亡霊たちの████アカデミア   作:炭火カルビ

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7.女神の前髪を掴み損ねる

 

 凍火(とうか)は男の足を凍らせ、ミミちゃん──入中(いりなか)は何発か顔面をボコボコに。

 個性を無断で使った紛うことなき加害行為。

 でも、それで逮捕されることはなかった。

 

 誰かが何か魔法でも使ったのだろうか。

 事件直後どころか、翌日、数週間が経ってもヒーローも警察も来ない。

 久遠(くおん)たちも怪訝そうにしていたが、今は()()()()どうでも良い。

 

 (なぎ)を襲ったのはただの薬物中毒者。

 協力な個性もなければ、腕っぷしも、知能もない男。

 薬物の入手ルートは、すでにヒーローに壊滅させられたヤクザから。ヤクザということ以外、死穢八斎會(しえはっさいかい)は無関係。

 薬を買うために借金を重ね、もうまともな消費者金融からは貸してもらえず、残ったのはボロボロの体。

 取り立てに来るヤクザを恨んでいるらしく、構成員の子どもということになっている凪と、妹ということになっている凍火を狙ったらしい。

 

 彼はすでに尋問の後、『オーバーホール』で壁のシミ。いや、玄野(くろの)が頑張って掃除したから、シミとしてすら残っていない。

 

 「生活圏が全く違った。……わざわざここに来たのが、誰かに差し向けられたみたいだ」

 

 と治崎(ちさき)は不思議そう。

 でも、薬中の行動理由なんて考えるだけ無駄だから、誰もそこを深掘りはしなかった。

 

 それに、彼のことはもうみんなどうでも良かった。

 何発殴っても足りないくらいだけど、それで解決はしないし、()()で全身真っ赤っか。多少はスッキリした。

 

 〈尋問ってか拷問だったし、……うっぷ、思い出しただけで気持ち悪い〉

 

 男の親族まで地獄に叩き落とそうとした治崎にストップをかけ、久遠は凪の治療に全力をかけさせる。

 骨折は『オーバーホール』が治した。

 問題は。

 

 「おい、治崎。研究結果はどうなってる」

 「……ダメだ。俺たちが拾った段階で、凪の体はもう内臓からダメになっていた」

 

 凪の体に突如として現れた老化現象。

 男の個性はそんなに有益じゃない。爪をスライムのように柔らかくする、言っては悪いがクソ個性だ。

 近隣住民にもそんな個性の持ち主はおらず、死穢八斎會をマークしているはずのヒーローは、現在個性の不調とかで活動休止中。ヒーローの個性も『老化』ではない。

 他のヤクザ組織や、(ヴィラン)組織が、近くに潜伏しているという情報はなく。

 そもそも凪に個性を使うより、久遠たち組織のトップ層に使うのが妥当。

 

 個性攻撃でも、病気でも、怪我でもなかった故に、『オーバーホール』での治療は不可能。

 そんなどうしようもない現実が、全力で牙を剥いた。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 凍火は特急電車に乗り、バスに乗り換え、実家の隣街の廃れた公園へ。

 人通りのなく、木が生い茂っていて外から見えず、監視カメラの類もない。お誂え向きの場所だ。

 

 「……同期が完了しました。申し訳ありませんが、わたくしは機械系、特にハードウェア──機械の外側が専門でして、凪ちゃんのことで助けになれそうにはないです」

 「そっかぁ……。あ、望お兄さんが、『前ハッキングしてたじゃねえか』って」

 「? わたくしは天才美少女ですよ? 天才は専門外のことも出来るのです」

 「……。『なら生物系は?』って」

 「そちらは完全に専門外です!」

 

 治崎が見たら気絶しそうに管理がなってない公衆トイレ。

 そこに凍火と芽愛(めあ)──『氷分身』が入り、一度『氷分身』を解除。

 トイレの床がぐしょ濡れだけど、元からそうだから罪悪感はない。

 

 芽愛の過ごした(とどろき)家や幼稚園での思い出。

 凍火の過ごした死穢八斎會での思い出。

 

