亡霊たちの████アカデミア 作:炭火カルビ
冷さんに対するアンチヘイト的な描写があります。
可愛いもこもこの部屋着に、ふわふわの抱き枕。もふもふのぬいぐるみと、良い匂いのフレグランスミスト。
思いつく限りの心を癒せそうな物を買い込んで、
「はぁ……」
違う。重さなんかが理由じゃない。
ある日突然、妹の声が出なくなった。
ストレスが原因だと言われたけど、ストレス源が何かは、この家のことを知れば誰でもわかるだろう。
鈍感で楽観的な冬美でさえわかったのだから。
自虐しながら亀の歩みで家まで進む。
凍火ちゃんはお母さん似だ。瞳の色以外の顔立ちも、雰囲気も、それに、ちょっと心が繊細なところも。
懐かしいホテル生活で少し仲良くなったサイドキックの皆さんが、
と同時に、この子は自分が守ってあげないといけない子なのだと強く感じた。
夏くんも
焦凍はおやつを凍火ちゃんにたくさんあげようとしていて、絵本や映画の感想も一生懸命話していて。あの日々で初めてまともに同じ時を過ごした弟は凄く可愛かった。
「…………」
今は。
冬美も許されるのは最低限。食事を持って行く時、学校のプリントや連絡帳を見る時、一言二言言葉を交わすので精一杯。
凍火ちゃんは学校や登下校で話せるけど、双子の兄妹が家じゃ関われないのは、やっぱり──。
──まともじゃない。
夕飯のメニュー、凍火の体調、チラシの情報、明日の学校、テストまでの勉強計画、流行りのドラマ。
無造作に思考を巡らせ、その言葉を思い浮かべないようにする。
無理のある誤魔化しだった。
どう考えても家は普通じゃない。
一度思うとどうしても、最近強くそう感じた出来事にまで遡ってしまう。
◇◆◇
その日は3人で行けた、特別なお見舞いだった。
去年まで、お見舞いは着替えや日用品を届けてお医者さんに容態を聞くだけ。お母さんの顔は、運が良ければドアの隙間からチラリと見えた。
今年に入って良くなったらしく、まずは冬美が面会を許可された。最初はたったの5分。少しずつ回数を重ね、お母さんを刺激しない話題や言葉を探り、今では冬美だけなら面会時間最大まで許可してもらえている。
次に夏雄。最近背が伸びてきた夏雄は、子どもたちの中で髪色を除く見た目はお父さんに似つつある。
凍火ちゃんと焦凍の入学式の写真を事前に見せたりはしていたけど、お母さんからしたら数年間をスキップして、急に大きくなったようなもの。
不安になったけど、お母さんは夏雄とお父さんを混同することはなかった。
探り探りなところはあったけど、極めて普通な親子の会話。
だから最後、安心して凍火ちゃんとの面会に進んだ。
凍火ちゃんが最後なのは、お母さんが万が一錯乱した時、幼い彼女に与えるショックを心配してのこと。
でも小柄で細い体も、白い髪も、性別だって。凍火ちゃんにお父さんを思い出させるものはない。
せいぜい目の色くらいだけど、夏くんがいけたんだから大丈夫。
あまりにも楽観的な発想だった。
もしかしたら、妹が声を無くし、食事もまともに取れなくなったのはあの出来事のせいもあるのかもしれない。
「お、おかぁさん……?」
何かの本に影響でもされたのかも。
最近、ちょっとおしゃまな雰囲気を纏うようになった可愛い凍火は、でも子どもらしくお母さんを呼んだ。
病室はやけに冷たい空気で、花瓶に活けたリンドウの花も焼け石に水。寒さは得意な冬美でもそう感じた。
「うん、お母さんだよ」
「凍火ちゃんは久しぶりだもんな。……何年ぶりだっけ?」
虚ろな瞳でこちらをぼんやり見つめるお母さんに不安を覚えながらも、冬美と夏雄は凍火に言った。
「凍火……、凍火なの?」
「う、うん……」
凍火ちゃんは固い表情。とてもじゃないけど、お母さんに久しぶりに会う娘の顔には見えない。
