【カオ転三次】東京の片隅で足掻く   作:Sagitta

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いつまでも完成しないため、見切り発車での投稿になります。


プロローグ

 

薄暗く霧がかった森の中を二人で歩く。

俺は時代劇の様な腹当、籠手、脛当てを着用し薙刀を背負っている。

同行する男は防弾繊維でできたスーツに身を包み、その内側にある右腰と左脇のホルスターで拳銃を2丁携行している。

 

森の中とはいえ警察に見つかれば逮捕間違いなしの服装だが問題ない。

ここは北関東の某県某所とある名家の私有地、そこに発生した異界の中だ。

 

「本当に危険な悪魔なんているんですかね?

ここまで出会った悪魔も雑魚ばっかですよ。」

 

探索を始めて数時間経過しても成果がないとくれば、同行する男の気も緩み始めている。

地元の霊能者では対処不可能な異界だと依頼を受けたが、現地に送った調査員からの報告ではコダマなどの低級自然霊やスライムばかりのショボい異界だった。

そのため間引きのために異界に()()を放ち、後回しにしていたのだが、それが倒されたらしく、急遽異界の探索を行う羽目になった。

 

「異界に放った()()が倒されたのは事実だ。異界の主か、イレギュラーか、他所からやってきたのか、何者かはわかってないが強い悪魔がいるのは間違い無い。」

もう少ししたら小休止を取る、それまで気ぃ張っとけ。」

 

「うぃーす、まぁ、何が出てきても旦那がいるなら大丈夫でしょ」

 

俺の言葉に適当な返事を返す男。急ぎの依頼で相手も不明、どんな状況でも対処できるよう腕利きの男を連れてきたが、ここまで何もないとくれば若手の連中を連れてくれば良かったかもな。

 

そう考えている俺の方こそ気が抜けていたのかもしれない。

 

「何か音が聞こえる、悪魔じゃない!人間の声です!」

 

男がそう言うと腰のホルスターから拳銃を抜き、いつでも撃てるように構える。

男に先導され音が聞こえた方向に進むと、そこにいたのは2人の男女だった。

男の方は大学生ぐらいだろうか?冴えない風貌で防弾チョッキを身に付け、ライフルを持っている。女の方は絶世の美少女だが、なんと言うかコスプレっぽい。

刀を腰に差しているが、薄い桃色の髪色に丈の短い和服に水色の羽織とアニメキャラをそのまま再現したかのようだ。何か見たことあるようなないような、どこか引っかかる見た目だ。

両者とも一般人ではなさそうだ、青年の方は霊能者だし少女の方は人間かも怪しい、しかもそれなりに戦えそうな雰囲気をしている。

 

「見た感じ迷い込んだってわけじゃなさそうだが、何の用だ?」

 

俺がそう尋ねると向こうはあからさまに動揺している。

コイツラが()()を倒したのだろうか?何のために?

 

「僕たちここの調査に来てまして……」

 

青年がそう言うが、それは嘘だ。この異界周辺の名家からそんな話は聞いていない。

 

「やるぞ、後衛からだ。」

 

俺が連れの男に声を掛けると、男は頷き青年に対し銃を撃った。

 

「危ない、マスター!」

 

女が銃弾を刀で弾く。青年の方はとっさのことに反応できていない。

その隙に懐から札をを取り出す。

 

「〈〈召喚・【ゾンビの群れ】〉〉、〈〈突撃〉〉」

 

召喚されるのは20を超えるゾンビの群れ、虚空から出現した腐りかけの死体たちは命令通り相手に向かって駆け出す。一般人なら、いや霊能者であってもこれで詰みとなってもおかしくない一手だ。

 

「嘘だろ!?〈なぎ払い〉だ!」

 

しかし、女が刀を振り払うと、ゾンビ達の大半が両断される、相手は突如出現した20体を超える悪魔の群れに驚いたようだがそれだけだった。

男が再び青年を狙い、少女がそれを防ぐ、その間に残りのゾンビが相手を取り囲んだ。

ようやく青年がライフルを構える、俺は来たる衝撃に備えたが相手は何故かゾンビを撃つ方を選んだ。

発射音はしなかったが、相手を取り囲むゾンビのうち1体が頭を撃ち抜かれ塵に還る。

 

「〈雷の乱舞〉」

 

俺の右手から4本の電撃が走り相手を打ち据える、少女の方は痛みに耐えながらゾンビと戦っているが、青年の方は痛みからかライフルを取り落としてしまった。

 

「降参するなら命は助けてやるぞ!」

 

「わかった!降参だ!助けてくれ!」

 

俺の言葉に、青年はすぐさま情けない声で返す。何なんだコイツラは。

降参するなら武器を預かるというと、躊躇いがちに渡してくる。

 

青年のライフルは火薬式ではなく空気銃だったが伝わってくる霊力は強力だった。

少女の刀の方も真剣ではなく模造刀だったが同様に強力な力を帯びている。

 

