明日照らす星~受付嬢の苦悩~   作:誠一

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こちらは旧Twitter、現「X」で、みのひつじさんが主宰される
#3分で読めるノベル企画
お題「建築(掟、仕組み、構成を含む)」
へ投稿した作品となります。



星を追う船嬢員

受付嬢には様々な掟。ルールがある。

 

情報の扱いに細心の注意を払うべし。とかギルドの顔として笑顔を意識するべしとか。

あと各地でその地域独自のローカルルールもあるけれども、

新大陸でもっとも空に近い船にして酒場である、

ここ【星の船】でのルールは…

 

 

「はい、おまちどうさまです」

 

 

 

【サービスするのは嬢の自由。ただし支払いと後処理は自分でする事】

 

 

 

ハンターとは過酷な仕事だ。時にはこの船を超えるような巨大な存在と相対し、

戦わなければならない。自分の為、仲間の為、あるいは顔も知らない誰かの為に。

 

そんなハンターさんが少しでも力を発揮できるよう、

信頼してもらえるよう関係を構築するのは当然。というか義務ですらある

 

今日のお客様は皆が「導きの青い星」と呼ぶ、あの人だ。

 

きっと本人は相当稼いでるとも思うけど今日は私が出せる上限ギリギリまで奮発して、

骨付きギガントミートとディアブロスのテールスープをお願いした。

骨がある難敵にも勝テールスープってゲン担ぎである。

 

注文よりも明らかに多い皿に一瞬驚くも、こちらが口元に立てた人差し指を見て、

微笑みだけ返してくれた。あぁ…推せる。…けど……

 

 

「戻ってこられたと思ったらすぐにまた行かれるんですよね」

 

受付嬢は情報が命。先日新しい古龍、イヴェルカーナが発見され、

この「青き星」さんは最前線で戦っている。

5期団としてこの地に訪れて龍を、熔山を、魔獣を打ち倒し、

そして今は前線拠点セリエナと行ったり来たりをしている本当に忙しい人だ。

 

配膳は終えたのに、もう会えなくなる気がしてなかなか離れられない。

注文した料理が届くまでの間…少し不安げな横顔を見てしまったからかもしれない。

 

「氷の龍との事ですが…平気です。貴方なら大丈夫です!」

 

気付けば言葉が零れ出していた

 

 

「知ってますか?寒い場所だと空気が澄んでるから星が綺麗に見えるんです。

我らの導きの青い星が更に輝くのであれば、きっと負けはありません!…なーん…て」

 

 

何をいっているのだろう私は。あの編纂者ではあるまいし。

我等が星も脂が白銀のように輝く骨付き肉を持ったまま止まっている。

世界が止まってる。これがスタープラチナ・ザ・ワールドか。やかましいわ

私は凍り付いた空気に耐え切れず傷ついた飛竜の如く、

受付カウンターへ迅速にエリアチェンジした

 

 

 

※ ※ ※ ※ 

 

 

 

あー終わった。本当に終わった。余計な事言わずサービスだけしてれば、

気の利いた受付嬢で好感触だったかもしれないのに何てことを口走ったんだ。

ああいや、あれは噂に聞くイヴェルカーナの凍結やられに対する、

予行演習だ。そうだそういう事にしよう、そういう方向性でいこう

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「ひゃい!!!!」

 

気が付けば我等の星のハンターさんが山のような食器を持ちカウンターにいらっしゃる。

 

おかしい。食器下げはアイルーがしてくれるし今回は私が推し課金したので片付けも

私のはずだ。普通ハンターさんは食器下げたりしない。というか今の聞かれてないか。ちゃんと脳内で留められていたか、また口から零れてないか

 

 

「ちゃんと…戻ります」

 

 

 

「え…あ…、はい??」

 

我等の星のハンターさんは大きく飾り付けた星の船の帆を親指で刺し

 

 

「その…船旅で星が見えないままだと、不便でしょうから…」

 

 

そう恥ずかしそうに言い残し、私達の星は去って行った。

 

【サービスするのは嬢の自由。ただし支払いと後処理は自分でする事】

 

今回の支払い、後処理は大変な事になりそうだなと頭の一部で思いながら、

清掃係のアイルーに引っぱたかれるまで私の凍結やられが治ることはなかった

 




お読み頂きありがとうございます

本来はアステラ集会所の「星の船」の建築方法についてのお話を書こうとしていたのですがピンクの受付嬢さんが可愛すぎてですね。気が付いたら建築要素が抜けて「掟」を捻じ込んだ受付嬢さんにフォーカスしてお話を書いておりました。どうして???

でもこういう普段しっかりしている人がポンコツになっちゃうお話、嫌いじゃないです。
嘘です。大好物です。
ここまでお読み頂きありがとうございました!
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