亡霊たちの████アカデミア   作:炭火カルビ

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2.ハロー、ゴッドファーザー

 

 (なぎ)を囲む不審な男が2人。白い髪で和服の老人と、高校生くらいの黒髪。

 研究所の人間やチンピラと同じ、裏の世界特有の雰囲気。

 そんな人間が、小さな女の子と接触して何を企んでいるの? 凪をどうする気?

 どうせろくな答えじゃない。

 

 「わたしたちの妹に何してるの!!?」

 

 答えも待たずに凍火(とうか)は襲いかかる。

 凪の個性『隔離』があるのに、そもそもどうやってここに辿り着いたんだろう。それを聞きたいから殺すのはしない。

 機動力を削ぐために氷の弾丸で足に集中的に攻撃。

 

 〈太ももはやめときなさい。太い血管がありますから、死なれても困ります〉

 (わかったよ、芽愛(めあ)お姉さん!)

 

 以降放ったのは弾道を変えた。

 

 「お姉さま……凪は、」

 「何もいわなくてだいじょーぶだよ! 凪はわたしたちがまもるから!」

 

 何かを言おうとする凪を強く抱きしめる。モゴモゴ言ってるのがくすぐったい。

 そのまま空へ。

 

 「てめェ、待ちやがれ!!」

 

 老人の方が言うけど、聞いてあげる義理はない。

 

 「あれ?」

 

 何もなかったところに急に看板が現れた。避けて、その先の何もないはずのところにぶつかる。

 おかしい。絶対どっちかの個性だ。

 

 〈幻覚か? 厄介だな……〉

 

 凍火は地上に降りて、コンクリートの地面を蹴って走り出そうとした。

 地面を蹴ったはずなのに何もない。空振りした足はバランスが崩して転ぶ。

 

 「凪!! ごめんっ!」

 「否定。落下によるダメージは軽微なものです」

 

 転んだ拍子に凪を放り投げてしまった。でも、あの男たちとは距離があるから、先に回収すれば良い。

 凍火の考えに反して、老人は凪と手と手が触れそうなところまで近づく。それはほんの瞬きの間だった。

 

 〈『幻覚』と『テレポート』?〉

 〈待ってください(のぞむ)さん! これは――〉

 

 芽愛が答えを言うより早く、遠くにいたはずの黒衣の男が凍火の背後をとる。

 男が手を伸ばす。

 大丈夫。凍火は自分に言い聞かせた。『氷甲』があるから、どんな攻撃も通用しない。

 

 「ハァ……組長(オヤジ)を煩わせた罰だ」

 

 首に彼の指が触れる。人差し指か中指だろうか。

 どうして直接(さわ)れているの? 凍火は思って、

 

 〈恐らくお年寄りの方が距離感のみの錯覚、彼は……触った物の破壊? でしょうか〉

 〈待て、そしたら凍火ちゃんは!?〉

 

 その思考は永遠に止まった。

 かつて凍火だった肉が、裏路地を汚す。

 

 「提言。ま、待ってください……。疑問、なぜお姉さまと戦闘しているのですか? 凪の話を聞いてください……」

 

 最後に妹の声を聞けた。内容は理解出来なかったけど。

 

 ああ、やっと終わる。正しい終わりが来た。救いが来た。

 全身が分解される苦痛の中、まだ顔が残っていたのなら、きっと凍火は穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 程よい硬さと分厚さの煎餅布団。家具の木と、畳のい草の匂いが心地よい部屋。

 目覚めて最初に見て感じた物に、ホテル暮らしがもう終わって、寝てる間に家に戻ったのかと凍火は思った。

 

 〈凍火ちゃん〉

 

 望に呼ばれて思い出す。そうだ。あの時、凪を守り切れずに死んだんだ。

 どうして生きてるの?

 

 「目覚めたのか。組長(オヤジ)がお呼びだ。着いてこい」

 「え、あの、ここはどこ……」

 「答える必要はない」

 

 針のような変な髪型の男に言われて着いていく。『氷甲』を纏いたいけど、変に刺激するのは怖い。

 建物全体から感じるピリついた雰囲気に身を縮ませて、永遠に思えるほどの間廊下を歩く。

 

 「組長(オヤジ)、廻。あのガキをお連れしやした」

 「おう、入って良いぞ」

 「失礼しやす」

 

 針の男はおかしな敬語で恭しく襖を開けると、凍火の腕を引っ張って無理やり部屋に入れた。

 

