弥生町の日本家屋で、私たちはお父さんと一緒に、黒ずくめの男に誘拐されたという娘さんの話を聞いた。
黒い髭を生やした如何にも社長といった風貌の男は、まず一枚の写真を渡す。
「誘拐されたのは、この家の一人娘、谷晶子さん。年齢は10歳。誘拐した犯人は、全身黒ずくめの大男だったということだな」
お父さんが依頼人に確認する。
「はい。私の執事が目撃者です。そうなんだね。麻生君」
依頼人の社長風の男は背後に立つ執事服を着た年配な執筆の顔を見る。
「はい。旦那様」
「他に犯人を見た人はいないんですか?」
お父さんが尋ねると目撃者の執事が答えた。
お父さんは手帳を開きメモを取っている。
「お嬢様の悲鳴を聞いて皆が駆け付けた時には、もう犯人は外に逃げた後でした」
「なるほどね」
突然私の隣にいた新一が声を出す。ふと隣を見ると、新一は手帳とペンを取り出しメモを取っていた。
新一は執筆に尋ねる。
「では、その時の様子をもっと詳しく」
執事は小さな少年の行動に驚いたような表情になり、聞き返す。
「誰ですか、この子は?」
その質問にお父さんがフォローする。
「私の知り合いの子でして」
その後でお父さんはしゃがみこみ、新一の顔を見る。
「俺の仕事の邪魔をするな」
お父さんは一言告げ、再び執事に尋ねる。
「その黒ずくめの男の顔は見てないんですか?」
「辺りが暗くて顔までは見えませんでしたよ」
黒ずくめの男と聞き、私は深刻な顔つきになる。
黒ずくめの男は、私たちの体を小さくした張本人。私は彼らを探し出して元の体に戻りたい。
そのように考えていると、執事は誘拐された時の状況をお父さんに伝えた。
「あれは学校から帰られたお嬢様が、庭で遊んでおられた時でした。突然庭の隅から黒ずくめの男が現れて、この家の主人に伝えろ。娘を返してほしければ、一ヶ月間、会社を閉鎖しろ。もちろん警察には知らせるな。と言い残し犯人は、あそこの木を登って逃げました」
「それでは、その男の声の特徴は?」
新一が懲りずに尋ねると、執事は曖昧に答えた。
「高かったような。低かったような」
「あまりハッキリしませんね」
その新一の行動に、お父さんは怒る。
「だからこれは俺の仕事だ。邪魔をするな」
新一を邪険にするお父さんは、近くにいる使用人たちにも尋ねた。
「君達は何も聞いていないんですか?犯人の声とか変な音とか」
「いいえ。私たちが駆け付けたのは、悲鳴が聞こえてから10秒ぐらいでしたが、その時は麻生さんが、お嬢様が誘拐されたと叫んでいるだけで、それ以外は何も静かな物でした」
それからお父さんは、依頼人に推理を伝えた。
「犯人はおそらくあなたのライバル会社の人間でしょう。その証拠は犯人からの要求です」
「娘をさらった上に、金まで要求するとは、卑劣な誘拐犯だ」
依頼人が言葉を溢すと、執事は驚いたように目を見開いた。
「犯人は会社を閉鎖しろって言っただけで、金までは要求していないのでは」
「ついさっき犯人から電話があったんたよ。使用済みの札で三億円用意しろってな」
「そんなバカな。旦那様。それは何かの間違いでは」
「うるさい。お前は黙っていろ」
私の隣で新一は、疑うような視線で執事を見つめている。
完全に蘭が傍観者になっている。
一人称だから仕方ないのか?
原作5ページしか進んでない。
かなりのスローペースです。
このペースだと灰原でるのが、いつになることやら。(笑)