ソロプレイヤー、ナザリックに挑む   作:No_46

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油断大敵

「【滅尽の吐息】!」

 

 視界を隙間なく覆い尽くす広範囲へ放たれたブレス、意思を交わす間もなく一瞬で私たちの目前へ迫る。

 

 だが、ワールドチャンピオンたちの行動は一致していた。

 

「【次元断層(ワールド・ディスロケーション)】」

 

 まさに異口同音、8人全員が同時に発動したのはワールドチャンピオン職の絶対防御スキル。

 

 直前まで仲間割れをしていたと思えないほどの息の合った行動は、ユグドラシルの最上位層として活躍してきた経験から来るものだった。

 

 事前情報が無い手探りの状態から勝ちの目を見出さなければならない、理不尽な難易度を誇るユグドラシルにてその行動を積み上げ、最前線で攻略する。

 そんな彼らにとってブルースが言及したワールドアイテム特有の防御貫通効果など値千金の価値。

 更に言えば9人しか到達できないワールドチャンピオン職の仕様など真っ先に解析し尽くす対象だった。

 その過程で発見された【次元断層】の、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は全員が知っている。

 

 だからこその同時発動。

 

 私の正面に空間のズレが発生し、竜帝のブレスを水の様に分けて背後へ流していく。

 

(なんかやばそうな攻撃だったからな……

 あんな赤色見たことなかったし……防御できてよかった。

 どうすっかな……魔法使えないからワールドアイテム使ったって言ってたし……魔法無効空間を何とかしたのか? 

 ブレスが止まったら試しに転移指輪の速攻かけてみる? 

 いや距離足りねぇわ……)

 

 数秒は持つ鉄壁の壁が無事に効果を発揮、安心した私は次の手について思案を巡らす。

 

【次元断層】の強み、防御に【特異開眼】で遠距離攻撃を逸らさなかった理由。

 武器や防具を掲げる必要もなく、ただスキルを発動するだけでシールドが発生する仕様は近接職との相性が抜群に良かった。

 なんせ盾や武器で防御する必要が無いのだから、盾を出してもすぐに反撃へ転じることができる。

 

 反撃の目途を立てていれば、ブレスが途切れた。

 ブレスを放った竜帝は口元が大きく爛れ、炭化している部位も見える。

 

 ボロボロに変化した竜の顔面、それでもなお理解できるほど、竜帝は驚愕の表情を見せていた。

 

「なんか魔法の使い方が分かるんだが、これ電脳法違反じゃないのか?」

 

「狂いました? 

 そんな技術あればユグドラシルなんてクソゲー作るわけないって考えないんです?」

 

「いやマジでわかるんだけどwwwww

 技術の発展すごすぎwwwww

 ⋯引き抜きたいな」

 

 軽口をかわすのはおねロリすにブルースとクーベラ。

 ざっと周囲を見れば、斬撃で切り飛ばされたタヌキもいつの間にか蘇生していた。

 

「ワールドアイテムのみ抵抗可能はキツイな。

 蘇生が自動っぽいのだけは救いだが」

 

 タヌキの言葉に私は内心、プレイヤーの蘇生情報を入手でき、蘇生可能な事実に安心する。

 

(原作だとプレイヤーが死んだらどうなるか、明確には分かって無かったし⋯蘇生を受け入れる意志が必要なんだっけ?)

 

「でも結構減ってるぞ。

 残りHP一割弱ってところか」

 

「なら余裕やろ、突っ込むから援護よろ。

【稀術:影遁隠匿】」

 

 長文ニキからもたらされた残り少ないHP情報、私は援護を頼み、走り出すと同時に隠密スキルを発動。

 

 更に身に着けていた指輪型アーティファクトを使用して低レベルの敵対悪魔種を召喚し殺害、スキル【真髄:禍福倚伏】によって隠密を最大まで上げる。

 長文ニキならば特化職でもない私の隠密などパッシブの看破スキルで援護できるだろうと判断した。

 

 私以外も何人かは残り一割と聞いて出し惜しみしていたスキルでも発動したのかエフェクトを纏い始めている。

 

 未だ生きている私たちが各々行動を開始したのを見て、竜帝は更に魔法を発動しようと口を開きかけるが、逡巡。

 

