9 推し活最高
シスコンビがそれそれの用事で事務所を出て行ったタイミングで、タブレットの動画を再生する。
部屋にいるのは私とルビーとミヤコさんの3人だ。
『今日からガチ恋始めます』
通称ガチ恋のタイトルが初めにデカデカと表示され、続いて番組と出演者達の紹介をまとめたPVがタブレットに流れた。
出演達が1人ずつ順番に画面に映し出され、それぞれの魅力について続々とアピールされていく。
「なるほどね。芸能活動をしてる高校生達が週末色んなイベントを通じ交流を深め、最終的にくっつくとかくっつかないとかそういう番組。鏑木Pの番組ってだけあって皆顔は良いわねー」
だからこそ……とても複雑だ。
『星野アクア。高校1年の役者だ。よろしく』
ボーっとなって少し考え事をしていると、当の本人のアクアが画面に登場した。
「あ、お兄ちゃん出た。けど、思ってたよりフツー。何処にでもいる高校生って感じだね。いつもの陰のオーラを発しているお兄ちゃんとは別人だけど」
「視聴者目線を狙ったキャラ作りをしてきたみたいね。こういう視聴者に親近感を与えるキャラってこういう高嶺の華って感じの番組だと重宝されるし、下手な動きをしない限り叩かれる事もないから無難っちゃ無難なのよ。あとこのキャラならあいつに兎や角言われる事はないだろうし」
「お兄ちゃんって結構姑息なところあるからなー。確かに嬉々としてやってそう。そういうキャラ作りしてるってロリ先輩よくわかったね」
「伊達に子役時代から芸能界にしがみついてないっての。あんま私を舐めんな」
口では強気に振る舞いつつ、私は内心安堵した。
視聴者目線を狙ったキャラはこういう恋愛番組で重宝される一方、箸休め的役割を視聴者に求められる事から、他の出演者達との絡みを求められる事はあっても、本格的な恋愛要素を求められる事は少ない。
ある意味安定感はあるが、ある意味面白みも少なく、普段はそこそこ画面に映りつつも、ここぞという場面では画面外にいる事も多かったりする。
恋愛番組であるまじき全員との友達エンドを迎えがちな点も私にとってポイントが高く、これなればそういう心配をしなくていいという期待感があった。
現にユーチューバーの子にちょっかいをかけられて、本来ならば冷や汗をかいてドキッとする展開も、過敏に反応する事なく────
『えぇ~かっこいい~っ。役者さんってあこがれるぅ』
『ありがとう。けど、恥ずかしいな。MEMちょみたいな可愛い子にそんな事を言われるなんて』
「「は?死ね」」
見る事は出来なかった。
大変遺憾である。
「なんだあいつ……私には可愛いなんて全く言わないくせにかまととぶりやがって………!」
「あいつ昔から素で女たらしだから……ほぼ間違いなく無自覚でやってるよ………。帰ったら説教だわ………。結局アクアもオスなんだね」
「チョロそうなメス見つけたらすぐコレだよ」
アクアの評価は地の底まで落ちた。
一番の問題児がまだ控えてるというのに。
「二人とも。コレメディア用だから落ち着いて。アクアが女たらしで、身近な男が女にデレデレしてる所見ると腹立つのは分かるけれどね。アクアも役者。これはそういう仕事。割り切っていかなきゃ業界でやっていけないわよ」
私達がアクアをボロクソに言っている一方、社長夫人でアクアの母親であるミヤコさんは、この業界での歴が長いだけあって冷静だった。
アクアが女たらしという部分は同意見らしい。
「分かってますよ。これがそういう仕事で、芸能界の貞操観念なんてあってないようなもんだって」
私だって分かってる。
アクアという才能ある役者がこの業界で生きていく以上、遅かれ早かれこういう展開にはなっていた。
例え私があいつをどう思っていようと関係なく。
理解は出来る。
自分に言い聞かせる事も出来る。
