亡霊たちの████アカデミア 作:炭火カルビ
誤字報告してくださる方、いつもありがとうございます。
メリットは仲良くしていると冬姉と夏兄が喜ぶこと。それに、ちょっかいをかけて来る子が近寄ってこないこと。
デメリットは話が盛り上がって遅く帰るとエンデヴァーがうるさいこと。双子の兄妹であることをわからない頭空っぽな恋愛ごっこ大好きの女の子からの嫉妬が鬱陶しいこと。
「凍火ちゃんは、炎と氷どっちが好き?」
「氷」
即答だった。
焦凍は「うん」と何やら頷いて続ける。
「僕、氷だけで……お母さんとお姉ちゃんとお兄ちゃんの力だけで、お父さんより強いヒーローになるから、見ててね」
「……頑張ってね」
こんな薄っぺらい返事で犬の尻尾を幻視するくらい焦凍は喜んだ。
“お母さんの力だけ”と言っていたら、多分休み時間はもう彼と過ごさなかったと思う。
凍火からしたら母親よりも
「また嫌な男の子たちに痛いことされそうになったら言ってね。僕が絶対助けるから」
「……うん。未来のヒーローだもんね」
以前、いじめっ子たちが間違えて焦凍といる凍火に絡んだ時。
彼らへの焦凍の態度があまりにも冷たくって、凍火はびっくりした。まさか氷で威嚇までするなんて。
返事に、兄は目を輝かせた。
彼が未来のヒーローになったら、エンデヴァーの犯した罪は功績になってしまうのかな。スパルタ教育は英才教育に。スケジュール管理は子どもの夢に寄り添う親として。
嫌だな。凍火は足元の石ころを蹴った。
◇◆◇
『
声もくぐもった低めのものを頑張って出している。
だから凍火とバレようがない。
研究所潰しが終わってからは
交通事故に遭いそうな子ども、ナンパ男に粘着されてるお姉さん、夜中にお家を追い出された子ども。
その辺りを助けて、ヒーローが出張るような派手な現場にはエンデヴァーがいるので現れない。
一時の暴れっぷりとは裏腹に、ヒーローが手の届かないところを助けてくれるヴィジランテとすら認識されている。
エンデヴァーですら捕縛できない
名声を少しだけ。でも負の名声の方が圧倒的にある。正のものを貰っても嬉しくないし、凍火はフロストゲイルを批判する人とこそ関わりたい。
当然収入はない。
「あの、お願いごとがあって……」
「僕に解決出来ることなら」
オール・フォー・ワンは優しく言ってくれた。
〈オール・フォー・ワン……興味深いですね。どうしてわたくしは、彼が個性を使った場にいなかったのでしょうか。人のものが欲しくなるのは個性による人格、嗜好への影響?〉
〈言い訳だろ〉
〈でも実際に一昨年の性的暴行事件では……〉
〈凍火ちゃんにそんな話を聞かせるな〉
望が
以前、オール・フォー・ワンと2人で話したらしい時から、望の影響力が強くなった気がする。
「お金が欲しいんです。だから、お仕事の紹介をしてほしくって」
前にもらった
「お小遣いくらいなら僕があげるよ。自分で稼ごうという意欲は良いと思うけど、どれくらい必要なんだい?」
「お家1個と、4人分の学費? 生活費? ってどれくらいですか?」
「少なくてもこれくらいかな」
オール・フォー・ワンは3本指を立てる。
「300万円?」
「3億円」
〈そんなもんか〉
〈ええと、学費が子ども1人で1000万。仮に全て私立ならさらに倍。高く見積もると4人で8000万ですね〉
〈冬美ちゃんは中2、夏雄くんは小4だから、もっと安くなるんじゃねえの?〉
〈まあそうですけど。一軒家を買うのかマンションを借りるのかは知りませんが生活費を足して、成人までと考えると……確かにあれくらいいりますね〉
お姉さんたちの言ってることが難しい。
凍火が目をくるくるさせていると、オール・フォー・ワンは笑った。
「……エンデヴァーは凄かったんだ」
「ランキング上位に入れる実力があれば、ヒーローは稼げる仕事だからね。さすがにそれだけのお金を一気にあげるのは難しいけど、どうしてそんなに必要なんだい?」
「お姉ちゃんとお兄ちゃんのため……」