 互いに記憶を同期させ、『氷分身』を作り直す。

 

 「凪ちゃん、早く治ると良いですね」

 「そうだね。お姉さんも卒園式のお歌の練習、頑張ってね。焦凍(しょうと)くんも卒園式来れるのかな?」

 「どうでしょうねぇ……」

 

 芽愛は苦笑いした。

 彼女は『凍火』を動かして、轟家へ帰っていく。

 凍火も死穢八斎會の屋敷へ。

 

 治崎の研究を手伝えるのは玄野と凪本人だけで、凍火には何も出来ない。

 無力感を感じながら、凍火は、帰る前に自分にも出来ることをしに向かった。

 

 「……邪魔」

 「クソっ、なぜここにフロストゲイルが!?」

 「『実験』でなければ襲撃されないはず!」

 「うるさい」

 

 研究所の襲撃をして回る。

 裏に蔓延る、個性強化剤などの違法薬物製造所。『実験』の後追い。

 それと、個性を掛け合わせるため、試験官ベイビーを製造する違法研究所。

 

 凪は人工的に作られた仔だ。

 赤ちゃんの素を掛け合わせて作った卵を、お母さんのお腹ではなく、試験官の中に入れて育てて。

 全ては理想の個性と知能と身体能力の子どもを選んで作る研究のため。

 生まれた後は望む個性じゃなかったけど、数少なく無事に生まれた成功例だから経過観察のため育てた。

 ここまでは凪と出会ったばかりの頃にも聞いた話。

 

 ここからは治崎の推測も混じる。

 失敗したのは個性と身体能力の設定。

 成功したのは寿命と成長の設定。

 実験体を研究所の外で生かすつもりなんか、さらさら無かった。

 凪はとある薬品を投与し続けないと、長くても1年で老化し死に至る。

 それが『オーバーホール』でもどうしようもない生まれついての仕組み。

 治崎の頭脳は、“とある薬品”とやらを不完全ながら生成することに成功したらしい。けど、数ヶ月も投与をサボっていたから、今更始めても焼け石に水。

 

 襲撃をかけ、賢そうな人を捕まえては氷の檻に閉じ込める。

 警備員なんかの戦闘員は始末。

 

 「お、俺は逃げるぞ! ソイツの正しい外見情報だけでも、まあまあの金になるは、げぷっ!?」

 「逃がさないよ」

 

 凍火は今、『氷甲(ひょうこう)』を纏わず顔を晒していた。

 素顔ではない。治崎に似た風貌の、黒髪金目の女の子だ。

 

 なら無敵の防御はないのか? 否、『冷気装甲』がある。

 

 『氷甲』が『氷結』+『シェルター』なのに対して、『冷気装甲』は『氷結』+『シェルター』+『温度操作』。

 掛け合わせる個性は多く、氷を保つより冷気の状態を保つ方が集中力がいる。だから、『冷気装甲』の方が疲れる。

 

 それでもこっちを使うのは、轟家の子どもとは全く違う顔を晒しておくことで、ついでに冬美(ふゆみ)たちへの巻き込み被害を無くすという考えから。

 

 それに、無敵の氷の装甲がないと勝手に油断してくれる。思わぬメリットもあった。

 

 「問題を出すね。答えられたら生かしてあげる」

 

 治崎に渡された資料──曰く、「これに回答出来れば凪の治療に十分役立つ」に書かれた問題を読み上げる。

 

 「…………たくさん待ったからもう待たないよ。さーん、にーぃ、いーち」

 「ま、待ってくれ、もう少しで答えが──」

 「なら今わかってることだけでも言って?」

 

 研究員たちは、口々に話し出す。

 治崎から貰った正答とは掠ってもいない。

 凍火は躊躇いなく、氷の檻の中へ『毒』を充満させた。

 

 帰り道、路上で新聞を読んでるおじさんがいた。

 確かヒーローに否定的な出版社。『また違法研究所を摘発、現代の義賊フロストゲイル』だなんて、見る目がない。

 エンデヴァーたちに邪魔された時には、自分の次の犠牲者を出さないようにという義憤があった。

 今は義憤も正義もない。ただの八つ当たりだ。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 「ただいま」

