明日照らす星~受付嬢の苦悩~   作:誠一

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こちらはみのひつじさん主催
♯3分で読めるノベル企画
お題「収穫」の時に投降した作品です。


豊穣を祈る船嬢員

「正気かい?」

「ええ」

本日の戦場である植生研究所に私は立っている。この受付嬢の桃色制服は戦装束だ

 

この新大陸では日々、命と神経をすり減らし戦ってくださっている

ハンターさん達へ少しでも慰めとなるよう定期的に【宴】を開催している

今回企画しているのは【豊穣の宴】

花の芽吹く時期にはプーギーのフラワーアレンジメント、暑い時期には雄火竜の氷像…ならば野菜や果物の実るこの時期には…!

 

「普通に考えたらさ、いくら大きくなるペピポパンプキンでも人が余裕で入れるレベルまでの大きさにするのは難しいんじゃないかな。それに確か種から育てて収穫までには一か月半程。企画してるイベントは2週間後。研究者の僕が言うのもなんだけど無茶だと思うよ。悪いけども」

 

普段植生について研究されている竜人族の先生に言ったものの厳しい意見が返ってきた

そう、普通に考えたら時間も無いしカボチャで巨大オブジェ作成など馬鹿げている

いやしかし開花の宴、納涼の宴でハードルを上げ過ぎてしまった。

半端なネタではハンターさんの度肝を抜けないのだ。ここは奥の手を出すしかない。

 

 

「先生、ちょっとよろしいですか?」

 

「なんだい?」

 

「ギルドで保管していた植生用の肥糧等の紛失事件があり、私がお詫びに伺ったの…

いつごろだったか覚えてますか」

 

「さぁ…確か三ヶ月前だったかな」

 

「先生の後ろにある樹がハチャメチャに大きくなったのはいつでしたか?」

 

「…三ヶ月くらい前だね」

 

「最後にもう一つだけよろしいですか?」

 

「…」

 

「あの時の肥料、どこにいった?」

 

「……君のような勘のいい受付嬢は嫌いだよ」

 

 

殴 り た い

 

殴 っ て し ま い た い

 

何かこう鋼で出来た拳的なアレでひたすら殴打したい。

しかしここは我慢です。

 

「もしアレを今からでも総司令に報告したら」

 

「したら?」

 

「先生自身が肥料になってしまうかもしれません」

 

「それはそれで成長過程や検証結果が気になるね!」

 

うわ駄目だコイツ、話通じねぇや

 

 

「…今回は私の胸の内に留めておきますから、協力してください。必要な肥料等は

ギルドから。予算超える場合はその…私がなんとか用意しますので」

 

「なんだそれならそうと早く言ってくれよ!予算都合で止められてた実験が、

山程あるんだ。さぁ行こう!すぐ行こう」

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

肥料やら栄養剤やら肥沃な泥とかもドカドカぶち込み予算は無事枯渇した。

無論私の財布も枯渇した。預金も枯渇した。私の命がカボチャの苗に注ぎ込まれてる様を見て、血も涙も枯渇した。明日からのごはんどうしよう。

 

しかしその甲斐もあって、畑には大きな大きなカボチャが実った

もう笑うしかないくらいに大きい。馬車にだって余裕で出来る。

これが私の手のひらに乗る小銭を除いた全財産を飲み込んで出来たかと思うと

感動を超越して吐き気すら覚える程だ

 

「いやここまでになるとは思わなかったよ!こんな事ならもっと早く

君の財布を突っ込めば良かったね!」

 

「やめてくださいね先生、それ以上喋ったら私ブチ切れます」

 

でもいい。ハンターさんが。あわよくば我らの青き星が一瞬でも癒されてくれれば

私にとって大収穫なのである。推しの為に命削ってこそ推し活

 

私はギルドのみんなと早速超大型カボチャの収穫に取り掛かった。

どうかこの想いが、目の前のカボチャ程でなくとも…実るようにと祈りながら




お読み頂きありがとうございます。

研究員さんの後ろやつ育ちすぎだったので成長しすぎた理由を掘り下げてメチャクチャにしてやりました。後悔はしていない。総司令、受付嬢さんへボーナス支給してください。お願いします。研究員の給料は半分にして頂いて構いませんので。

ここまでお読みいただきありがとうございました
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