……仕方ないか。個性が発現してから、凍火ちゃんを育てたのはほとんど夏くんと私だもん。
冬美はそう思った。あまりにも自然に思ったから、
お母さんは凍火ちゃんに駆け寄って、一歩前で急に止まって。
「
「燈矢、さん……?」
冬美は心臓が嫌に波打つのを感じて、夏雄は頭を掻きむしった。
凍火は燈矢を覚えていない。ほとんど関わりのない──関わることをお父さんが禁じた相手。そして、炎への耐性がなかったら、死ぬようなことをしてきた相手。
他人行儀な呼び方に冬美たちは悲しみこそすれど、不審には思わなかった。
「良かった……生きててくれて、本当に良かった……! 無理にヒーローになんてならなくても、おまえが生きていてくれれば、私はそれだけで……」
冷が凍火を──燈矢を力強く抱き締める。
「お母さん、違うよ……。その子は燈矢兄じゃないの」
「燈矢兄は、あの時いなくなったじゃないか!」
死んだ、はぼかして夏雄が真実を告げた。
冷は再び末の娘を見て、はっとした顔。
「焦凍……ごめんね……。本当にごめんなさい! 謝っても許されないことをしたのは分かってるけど、」
「え?」
「お母さん? 焦凍はここに来てないよ……?」
そして、冷はようやく実像を見た。
されど。
「冬美、夏雄……。この子は誰?」
「凍火ちゃんだよ! お母さんが産んだ、俺たちの妹!」
「違う! こんな子凍火じゃない! 私の子はどこに行ったの!? 返して
「え、お母さ……、……。凍火ちゃん、ごめんね。お外行こうね。帰り、抹茶のプリン食べに行こうか」
「う、うん……。おねえちゃん……お母さんだいじょーぶ?」
「………………大丈夫だよ」
ベッドの周りの物を投げて、冷は娘に化けた
重い物や割れ物は、初めから病室には入れられないようにされている。
だから、被害は軽いプラスチックのコップが、妹を庇った夏雄の腕に当たっただけ。
「夏くん大丈夫!?
「どうしてこうなっちゃったの……?」
「…………。凍火ちゃん、ごめんな……」
医者からはしばらく、凍火は冷に会わないようにと言われた。
冷のトラウマは大きく分けて3つ。
エンデヴァー。これはもう、その存在自体が。
燈矢。防げるはずの息子の死を、防げなかったこと。
焦凍。自分が付けた下手したら失明もので、下手しなくても一生残る火傷
凍火はその全てを想起させる存在だ。
目の色と個性がエンデヴァー。
さらに髪の色を加えて燈矢。
双子なのだから自然に焦凍のことも思い出させる。
それが原因だろうと、沈痛な顔で申し訳なさそうに医者は語った。
凍火ちゃんはビクビク震えて、その時はまだ食べられた大好物の抹茶スイーツでも上機嫌にならなかった。当然だ。
◇◆◇
これによって、フロストゲイルの活動中も凍火は別のところに存在している。アリバイが保たれる。普通の子どもの普通の生活が保たれる。
まあ、『氷分身』の声も凍火本体と共に失われた今、普通の生活が保たれているかは少し微妙だが。
凍火が母の──
精密に作れるのは、きっと、
氷には色はないから、
これだけじゃ氷人形は出来ても、自立して動く『氷分身』ではない。
魂を自分の体の外に出す
『実験』の影響で凍火の中に入ったみんなの魂。
その内まともに話せるくらいに元気な人のを切り分ける。大体は芽愛。
可愛い小さい女の子を演じられるし、それを本人も楽しんでいるし、凍火と一緒で冬美のことが大好きだし。
魂を切り分けると、戻すまでその人とお話し出来ないデメリットはある。けど、芽愛ならデメリットではない。
だって可愛い女の子を見るとうるさい。特にスタイルが良いとさらにうるさい。男の人にだって、『この方のお姉さまがすっごく大きなお胸の肉まんをお持ちです!』とか言う。
少し話が逸れたけど、『氷分身』の作り方は以上。