「ちゃんと魔法使えるな。

現断(リアリティ・スラッシュ)】」

 

 一瞬の隙をついたのは魔法職特化のおねロリす。

 転移魔法で背後を取り放った攻撃に竜帝はまたしても口を開き、私はまた転移するのかと転移しそうな先に意識を向けた。

 

 しかし私の予想に反して唱えられたのは転移の魔法ではなく。

 

「【瞬間加速】」

 

 移動速度上昇の魔法。

 加速した竜帝の体は無理やり攻撃を躱そうとする。

 それでも躱し切れず、右前肢に攻撃が掠り、傷は深くないものの身に着けていた装飾品が周囲に散らばった。

 

「ありゃ、転移しないなら次元断切使っておけば良かった」

 

 疑問を零しながらも追撃しようと【飛行(フライ)】を発動したおねロリす。

 対して竜帝は翼を広げ魔法を唱える。

 

「【暴風乱破】!」

 

 翼を包むように風が纏われる。

 ゴオッと竜帝が翼を羽ばたかせれば、周囲には暴風が吹き荒れ、同時に巻き上げられた砂や瓦礫で視界を塞ぎながらダメージも入れてくる。

 自身を中心とした無差別攻撃。

 

「【完全接続(パーフェクト・リンク)】【霧中通視】」

「【次元断切(ワールド・ブレイク)】!」

 

 だが既に攻撃圏内だ。

 

【死角覚知】スキルによって大まかな位置しか分からなかった現状から長文ニキの援護によって視界が拓けると同時に、私はスキルを放つ。

 

 暴風の中から放たれた斬撃に驚きながらも私たちのことを見えてはいないのか、竜帝は翼から発動させていた暴風をさらに強めて飛び上がった。

 

(攻撃見てから回避って……隠密状態は攻撃エフェクトも隠れると思ったんだが。

 いや、まき散らしてた瓦礫ごと切ったからバレたっぽいな。

 ゲーム時代だとそこまでリアリティなかったし……)

 

 見えないのだから当たるだろうと放ったワールドチャンピオンの最終スキル。

 それを躱された私は追撃をしようと考えるも、離れられては相手のテリトリー、一旦後ろに下がって出方を見る。

 

「ええい鬱陶しい! 【星天凋rッ!」

 

 急上昇によって攻撃を躱し、そのまま上空に逃げ反撃しようと魔法を唱える直前、空中の一定位置で背中に数多の爆撃が重なり、傷つきはしなかったものの衝撃で魔法が中断された。

 

「ちょwwww裏ボスなのに詠唱失敗wwwww」

 

 仕掛け人は空中に【飛行(フライ)】で飛んでいたクーベラ、笑いながらも正確な魔法操作で水と雷系の魔術を放ち続けている。

 ゲーム内では特にヘイト値の蓄積が高い頭部へ連続して攻撃された竜帝は、意識を完全に逸らされてしまった。

 

「【次元断切(ワールド・ブレイク)】」

「【城塞鋼鱗】!」

 

 その隙を突き、大剣を振るったのは摩利支店長。

 いきなり現れたその姿に隠密でもしていたのかと予想するが、背後にはおねロリすの姿があった、転移したのだろう。

 

 反撃を警戒したのかクーベラを含めた三人は再度転移して姿を消す。

 遺された竜帝は予想外の一撃を避けきれないと判断したのか、呪文を唱え尻尾を盾とした。

 

 ズバンッと重い斬撃音が鳴り響き、元の4分の一ほどに切り落とされた尻尾から勢いよく血が吹き上がるが、尻尾を代償としたおかげか竜帝の致命傷にはなっていない。

 

「おー切り落とせるんだ。

 やっぱ次元断切なら通る?」

 

「転移対策してないんだな、まぁワールドアイテム使ったんだからそれぐらいやってもらわないと困るが」

 

「慢心乙wwwwww」

 

「まだ一撃入っただけですから油断大敵ですよ。

 ホリックさん、残り体力は?」

 

「減ってるけど……裏ボスらしくまだ残ってるな、この調子だと次元断切が5回は要るぞ。

 ただ転移はHP消費重いから温存し始めたっぽい、というかさっきのブレスが一番HP消費大きかったわ、俺らが与えたダメージよりも消費したHPの方が多いし」

 

「本当に運営の作ったAIか? 