でも、例えそうだとしても………ッ。
『どうもどうも。高校3年で芸能マネージャーをしている斉藤真です。弟に負けないよう頑張るので皆さん是非ともよろしく』
「せめてこいつが出演するのだけは本当にどうにかならなかったんですか?お茶の間と出演者達を道連れに自爆テロを決行するようなものですよ?正気の沙汰とは思えません」
「こいつさらっとアクアを弟呼ばわりしやがったよ。後でどうやってとっちめてやろうかな」
いつも以上に媚び顔全開で登場したクズを、私は指差して最大限の抗議を行い、ルビーはメラメラと瞳の奥で殺意の炎を燃やした。
ミヤコさんはというと思いっきり目を背ける。
「この前のドラマを成功させる為に、かなり真が無茶苦茶やったでしょ?その時の貸しを鏑木プロデューサーを返すには………こうするしかなかったのよ。私だって断りたかったけど………名指しで指名されたから断り切れなくって。何より私が話を聞いた時には………アクアが殆ど話を進めちゃった後だったし」
「そこはアクアだけでいいでしょうが!いや、良くはないけど、そっちの方が遥かにマシ!何で鏑木Pはあいつまで番組に呼んだのよ!?碌な事にならないに決まってるじゃない!アクアもアクアでそんな話を勝手に進めるな!!」
「何やってんのよお兄ちゃん………」
割と深刻な表情でミヤコさんは苦笑いをし、鏑木Pとアクアの仕業だと知って私は思いっきり叫んだ。
ルビーも同じ理由で顔に手を当てる。
「今すぐ私をあいつの代役として出演させる事は駄目ですか?自分で言うのはあれですけど、私ってそれなりに可愛いですし」
「無理よ。PVだってこの通り完成しちゃってる訳だから出演者メンバーはもう確定したも同然。無理にねじ込もうにも遅すぎるわ」
「あいつの出演シーンを全部カットする事は?」
「編集側の仕事に事務所側がどうこう言える訳ないでしょ。やらかしがない事を祈るしかないわね」
「出演者達を安全圏に逃す事は………絶対に無理ね。目の前の金づるをあのクズが逃がすわけがない」
(遂に匙を投げ出したわね。凄い言いようだけど真の捻くれっぷりも相当酷いから………無理もないか)
考えられるだけの解決策を並べてみるが、どれも現実的とは到底言えない。
真は基本自分の事しか考えていないクズで、必要とあれば相手を騙す事も厭わない、顔が良くて仕事が出来るだけの最低最悪の詐欺師だ。
アクアが誰かと恋愛関係になるのも凄く嫌だが、あんなクズが良い思いするのも同じくらい嫌だ。
番組を盛り上げる為に周囲を掻き回しつつも、本人はサラッと高みの見物を決め込んで、ゲス顔を裏で浮かべて高笑いしている姿が容易に思い浮かぶ。
「こんな番組、なんでアクアは受けたんだろ………」
私の悲痛な言葉は誰にも届くことはない。
ミヤコさんは何も言わず私の肩を軽く叩いた。
考えれば考えるほど………幸先不安だ。
今ガチに出演する事になったと聞いたとき、俺はドッキリ企画に巻き込まれた可能性を本気で疑った。
けれど、それは紛う事なき真実だった。
というか、ドッキリであって欲しかった。
アクアは新人であるものの歴とした芸能人であり、この前のドラマでメインを飾った事もあって、売り出し中の若手有望株と言っても遜色なく番組出演にも納得だ。
一方の俺は苺プロダクションの御曹司ではあるが、芸能マネージャーとしてはまだまだ駆け出しな上に、マネージャーという職業柄、本来なら日の光が当たることがない立場であり、番組出演するにはあまりに違和感がある。
このあまりに異例な采配に、俺達の出演契約をしてきたグラサンも最後まで目をぱちくりさせていた。
鏑木プロデューサーに直接出演を断ろうにも、以前のドラマの貸しを持ち出された以上断る事もできず、アクアを問い詰めようにものらりくらりと躱され続け、結局何も手を出せないままPV撮影を行うまでに至った。
