まだ見ぬ世界へ   作:コアラのマーチ

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よろしくお願いします。


ダジャレは面白い

私、宮下愛は悩んでいた

 

「おばあちゃん、私ってスクールアイドル向いていると思う?」

 

「なんだい?いきなり」

 

「私さ、さっきいた男の子のいるスクールアイドル同好会に入ろうと思っているんだ」

 

お店のお皿を洗いながら話をしている

 

「愛のやりたいことならいいんじゃない?」

 

「そうだよね」

 

「愛は何に悩んでいるんだい?スクールアイドルをやることにかい?」

 

「ううん、スクールアイドルはスクールアイドルでもソロでステージに立つ予定なの。私は自分自身を出せるかなって思って」

 

カチャカチャという音は響いたまま無音が続く

 

「正解は一つじゃないよ。悩むのも大事さ。最後はきっと、あの男の子が助けてくれる」

 

「きー君が?」

 

私は手を止めて後ろを振り向く

 

「あぁ、あの男の子は答えを持っているよ」

 

それだけ言うと、おばあちゃんは家の奥へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、川木京平は侑たちと待ち合わせの場所に向かっていた

 

「歩夢、その格好でバスに乗るのか?」

 

京平は歩夢の練習着姿を見て尋ねた。

 

「乗るけど、何か悪い所あった?」

 

不思議そうに見ている歩夢

 

「いや、変っていうか、その…目のやり場に困る」

 

歩夢の練習着は軽装で、少し目立つデザインだった。侑がニヤリと笑いながら口を開く。

 

「京平変態だね」

 

「変態もなにもまた、勘違いした男が来そうだから言っているんだ」

 

「まぁ、確かにそうかもね」

 

侑も少し悩んだ表情を浮かべる。

 

「そしたら京平の魔法使っていく?」

 

「その方が良さそうだな」

 

歩夢は心配そうな顔をしながら口を挟む。

 

「でも、風が冷たいよ」

 

確かに春から夏にかけてはいけるが寒いものは寒い

 

「俺の上着貸すからこれ来てくれ」

 

京平は上着を脱いで歩夢に渡した

 

「ありがとう」

 

歩夢は上着を羽織り、ふと匂いを嗅いでみる

 

「……いい匂い」

 

「臭かったか?」

 

「ううん!京ちゃんの匂い、安心する匂いだよ」

 

「そうか。臭くなくて良かった」

 

京平が安心して準備を進める中、侑が歩夢と小声で話し始める。

 

「歩夢、ずるいよ」

 

「えへへ、京ちゃんが気を使ってくれたんだもん」

 

歩夢は誇った顔で言う。においも嗅いで嬉しそうに

 

「今日だけだからね」

 

「それはわかんないかな」

 

侑は歩夢の姿を悔しそうに見て、京平の所に向かった

 

「京平!」

 

「なんだ?」

 

「今日、京平の背中に乗せてよ!」

 

「ちょっと、侑ちゃん!」

 

歩夢はその声を聞き逃さずに待ったをかけた

 

「いやだよ。自分で飛んでくれ」

 

京平は呆れたように言う

 

「いいじゃん!京平には現役女子高生を背中に乗せることが出来るんだよ」

 

「だからってそれが俺のメリットになると思うか?」

 

「なるなる!」

 

侑は勢いをつけて京平の背中に乗った

 

「ほら!早く」

 

「ずるい!私も!!」

 

歩夢が対抗して乗ろうとする

 

「まて、歩夢まではむりだ」

 

「ごめんね。歩夢ここは私の特権なんだ!」

 

侑はニコッと笑ってそのまま京平を逃さなかった

 

「もう、時間ないからこのままいくからな」

 

腕時計の時間をみて、時間が押している為京平は慌てて魔法をかける

 

「京ちゃん!今度は私もね!」

 

歩夢は悔しい表情で言う

 

「なんで俺の背中に乗りたいんだよ」

 

