斎藤家の愚息   作:熊田ラナムカ27

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 完結を機に推しの子を一気見して、気付けばキーボードに手が動いていました。
 
 どんな結末であろうと、どんな感想があろうと、彼女彼等に幸せがある事を願わずにはいられない。
 
 というわけで、推しの子の世界にクズを投入するという結論に至りました。
 
 何故こうなった?
 
 好評だったら続くかも。
 
 


幼年期編
1 この世に神なんていない


 

 

 

 現実というのはノンフィクションである。

 

 というか、ノンフィクションでないと非常に困る。

 

 最近流行りのチート転生やら、過去へ戻ってのやり直しやら、ご都合展開なんて現実には存在しないし、あったとしてもそれは物語(フィクション)の世界だけ。

 

 少なくともそんなものがあったら、俺の両親が物心つく前に蒸発して施設で育つなんて事も無かっただろうし、今時珍しい典型的なブラック企業に入社する事も、サービス残業の末にエナドリの飲みすぎで死ぬ事も無かっただろう。

 

 思い返せば思い返すほどクソみたいな人生で、ようやく死ねた事に安堵すらしている。

 

 こんな思いをするくらいなら、生まれない方がよっぽどマシだったとつくづく思う。

 

 要するに何が言いたいかというと………この世界に神はいない。

 

 いたとしても………紛う事なき邪神だという事だ。

 

「おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!」

 

『出せ!!ここから出せ!!さもなくばスマホを寄越せ!!』

 

「おっと、また泣いてやがる。オムツは変えたばっかりだし、部屋の温度も調度いいはずなんだかな。やっぱり、ベビーシッター雇うべきだったか?」

 

「そうは言っても……うちの事務所は今が勝負の時でしょ?余計な出費は避けたいし………せっかくの子供だもの。出来る限り自分達でやった方がいいって、こないだ決めたばっかりじゃない」

 

「それは分かってるが……こうもよく泣かれるとな。そろそろ泣き止んで欲しいんだが……今度はどうした?抱っこして欲しいのか?それともお腹でも空いてるのか?」

 

「おぎゃあー!!」

 

『ちげーよ!誰がてめぇなんかと赤ちゃんプレイするか!?その手に持ってるスマホを寄越せって言ってんだ!こちとら死んだはずだってのに………何でこうなった?!ふざけんじゃねーよ!!F○ck!!』

 

 三十路間近の社畜として死んだはずの俺は、生まれ変わり、今風に言うと転生というものをしたらしい。

 

 気付いた時にはこの体に入っていて、拒否権なんてものは存在しなかった。

 

 というか、拒否権があったら全力で行使していた。

 

「この子……やっぱり私のおっぱいを飲もうとしてくれないわ。………もうとっくに分かってはいたけど。どうやら私には、母親の才能が全くっていいほどないみたい………」

 

 現在俺に赤ちゃんプレイを強要未遂。

 

 もとい、ミルクを飲ませようとして落ち込んでいる女性の名は斉藤ミヤコ。

 

 その落ち着いた立ち振る舞いからとっくに20歳前半は終えていそうなものだが、何処からどう見ても20歳かそこらにしか見えない美魔女。

 

 ちょくちょく本人は母親の才能がないと嘆いているが、決してそんな事はない。

 

 どう考えても、赤ん坊の中身が三十路間近のおっさんなのが悪い。

 

 つまりは俺を転生させた張本人こと、邪神が全て悪い。

 

「ま、まぁ、そう言うな。赤ん坊の中には哺乳瓶の方がいいって子もいるみたいだからな。きっと、いつかは飲んでくれるだろ。…………多分

 

 たま○よ片手に、哺乳瓶でミルクを飲ませているヤクザ。

 

 もとい、ロリコン・ドルオタ・ヤクザ社長。

 

 要約してグラサンの名は斉藤壱護。

 

 小さなアイドル事務所、株式会社苺プロダクションの代表取締役でなかなかのやり手っぽいのだが、問題は所属しているアイドル。

 