 「凪! ……ぐへぇ」

 「お姉さま!」

 

 凪に飛びつこうとして、針の男に襟首を引っ張られた。

 

 「何するの!? っ、あの人たち、さっきのゆーかいはん……!」

 「ハァ……無礼なことを言うんじゃない。てめェの命の保証は出来ないぞ」

 「まあまあ、玄野、その辺にしとけ。互いに誤解があったみたいだ」

 

 白い着物に黒い羽織の初老の男。隣には、マスク、手袋、シャツ、ジーンズ。全てを黒に揃えた高校生くらいの男が控えている。

 間違いない。さっき交戦した2人だ。

 

 「まずは自己紹介から行くか。俺の名前は久遠(くおん)誠治(せいじ)、死穢八斎會――今のガキに通じるかわからんが、ヤクザの組長をしている」

 「治崎(ちさき)(かい)

 「玄野(くろの)(はり)だ。ここで暴れようと思うなよ。あんたは廻に1度殺されたんだから」

 「……どういうこと? やっぱりわたし、いきかえったの?」

 「その通りだ。廻の個性『オーバーホール』の前では命すらも――」

 「おい玄野、余計な情報を与えるな」

 「すいやせん」

 

 〈オーバーホール……馴染みのある単語です〉

 〈知り合い?〉

 〈いえ。ですが、一般名詞ですと、機械を部品単位まで分解して、清掃や修理をして新品同様に再組立てすること。超天才美少女エンジニアのわたくしには聞き馴染みのある言葉なのです〉

 〈ってことは個性もそんな感じか? 現に凍火ちゃんは『分解』されて、生き返ったのは『再組立て』〉

 〈ええ……厄介な個性ですね〉

 

 「なるほど。だいたい治崎さんのこせいのないようはわかったよ。ぶんかいとさいくみたてだね」

 「なぜ……!?」

 「なぜじゃない玄野、お前のせいだ。ハァ、虫並みの知能かと思ったが、それよりは頭が回るようだな。だがわかったところで何になる?」

 

 凍火は答えられなかった。

 恐らく触った相手にしか発動しないのだろうけど、この距離では凍火が仕掛けるより、治崎が触る方が早い。

 

 「おい治崎、玄野。喧嘩をするためにコイツを呼んだんじゃねえだろ。なーんも言葉に裏はない。誤解を解きたいだけだ」

 「だが組長(オヤジ)

 「あー……凪、ちょっと頼めるか」

 「快諾。凪はお爺さまの指示通りに個性を使います」

 

 凪の個性により、治崎が発する音が世界から消える。『隔離』ではなく、元々の個性の『吸音』だ。

 

 (なんか、なかよしだね)

 〈だな……これマジで敵じゃなかったパターン?〉

 〈だから言ったのですよ!〉

 (きいてないもん)

 

 「まず、俺らの認識から話す」

 

 路地裏で凪と会ったこと。残飯(!)や衣服、中途半端に施しを受けている様子。『成功作』のお姉さまが持って来てくれているという凪の発言。

 以上から、姉妹で格差を作るような虐待をされていて、その果てに凪だけ捨てられたんじゃないかと久遠は考えた。

 

 「それで、ヒーローや警察の保護は嫌がったから、コイツの姉貴が来るのを待って両親と『お話し』しようとしたって訳だ。クソ親なら喜んでガキを捨ててくれるだろうから同意の上引き取りゃ良い。誤解なら俺が損するだけ。頭の回るクソ親にヒーローを呼ばれようが、まあ誤魔化せる」

 「反省。誤解を生む発言でした」

 

 会話の成り立つ状態じゃない凍火が襲いかかってきたので仕方なく応戦。

 穏便に済ませたかったが手加減の出来る相手じゃなく、治崎が『分解』してしまったこと。『再構築』で蘇生させたこと。

 

 「これについては謝るが、正直お前と戦っている時にゃ三途の川が見えたんだ。それで貸し借り無しで頼む」

 「……まあ、凍火もわるかったし。ごめんなさい」

 「それで、凪から『実験』の話とかを聞いて、ひとまず俺らの方は事態を正しく認識したつもりだ」

 「凪、はなしたの?」

 「肯定。認識の相違を無くすために必要でした」

 

 コイツらが情報を何かに使わないか。

 凍火と凪をどこかに売るんじゃないか。

 

 「お姉さま。凪はこのお家で暮らすと決めました」

 「どうして……!?」

 「回答。元よりあの生活は、いつか終わりが見えていました。それに……凪の個性は変質、いえ、元に戻りつつあります」

 