メシアンも名家の連中もフリーのサモナーだってこんなものは作らないだろう。

どう考えても本物に霊力を持たせたほうがいいに決まってる。

 

俺達が困惑していると、青年は懐からなにかを2つ取り出して、片方を少女に渡す。

 

「おい、何してんだ。」

「いやいや、ちょっと回復するだけなんで。」

 

青年はそう言うと、少女とともになにかを飲み始める。すると、両者の傷がみるみると癒えていく。

ここまでの即効性がある薬を、ちょっと回復します、で使うとは……

戦闘に不慣れだったことといい、よくわからない連中だ。

 

その様子を見て心配になったのだろう、男が尋ねてくる。

 

「いいんですかい?生かしておいて、身包み剥いで捨ててきた方が良くないすか?」

 

「あいつの力も装備もアイテムも1級品だ。バックにいる組織のことを聞いておきたい。」

 

「わかりました。」

 

降参した青年から詳しい話を聞きながら、異界の主を探す。この異界は後回しにしていただけで攻略予定の異界だと伝えると、どうせなら一緒に攻略したいと行ってきたのだ。

この異界に放った屍鬼はコイツラによって倒されたらしい。

若干疑わしかったが、本人曰く、人と戦うのに慣れていないだけで悪魔となら戦える、とのことらしい。

まあ、この異界であれば道中で足を引っ張ることもないだろう。

 

異界の主を見つけたが、こちらに気付いていないようなので、少し引き返し休憩をとる。

そこで聞いた話は俺達を更に困惑させる話だった。

 

「話をまとめると、お前さんは【ガイア連合】所属の霊能者で、ガイア連合には所属する霊能者をバックアップする体制が整っていると。その少女も支援の一環として作ってもらった式神で、他の装備や霊薬なんかもそうなんだって?」

 

そんな夢のような組織があるんだろうか?もしかしてその少女は悪魔で洗脳でもされてるんじゃないのか?

 

「そうだよ、実際に支部で修行して覚醒したからね、シキガミも装備も作ってもらったのさ。シキガミの方はショタオっ……じゃなかった、リーダーが作っているんだけど、他の装備は一緒に覚醒した同期に作ってもらったのさ!」

 

「同期ってことは他にもガイア連合所属の霊能力者がいるのか。お前さんクラスの霊能者ってのはやっぱり少ないのかい?」

 

「同じぐらいのレベルなら結構いるよ、同期は人数が少ないんだけどね。先輩にも後輩にも同期にも僕よりレベルが上の人はいるよ。」

 

ベラベラ喋ってくれるのは有り難いのだが、こいつクラスの霊能力者ってなると滅多にいないぞ。本当にガイア連合なる組織は存在するのだろうか?

連れの男も日本の霊能力者不足を知っているからか、困惑した顔でこちらを見ている。

 

「そうかい。最近霊能者になったらしいが根願寺って聞いたことあるかい?」

 

「あぁ、何か聞いたことあるかも、東京のお偉いさんだっけ?

近々うちと提携?同盟?請負?だったかな、するらしいって聞いてるよ?」

 

本当なのか?ガイア連合と根願寺の間に何かしらの話が通っているとは思えんが。

戻ったら本家の人間に聞かなければ。

 

いや、ひとまずは異界の攻略に専念したほうがいいか。

幸い異界の主も俺一人で対処できそうだ。連れにはコイツラの見張りを頼むとしよう。

 

実際、異界の主は巨大なスライムのような見た目の高位自然霊のなり損ないといった感じだった。格下で足も遅かったため、電撃を放つだけの一方的な戦いで終わった。

 

異界から出ると後のことを連れの男に任せ、東京へと戻る。

本家に確認を取ると、ガイア連合という組織が確かに存在し、近年急速に力をつけており地方の依頼を根願寺から任せられていると、を聞かされる。

 

どうやら青年が語っていたリーダーとやらも本当に存在するらしい。

 

俺は伝手を辿り、富士山にあるというガイア連合山梨支部とやらを尋ねることにした。

 

 

 

 

俺が第二の人生であると自覚を持ったのはいつのことだったか覚えてない。

 

その時この世界には超常の力があり、自分もその力が使えるのだと興奮した覚えがある。

孤児で霊能者として覚醒していた自分を引き取ったのは国の霊的防衛に携わる名家であり、帝を、帝都を、民を守ることが一族の使命だと伝えられた時には、憧れていたファンタジーの一部になれたことを神に感謝さえしたものだ。

 

そんな俺の意識を変えたのは悪魔と出会いこの世界がメガテン関連だと気付いた時だった。

 