長々と説明したが、ここまで考えて作ることはまずない。各工程すら意識せず即座に作れる。
「お
と、切り出したのは芽愛だ。
『氷分身』に切り分けた魂を戻した時の記憶の同期によると、今日お見舞いに行ったらしい。冬美と夏雄も一緒。
「それは良かったな。このまま早く治ってほしい」
「凍火はいや」
「どうして? 長く離れてたから気まずいかもだけど……家族は一緒の方が良いよ!」
彩葉はまた、笑顔で凍火の地雷を踏んだ。
彼女の毛先だけが水色の桃色の髪が、無邪気に揺れる。
「家族……わたくしと冬美と凍火ちゃんのことですね!」
絵本のお姫様みたいな芽愛の金髪と碧眼。少し背が高めのモデル体型。
「夏雄くんと焦凍くんも入れろ。凍火ちゃんを義妹扱いすんな気持ち悪い」
みんなの表情もジェスチャーも。
音しか聞こえない普段とは違って、凍火ははっきり見ることが出来た。
ここは
寝る時に『幽体離脱』を半分だけ使うことでここに来れる。凍火が最近発見した。
「結構大事なお話なので真面目に聞いてくださいね?」
「不真面目なのはお前だよ」
「先程話したように、冷さんのお見舞いに行ったのです。冬美と
芽愛は不快な話を始めた。
あの女が何だろうが、凍火には関係ないし興味もない。
やっぱり頭のおかしい人が頭のおかしいことをしたというだけの話だった。反吐が出る。
「それで! わたくし、命の危機ととんでもない美人にハグされていることにドキドキしてしまいまして!」
「どっちの方が比重高い?」
「もっちろん、後者です!」
あの女からのハグ。
想像するだけで嫌。芽愛は訳がわからないし、分かりたくないけど喜んでいる。お見舞いに行ったのが彼女で良かった。
「多分ですが、ガチでわたくしが別人とバレてましたね。冷さんにも冬美にも夏雄にもお医者様にも、酷いことをしてしまいました。母親の勘って凄いですねぇ」
「そんなわけない。わたし、あの人とほとんど一緒にいたことない!! 頭のおかしい人が言ったことが、たまたま当たっただけだよ!」
「凍火ちゃん……あんまりお母さんを悪く言うのは」
「うるさい!」
「ひぃん……」
怒鳴り付けると彩葉は怯えた顔をした。
何か、凍火のいけないところが刺激される。ちょっと、ちょっとだけペチッてしたい。
「でも……」
「うるさい!! 素敵なお母さんとお父さんがいる人が、知ったような口聞かないで!」
駅で娘を探していますと、必死にビラを配っていた男女を思い出した。
仮に凍火が行方不明になっても、両親がああして探してくれるビジョンはない。
ただの醜い嫉妬で、彩葉を怒鳴りつけた。
「でもほら、やっぱりお母さんの愛情とかで分かったんだよ」
「ならば『
「違っ、そんなつもりじゃ……」
「あ、本題入っていいですか?」
「まだ本題じゃなかったの!?」
「お前この空気でよく言えるなぁ!」
しれっとした顔で芽愛は続ける。
「わたくしの演技は完璧だったのです。仮に完璧じゃなかろうが、3年以上離れていた子の立ち振る舞いが変わっているのが、それほどおかしなことですか? まして、色々影響を受けやすい年頃なのですよ?」
「3年……おっきいね!」
「小学校の友達と高校で再会するみたいなもんだろ? 何もかも変わってても変じゃねえよ」
「清楚系の子が髪染めてピアスバチバチにしててもおかしくありませんからね」
「なんかその例えヤダ」
「芽愛お姉さん、本当に不愉快だからやめてっ!!!」
凍火は想像してしまった。
冬美の耳を彩るたくさんの無骨な金属。横には褐色肌にタトゥーをバリバリに入れた妙に筋肉質な男が立ち、──。
脳が破壊された。実は芽愛も『崩壊』の個性を持っているのかもしれない。
「お姉ちゃんはそんな人と付き合わない! 離れろ!」
「勝手に幻覚見ちゃってる……大丈夫?」
「