冬美は自分の時間を削って、みんなのお世話をしてくれている。
でも、前に手芸部のパンフレットを見て、捨てるまでに他のどうでもいいお知らせより時間をかけていたのを知っている。きっと興味があったのだろう。
夏雄は友達と放課後に遊ばないで、凍火たちに時間を使ってくれている。
でも、前に友達が自分のいない時に起こった知らない出来事で盛り上がっていたと寂しそうにしていた。
「エンデヴァーから逃げて、お兄ちゃんとお姉ちゃんと焦凍くん……双子のお兄ちゃんと一緒に暮らしたいの」
「家族みんなを君が養うと?」
「はい!」
“双子のお兄ちゃん”のところで目を眇めて、オール・フォー・ワンは尋ねた。
「あ、それと
「それは僕が買うから気にしなくて良いとも」
〈買ってねーじゃんバカボケじじい!!〉
(お兄さん……)
オール・フォー・ワンは考え込む様子を見せた。
ポーズと表情が様になっている。
「必ず稼げる……とは言えないけど、お小遣いをあげるから少しお手伝いをしてもらいたい」
「はい! あの、……ドクターさんのを手伝うんならちょこっと苦手なので、先生か
「定期的に血や髪の毛の提供はこれまで通り続けてもらうけど、ドクターは関係ないよ。今後行く時も僕が着いている」
「……ありがとうございます」
鼻息が荒いし、よくわからない話を早口でしてくるし、こっちを見る目が嫌。
芽愛がたまに変なことを言うのとはまた違う感じのいやらしい目線だ。
「ヒーロー、といっても有名じゃない者は名前も個性も広まらない。どれほど有用な個性を持っていても」
「雄英体育祭みたいなことを、もっといっぱいの学校がしてくれたら楽なんですけどね」
「そうだね。本題なんだが、そういった無名ヒーローの個性を調べて欲しいんだ」
「調べる……ノートとかにまとめれば良いですか?」
「好きなようにしてくれて良いよ。移動の時には黒霧を貸す」
「……ありがとうございます」
調査の出来によって給料の変わる出来高制。
貰ったノートと、小学校では使用禁止のシャーペンを持って気合を入れる。シャーペンをノックするだけで何だかお姉さんになった気分だ。
〈あの校則マジでなんだろな〉
〈シャー芯が床の溝に挟まりますし、子供なんか毎日のように溢しますよ。壊れたり分解した時が面倒ですし、プラグにシャー芯入れて感電されても困ります。どうしてそんなことも考えられないのですか?〉
〈途中まで感心して聞いてたのに!〉
(プラグ……コンセント?)
〈ええ正解。凍火ちゃんは賢いですね。さすが冬美ちゃんの妹〉
(えへへっ、そうだよ! エンデヴァーの娘じゃなくて冬姉の妹!)
〈それより、どうやって無名の奴らだけ誘き寄せるんだ? フロストゲイルが現れたら、まず有名ヒーローが来るだろ〉
(そうだった。考えないと……)
〈今時調べりゃ何でも出ますよ。各県のヒーロー事務所のピックアップ、および有名ヒーロー……個性が世間に知られている方を除いた、県や市の面積辺りの事務所数が多いところから行きましょう〉
〈面倒くせえ……。たまにいる、ヒーロー免許は持ってるけど他の仕事に就いた人は?〉
〈そもそもそれってヒーローなんです?〉
「先生、お仕事のためにパソコン貸してください。とりあえずヒーロー事務所を調べないとって、お兄さんとお姉さんが」
「ああ……そうだね。今日中に手配しておくよ」
〈今わたくしたちに関心向けましたよね。きゃっ、もしかしてこの美少女の素顔が見たいと……? 恥ずかしいです……〉
〈個性因子が人格残してるのを気になってるだけだよバカ〉
オール・フォー・ワンの目が一瞬ギラついたように感じたのは、凍火の勘違いではなかったようだ。
しばらく話した後帰り際に子どもでも持ち歩きやすいように、ついでに隠しやすいようにとタブレットを貰う。キーボードがないことに芽愛が文句をつけた。
◇◆◇
キーボードがないのは良かったかも。
家の中で作業するのに、カタカタ音が響いたら面倒だ。それに、薄いタブレットはパソコンと違って枕の下に隠せる。