 全員が年齢的に中学生って……どう考えてもヤバい。

 

 ほぼ間違いなく趣味丸出しメンバーであり、少なくとも俺の中ではロリコンで確定だ。

 

 こんなヤクザもどきであり、犯罪者予備軍がギリギリ世に蔓延っているのは、どう考えても邪神が悪い。

 

 というか、この世の中の悪い事の大半は全て邪神のせいだ。

 

 たった今俺がそう決めた。

 

「じゃあ俺はそろそろ事務所に行くから、家と(まこと)のこと頼むわ。それとデスクの方に事務の仕事は多少残ってはいるが、決して無理するなよ。これでも医者に無理言って早めに退院してんだから」

 

「はいはい、わかってるわよ。言われなくても無理なんかしないわ。ほーら。真もパパにバイバイして」

 

「ばぶ。はぶー」

 

『間違っても手は出すなよー』

  

 兎にも角にも、俺はこの2人の息子。

 

 斎藤真としての、第二の人生が始まった。

 

 俺が転生したこの世界は、俺のいた世界と似ているようで所々違う。

 

 2人が仕事と育児疲れで仮眠を取っている間にスマホを拝借して年数やら情勢を確認したところ、四宮やら四条やら明らかに知らないワードが点在し、本来2005年に普及していないはずのスマートフォンが当たり前に普及している。

 

 決定的なのはこの世界にいる人間の髪色だ。

 

 染めてもいないのにピンクやら青やらの髪色が産まれながら、それも日本で存在するわけがない訳が無い。

 

 かく言う俺の髪色も、グラサン譲りの産まれながらの金髪。

 

 目の色に至ってはミヤコ譲りの赤っぽい茶色だ。

 

 つくづく日本人(前世基準)離れしていると思う。

 

「あっ、また私のスマホ勝手に見てる。最近の子供って成長が早いのね。それとも………真って、もしかすると天才だったり?」

 

「ばぶーぶ」 

 

『そりゃ中身はおっさんだからな』 

 

「そうね。そろそろおっぱいの時間ね。ここのところは哺乳瓶よりママの方がいいみたいで私も嬉しいわ。沢山飲んで大きくなりさい」

 

「ばーぶ」

 

『だからちげーよ。哺乳瓶の方が気楽だし。腹が減ってたのは間違いねーけど』 

 

 最早恒例になりつつあるディスコミュニケーションをしつつ、スマホを手放してミヤコに体温を預ける。

 

 初めの方は断固として哺乳瓶を手放そうとせず、オムツの取り替えや風呂は基本グラサンに任せていたのだが、少し前からミヤコにも任せるようにした。

 

 理由はというと非常に単純で、ミヤコが典型的な産後うつに陥いった上に、同性という事で必然的に懐いているように見えたグラサンが、強い嫉妬の視線を向けられて泣きついてきたからだ。

 

 正直俺個人としては無視してもよかったのだが、仮にも俺は2人に育ててもらっている立場であり、日ば俺は直属の部下のような存在。

 

 上司である2人が仲違いするなんて事は俺にとっても大問題であるし、現状を顧みても業務が一部止まっていて、多少ではあるが問題も少しずつ生じつつあった事もあり、早急に対処する必要があったのだ。

 

 俺は相変わらずこの転生には納得してないし、今にでもこの第二の人生を終わりにしてもいいとすら思っている。

  

 ………だが、普通の子供を産むはずだったのに、何の因果か俺を産んだミヤコと、ついでに一応その父親であるグラサンは違う。

 

 不器用ながらこんな可愛げのない、中身おっさんの俺を愛してくれてるし、俺を本当の息子だと()()()()()()()

 

 社畜として10年以上を過ごしてきた身として、同じ邪神の被害者として、これには俺も白旗を上げるしかなかった。

 

「あら、もういいの?恥ずかしがることないんだから、もっとママに甘えてもいいのに」 

 

 ただし、一応言っておくが、断じて赤ちゃんプレイが好きになった訳ではない。

 