 「……どうだった?」

 

 入中に、頭を振って否定。

 落胆した様子を見せながら、彼は凍火についた返り血をタオルで拭う。

 

 「治崎がうるさいだろうし、凪ちゃんにもそんな格好で会うわけにいかねえだろ。沸いてるから風呂入ってこい」

 「うん……」

 

 お風呂に入っても気持ちは晴れなかった。徹底的に全身を洗う。真っ赤になって少し爛れるくらいじゃないと、治崎は満足しない。もちろん、入中と久遠はそこまでしなくていいと言ってくれている。

 

 「凍火。またお前の体から個性拡張剤を作る。準備は良いか?」

 「お風呂も入ったし綺麗だよ。痛いのは慣れた。早くして」

 

 個性拡張剤。

 凍火の血肉から得られる個性強化剤(トリガー)を加工して出来るもの。

 脳に作用して、火事場の馬鹿力のごとく個性へのリミッターを外すそれは、恐らく『実験』で使われた薬品の成分によるものだ。

 都合よく凍火の体は有益な成分だけ吸収し、有害な成分は発散した、らしい。

 

 久遠を裏切るような真似をして、治崎が凍火を分解する理由。凪が倒れて以降はそれを久遠が悔しそうに黙認する理由。それこそが凍火から取れる、個性拡張剤にある。

 『凪を治してほしい』。正攻法をどれほど試しても無理だった久遠と凍火、それに入中の願いを叶える、今やただ1つの方法だ。

 

 個性のリミッターを外す。

 個性への解釈を拡張する。

 

 治崎──『オーバーホール』なら、人の体の設計図にまで手出し出来るようになるかもしれない。DNAの書き換えすら出来れば、どうとでもなる。

 玄野──『クロノスタシス』なら、概念的な時間にすら干渉出来るようになるかもしれない。凪の体の時間だけを遅く出来れば、おそらく。

 入中──『擬態』なら、他人の肉体をも対象にすることが出来るようになるかもしれない。精巧な人形にでも凪を入れれば、体の衰えからは解放される。

 

 そういった魂胆で、凪の体を治すという同じ意志に基づいて、凍火と治崎は個性拡張剤の製作を進めていた。

 凍火は可愛い妹のため。治崎は組長(オヤジ)の命令だから。意志の源はかなり違うものだが、見ている先が同じなら互いにどうでもよかった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 何日目かの襲撃も不作。今回は研究所ですらなく、ただ違法薬物の輸入および販売をしているだけの集団だった。無駄に殺し回っただけだ。

 

 妹の弛み始めた肌を、生え始めた白髪を、乳歯が抜けて高速で永久歯が生えてまた抜けるのを。

 直視したくない凍火は、襲撃の後わざとゆっくり歩く。

 

 「お嬢ちゃん、ちょっと良いかい?」

 「……何?」

 

 道案内や困り事の解決なら喜んで。ナンパや変態なら『氷結』を。

 刺々しく返事して男を見る。

 

 銀髪にグレーのサングラス。欠けた前歯とヨレたスーツ。少し特徴はあるけど、どこにでもいそうな男。

 しかし凍火の勘が告げる。コイツは只者じゃない。

 

 「俺は義爛(ぎらん)。自分で言うのも何だが、裏の大物ブローカーってやつさ」

 「ぶろーかー?」

 「裏で何か取引したいヤツら同士の間で仲介する、と言えばわかるかな?」

 (ちゅーかい?)