ローマ字を打つより、フリック入力の方が凍火には直感的に出来た。
「終わったー……」
思わず声に出た。
〈頑張りましたね〉
〈目ぇ休めろよ〉
(指も痛い……)
〈攣るなよ〉
凍火だけの家族が優しく言う。望の言う通りに、目を瞑った。
ヒーロー公安委員会の出している、都道府県ごとのヒーローの数のデータ。委員会的には偏りがなく、国全体を守るに十分なことを示したいらしい。
どこかのヒーローオタクがまとめた、昨年時点の都道府県ごとのヒーロー事務所と所属ヒーロー数の一覧。
公安のデータからヒーローオタクのデータを引いたのが、今年新しくデビューしたヒーローの数。
……と、無名ヒーロー全員を網羅しようと言う試みはここで終わった。
数はわかっても名前や個性がわからなきゃ無意味。しかも、ヒーロー飽和社会では毎年デビューするヒーローだけでも膨大。
無名ヒーロー、とはそもそも何だろうか。
凍火は元々ヒーローに興味がなく、望と芽愛は凍火の得た情報しかわからない。生きた人間と比べての情報格差がある。
3人で議論し、ヒーロー名で検索した時、ニュースやSNSの呟きが著しく少ない者と定義した。動画サイトで有志が撮った活躍動画すら1本も無ければなお良い。
〈とりあえず、定義には拘らず個性の分析をしていってはどうですか?〉
〈あー……締切は聞いてねえし、みんな知ってるオールマイトやエンデヴァーとかで慣らしてくのも手だな〉
(うーん、……やってみる)
オールマイトの個性──恐らく『超パワー』。
パンチの風圧で天候すら変えられるし、瞬間移動じみたことまで出来る。
逆に分析に困り、ただ動画を見ているだけになってしまった。
とりあえず、見た動画で彼が成した偉業を書き連ねる。
エンデヴァーの個性『ヘルフレイム』。
カッコつけやがって。凍火は枕を殴った。
(おてて痛い)
〈馬鹿だなぁ〉
〈枕メーカーを訴えましょう!!〉
利点と欠点がわかりやすい個性だ。
火力が高く、早期にヴィランの沈静化を図れる。熱気で野次馬を遠ざけられる。コントロールが巧み。
熱が篭ると動けなくなるので、長期戦闘には不向き。
本人がある程度コントロール出来るにしろ、燃えやすい物が多いところ、例えば山なんかでの戦闘には向かないと思う。
エンデヴァーの個性の強い点を書く度に5分くらいのふて寝を挟んだ。
〈授業ノートと間違えないように、ノートにお名前付けたら?〉
(
〈……あー、タイトル付けたら?〉
(うーん……)
サインペンでタイトルを書く。
『将来のためのノート』。
ヒーロー分析ノート、とまで書くと見つかった時に恥ずかしい。
お金を稼いで、将来、冬姉たちを幸せにするため。
先生からの信用を得て、凪を生き返らせてもらうため。早くそれを出来る個性を見つけるため。
まさしく、これは凍火の将来のためのノートだ。
「あっ」
オール・フォー・ワンからもらったスマホがチカチカ点滅。
〈どれどれ……?〉
(『彼から、目星を付けているヒーローの一覧を送るとの事です。大まかな活動区域とヒーローネームだけ送ります』、って)
〈そこまでわかるなら個性も送ってほしいですねぇ!!!〉
〈先入観をなくすためとか? もう何時間か前に送れよバカテメェ!!!〉
(確かにそう思うけど……あんまり怒っちゃダメだよ! 先生も忙しいもん!)
一覧といってもたった10人程度。
ここ静岡のヒーローもいるから、まずは彼から。
福岡や北海道のもいる。遊びが目的じゃないけど、どうせ黒霧さんで交通費無料。
ちょっとだけ、ついでに観光したり、美味しいものを食べても怒られないかな。
〈まずは静岡ので意見一致だな〉
〈電車で行けますし、個性のまとめ方を間違っていてももう一度ヒーローの活動を簡単に見に行けますからね〉
(黒霧さんにあんまり迷惑かけたくないもんね)
〈いえ、わたくしは後で交通費……ワープゲート使用代を請求されたら怖いと思って〉
(黒霧さんはそんなことしないよ!?)