そして俺は彼女に出会った。
「でえ、うちの犬ぅ」
「ふむふむ」
「ほら、かわいくてぇ。みてみてぇ」
「ふむふむ。可愛いくてほのぼのするな」
(俺と同じ画角に………MEMちょが映っている。夢か?幻か?幻術か?どちらにしろ覚めるな。素晴らしき時間よ………永遠に続け。フリルには後で自慢しよう)
前世含めて俺にとっての初めての推し。
ボーッと見ていたティックトックで動画を見つけてからというもの、いつの間にかユーチューブ含めて1日1回は動画を見るぐらいには好きになり、気づけばフリルに布教するぐらいには推すようになった相手。
ユーチューバーのMEMちょと俺は共演していた。
俺は今、人生の正しく絶頂にいる。
(アクアとルビーがアイの子供として転生して大はしゃぎしていた理由が分からなかったが………今なら分かる。こんなにも間近で推しと話せると考えたら………興奮してしまうのも当然だな。馬鹿な奴等だと思っていた事を謝っておこう。俺の心の中で)
ただし推しに対してママみを求めたり、赤ん坊である事を活かして合法的におっぱいを味わったり、一生守ろうとかいうふざけた考えはやはり理解不能。
某アイドル志望、過激思想持ちの強火ドルオタ女子の思考は異常であり、推し活をする者としてあるまじき行為であると心底思った。
人間ああはなりたくない。
「そういえば真君ってマネージャーじゃん。そんでもってアクア君って弟なんでしょ?マネージャーになったのってもしかすると、アクア君の為だったりする?もしそうならかなりのブラコンだねー」
犬猫の会話を一通りしたタイミングで、MEMちょはこちらに話を振ってきた。
わざとらしく表情と口調を即座に作る。
「そんな訳ないだろ。俺は俺の為にマネージャーになっただけで、アクアが芸能人なのは一切関係ない。そして俺はブラコンじゃない」
「またまたー。恥ずかしいからって否定しちゃって。私一応お姉ちゃんだから分かるんだよ?真君がアクア君大好きだーって。素直になっちゃいなよー」
「残念ながらこれが本心なんでね。最初からこれでも素直だよ。あと距離近すぎやしないか?」
「親近感湧いちゃったからかも。それに真君とはこれから仲良していきたいからさ。お兄ちゃんお姉ちゃん同盟のメンバーとして」
「よく分からん同盟に俺を組み込むな。まぁ………仲良くしていきたいのはこっちも同じだが」
カメラと視聴者に分かりやすい見せ場を提供しつつ、お兄ちゃんとお姉ちゃんの立場から更なる話題を展開していく。
なるほど。これはやりやすい。
本職がユーチューバーという事もあって、MEMちょはのほほんとする部分と盛り上げる部分を心得ており、前後のギャップを使った魅せ方が上手い。
撮影にあたって俺がMEMちょに近づいたのは推しだからという理由以上に、アクアを除いた演者達の中で唯一映像系に精通しているからであり、彼女となら安全圏にいられるだろうと考えたからだ。
俺は恋愛なんてものにこれっぽっちも興味なく、ある程度のコネクションを作りつつ、最低限の仕事をしてギャラさえ貰えればそれで十分。
鏑木プロデューサーになんて言われようと、恋愛関連は全てアクアと他の出演者達に丸投げして、高みの見物をさせてもらう事にしよう。
俺は推し活で忙しい。
「君結構分かってるね。芸能マネージャーっていうからどんな感じに動いてくれるか分からなかったけど、最高にいい感じだったよ。これぞお兄ちゃんの年の功ってやつかな」
カメラが別の出演者達のところに行ったタイミングで、個人的な話をする為に俺とMEMちょは建物の裏側辺りに移動していた。
「その言い方はやめてくれ。紹介PVじゃ注目を集める為に敢えて兄として振る舞ったが、俺はあいつを弟だと思ったことはないし、あいつも俺を兄だと思ったことは一度もない。はっきり言って俺達の仲は悪いんだよ。あんたのところの弟達とは違って」
