメリットデカすぎるっていうのもわかるでしょ
916:名無しの電脳
新要素なのにゲームシステムのせいでくっそ触りにくいのなんとかしろよクソ運営
917:名無しの電脳
仕様やぞ
諦メロン
918:名無しの電脳
諦めろんとか久しぶりに見たわ
919:名無しの電脳
そういえば果物
料理系で果物必須の高倍率バフ料理見つかって高騰してましたね
920:名無しの電脳
いつもの
921:名無しの電脳
毎回思うけど発覚→高騰までの流れが早すぎる
922:名無しの電脳
高騰制限ないのほんとバカ
923:905
やっぱり戻れませんか……
ギルド追放されたらヤバイですよね……異形種ですし
924:名無しの電脳
ヤバイぞ
925:名無しの電脳
話逸れてたな
ちなみに異形種から人間種に戻る方法はあるぞ
926:905
ホントですか!?
927:名無しの電脳
うーんこの
928:名無しの電脳
期待させられて……哀れ
929:名無しの電脳
ま、消費型ワールドアイテムなんですけどね〜
930:名無しの電脳
カス過ぎる
931:905
ちなみに誰が持ってたりとかは……
932:名無しの電脳
ゾンビネキ
933:905
あのなに考えてるか分からない人か……
終わった……
934:名無しの電脳
元から終わってたぞ
935:名無しの電脳
ワールドアイテム使うほどのモンやないやろ
諦めてアカウント作り直せ
936:名無しの電脳
諸行無常やね
937:名無しの電脳
ゾンビネキ割とわかりやすくない?
938:名無しの電脳
よく連合で遊ぶしな
939:名無しの電脳
アバターも作ってくれる良い人やぞ
940:名無しの電脳
なおそこ以外ではAOGぐらいしか繋がりがない模様
941:名無しの電脳
PK特化だし怖いのはわかる
942:905
なんとかギルド追放されても大丈夫みたいには……なりません?
943:名無しの電脳
異形種でソロは鴨やぞ
944:名無しの電脳
大人しく大手異形種ギルド入っとけ
若しくは異形種でも大丈夫なギルド
945:名無しの電脳
例えば2ch連合とか!
946:名無しの電脳
オイデ……オイデ……タノシイヨ……
947:905
すいません
2ch連合はちょっと……
948:名無しの電脳
ちょっと……?
949:名無しの電脳
ちょっとってなんだよ
まるで俺らがPK御用達ギルドだから異形種入れても問題ないみたいな言い草だな
950:名無しの電脳
実際そうだろ
普通はPKペナルティあるのにギルメン一人がペナルティなかったら狙われるし一緒に行動してついでに装備奪われる危険性も上がるじゃん
951:名無しの電脳
PKペナルティにビビるようなプレイヤーが一緒に行動してる人間種プレイヤーまで攻撃するか?
952:名無しの電脳
一人ぐらいならペナルティ緩いしええやろの精神やぞ
953:名無しの電脳
狙われやすいから結局人間だけでパーティ組んだほうが安全というね
954:名無しの電脳
そして2ちゃんギルドはほとんどのギルメンがPKしたりされたりしたりでペナルティいつも最大だもんな
955:名無しの電脳
盗賊じゃないと街に入れないの泣けるわ
まるで俺等が悪者みたいな扱い
956:名無しの電脳
否定はできないだろ
957:名無しの電脳
話逸れたけど異形種になって狙われるのはもう変えられない未来なので恨まれたくないなら大人しく異形種ギルドに入っとけ
958:名無しの電脳
まぁそこらへんが安牌よな
959:905
ありがとうございます!
異形種ギルド探してきます!
960:名無しの電脳
ええ子やな
でも2ch連合嫌いなのに掲示板で聞くのか……
961:名無しの電脳
まぁ質問スレは治安良い方だし
962:名無しの電脳
せやな
963:名無しの電脳
良いと言うより他が終わってるだけだろ
964:名無しの電脳
誰もAOGのせいで異形種ギルドは白い目で見られてること教えてあげてないの草
965:名無しの電脳
質問スレのコテハンほぼ連合の本拠点メンバーってこと知らなかったんやろな
966:名無しの電脳
wikiに載せてるのに……
967:名無しの電脳
載ってるじゃなくて載せてるんだ……
これ利敵行為だろ
968:名無しの電脳
掲示板見れば大体わかるからセーフ
969:名無しの電脳
そもそもユグドラシルでwiki見るやつなんて居ないだろ
居たとしたら情弱過ぎる
970:名無しの電脳
最近は課金必須wikiまであるしなぁ
チラ見したけど他ギルドの内部情報は面白かった
971:名無しの電脳
あんなのに金払ってんじゃねぇよ!
972:名無しの電脳
2ch連合はなんて書いてあった?
973:課金した名無し
入ったらみんな知れることと本拠点の若干のマッピング
あと完全蘇生ヒーラーのユーザーネームと容姿
974:名無しの電脳
めっちゃヒーラーニキ狙われてて草はえる
975:名無しの電脳
ニキのお陰でランキング上位入ってないのに上位連合撃退できた部分あるし
976:名無しの電脳
ぶっ壊れよなアレも
977:名無しの電脳
まぁヒーラーニキほとんどのそのワールドアイテム持ってないし大丈夫やろ
978:名無しの電脳
マッピングはええんか?
979:名無しの電脳
マッピングなぁ
盗賊職多いからみんな好き勝手に罠設置するしマッピング防止のアイテム山ほどあるしで深部行くのは無理やろ
980:名無しの電脳
勝手に置くし隠蔽アイテムとか謎に使われるせいで内部ぐちゃぐちゃやもん
そんでくっそ広いやん?
無理でしょ
981:名無しの電脳
ギルド所属してる奴らさえ浅い層チャプチャプやってるだけだもんな
982:名無しの電脳
集会主も最近は重要な場所以外覚えてないって言ってたわ
983:課金した名無し
ギルドマスターがそれでええんか?
984:名無しの電脳
長文ニキが覚えてるやろの精神やぞ
985:名無しの電脳
他のギルドとかは?
AOGとか攻略中だから有用な情報あったらええやん
986:課金した名無し
AOGに関してはマジで何の情報もない
987:名無しの電脳
ゴミじゃん
988:名無しの電脳
解散
989:名無しの電脳
面白かった情報って他には?
990:課金した名無し
上位ギルドの8割談合してたっていう話
あと発見してる優良狩場情報
991:名無しの電脳
集合
992:名無しの電脳
優良狩場is何処
993:名無しの電脳
課金してるし教えてくれんやろ
994:名無しの電脳
そろそろ1000やん次スレ立てとくわ
995:名無しの電脳
サンガツ
996:課金した名無し
普通に優良狩り場に行くまでの道は上位ギルドが張ってるらしい場所だったり占拠してる場所だから行けないぞ
997:名無しの電脳
ゴミじゃん
998:名無しの電脳
談合についてはええんか?
999:名無しの電脳
まぁやってるだろうなって
1000:名無しの電脳
みんな薄々気づいてたよ
いつも感想評価誤字報告ありがとうございます!