 俺がこんな思いをするのも、最近やたらミヤコが抱き着いてくるようになったのも、やはり全ては邪神が────(以下略)。

 

 斯くして、1年と少しの月日が流れた。

 

 俺はようやく立って一人で動けるようになり、ようやく地獄の赤ちゃんプレイから卒業した。

 

 またそれに伴って、転生した直後から怪しまれない為に封印してきた日常会話についても少しずつ開放し、ミヤコやグラサンとも意思疎通が出来るようになった。

 

 子供扱い(実際子供)を止めてくれないのは少し不服ではあったものの、それでもディスコミュニケーションをせずに済む生活というのは実に素晴らしい。

 

 初めての2人に発する言葉としてパパやママではなく、敢えてグラサンとミヤコを選択したのも、我ながらナイスチョイスだった。

 

 片や俺を天才だと大喜びし、片や両膝をついてへこんでいる姿には、思わず心の中で大爆笑したものだ。

 

 知らないとはいえ三十路間近のおっさん相手に、2人とも何をはしゃいでいるんだか。

 

 そんな生活を送っていたある日、グラサンが推しているアイドルの一人に変化があった。

 

 何でもここ数日体調不良だとかでダンスのレッスンを休む事が多くなったらしく、ミヤコ曰く様子もおかしかったとのこと。

 

 今日に至っては姿が見えないはおろか、休む連絡が一切来ていないらしい。

 

 現在グラサンが血相を変えて、そいつの家に向かったはずなのだが………あの地味にマメなグラサンが何時まで経っても連絡を寄越さないというのは少しおかしい。

 

 まさかあのグラサン………遂に手を出した訳じゃないだろうな?

 

「その体調崩してるアイドルの名前って、そういえばなんだ?B………なんちゃらに所属してる事は知ってるが」

 

「B小町の星野アイね。真も一応だけど会った事あるのよ?結局直接会ったのは1回だけだし、その時の真はベッドでぐっすりと寝てたけど」

 

「そりゃ覚えてる訳ねーわ。寝てたんじゃ会ったことないのとほぼ同じだし。何より俺、アイドルとかに興味がある訳じゃねーしな」

 

「ほんと、我が息子にしてはそこら辺随分と淡白よね。これでもうちが誇る美女の集まりなのに。それはそうと、また口悪くなってる」

 

「へいへい、そりゃすいません」

 

「まったくもう………」

 

 呆れた様子のミヤコを無視してスマホを弄り、動画配信アプリのB小町に関連する検索候補の一つをタップして動画を再生する。

 

 これまでグラサンの事を散々弄って来た俺ではあるが、あんなんでもあのグラサンは小さいとはいえ一つの事務所の取締役であり、その息子である俺は仮にも御曹司という事になる。

 

 それなりの立場にいる人間として最低限、苺プロダクションという会社について知っているつもりなのだが、その所属アイドルであるB小町についての知識はあまりない。

 

 単純に家がいる事が多くそのアイドルに直接会う機会がなかったというのと、俺がプロデュース業の事ばかりに興味を示して、アイドルという仕事にあまり興味を示さなかったからだ。

 

 意気揚々と自分達の仕事について語りつつも、その手の道に俺を引きずり込もうとするのを、グラサンは早々に諦めた。

 

 前世でアイドルやらの娯楽に興味を示す暇がなかった社畜を相手にする方が悪い。

 

 2歳を間近にしてワーカホリックを再発症しつつある俺も十分あれな気はするが。

 

 ……それにしても星野アイ。

 

 ずっと前にその名前を……何処かで聞いたような………。

 

『ミヤコ、俺だ。大急ぎで事務所の方にまで来て欲しい。アイについて重要な話がある』 

 

 件のアイがセンターを務める動画を流し見していると、グラサンからミヤコに連絡が届いた。

 

 連絡が遅いので察しはしていたが、面倒事に絡まれたらしい。

 

「仕事の話ってなら俺は家に残っていた方がいいか?鍵さえ貰えれば留守番でも何でもしておくが」

 