「そんな事ないよ。私のところも喧嘩ばっかりだもん。本当に真君は素直じゃないね。あっ、それはアクア君も同じか」
「やかましい。こっちを微笑ましい目で見るな」
例えそれが推しからの冗談だとしても、あいつと仲が良いと思われるのは本当に心外だ。
メンタル的にかなりくるものがある。
今の説明で俺達がどうして仲良いと思ったのか。
これが全く分からない。
「カメラも他の誰かの目も無いから単刀直入に言っておく。俺は恋愛なんてものをするつもりは毛頭ない。安全圏から周囲を掻き回して楽しめればそれでいい。それが俺の本音だ」
「アクア君を安全圏に入れない辺り、真君ってそこそこ性格悪いんだね。けど、言いたい事は分かるよ。私も似たような感じ。自分のチャンネルにお客の導線を引くのがこの番組に参加した理由だし、そこまで恋愛には興味ないかな。イケメンと仲良くなれたらいいなーとは思ってたけど」
これがMEMちょの素の姿。
動画でいつも見ているお馬鹿ぶりっ子キャラとは違い、そこそこ計算高く察しの良い人物だったようだ。
画面越しだったら見ることが出来ない素の姿が見れた事で、俺の中のMEMちょに対する好感度は一気に急上昇した。
流石は俺の推し。
「じゃあそれっぽい雰囲気を出しつつ、私達は番組をいい感じに盛り上げていく事にしよっか。その為にもお兄ちゃんお姉ちゃん同盟は続行するから、アクア君とはそこそこの頻度で絡んでくつもり。いい絵が撮れるに決まってるもん」
「げっ、あれまだ続けるつもりかよ。ガチで勘弁して欲しいんだけど」
「いいじゃん。いいじゃん。今回の撮影で視聴者達には私達がそういうキャラだーって認知されちゃったから、キャラは貫き通していかないと。嫌だろうと素直じゃなかろうと、使えるものは使っていかなきゃ」
「頼むから程々にしてくれよ。俺のメンタルの為に」
企みMEM顔にドヤMEM顔。
生で見た推しの姿は動画で見る以上に良かった。
こうなったら………禁断のMEMちょの乙女ヅラ。
何としてでもカメラに収めてみせる。
親友の望みを……必ずや果たす為にも………!!
他の出演者達に絡みに行ったMEMちょと別れ、俺は決意を新たに現場に戻った。
定点カメラの位置を確認しつつ移動していると、ファッションモデルの鷲見ゆきとアクアが話しているのを見つけた。
そこそこ良い雰囲気になっている。
様子を見るがてら近くの物陰に移動した。
「真君ってアクア君のお兄さんでしょ?こういう番組で兄弟が共演するのって珍しいから変な感じだよね。お兄さんとは仲良いの?」
「まぁそこそこ。というかあっちが結構のブラコン気味。俺が恋愛リアリティショーに出るって言ったら、心配だからついて行くの一点張りでさ。それで実際に出てくるもんだから困っちゃうよ」
「アクア君も苦労してるね」
(誰がブラコンだ。適当な事を言いやがって)
バレないようにこっそりと耳を立てていると、そんな会話がこちらに聞こえてきた。
アクアはああ語っているが、実際のところ俺は出演を全力で拒否しているし、鏑木プロデューサーとの取り引きの条件という理由で、俺をこの番組に無理矢理引きずってきたのは寧ろアクアだ。
偶然とはいえ推しと共演する機会を作った事には感謝しているが、それそれとして無理矢理引っ張って来たこと自体はまだ許していない。
(自分だけ当たり障りないキャラを選んでおいて許されると思うなよ。この大法螺吹きめ。俺を無理矢理連れて来たにしてはいい度胸だ。この番組で初の犠牲者枠となれ)
鷲見が巻き添えになろうと知ったことか。
泣いて許しを乞おうともう遅い。
メンタル的に2人まとめて行動不能にさせる事を、俺は心に決めた。