 〈仕事の紹介とかする人だよ。多分〉

 「わたし、取引なんかしないけど」

 「お嬢ちゃんはそうでも、お相手の方は違うんだよ。なんたって、あの裏のフィクサ──―オール・フォー・ワンさんだ!」

 

 その名を、義爛は芝居ぶった動きで目立たせた。

 わからない。聞き覚えがない。

 

 「知らない。汗かいたし早く帰りたいの。今度にして」

 「あー、そっか。悪い悪い。おっさんになるとデリカシーってもんが無くなって来てよぉ。これ、俺の名刺。興味があったら1週間以内にかけてくれ。来週から番号変えるから」

  

 凍火は名刺をポケットに押し込んだ。

 

 「ここだけの話、さ。オール・フォー・ワンさんの手下には様々な個性があるし、色んな業界の有力者もいる。お嬢ちゃんの困り事を解決してくれるかもな」

 

 それだけ言い残すと、あっさりと義爛は去っていく。

 

 様々な個性。もしかして、すごく珍しい治癒系も。

 色んな業界。お医者さんもいるの?

 

 凍火は帰って、真っ先に久遠に相談しに行き、

 

 「それだけはダメだ。オール・フォー・ワンとは関わるな。もう何代も前から言われている」

 

 間髪入らずに否定された。

 

 「なんで? 凪が治るかも……」

 「アイツに関わりゃ待つのは、全部使い潰されてからの破滅。良い個性やコネがあったとして、見ず知らずのガキにタダで使うか?」

 「でも……」

 「頼む、大人しく聞いてくれ。俺はお前と縁を切りたくない。……もしお前が実家を嫌になったら、俺をお父さんかお爺ちゃんと呼んでくれて良いとさえ思ってる。だから、オール・フォー・ワンにだけは関わるな。良いな?」 

 「……わかりました」

 

 〈俺も久遠さんに賛成。(ヴィラン)に良いやつなんかまずいないからさ〉

 (久遠さんは良い人だよ)

 〈それは例外。あの人だって、凍火ちゃんの知らないところでたくさん悪事やってるって〉

 (でも……)

 〈もしオール・フォー・ワンとかいうのが良い人なら、義爛とかいう奴を通さずに自分で来るだろ〉

 

 凪を治したい、そのためなら何でもする。この身を悪魔に捧げても構わない。

 

 昔、お茶を畳に溢したことがあった。

 やかんのを全部溢しちゃったから、怒られるのが怖くて凍火は逃げちゃった。

 まだ元気だったお母さんが最初に見つけたらしくて、なぜか罪を被った夏兄が怒られてた。

 

 この事から学んだこと。それは、バレなきゃ凍火は怒られないということだ。

 

 「大丈夫。うちには治崎がいる。アイツは倫理観に欠けてはいるが、下手な医者よりも知識があって、しかも努力家だ。凪もきっと治るさ」

 「……でも、『オーバーホール』も効かなかったって」

 「子どもがそんなこと気にしなくて良い。そうだ、凪とも話したんだが、アイツが元気になったら桜を見に行こう」

 「……どこ?」

 「車を30分ほど走らせたところのデカい公園にゃ、毎年いくつも屋台が出るんだ。昔は俺たちが主導してやってたんだが、今はヒーローたちに取られちまった」

 「そんなところ行っても楽しくないです」

 「楽しいさ。屋台も花火も、俺たちが最初に考えたのがまだ残ってる。3月ごろにはきっと、凪も治るさ」

 「1ヶ月ちょっとで、治るかな……」

 「行けなきゃまた来年にするだけだ」

 「ヒーローのやってるお祭りなんか、楽しい?」

 「行ってみりゃきっと楽しい」

 

 もっとヒーローたちを罵って良いのに、それをしてくれない。

 

 「大丈夫だ。子どもは未来の楽しいことだけ見とけ」

 「……うん」

 

 ごめんなさい。

 心中でだけ謝って、凍火は動き出す。

 

 近所の駅に行く。切符は買わない。代わりの持ち物は10円玉。

 使い方がわからなかったから駅員さんに聞いて、義爛の名刺を見ながら公衆電話のダイヤルを回す。

 

 「──はい、はい、はい、……ごめんなさい、ええ」

 

 オール・フォー・ワンと会うアポイントメント。

 そうだ。凍火は久遠を裏切る。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 「……肯定、おかゆがおいしいです」

 「そうかぁ!! 凪ちゃん、明日は出汁も入れるからなぁ!!」

 「ふふ、楽しみです。ありがとう、お父さん」

 