「その歳にしては随分と大人びているし、気を使ってくれてるのは嬉しいけど、2歳にすらなってないあんたに留守番なんか頼める訳ないでしょ。勿論一緒に来てもらうわ」

 

「あー、これが独裁体制か。社畜は結局大人しくし上にこき使われるしかないんだー。家でぐだぐだ休む事も出来ないんだー」 

 

「誰が独裁体制を敷いてるって?そんな言葉何処で覚えたのよ?」

 

「ユーチューブ(適当)」 

 

 巫山戯つつも家の前に呼んでおいたタクシーに乗り込み、俺とミヤコは苺プロダクションに向かった。

 

 ここで何の躊躇いもなくタクシーを使う判断の速さ、我が母ながら惚れ惚れする。

 

 前世の俺なら値段と睨めっこして10分は時が過ぎていただろう。

 

 これが社長夫人と万年金無しサラリーマンの差か。

 

「あっ、真君だ!久しぶり!ちっちゃい頃会ったことあるんだよ?私のこと覚えてる?アイお姉ちゃんだよ?」

 

 事務所の社長室で先に待っていると、グラサンと一緒に入ってきた長髪の女性が勢いよく俺に抱き着いてきた。

 

 座っていたソファーから落ちそうになるも、グラサンに支えてもらってどうにか座り直す。

 

 一応初対面とはいえ、来る前に動画を見てきたのだ。

 

 というか、明らかに纏っているオーラとも言えるものが普通の人間とは違う。

 

 見間違える訳が無い。

 

 彼女一人で観客の心を鷲掴みにするほどの美貌を持ち、結成から4年、B小町をじわじわ押し上げてきた中心人物。

 

 B小町のセンター、星野アイその人だ。

  

 ……ついさっき動画を見てた時も思っていたのだが、実際にこうして見るとことん思う。

 

 彼女の姿を、これよりずっと前に見た気がする。

 

 尤も、今ほどお腹は膨らんでいなかった気もするが。

 

「悪いが、全くといっていいほど覚えていない。あと重いからさっさと座れ。生憎と0歳の時を記憶を持ってるほど俺は頭良くはないんでな。もしもを期待しているのなら、さっさと諦めろ」

 

「ガーン、そんな。しかも結構毒舌。昔はあんなに小さかったのに……私ちょっとショック」

 

「気にするな。あいつの口の悪さはいつもの事だ。その歳でそれだけ弁えてれば十分だろう。とにかく、今は時間が惜しい。言っておくがこれは他言無用だ。お前達なら大丈夫だと思うが絶対に誰にも話すな。話せば最後、冗談抜きで事務所が吹き飛ぶ」

 

 地下に大量の爆薬でも仕掛けているのだろうか?

 

 あとそんな重要な話に幼児を巻き込むな。

 

 俺じゃなかったら言いふらしてるぞ。

 

「単刀直入というとこのクソアイドルがな………妊娠しやがった。まだちゃんと調べてないから合ってるかどうか分からんが。………というか、どうか間違いであってほしい」

 

「やっぱり浮気か。いつかやると思ってた」 

 

「してねーよ!?お前は本当に俺に対しては特に辛辣だな!ミヤコもミヤコでそんな目をするな!誓って手は出していない!俺からしても父親が誰か知りてーくらいだ!!お前もお前でいい加減父親が誰かぐらい教えろ!!」

 

「えへへ、ごめん。それは内緒で。強いて理由があるとすれば、2人が羨ましかったからかな?」

 

「な、なんだそりゃ!?こ、この……クソアイドル………ッ!!」 

 

 何故か照れた様子のアイをグラサンは睨み、俺は養豚場の豚を見る目でグラサンさんを見る。

 

 アイドルという仕事はグラサンの言うところ、嘘を吐く仕事だ。

 

 芸能界という笑顔の裏で嘘と打算が隠れた世界で嫌々嘘を吐き、そんな嘘で全てを圧倒して魅了する。

 

 夢を売り、いつでも可愛く、純粋で綺麗で、真っ直ぐな歌を歌う。

 