 『隔離』は個性強化薬の影響で『吸音』が進化したもの。

 戻ったのなら、人の意識を逸らすことが出来ないから、ヒーローや警察に見つかる確率は上がる。

 

 「でも、……なにがもくてきなの?」

 「そりゃあ警戒されるよなぁ……放っちゃおけなかっただけだ。こんな小さいガキが、路上で暮らしているのなんざ」

 「お爺さまは凪に衣食住という対価を与えてくれますが、凪が払うものもあります」

 「なに?」

 「治崎さまの研究に協力することです」

 「けんきゅうって……お前!!」

 

 氷柱を生み出して刺そうとしたのを凪に止められる。

 

 「お姉さま。違います、痛いのも苦しいのもありません」

 「アイツらもそうゆった!! ああやって、やさしいフリしてお兄さんとお姉さんたちをころした!!」

 「彼らとお爺さまたちは別の人間です」

 「りょうほうとも大人でしょ!? 大人は人を騙すからしんじられない!!」

 「治崎さまと玄野さまはまだ未成年です」

 「こーこーせーくらいでしょ!! はんぶん大人!!」

 「……謝罪」

 

 『吸音』が凍火に使われた。

 言葉全てが空気に吸い込まれる。

 

 「凪にも得はあります。衣食住の他に、凪の体を研究してもらえるのです」

 「だからそれがダメなの!!

 「凪は幼いころから……受精卵のころから様々な薬品を使われてきました。お姉さまといるために、それらが体に残す悪影響を取り除きたいのです。補足、現状形として現れている悪影響はありません」

 「ならいいじゃん!

 「否定。薬の組み合わせすら無茶苦茶でしたので。お姉さまは凪と生きたくないのでしょうか?」

 

 そんなわけない。

 凍火は口をモゴモゴして、『吸音』を解いてと目で訴える。

 

 「じょうけん。けんきゅうには凍火もつれてって」

 「そのつもりだが。『実験』で使われた薬がまだ残っているなら、それをうちの――」

 「おい治崎。組で薬を扱うのは許さんぞ」

 「……。……製薬技術を扱えれば、組のフロント企業を増やせるだろ」

 

 どこか言い訳じみた調子で治崎は言う。

 

 「あの、そいつはうちで預かるんですよね?」

 「ああ」

 「そっちのガキは、ちゃんと家も家族もあるので?」

 「うん。あ、凍火は(とどろき)凍火(とうか)。個性は『温度操作』ってことになってるよ」

 「他には?」

 「あなたたちのこせいをおしえてくれるなら」

 

 治崎が凍火に腕を伸ばす。「待て」と久遠が制して、凍火はとりあえず一命を取り留めた。

 

 「俺の個性は『距離感操作』。そのままだ。距離感を錯覚させることが出来る」

 「へ? 私も言うんですかい? あー……『クロノスタシス』、頭の(これ)が刺さった相手の動きが遅くする」

 「たたかったとき何にもうまくいかなかったのは、さっかくのせいなんだね」

 「当たり前だ。お前ごときが組長(オヤジ)に敵うものか。それで、個性は?」

 「ほかには……」

 

 『肉体強化』『超器用』『白鳥』『シェルター』『毒』『色塗り』『幽体離脱』『光合成』『思考誘導』。

 『実験』に参加し、そして死んだ、凍火以外の9人の個性と簡単な概要を言う。

 

 「個性強化薬の影響で弱い『温度操作』でも氷が生み出せるようになったのか?」

 「……そうだよ!」

 「炎は? 出来るのか?」

 「できるかも、だけど……やりたくない」

 「…………」

 

 治崎から大きなため息。

 

 「理由は?」

 「ええと、ごめんなさい。さっきうそついたの」

 

 『氷結』が使えるのは個性強化薬の影響だけじゃない。『肉体強化』で姉兄()から受け継いだ『氷結』の遺伝子を強化したから、今使えている。

 同様に父から受け継いだ『炎熱』も使えるようになれるだろうが、凍火は父が嫌いだからやりたくない。

 

 「ってかんじで……」

 「ま、どの家でも父親と娘なんざ関係は悪いもんだ」

 「疑問。凪はどなたと喧嘩しても良いのでしょうか」

 「凪?」

 「入力。父親と娘は仲が悪い。出力。仲が悪くなっても良い方と親子関係を結べば良い」

 「そ、それはちがうような……?」

 「親子くらい近ければ良いところも悪いところもいくらでも目に付くってことだ」

 「俺は組長(オヤジ)の悪いところなんか見たことねえな」

 「凍火はお父さんのいいところ……あんまり知らないな」

 