 入中凪は幸せだ。

 少し頼りないけど優しく強い姉の凍火からは名前を、ヤクザなのに研究所より居心地のいい 死穢八斎會(ここ)では苗字をもらった。

 人工的に遺伝子と個性因子を掛け合わせ、優れた頭脳と研究向けの個性を持つ子を作る実験で、唯一生まれ落ちることの出来た試験個体7号から、人間の入中凪にしてもらえた。

 

 お爺ちゃんの久遠誠治も良い人だ。でも、凪が喜ぶとお菓子をそればっかり買うのはやめてほしい。もうクッキーは飽きた。

 

 お父さんの入中常衣(じょうい)は少し怒りっぽいけど、個性の『擬態』でいつも一緒にいてくれる。

 2人でミミちゃんという動くぬいぐるみを作って、お姉さまがいつぬいぐるみじゃないと気づくのか遊んだりもした。

 初めて肩車をしてくれた大人だった。

 「俺がこんなガキの父親役ぅ?」だなんて言っておいて、1週間もすれば「凪ちゅわん! このケーキがおいしいらしいぞ!」だ。

 役に入り込みすぎだと、思わず笑ってしまった。

 

 お兄さんの治崎(かい)は話が面白い。医学も薬学も話していて楽しい。研究者に知識を披露するのとは全然違う。ぶっきらぼうに褒められると、ああ、勉強していて良かったと思える。

 もう1人のお兄さんの玄野(はり)は少しお馬鹿だ。ちょっとで暗記出来る化学式も知らない。学問的な話は出来ないけどセンスが良くて、凪に可愛いお洋服を選んでくれる。

 

 それをもう着ることはないけど。

 目が霞んで、よく見えないけど。お爺さまもお父さまもお姉さまも、みんな凪を可愛いと言ってくれるけど。

 顔がシワシワで、不細工なのを知っている。下っ端の方が「子供のババア」と言って、お父さまに殴られていたから。

 

 大きな怪我をして、それを治すのにたくさんエネルギーを使う。

 それを契機に体が本格的にダメになったのだと思う。

 あるいは、騙し騙し見ないフリをしてきたものを、直視せざるをえなくなった。

 

 「お父さま、大好きです」

 「俺もだ!!!」

 

 治崎は『オーバーホール』で『再構築』してくれた。 

 老化の加速は凪の遺伝子に組み込まれていて、もはやそれじゃどうしようもなかった。

 

 玄野は『クロノスタシス』で、概念的な時間も遅く出来ないか試してくれた。

 生き物の動きを遅くする個性だから、流れる時間をゆるやかにすることはできなかった。反対に苦しむ体感時間が長くなったと伝えると、治崎に怒られて玄野は可哀想なくらい焦った。

 

 「お姉さまも頑張ってくれてるんですよね……」

 「ああ、そうだぜ! 凪ちゃんも元気になれるよう頑張ろうな!」

 「……はい」

 

 凍火も色んな研究所に襲撃して、凪を治す方法を探してくれていると聞いた。

 危ないことはしないで、無事に帰って来て欲しい。そればかりを布団の中で思っている。

 ちゃんと食べて、ちゃんと寝て、お外でお友達でも作って、笑ってて。凪の前以外じゃトマトを残してること、知ってるんですからね。

 元気なら良いけど、でも、ちょっとは会いに来てね。

 

 「……ん」

 

 頭を撫でる太く固い指にうっとりして、凪は心地よく眠りについた。

 

 凪は知らない。

 この頃にはもう、凍火が魔王に魂まで売り払おうとしていることを。

 




男が骨折させたのと凪の老化に因果関係はないです。
遅かれ早かれそうなってました。

ヒーローも警察も来ないのは例のあの人の仕込み。

鬱展開とか胸糞タグ付けようか迷います。曇らせタグ付けてるし十分かな?
付けた方がいいと感じたら感想欄でご指摘お願いします。

それと評価バーに色が付きました。皆様読んでくださってありがとうございます。

オリキャラ・オリ個性等の設定まとめ

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