 愛という嘘をファンに届ける為に。

 

『つまり、アイドルはつまるところ歌って踊れる、顔がとてもいい詐欺師って事だな。毎度の如く飽きるほど嘘を言って、それに満足した客から金を巻き上げる。なるほど、なるほど、勉強になった』

 

『お前それ全アイドルファンの前で絶対に言うなよ!?冗談抜きで何されるか分からねーからな!!間違ってないけど致命的に間違ってる!!』

 

『間違っていないのなら別にいいだろ』

 

 そんな問答を夜中に繰り返し、2人してミヤコに大目玉を食らったことを思い出した。

 

 俺を極力事務所に連れてこなかった原因はこれか。

 

 なんか腹が立ったので、とりあえず制裁として今日のグラサンの飯の中に、わさびと辛子を丸ごとを1本ずつ仕込む事を決めた。

 

 それを虫の知らせで察知したのか、グラサンは背筋を震わせる。

 

「とにかく、私はこの子を産む事にしたから色々よろしくね!真君もこの子のお兄ちゃんとして頑張ろうね!お姉ちゃんも頑張るから!」

 

「何言ってんだ!まずは検査だ!検査!気のせいって可能性もある。もしかすると、物凄い便秘って可能性も……僅かながらあるかもしれん」

 

「そっちは順調だから大丈夫!それに、わかるから。これは絶対に気のせいなんかじゃないって」

 

「事務所的にはそっちの方がいいんだよ!あとアイドルがそういう事を言うな!」

 

 お茶目を超えて、一歩間違えれば下品に片足を突っ込んだアイをグラサンは叱る。

 

「はぁー……。真の子育ても一旦落ち着いたのに……どうしてこうなるのかしら………。私の使ってた病院が都市部で人目が多くて使えないとなると……最初から探さなきゃ駄目ね………。地方に宛なんてないわよ………」

 

「ねぇねぇ、ミヤコさん。これからはママ友だね。真君を産んだ時ってどんな感じだった?買っておいた方がいいものとかある?名前はどんなのがいいかな?」

 

「どうにでもなれ………」

  

 まさかの子育てセカンドシーズンを幻視したのか、ミヤコは机に突っ伏した。

 

 一方の俺は無表情になる。

 

(………あっ、思い出した。確かアイって………『推しの子』って漫画で殺されるキャラの名前だ。………えっ、この人って、うちの稼ぎ頭だろ?そんな奴がいなくなったら………うち終わるんじゃね?)

 

 ずっとアイを見た事がある気がしていたが、ようやく思い出した。

 

 俺はこの人を前世で見た事がある。

 

 俺の勤めていたブラック企業のサボり魔筆頭の後輩が隣でこの人が出る漫画を見つつ、アホみたいな量の仕事を俺に丸投げしてきたのだ。

 

 あの時の光景は嫌でも忘れられない。

 

(どうしようにも俺は『推しの子』を読んだ事はないし、俺が見たのはアイが死んだシーンだけだ。状況も時間も経緯も何かもが分からん。唐突な事故で死んだのかもしれないし、病気で死んだのかもしれない。もしかするとあれはただの夢って可能性もあれば、すぐ先の出産の為の手術で死ぬ可能性もある。………これ、防ぐの無理じゃね?)

 

 ほぼ無限に発生しつつあるアイの死亡フラグ、そして俺の第二の人生崩壊の危機に、俺の思考はフリーズした。

 

 何でこうなるんだ?

 

 何でこっちでもこんな目に遭うんだ?

 

 何で俺はこんな災難に遭うんだ?

 

 ………理由なんて決まってる。

 

 この世に神なんていない。

 

 全ては邪神が悪いからだ。

 

「あー、そうだな。名前なら今流行りのキラキラネームがいいと思うぞ。絶対周りの目を引くからな。目立つこと間違いなし」

 

「あっ、いいね!それ採用!流石お兄ちゃん!早速大助かりだよ!」

 

 とりあえずストレスを発散して、今日は早く寝る事に決めた。

 

 

 

 

 

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