「……この人たち大丈夫? 何にも起こってないよー、悪い妄想を本当と思い込むのは悪だよ。しゅくせー!」
彩葉に頭をペチペチ叩かれる。
凍火はハッとした。
「暴力を振るうのも悪だよ、彩葉お姉さん」
「えっ? ……。ごめんなさい……」
「ふふっ、2人とも可愛いです。それでですね、おかしいのはわたくしの体……! と考えたのです」
「芽愛センパイはおかしいけど、モデルさんみたいでスラッとしていて綺麗だよ!」
「それは知ってます。『氷分身』の方です。
凍火は疑問に思う。
芽愛は胸の大きい女の人が好きなはずだけど、胸の小さい自分にどうして自信があるんだろう。
「それはわたくしが完成された存在だからです。ご覧なさい、この美貌! 神がデザインした愛くるしさと美しさを兼ね備えた──」
「本題どこ?」
「もちろん凍火ちゃんもこの世にオンリーワンの可愛さですよ。彩葉ちゃんも。望さんは……ぷっ」
「……親父似の俺の見た目が褒められる=アイツが褒められるになるから別にいい」
母に似た容姿を棚に上げて、凍火は嫌いな親に似た望を憐れんだ。
◇◆◇
いつまで経ってもスキンシップがダメなのはおかしい。
擬態が上手くできれば、大好きな
週2でしか学校に『氷分身』を通わせていないのは、勉強したいなんて殊勝な理由じゃない。
ぶつかられて、転ける。そんな時傷口が思いっきり氷だったり、血が出るべきところで中が空白なのがバレたり。単に無遠慮に触られて固い氷なのがバレたり。それがダメだと感じたから。
その問題さえなければ、先生や黒霧、多分弔も凍火の学年の勉強くらい教えられるはずだから、学校にも行かずに済む。
……いや、弟に教わるのはプライド的に嫌だ。多分凍火の方が賢いし。
「まず大事なのが、感触。氷ではなく、出来るだけ人肌っぽい感覚にしたいです」
「だったら人肌の温度も大事だね!」
「ええっと、40℃くらいなんだっけ?」
「凍火ちゃん、それはちょっと高いなぁ」
「30℃?」
「真ん中くらいかな、他は……怪我してちゃんと血ぃ出るかとか? あと痣とか」
温度については簡単に解決できる。
人肌の温度にも関わらず固体を保ち続ける、溶けない氷を常に『氷分身』の素材にしているから、生成するときに『温度操作』で上手くやれば良い。
「ワタシの……『色塗り』でさ、氷の体が割れたところに赤色塗って、上手く誤魔化そうよ!」
「昔はあんなに凍火に個性使わないでって言ってたのに」
「言わないでよぅ! あの時は死んだ方が良い
普通の子がからかわれた時のように、彩葉は恥ずかしそうだ。
「良い案ですが不可能なのです。『氷分身』は無個性ですから」
「そうなのか?」
「ええ。ですよね、凍火ちゃん?」
「うん。体を作る時の『溶けない氷』とか、氷に『色塗り』で凍火の色付けるのは、ずっとキープ出来るの。でも、芽愛お姉さんだけになると、個性使えないみたい」
「えっ、『超器用』も? あれあほ芽愛のだろ?」
「2文字余計です! 個性因子自体は『氷分身』にありませんから。ですがわたくしの経験則から『超器用』がなくともあるのと同じくらいの緻密な動きは出来ます。考えなくても分かるでしょうに」
「はわわ……喧嘩はやめてー! せいさーい!」
彩葉が2人を小突いた。
「体内に入れる水を赤にしておけば誤魔化せますね? 粘度は……どうしようもありませんが」
「それより触った時の感触の方が大事だろ? どうするんだよ」
「あ! 凍火思ったんだけど、氷枕みたいなのはどう?」
「人間を触った時の感触なんて、骨の硬さと筋肉の弾力と肉の柔らかさをそれなりに再現できれば良いですからね。ええ、小さくてある程度溶けた氷を用意すれば比較的それっぽいものは行けるでしょう」
「骨は簡単だね! かったいのを作れば良いもん」