幼い頃の俺は、前世の記憶と覚醒者の身体能力によって大人並の能力を持ち、周囲から霊能の才があると言われ天狗になっていた。

そんな俺は大人たちの言いつけを破り、立ち入ってはいけないと言われていた蔵にに立ち入り一匹の悪魔―ジャック・フロスト、ヒーホーで有名なメガテンの象徴―と出会ったのさ。

その後のことは詳しく覚えていないが珍しく一族の大人たちから叱られ、今後は許可なく封魔管に触れるなと言われたことだけは覚えている。

 

その時に大人たちから褒められる程度では駄目なのだと、何にもにも負けない絶対的な力が無いと、いや、有ったとしても、どんな目に合うか分からないそんな世界に転生したのだと理解したよ。

そこからは修行漬けの毎日で、自分の適性が一族の得意とする結界や祓いではなく、電撃(ジオ)呪殺(ムド)系だと理解したのは、まだ小学生の時だった。

中学生になると実戦的な修行を求め一族の仕事を手伝い、弱い悪魔の対処や霊能事件の調査などをこなすようになった。

高校生になったときには―名家として進学は必須だったんだよ―より高難易度の悪魔やダークサモナーの対処を受け持つようになり、若き天才なんて持て囃されたし根願寺からの覚えもよかった。

 

順調に思えた毎日だったんだが、ある日依頼先でメシア教の中でも排他的な連中に襲われそれを返り討ちにしたことで一変してな、メシア教に逆らえない根願寺が俺を追放したんだよ。

それからはメシア教に度々襲われるようになった、一族はそんな俺を庇ってくれたが、メシア教が一族にも手を出すようになったから高校卒業と共に家をでた。

 

そこから暫くはフリーのサモナーとして活動しながら各地を放浪する日々を送っていた。

そこで地方の窮状を知ったよ、帝都は結界によって抑えられていたが、地方では悪魔による被害が増え続け、小規模だけど異界も発生してた。

そして、地方の守護を担う名家が弱い。戦後にメシア教が有力な霊能者を根切りし、資料や装備を廃棄したのが原因らしいが、ダークサモナーの方がまだマシってレベルだった。

 

地方の窮状を救うには一人ではあまりに人手不足だった。

 

そもそもここがメガテン世界だとしたら、東京の崩壊と終末の到来を避けられるのか。

真Ⅰ、真Ⅱ、真Ⅳならば核ミサイル、真Ⅲは東京受胎、真Ⅴも多分東京受胎、ペルソナ関連はペルソナが存在するのかすら不明、旧版とストレンジジャーニー、デビルチルドレンは知らない、ソウルハッカーとデビルサバイバーは悪魔召喚プログラムがない限り大丈夫なのか。

改めて考えるとこの先の未来が暗すぎた。最終目標は東京崩壊の阻止、そのためにはメシア教の排除か核ミサイルの迎撃及び東京受胎の原因となるカルトの排除が必要。そうなるとどうしても人手がいる。

 

地方を回り名家に手ほどきをするも才能の差がデカすぎる。霊能の才は遺伝するらしい、俺の子供が欲しいと行く先々で言われる。

無しではないが果たしてそれで間に合うのか、まあ、放置でよければ作ってみても良いか。多分何人か居ると思うんだけど認知してないから知らない。

 

フリーのサモナーの知り合いも増えた。その中でダチになった奴もいる、デジタルに詳しいやつ、元メシアンのやつ、打算が無いと言えば嘘になる。それでも一般人を守りたいと思っているサマナーとして同志になった。打算だけで付き合っている奴もいる、死霊術に傾倒した狂人、元ヤクザの何でも屋、霊能で男に貢がせる悪女。それでもその技術、人脈は有益だったし向こうも俺の力を欲した。

 

ある日一族から連絡が来た。帝都の結界の危機なんだと、鬼門の方角に異界が生じたため、このまま放置し続けると外から破られる可能性が有るらしい。また、メシア教の排他的な連中が海外の戦地に戻ったらしくてな、再び表立って行動しても狙われることはなくなったんだとよ。

 

その異界は広大で複雑な構造と悪魔の多さから、現状の俺1人では攻略は不可能だった。その規模から関東各地の地脈の活性化の流れが結界によって堰き止められて出来たんだと考えてる。結局、暫定対策として近くに拠点を作って、内部の把握と悪魔の間引きに勤しむことになった。関東各地の異常を解決し異界の縮小及び攻略を目的とする、そのための集団が出来上がった。

 

そして今では地方の活性化は止まらず、異界も攻略できていない―拡大こそ食い止めているが―そして、ガイア連合の存在を知って協力を仰ぎに来たってとこだな。

 

だいぶ長くなっちまったが、俺の来歴はこんなとこだな。

同じく転生者であるガイア連合の盟主様よ。

改めて、オレは 人間 十文字 コンゴトモヨロシク。なんてな

 

 

 

 




十文字
主人公、見た目は無限の住人の万次
電撃、呪殺、屍鬼の使役が得意
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