「だって侑ちゃんだけずるいもん。私だって乗りたい」

 

歩夢は声を小さくいう

 

「わかったよ、今度乗せてやるから。」

 

京平が歩夢の頭をポンと撫でると、歩夢はすぐに機嫌を直した。

 

「時間ないからもう行くぞ」

 

京平は侑を背中に乗せて飛んで行った

 

「いい景色だね」

 

飛び始めてしばらくして侑は俺の背中に乗って言っていた

 

「普通に飛んでいてもわかるだろ」

 

「ちっちっち!普通に飛んでいてもわからない景色があるんだよ」

 

侑は指を使って、ドヤ顔で言ってた

 

「って、あそこにいるのってエマさんと愛さんじゃない?」

 

「え?どこだ?

 

俺は頭をキョロキョロしてみる

 

「あそこだよ、あそこ」

 

「わかんないわ」

 

「もう~」

 

侑は俺の頭を掴んでエマさん達の方向に顔を動かす

 

「あ、いた」

 

「ね!」

 

「降りるか。歩夢もいいか?」

 

「いいよ!」

 

 

橋の歩道にエマさんと愛を見つけた俺たちはエマさん達の近くに降りる

 

「エマさーん!」

 

侑は手を振りながらエマさんを呼ぶ

 

「あ!侑ちゃん、歩夢ちゃん、京ちゃん!おはよう!」

 

「おはようございます。エマさん」

 

「「おはようございます。」」

 

エマさんは俺たちに気づいて挨拶をした。

 

「魔法を使ってきたんだ!」

 

「ちょっと歩夢の練習着が周りの視線を集めるので」

 

俺は歩夢を指さす

 

「でも歩夢ちゃんが着ているのって、、」

 

エマさんは歩夢の上着を見て不思議な顔をした

 

「俺のですけど?寒そうだったから渡したんです」

 

「いいなぁ、歩夢ちゃん。それに背中に乗ってきた侑ちゃんもずるい」

 

「ずるいって、俺は疲れただけですよ」

 

俺は呆れながら言う。正直侑を背中に乗せたことでどうってことはないのだ

 

「京平その言い方はひどくない?」

 

怒りながら言ってくる侑

 

「ひどくないよ。俺は疲れた。それに怒るならもう乗せないからな」

 

「ちょっと、それとこれは別だよ」

 

「あはは、みんな仲いいね」

 

その様子を見て愛は笑っていた

 

「エマさんとなにか話している途中だったか?」

 

「ううん。今来たところ」

 

「そっかならよかった」

 

 

エマさんは橋から見える川見ながらつぶやく

 

「昨日はソロアイドルって聞いて驚いた?」

 

「確かに驚いたけど、一番驚いたのは自分に対してなんだよね」

 

「自分に対して?」

 

エマさんが愛に質問して、更に俺が割って質問した

 

「うん、同好会のみんなが悩んでいるのって自分を出せるかってことでしょ?」

 

「あぁ。」

 

「考えてみたら、みんなと一緒にやる競技ばかりでさ、めっちゃハードル高いよね」

 

愛は少し照れくさそうに笑って、京平の方を見る。

 

「まぁ、そうだよな」

 

少しの沈黙が流れたあと、それを打ち消すようにエマさんが明るく声を上げた。

 

「そろそろ走ろうか。もう9時になるし、行く時間だよ!」

 

「それもそうだな。歩夢、侑、今日は自分で走れよ。魔法は終了だ」

 

「えぇー!」

 

侑が不満そうに声を上げる。そんな侑を見て、愛は思わず吹き出した。

 

「あはは!“九時でもう行く時間”って、ダジャレじゃん!上手いね!」

 

「……え?」

 

京平は不意を突かれて固まるが、愛はどんどん笑い続ける。

 

「あ~エマさん、外国だとちょっと分かりづらいかもしれないけど、日本にはダジャレっていう言葉遊びがあるんだ。同じ音を繰り返したりするやつ」

 