 アイツらならもっと性格の悪いタイプ作ると思うけどな」

 

 おねロリす、摩利支店長、クーベラが駄弁りながらもブルースが締め、長文ニキに疑問を飛ばせば返ってきたのは想像以上に高いHP残量と転移に関する情報。

 会話を交わしながらも誰一人、竜帝から視線を外す者は居なかった。

 

 視線の先の竜帝は入れ替わったタヌキと木こりが前線で舞い、注意を引きつけていたからだ。

 攻撃を捨て、何らかの魔法が発動されようとも避けられる距離を維持しつつ、先程は直撃を受け即死した前例から、ギリギリを避け、攻撃を弾く2人に対して龍帝は手をこまねいている。

 尻尾の出血自体は比較的早く止まっているが、切り落とされた分の長さは戻らなかったおかげだろう。

 

 尻尾の縦横無尽な動きがなくなったことでタンクに近い動きが可能な二人はその真価を万全に発揮していた。

 

 竜帝の動きを観察しながら、摩利支店長が零した運営製の性格が悪いAIじゃないという言葉に内心(運営製じゃないからな)と考えていればブルースは最後に、と前置きをする。

 

「ホリックさん、転移分のHPが無くなったら教えて貰えます?」

 

「了解」

 

 それぞれが各々の役割について話している中、私は会話に参加できない疎外感を少し感じたが。

 

(あ、そういえば私まだ隠密状態だった……

 最低位でも召喚は一時間一回だからなぁ……再使用するのも面倒だし)

 

「じゃあゾンビネキはいい感じのところでスキル使って」

 

「……私の指示雑じゃね?」

 

「仕方ねぇだろ全員いきなり集められたせいで詳しいクラスも知らないんだから」

 

 高位の看破持ちじゃなければ姿が見えないんだから会話も糞もねぇわ、と気付いたところで長文ニキから次の動きについて指示を受ける。

 

 同時に私たちが動こうとしたのを察知したのか、竜帝の口に赤い炎が貯まっているのを炭化した牙の隙間から見てとれた。

 

 ゴウッ! とまたしても勢いよく放たれるブレス。

【死線読み】から感じられる危険度は、まぁまぁ濃い赤であり、最初のブレスより遅く、また上の空間に余裕があった。

 

(さっきよりダメージが低い、燃費を気にし始めたのか?)

 

 先の真っ赤に染まっていたブレスと大きく違うことに戸惑うが、今度は事前の動きを察知していたためか全員が飛び上がり回避に成功する。

 それが竜帝の狙いだった。

 

「【神経空感】【超重力】」

 

 ブレスを切り上げた竜帝が即座に呪文を唱え、私と摩利支店長以外の全員が勢いよく未だ滞留していたブレスへ叩き落される。

 

 分断された、そう私が理解した時には眼前に竜帝が迫っている。

 隠密によって見えないはずの私を見分けたことに驚愕しつつ、殆ど反射的にカウンターを狙い納刀状態の刀を構えた。

 落ちた6人を確認する暇はない、接近してきた竜帝は魔法を唱え、口から渦巻いた水流を吐き出す。

 

「【激竜水渦】!」

 

「クソッ【真髄:一刀遼断】!」

 

「【不落不敗】」

 

 摩利支店長は防御スキル、私は悪態をつきながら攻撃スキルを発動、【特異開眼】のパッシブ効果で魔法を切り裂きながら竜帝に攻撃を届かせようとした時、頭の隅に疑問が引っかかる。

 同時に、私はミスを自覚した。

 

(なんで水流⋯いや、ワールドアイテム効果は無効化できるが物理的な衝撃は普通に効く! 

 自身じゃなく私たちを動かして攻撃も逸らすつもりか!)

