新一と一緒に   作:井沢晴明

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 約九ヶ月ぶりの投稿です。



第十話 毛利蘭の証明

 誘拐事件が無事に解決した翌朝、私は布団の上で目を覚ました。起き上がって体を確認した私は、深く溜息を吐く。目に飛び込んでいたのは、幼い小さな手。

 朝起きたら体が元に戻っているのではないかと、淡い期待を抱き目覚めても、小学生のような体は変わらない。

 周囲を見渡すと、私が眠っていた部屋は、お父さんの部屋であることが分かった。その部屋に布団が敷かれていて、そこで眠っていたらしい。

 誘拐事件が解決した帰りの車内で眠って、そのまま小さな体を、お父さんの寝室に運ばれたのだろう。そんな時、私は思った。新一はどこにいるのだろうと。室内にはお父さんの姿はない。

 不意に私が眠っていた布団の方へ視線を向けた私は、顔を赤くする。私が眠っていた布団の中に、新一の眠る横顔が見えた。

 

 つまり同じ布団で新一と……

 

 私はお父さんの寝室を飛び出し、顔を洗うために洗面所に向かう。洗面所のドアは大きく、背伸びしなければドアノブまで手が届かない。早速私は、この小さな体が不便だと思った。

 苦労してドアを開けると、目の前に白い手袋を填めたお父さんがいた。よく見ると、お父さんは私が使っている櫛を持っていた。それと洗濯機の上に置き、ズボンのポケットから取り出したチャック付きの透明な袋を開ける。それから、櫛に付着していた髪の毛を袋の中に仕舞う。

 その一部始終を見ていた私は、お父さんの歩み寄りながら尋ねた。

「お父さん?」

 私の声を聞き、お父さんはしゃがんで私と顔を合わせる。

「何だ?」

「どうしてお父さんが私の櫛を持っているの?」

「そのことか。俺はまだ、お前が毛利蘭だと信じていない。蘭は昨日帰ってこなかったというのも事実だが、やっぱり信じられない。だから、証拠が欲しい。この櫛は、蘭しか使っていないから、こいつに付着した毛髪は蘭の物だ。さらに、この櫛を調べたら、蘭の指紋が検出されるだろう。つまり、指紋と毛髪が娘の物と一致したら、お前は毛利蘭ということになる。知り合いの鑑定業者に頼めば、一週間で証明されるだろうよ」

 お父さんの説明に私は納得できた。突然体が小さくなった私と高校生の毛利蘭が同一人物であると最初から思う人は少ない。疑問に感じたとしても、半信半疑になるのが普通。

 突然体が小さくなったということを証明するには、こうするしかない。

「分かったわ」

 私は頷き、自分の髪の毛を一本抜く。それをお父さんに渡すと、Bとプリントされた透明な袋に入れた。その後でお父さんはズボンのポケットから小さな紙を取り出す。

「この紙を触れ」

 私はお父さんから渡された紙に触れた。それをDと書かれた透明な袋に入れる。

 櫛をCという透明な袋に入れ、四種類の証拠を手にしたお父さんは、洗面所から離れた。

 

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