「聞いたことある!面白いよね!」

 

エマさんが楽しそうに答えると、京平はちょっとした得意気な顔で続ける。

 

「例えば、『布団が吹っ飛んだ』とか、『アルミ缶の上にあるミカン』とかな」

 

歩夢は腕を組んで顔をしかめた。

 

「京ちゃん、そのおやじギャグはちょっと寒い…」

 

「え、そうか?」

 

「もう!お腹痛い!ダジャレはやめて~!」

 

愛は腹を抱えて笑い転げている。その横で、侑も大爆笑していた。

 

「おい、2名も爆笑してるぞ」

 

京平は呆れながら愛と侑を指差して歩夢に言った。

 

「侑ちゃんは笑いのレベルが赤ちゃん並みだから」

 

その言葉に侑は抗議するでもなく、ただ笑い続ける。京平は心の中で小さく思った。

 

(侑、バカにされてるのに気づいてないんだな…)

 

 

 

 

「でも、愛ちゃんが同好会に来てくれて本当に良かった」

 

「え?」

 

みんなが笑い落ち着く中、エマさんが柔らかく微笑んで言った。

 

「愛ちゃんはみんなのムードメーカーだよ。愛ちゃんが来てくれてから、前よりも明るくなった気がする」

 

「京ちゃんもそう思う?」

 

愛が不思議そうに京平を見つめる。

 

「ああ、そう感じたよ。みんなと一緒にいる時、楽しそうだったからな」

 

「そうかな?自分ではあまり自覚ないけど…」

 

愛は照れくさそうに笑った。

 

エマさんは少し真剣な表情になりながら続けた。

 

「私たち同好会はね、いろいろなことがあって、今ようやくスタートラインに立てたばかりなんだ」

 

そう言うと、エマさんは優しい目で愛を見つめる。

 

その横で京平が言葉を続けた

 

「それに、愛が悩んでるソロアイドルは、なにも一人きりで全てをするわけじゃないんだよ」

 

「え?どういうこと?」

 

愛が首をかしげる。

 

「同好会の中でソロとして輝くってことだ。一人一人が個性を出しながらも、全体でも輝けるんだ。さらにステージでは好きなことを表現して、それをみんなで共有できる」

 

 

 

「そっか…“私はずっとステージは1人”って、思ってて、そういうことだったんだ」

 

愛は空を見上げて、まるで何かを掴むように手を伸ばした。

 

「私、ちょっと先走ってくる!」

 

そう言うと、愛は軽やかに走り出した。

 

「流石、スポーツの助っ人だな」

 

そのスピードに京平は思わず感心して呟いた。

 

 

 

 

(そういうことなんだ…誰かに楽しんでもらうことが好きで、自分も楽しむことが好き。その“楽しい”をみんなと分かち合う、それがスクールアイドルなんだ)

 

愛は走りながら広い公園へとたどり着いた。そして両手を広げて叫ぶ。

 

「見ててよ!これが私のやりたいスクールアイドルだよ!」

 

 

 

『サイコーハート』

 

 

 

「みんなと一緒、ステージは一人じゃない!最高!!」

 

愛は全身で喜びを表現しながら京平にダイブしてきた。

 

「ちょっ、なんで俺に抱きつくんだよ!」

 

京平は慌てて愛を引き剝がそうとするが、愛は離れない。

 

「ありがとう、って意味だよ!」

 

「ありがとうなら、抱きつかなくてもいいだろ!」

 

京平が抵抗していると、少し離れたところで歩夢の視線を感じた。

 

「これはね、宣戦布告だよ!」

 

「は?何の宣戦布告だよ!」

 

愛は満面の笑みを浮かべながら京平に抱きつき続けた。その様子を見ていた歩夢が、じっと京平を睨む。

 

しばらくして愛がようやく離れると、案の定京平は歩夢から厳しい説教を受けるのだった。




愛さん編終わりました

次回は天使な天使なエマさんです!
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