「それじゃあさ。アクア君って恋愛に興味ある?私は恋愛とか今までしてこなかったから興味あるけど、同じ1年のアクア君はどうなのかなって思ってさ。答えたくないなら別にいいけど」
乱入してやろうと物陰から出ようとしたタイミングで、鷲見がアクアにそんな事を言った。
その言葉に俺は一度動きを止める。
「………ないわけないじゃん。俺も男だし。けど、過去の恋愛を引きずってて………正直よく分からないんだ。俺なんかが恋愛なんてしていいのかなって」
「ふぅん?複雑なやつだ?こっぴどくフラれたとか?」
「ある意味それに近いかも」
アクアは暗い顔で少し考えた素振りを見せる。
「でも、最近は少しずつでも……乗り越えなきゃなって思ってさ。まだ全部は消化しきれてないけど……それでも前に進まなきゃって。どっかの馬鹿に散々言われたからさ。過去を捨てる必要はないけど……自分の今よりそれを優先しちゃ駄目だって。それが正しいのかは……俺にもよく分からないけど」
「もしかして……それお兄さんの言葉?あんな風に言ってたけど、本当は仲いいんだね」
「仲良くなんてないよ。単に馬鹿にされたくないってだけ」
「照れちゃって。妬けちゃうな」
つい先ほどの年相応の少女の姿は何処へやら。
鷲見はアクアに体重を預けて急接近し、大胆ながらも優しく微笑んだ。
アクアは少し照れたような顔をした。
乱入するタイミングを逃したなと内心思いつつ、俺は物陰からようやく出て行く。
「随分と仲良くなったみたいだな。早くもカップル成立か?」
「あっ、噂をしてればだ。アクア君も苦労するね」
「仲良くはなったが気が早すぎる。聞き耳を立てるなんて趣味が悪いぞ」
俺が登場したのを見た鷲見はアクアから距離を取り、アクアは明らかに嫌そうな顔をする。
「お前の恋愛事情を把握しようと俺の勝手だ。そしてその恋愛事情を応援するのもな。うちのアクアはどうだ?」
「良い人が居るか不安だったけど、アクア君なら問題ないかな。今日はお兄さんに負けちゃったみたいで残念だけど」
「いつでも挑戦しに来るといい。そんでもってこいつを貰ってくれるなら御の字だ」
「なら安心した」
「俺は景品か何かか」
軽くお茶を濁しつつ、アイコンタクトでカメラがいる事を伝えると、アクアはやられたと目を軽く逸らした。
鷲見ゆきは何処吹く風だ。
無害そうな顔しておいて、いい性格をしている。
こうして初回の撮影が終わり、俺達は帰路に着いた。
最初は勘弁して欲しいと思っていたが、案外面白いものを見れるかもしれない。
そんな期待をあの光景からは感じずにはいられなかった。
後日。今ガチの第一回目が放送された。
「あんたさぁ。キャラ作り過ぎ。ブラコンお兄ちゃんキャラって一体何なのよ。アクアを初っ端からくっつけようとして………馬鹿じゃないの?しかもMEMちょ相手にデレデレしちゃって」
「推しに会えたんだから仕方ないだろ。直筆のサイン2枚とツーショットを貰って俺は大満足だ。あと俺はお兄ちゃんキャラではあるがブラコンじゃない」
「本当に馬鹿じゃないの?やっぱ出すべきじゃなかったわ」
「出れなかった事をいつまでも僻んでんじゃねーよ」
「僻んでないわ!!」
俺はしばらく有馬を宥め続ける羽目になった。
一方その頃同室にて。
「仮にも私は妹なワケで、私が嫌いなタイプと兄が付き合うのは嫌なワケ。兄を名乗る変質者も一切信用できないので、お兄ちゃんが付き合うべき女性は私が決めます」
「勝手にも程がある。あいつが変質者なのは異論ないが」
「私の一押しは鷲見ゆき!多分この子は純粋でいい子だよ!!」
「………お前は見る目がないから、しばらく恋愛すんなよ」
「はぁ!?」
見る目がないルビーにアクアが詰められていた。
あと貰ったサインのうち1枚をあげたところフリルは大喜びしてた。
親友の満面の笑みも見れて俺は大満足だった。