 良いところは……強いところ。

 悪いのは、ええと、火が怖い、汗が臭い、声が大きい、足音がうるさい、髭を燃やすな、暴力をふるう、焦凍(しょうと)くん以外へ無関心、無駄にタフで逃げるのに疲れる、焦げ臭い、まだまだたくさん。

 

 「……とりあえず、凪をおねがいします」

 「ヒーローや警察を頼らなくて、本当にいいのか? 俺たちは世間一般的にはほとんど(ヴィラン)と同じだぞ」

 「凍火も凪も、ヒーローもけいさつもしんようできないの。そんなところに凪だって行きたくないし、凍火も妹をまかせられないよ」

 

 久遠は痛ましいものを見る顔をした。

 

 「それに、ほんとうにわるい人はそうやって、えっと……」

 〈忠告?〉

 「ちゅーこく、してくれないから」

 「本当に悪い奴は、自分が悪人だから気をつけろとも言っちゃくれねえぞ」

 

 凍火は思わず笑ってしまった。

 さっきの久遠の顔。あれは、凍火を被害者の子どもと思って助けようとして、助けを拒まれたヒーローと同じ顔だった。

 

 「ちょっと待ってくだせえ。話が逸れやしたが、こいつは普通に家に住んでるなら――」

 「そういう話だったが……、あ」

 「あ」

 

 玄野の問いに、久遠がまぬけな声を漏らした。

 凍火も、五十音の最初の文字を輪唱。

 

 「まずい……冬姉と夏兄がしんぱいして、凍火をしんぱいしすぎてねむれなくなる……!」

 「行方不明とかで騒がれたら不味いな……。一晩ならまだ平気か?」

 「否定。前提、お姉さまのお父さまはヒーローです。説明、ヒーローに恨みを持つ(ヴィラン)がお姉さまのご実家に襲撃しに来たことになってるそうで、お姉さまたちは厳重な警備の下ホテルに暮らしている、と」

 「ことになってる?」

 「回答。実際の目的は試作品(プロトタイプ)であるお姉さまの確保です」

 「だいじょーぶだよ凪。氷でつくったおにんぎょを、凍火のかわりにおふとんに……あっ、きえてる」

 

 『氷結』で作った凍火そっくりの人形。

 例によって溶けなくしてある。氷だから触られたらバレるし、動かないから声をかけられても長時間起きなければマズい。

 

 せっかく作っておいたのに、治崎に殺された拍子に消えていた。

 今頃凍火の行方不明で家族も護衛のヒーローも大騒ぎかもしれない。

 

 「と、とりあえず凍火はたんけんで出ていったことにして……もどったらおこられるかなぁ。しかたないなぁ」

 「……うちから1人、カタギの真似が上手いヤツを出す。たまたまそっちに出張してたソイツに、迷子のお前さんが保護してもらったことにしろ」

 「ええと、治崎さん? 玄野さん?」

 「廻がカタギの真似、上手そうに見えやすかねえ? 滲み出る物とか、やっぱガキにはわからないか」

 「にじみ出る……いじわるさ?」

 

 玄野に睨まれた。当の治崎は気にしてなさそうだ。

 

 「そこのは、」

 「はい?」

 「放っとくのか」

 

 治崎は凪を示して言う。

 

 「反論。凪には“試験個体7号”でも“お前”でも“そこの”でもなく、お姉さまに名付けられた立派な凪という名前が――」

 「どうでも良い」

 「憤慨! 追記、お姉さまが凪を捨てるわけないでしょうに!」

 「あのぅ、しつもんしていい?」

 「快諾。凪に答えられることなら!」

 

 凪には悪いけど、きっとわからないことだ。

 凍火はおずおずと口を開き、ここからホテルの近くの駅までと、家の近くの駅までの距離をそれぞれ聞いた。

 十分なお金があれば週1くらいなら通える。

 少し距離が長いから、『氷羽』で飛んでいくのは非現実的。飛行可能個性+捕縛可能個性にタッグを組まれたら、凍火はいとも簡単に捕まってしまう。

 

 「……うーん」

 

 大事な妹を6日も放っておく? 論外。

 

 〈凍火ちゃん、前に瀬古杜岳でやったやつだけど……〉

 「あっ!!」

 「落胆。凪はお姉さまの質問に十分な回答が出来ず落ち込んでいます」

 「凪! あのね、ずっといっしょにいれるやり方、思いついたよ!」

 

 〈それで、どっちが轟の家で過ごす役目するんだ?〉

 〈それはもちろん、この超天才美少女が完っ璧に凍火ちゃんを演じます! この芙院(ふいん)芽愛は演技力も兼ね備えている……才能がありすぎて天すら羨む、まさに悲劇の美少女なのです〉

 〈……なんでやりたいんだ?〉

 〈ふっふっふっ、凍火ちゃんのお家には超可愛くてお胸の肉まんも大きなお姉さんがいるじゃないですか〉

 (肉まん?)

