「みんな、少し相談があるんだが」
私が京ちゃんと出会って間もない頃のお話。屋上で練習してた私たちは休憩中せつ菜ちