来週からは、一話ずつ投稿する。
自動車で五分程走った所に私の家、毛利探偵事務所がある。小さくなってから初めて帰った私の家は、どこか大きく感じた。
私は博士と私と同じように小さくなった新一に付き添われ、探偵事務所の階段を昇る。
何と説明すればいいのか。お父さんは私の話を信じてくれるのか。幾つもの不安が頭に浮かぶ。だけど、その不安は、新一と一緒にいると打ち消される。
何も怖くない。その思いが頭に浮かび、私は一歩ずつ確実に階段を昇る。
そうして私は、二階にある毛利探偵事務所のドアの前に立つ。
それから少し背伸びしないと届かないドアノブを握り、ドアを開ける。
ドアの先にある机の上には、缶ビールの空き缶が無造作に置かれていた。その席でお父さんは缶ビールを飲んでいる。
私は静かに事務所の床は一歩を進めた。すると、博士は私より先に、酔っているお父さんに声をかけた。
「失礼するよ。毛利君。少し話を聞いてくれんか。大事な話じゃ」
お父さんは突然の訪問者に驚き、缶ビールを机の上に置いた。
「珍しいな。阿笠博士が来るとは。何の用だ?」
「まずは、わしの近くにいる女の子の顔を見てほしい」
博士に促され、お父さんは博士の近くに立っている私の顔を凝視する。私の顔がお父さんの目に映ると、驚いたのか椅子から転げ落ちた。
「お父さん。大丈夫?」
私は突然の出来事に思わず、お父さんの元に駆け寄る。そして、お父さんは再び私の顔を凝視する。お父さんの顔は酔いが急速に覚めたように、健康的な色になっていた。
「まさか。蘭か? 嫌。そんなことはあり得ない」
混乱しているお父さんに私はハッキリと伝える。
「そうよ。私は毛利蘭」
その後で、私たちは探偵事務所内の応接スペースに移動する。
大人用の椅子のスペースに私と新一が座り、その隣に博士が座る。そして私たちの正面の席にお父さんが座った。
その場で私は、自分の口で真実を打ち明けた。
「遊園地からの帰り道、新一は私を置いて、怪しい黒ずくめの男たちを追いかけたの。私は、新一と二度と会えないようなイヤな予感が過って、追いかけた。新一が言うには、黒ずくめの男たちは何かの取引をしていたみたい。だけど、黒ずくめの男に見つかっちゃって、新一は頭を殴られたんだ。そこに私が駆けつけて、新一を助けようとしたら、不意をつかれて、気絶しちゃったの。そのあとで、黒ずくめの男たちは、気絶している私たちに、毒薬を飲ませて、どこかに逃げたんだ。だけど、薬の副作用か何かで体が小さくなったの」
とても信じられない話を聞いたお父さんは、突然席から立ち上がり、私たちに近づく。
「その話が本当なら、お前は工藤新一だな。お前が黒ずくめの男なんかを追ったから、蘭がこんな体になったんだ!」
そうしてお父さんは、私の隣に座る新一の体を軽々持ち上げようとする。それを見て、私は思わず叫んだ。
「やめて。私が勝手についていったのが悪いの。新一は何も悪くない!」
お父さんは私の声を聞き、自分の手を止める。
「まだ信じられないが、娘が帰っていないのも事実だ。半信半疑だが、ここは信じよう」
お父さんは自分の席に戻る。すると、突然電話が鳴った。受話器を取った、お父さんの顔が徐々に青ざめていく。
「何? 黒ずくめの男。分かった。弥生町の谷という屋敷だな」
黒ずくめの男という言葉が聞こえ、私たちの目が大きく見開く。
お父さんは電話を切り、電話の内容を私たちに伝えた。
「弥生町の谷という屋敷に住む娘が、黒ずくめの男に誘拐されたらしい。話の続きは、誘拐事件を解決してからだ」
もしも誘拐犯が、私たちを襲った黒ずくめの男だったとしたら……
私は新一と顔を見合わせ、お父さんに声を掛ける。
「待って。お父さん。私と新一も一緒に行くから。黒ずくめの男が誘拐事件に関与しているんでしょう。もしかしたらこの事件を解決したら、私と新一が飲まされた薬が手に入るかもしれない」
「分かった。一緒に来い。その代り邪魔をするなよ」
お父さんが人差し指を立て、忠告すると、私たちは小さく首を縦に振った。
それからお父さんはタクシーを呼び、博士は自宅へと戻った。
十分ほどでタクシーが探偵事務所の前に停まる。私と新一とお父さんの三人は、タクシーに乗り込み、弥生町へと進む。
書いてるうちに、博士が黒ずくめの組織のボスではないかと疑ってしまった。
まだ偽名は決まっていない。