 

 予想通り、攻撃は逸らせたが渦の様に回る水流で私は狙いを大きく逸らされ、伸びた斬撃は見当違いの方向へ飛んでしまう。

 防御を選択した摩利支店長も水圧によって背中を見せている。

 

「【水牢圧獄】!」

 

 追加で唱えられた竜帝の魔法、周囲の水が一斉に私の元へ殺到した。

 全方向から迫る水に私は短距離転移の指輪の使用を決断、竜帝の背後に回ろうとする。

 

 左腕を麻痺していた時の様に大きく動かし、転移の発動を意識。

 

 視界が切り替わり、目前にあったのは竜帝の顔面だった。

 

「ミスったぁ!」

 

 思わず叫ぶ、麻痺していたころは補助器具に合わせて大振りに動いたりという行動を繰り返していた、その癖が今、最悪な状況を作り出す。

 

「ッ!? 【剛顎牙】!」

 

 驚きながらも迫りくる巨大な竜の口。

 転移後の速攻で私が使えるのは攻撃スキルのみだ。

 更に言えば先ほど【次元断切(ワールド・ブレイク)】を使用したのでクールタイムはギリギリ終わっていない。

 

「【至刀:独閃】!」

 

 現状の最高火力を放つものの、ガキンと硬質な音を鳴らした牙に私の刀は弾かれ、納刀動作が遅れる。

 

 ヒュッと風切り音が鳴り、私の右腕を捕らえたのは竜の舌。

 私は口腔内に引きずり込まれる、転移の指輪はクールタイム。

 逃げられないと直感すれば、上下の牙が私をかみつぶそうと迫る。

 

「ぐぅっ、ゾンビだから腹下すぞ!」

 

 拘束されてない左腕をかかげ受け止めるが、鋭い牙は私の指に食い込み、ミシミシと全身から悲鳴が上がる。

 

(どうする!? 

 隠密で……いや掴まれてるんだから無理だろ! 

 まだ一回は死ねるからそれで、いや自動蘇生なんだから噛み続けられたら詰む! 

 摩利支店長に助けてもらうのを期待するか? 

 一人でこいつ相手は流石に分が悪すぎる。

 ……間に合わない)

 

 心に再来するのは過去、半身麻痺になり廃棄処分を受けかけた時の、特に背筋が冷える絶望。

 何とかならないか頭を回すも解決策は思い浮かばなかった。

 

「もう使えない!」

 

 長文ニキの端的な言葉が聞こえる。

 恐らく先ほどブルースに頼まれていた転移分のHPが無くなったのだろう。

 ブレスで死んではいないと思っていたが、紙装甲だったのでワンチャン死亡したかと少し心配はしていた。

 

(そういえば長文ニキって転移持ちだったよな? 

 助けてくれないか【伝言(メッセージ)】で頼んでみるか!)

 

 長文ニキの存在が選択肢に入ったことで、彼(今は彼女だが)が言っていたスキルの事を思い出し、私の冷えた心に火が灯る。

 死んでたまるかと、一層力を入れて私は体を支え、左手の指輪の使用を意識し、発動した。

 

「長文ニキ!? 転移使えたでしょ! 助けてクレメンス!」

 

「めっちゃ耐えるじゃん。

 まぁ俺が助けるまでもないと思うぞ」

 

 メッセージの上から重なり、私の耳に届いたのはワールドディザスターの時に敵対した四人の声。

 

「【次元断層(ワールド・ディスロケーション)】!」

 

 四人のスキル発動が重なる。

 

「っしゃ固定完了! 【次元断切(ワールド・ブレイク)】」

 

「嬲り殺しだあああwwwww! 【次元断切(ワールド・ブレイク)】wwww」

 

「【憤怒解放】【次元断切(ワールド・ブレイク)】」

 

ドゴンッ! 