 〈うわぁ……〉

 〈ここにいても男の人しか現状いなさそうですしね。でもわたくし好みの女性がいらっしゃれば、望さん代わってくださいね〉

 〈俺を便利な道具だとでも思ってるのか?〉

 (なら、お姉さんにおねがいするね。お兄さんにいじわるしちゃダメだよ。えーと、けんかしないで、お父さんとお話しないで、凍火の体でトマト食べないで。それだけまもって!)

 〈あら? アレルギーではありませんでしたよね?〉

 (まずいし、ぐちゅぐちゅがきもちわるいの。あんなの凍火の中に入れないで!)

 

 「はい。ただいま再誕しました。さながらキリストのこの超天才白髪儚げ虚弱美少女が、完璧に轟凍火を演じ切ります」

 「ずいぶんキャラが違いやすね」

 「あ、あはは……」

 「驚愕っ、お姉さまがお2人!」

 

 芽愛の魂――のようなものを入れた『氷分身』を家に返す。

 カバーストーリーとしては、『上手く護衛のヒーローをすり抜けて、ホテルの周りを探検したら迷子になってた』だ。下手に話を作り込むと矛盾点が生まれてしまう。

 

 「それじゃ、よろしくね。凪の生活と安全をほしょうしてくれるなら、凍火はなんでもするよ。それに、あなたたちが凪に悪いことしないか、見はらないとだもん」

 「ああ。組長(オヤジ)がお前らの存在を認める間は、それなりに扱ってやる」

 「ま、そんなに気負わず過ごしてくれや。治崎だって変なことはしないだろうし、ただの検査と思ってくれ」

 

 凍火と治崎は睨み合った。

 一度こっちを殺した相手。油断ならない。

 

 「はい、凪は気負わず過ごします。質問、気負わず過ごす方法を教えてください」

 「とりあえずガキは菓子でも食ったらどうだ?」

 「玄野。ガキが汚したらどうするんだ」

 「質問。菓子とは?」

 「は? あんみつとか饅頭とか……甘いもんだけど。あ、煎餅とか甘くないのもあるか」

 「納得。糖分補給ですね。ルーティン通り、凪はブドウ糖の点滴を所望します」

 「いや……そんなんじゃなくて、口から食えば?」

 

 困惑したように玄野が言う。

 こっちはあまり怖い人じゃないのかも。凍火は絆されそうになったのを自覚して、慌てて警戒心を引き戻した。

 

 「……あっ」

 

 ギュルルと、凍火のお腹が鳴る。

 顔が赤くなったのが恥ずかしくて、『色塗り』で顔を肌色に塗る。治崎が見てきたのが不快だ。

 

 「飯にするか」

 「賛成。人数分のチューブはどこに?」

 「チューブ……?」

 「疑問。……お姉さま以外の人間も、スプーンや箸を食事に用いるのですか?」

 「普通はそうだろ」

 

 研究への協力ってなんだろう。

 どうして無敵の『氷甲』が破られたの?

 

 治崎廻。おそらくこの中で最も強く、神の領域に片足を突っ込んだ個性を持つ男への対策を、凍火は幼い頭で考え始めた。

 




曇らせタグ追加しました。


この章のオリキャラメインヒロイン。虚弱義妹ロリ。
個性はようするにナギナギの実です。

治崎・玄野
(玄野は年齢不明ですが)、まだこの時系列では高校生くらい。
高校には通っていません。玄野の口調難しい。

久遠
半オリキャラ。エリちゃんのお爺ちゃん。
個性は某ラノベの魔法からほぼそのまま持ってきました。
名前は個性由来+ちょっとヤクザっぽい感じに。

オリキャラ・オリ個性等の設定まとめ

  • 欲しい(各章の最後に、その章でのまとめ)
  • 欲しい(最新話段階でのまとめを第1話)
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