〈あの人はしないだろうけど、
別に交戦してまで個性を確認しろとは言われていない。
小学生が電車で初めての遠出。交通費も時間的にも問題ないところだ。
〈本当に彼らを信用してよろしいのですか? もし、蘇生可能な個性が現れなければ、生涯オール・フォー・ワンとかいう、仮に女ならわたくしの好み間違いなしのドスケベおじさまのパシリなのでは〉
〈人権侵害じゃん。あの泥棒ジジイが訴えたら負けるぞ。ちなみにどの辺がタイプ?〉
〈この美少女にどんな言葉を言わせるつもりなのですか! おっぱいです!〉
〈聞くんじゃなかった。凍火ちゃん助けて〉
(うん、と……先生の胸の筋肉も凄いよね。芽愛お姉さん、あんまりやなこと言うのはめっだよ。それと、先生なら大丈夫だよ! 先生も黒霧さんも優しいし、弔は……ちょっと手がかかるけど、可愛いもん!)
おっぱいと筋肉は違うよね?
凍火は心底疑問に思う。芽愛は可愛い女の子が好きだけど、男の人でもそこが大きければ良いの?
〈弔くんったら、確かにご姉妹辺りに大きな肉まんを持ってそうな遺伝子の匂いは感じますね〉
〈キモ…………〉
〈具体的には……そう、お婆様辺りが黒髪の凛とした少し筋肉質な高身長美人。土台がしっかりしたお胸をお持ちの。口元のほくろは彼女譲りでしょうか?〉
〈やめろやめろ。妙に具体的な妄想はやめろ〉
〈茶髪で弔くんと同じくちょこっと癖毛の、今際の際でも子どもを気にしそうなふわふわ系美人のお母様とかも〉
〈妄想に死ネタ付け足すのもやめろ〉
〈オール・フォー・ワンさんのお母様はぽっちゃり系のご娼婦でしょうね。お胸もお腹もドーン系の〉
(おデブさん? ごしょーふってなぁに?)
〈凍火ちゃんは知らなくて良い言葉だよ!! チッ、さすがにアイツの親ならハリウッド女優系の美人マダムだろ〉
凍火も考える。
オール・フォー・ワンの親。確かに想像つかないけど、両親とも何だか凄そう。少なくともおデブのはずはない。
〈黒霧さんは……学校の先輩辺りにとんでもなくドスケベな黒髪高身長美人がいらっしゃりやがりますよこれは。具体的には全裸コート着るような。猫とか飼ってそう〉
〈もうそれはお前の好みだろ!? 黒髪高身長巨乳美人な、クソ芽愛が近づかないように覚えとかないと〉
〈白髪少し赤髪交じり母性溢れ系精神的には年下肉体的には年上氷結個性美少女も好きですが……???〉
(ドスケベって、いいの?)
〈はい、とても〉
〈あー!! 凍火ちゃんの記憶を消す個性がほしーい!! よくない! よくない!! いや、ちょっとエッチな
〈うるさいですね……〉
母親、冬美、隣のクラスの担任、保健室の先生、図書館の司書さん。
芽愛が胸の魅力を語り続けるのを望が強制シャットアウト。いっぱいお話してもらったのに、よくわからない。
何だか根本的なところで理解できないから、耳を通り越して、ただの汚い子守唄になった。
◇◆◇
それは何の前触れもなかった。
凍火の感情に連動したなら、最も強い感情は凪が亡くなった時。
凍火の体に連動したなら、最も傷ついたのは治崎に殺された時。
そのどちらでもないから、凍火の心身も周りの環境も無関係。
「ヒーローの子どものくせによわーい! 嫌ならやり返せよー!」
「やーい! お前の父ちゃん、
焦凍くんが休みだから、鬱陶しい子が下校中付き纏ってくる。その間のことだった。
〈うう……ワタシ、あれ? ここ、どこ?〉
〈あっ〉〈あら〉
去年。『実験』前のあの5日間で聞き覚えのある声。
それ以降は凍火の中で、ただ呻き続けていた女の子。
〈芽愛センパイと望センパイだ! 他のみんな、痛いの? あれ、出れない……〉
(あぅ……)
彼女が凍火の中で動き回ってる──気がする。
痛くはないけど、声の方向がグルグルして、凍火の頭もちょっとグルグル。
〈
〈彩葉ちゃん、大丈夫か? 信じられないと思うけど俺たちは──〉
『色塗り』の個性の持ち主、
彼女が目覚めた衝撃で足を止めただけなのを、何か勘違いしたいじめっ子にからかわれながら、凍火は帰路を急いだ。
〈ありえない!!! それって、ワタ、ワタシの個性を犯罪に使ったってこと!?