「あ! 良いこと思いついたぜ。皮を二重にすりゃ良いんだよ」
これまでの氷分身の構造。氷で出来た皮の中には臓器──とも呼べない部品が2つ。
凍火の体重、20キロ弱を再現するための重り。
食べ物を溜めておくための直方体の空洞。
これだけ。
簡単な骨もどきと、細かい氷の粒を集めて弾力を再現した筋肉もどき、水で再現した肉もどき。
改良した『氷分身』にはこれらが追加。
氷の粒の大きさや、氷と水の比重を何度も試行錯誤して、人間に最も近い感触を見つけた。
『氷分身』の表面は二重にして作り、赤い皮の上に肌色の皮を。これで表皮が割れても傷口をそれっぽく表現できる。
「ふっふっふっー! これでわたくしと冬美とついでに義弟たちの蜜月が──」
「じゃ、芽愛お姉さん凍火の代わりに学校もお願いね」
「え? あ、はい……そうですね。そういう話でしたね」
「テストは程よく間違えてね」
「わ、わたくしのプライドがー……! いや、義妹の人生と比べれば犬にでも食わせときゃ良いものですけどー……!」
「あんまりお友達作らないで。トマトは食べないで。わかった?」
「分かりましたー! その3つは守ります!」
「3つ“は”?」
「センパイ、セクハラは悪だよ」
「あ、凍火ちゃんのクラスメイトとか学校の先生はタイプじゃないんです……」
「お姉ちゃんのことを好きになる辺りは見る目があるよね」
「凍火ちゃん、本当にそれで良いのか?」
かくして、『氷分身』は改良された。
プリントを貰う時に手が触れても、体育の授業中人とぶつかっても、冬美に抱きしめられても、そのどれにも違和感は覚えられていない。
どのように確認したのかは簡単だ。
『思考誘導』で、『凍火に変なところがあったら言うべき』と誘導すれば良い。
全く思ってもいないことは行動の選択肢にならない個性で、凍火の体の感触を言われることはなかった。
ノートの落書きだの、暑いのに汗が出ていなくて不思議だの、声のこと大丈夫? とかは言われたが。
「冬美ちゃんって本当に良い子ですよね〜。わたくし、あの子の助けになりたいと言いますか、お手伝いだけでは満足出来ないと言いますか……」
「どうしたのお姉さん」
「冬美の夢を叶えたいのです。わたくしは、エンデヴァーを改心させます!」
『氷分身』を改良して数週間。
芽愛がそんなことを
「やるだけ時間とか体力の無駄だよ。お姉ちゃんやお姉さんが傷付くだけ。それに、凍火、別にあの人と仲良くしたくない。やめて欲しい」
「わたくしは天才なので分かりました!」
「本当に理解したかよコイツ」
芽愛はとりあえず了承してくれた。
……とりあえずは。
「つまりは無駄をわたくしが許容し、冬美を守り、お
「難易度ハード過ぎ……」
「ぜっっっったい無理って、凍火保証できるよ。本当にやめて」
「ええと……嫌がることするのは悪だよ……」
「分かりました。今度は本当に理解しましたよ、ええ」
凍火は不安になった。
『氷分身』が余計なことしたときのため、セーフティも、芽愛には内緒で付けておこう。
本物凍火がお見舞いに行った場合、ハグされた時点で突き飛ばして罵声を浴びせていました。
『肉体強化』の代償ですが凍火の喉の機能というより、『轟凍火の声』という概念が無くなったのに近いので、『氷分身』も声を出せません。
『氷分身』の構造
・髪→氷で出来た非常に細い糸だぞ! 例によって『溶けない氷』なので人の指くらいなら簡単に切れる危険物だ!
・感覚器官→ただの飾り! 神経も筋肉も脳もないのになぜ五感が働くのか、芽愛は不気味に思っている!
・消化器官→ないはずだぞ! 円柱の空洞に食べ物を溜め、放っておくとなんか吸収されている!
・肌→保冷剤みたいな質感だぞ!
大体こんな感じ。
4章の進捗あんまりです、年内に出せたら良いな。