 

 と巨大な音が鳴り響き、食いしばられたことで、鋭く食い込んでいた左手の指からブツッと異音、指輪のついた指が数本落ちる。

 だが舌の拘束は緩んだ。

 右腕を引き抜き即座に掴むは刀の柄、私はスキルを発動する。

 

「【稀術:絶刀乱麻】!」

 

 口腔内に一瞬で刻まれる刀傷は鱗に守られてない分深く、一斉に血が噴き出る。

 傷だらけになった痛みで食いしばりが緩んだ瞬間に私は外へ飛び出した。

 

(お、また高揚感、人間の時よりは少ないけど。

 そう考えるとアンデッド特性、便利だな。

 痛いけど痛くないのもありがたい……

 指輪は、殺したら回収しとくか。

 おっ指治ってる、やっぱワールドサバイバー取っててよかった……)

 

 何があったのかと周囲を見れば、四つの【次元断層(ワールド・ディスロケーション)】で固定されている竜帝の姿。

 その背に集まっているワールドチャンピオンたちが見えた。

 竜帝は腕や尻尾を伸ばしていたが背中には届いていない。

 詠唱も先ほどまでは私を咥えていたためできなかったのだろう。

 先ほどの巨大な衝撃音は恐らく、タヌキの仕業だろう。

 彼が振り下ろした大槌を中心に肉が叩き潰され、ひび割れた鱗は痛々しい。

 

 とりあえず私は地面に着地、丁度【次元断層(ワールド・ディスロケーション)】も切れたのか、竜帝もボロボロになって落ちてきた。

 最初とは見る影もないその姿に(これで終わりか)と安堵していれば声がかかる。

 

「無事出れたみたいだな」

 

 転移で近くに来た長文ニキだ。

 いつの間にかメッセージは切れていた、落した指の中に伝言を封入したアーティファクトの指輪が付けられていたからだろう。

 

「絶対死んだと思ったわ」

 

「ワールドサバイバーあるんだし別に死んでも復帰できただろ」

 

「自動蘇生が口の中で始まったら終わりやぞ」

 

「サ終まで食われ続けることになりそう」

 

 雑談をしながら竜帝に近づけばぜひゅー、こひゅーとか細い呼吸音を上げながらも、残った瞳から見える闘志は消えていない。

 

「俺が順手にナイフ構えたら次元切断使ってくれんか? 

 ラストアタック譲るからさ、内容教えてくれたらそれでいいし」

 

 長文ニキが小声で私に伝えた言葉に、頷きを返す。

 

 他のプレイヤーもなに手間取っているかと思えばラストアタックの取り合いだった。

 唯一、摩利支店長だけがこんなことしてないで早く殺そうと提案しているが、誰一人同意するプレイヤーはいない。

 

「お前らまだ分からねぇのか? 

 この異常事態に仲間割れしてる場合じゃねえんだよ。

 ここまでの感覚は犯罪だってお前ら程度でも知ってるだろ?」

 

「そう言いながらラストアタック奪うつもりだろ?」

 

「おねロリすさん、こんなに頑張ってるんですから話ぐらいは聞いてあげてもいいんじゃないですか? 

 私はその間にラストアタックいただきますが」

 

「誰かさっさと【次元断切(ワールド・ブレイク)】撃てよwwww」

 

「【憤怒解放】で威力底上げしたしあと一撃だと思うが、俺のクールタイム終わるまでそのまま疑心暗鬼でいてくれよ」

 

「……」

 

 誰一人譲らない。

 エゴ丸出しのワールドチャンピオンたちに呆れるが、正直私もラストアタックが存在しない現実だとわかっているから参加していないだけで、ゲームだと思うなら参加していただろう。

 

 わちゃわちゃしているワールドチャンピオンたちを見ながら、長文ニキの合図を待っていれば、口を開いたのは今にも死にそうな竜帝だった。

 

「こ、この我を殺す、栄誉で争うのは分からんでも、無いが……

 生憎と、お主らにやるほど、我の命は安くないのでな!」

 

 口の傷が痛むのか途切れ途切れのその言葉。

 猛烈に嫌な予感がし始めて、長文ニキの合図も待たずに【次元断切(ワールド・ブレイク)】を発動しようとするが、遅かった。

 

「【爆縮滅燼】」

 

「ッ! 【次元断層(ワールド・ディスロケーション)】!」

 

 呟くように魔法を発動した竜帝。

 

 私が発動したのはワールドアイテム効果すら遮断する究極の防御スキル、しかしそれは一方向からのみ。

 最後に感じたのは圧し潰されるような衝撃と閃光だった。




ワールドチャンピオンたち強くしすぎたかも⋯

いつも感想評価誤字報告ありがとうございます!
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