彩葉はカンカン怒っている。
怒りの源泉は、
そういえば、彩葉お姉さんはヒーロー目指してたんだった。凍火は思い出した。
(でも、先生はヒーローも悪いことしてるって言ってたよ)
〈それは
(でも、エンデヴァーは結構殺す気で凍火を攻撃してきたし)
〈それは相手が
(……凪だって、ヒーローよりわたしやヤクザに助けられた方が嬉しそうにしてたし)
〈大体、その、凪ちゃんって子だって、ヒーローが助ければ助かったんじゃないの!?〉
彩葉はヒステリックに凍火の地雷を踏んだ。
(……凍火、しばらく彩葉お姉さんのこと無視するね。どうしてもお話したいことがあるなら、望お兄さんか芽愛お姉さんにお願いね)
〈ええ、任されました。お互いに頭を冷やさなければね〉
〈おかしいよ。芽愛センパイは『超器用』が犯罪に使われてて文句ないの?〉
〈『超器用』はこの超天才金髪碧眼エンジニア美少女の魅力のほんの一欠片に過ぎませんので。それに、今は凍火ちゃんの個性です〉
〈…………。ワタシの方こそ
〈凍火ちゃんのお父さんは?〉
〈何かの勘違いだよ!〉
凍火は家の門を潜り、無駄に広い庭を歩く。
「焦凍ッッッ!!! 何を怠けている!! 立てっ!!
もはや壁のある意味すらない怒声と、何かを壁に叩きつけるような音が聞こえた。
〈これでも?〉
〈…………〉
揶揄するような望の声に、彩葉は反論の言葉を持てなかった。
これはヒーローを育てるための英才教育。そう言うには、嫌なリアリティのありすぎる音だったから。
〈あ、あの……凍火ちゃん……勘違いって言ってごめんなさい……〉
ツーン。
凍火は無視する。
〈凍火ちゃん。彩葉ちゃんがこめんって〉
(そ)
望からの伝言にはこれ見よがしに答えた。
どうせ目覚めるなら
〈……と思ってるのがわたくしにも伝わって来ますね。ふふっ、羽衣ちゃんの鳩胸舐めたら起きますかね?〉
〈何してるの芽愛センパイ!! ヒーローは、寝てる女の子の胸を舐めたりしない!!〉
〈わたくしはヒーローじゃありません!! 先っちょだけ、ベロの先っちょだけ! この天才金髪碧眼美少女エンジニアのさながら苺のごとく小さく色付いた愛らしい舌の先っちょだけで、ちく──〉
〈彩葉ちゃん、コイツ取り押さえろ! ついにやりやがった、いつかやると思ってたんだ!〉
〈えっ……うん! ベッドに縛っとくね。コラッ!〉
(……。芽愛お姉さん。今度から凍火に用があったら、望お兄さんにお話ししてね)
〈俺の負担は?〉
よく芽愛お姉さんはあそこまで空気をぶち壊せるなぁ。
望と彩葉が芽愛を拘束している音が聞こえる。
やがて〈むーむー!〉とくぐもった美声しか聞こえなくなった。
書くことがあまりないので、オリキャラたちが原作軸まで生きていたらどうなっていたか。
凍火→デクの雄英入学時で15歳。中堅くらいの高校に入る。父のことや荼毘の加害者遺族なことで肩身の狭い思いはたくさんするけど、比較的普通の幸せな人生を送れる。
望→25歳。公安職員。親の七光りで年齢と学歴に対して高い役職。神野事件で代償の限界を超えて個性を使わされたことで死亡。
芽愛→23歳。大手サポートアイテム会社に就職。いくつもの輝かしい功績を持つ美人技術者。最近の趣味はOBとして雄英サポート科に通い詰めること。
彩葉→19歳。ヒーロー科は高校で落ちて諦め普通の大学生。ステインにあてられて痛い言動をたくさんする。一年後くらいに家族や友人にからかわれて赤面する。
オリキャラ・オリ個性等の設定まとめ
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欲しい(各章の最後に、その章でのまとめ)
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欲しい(最新話段階でのまとめを第1話)
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どちらでも良い
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いらない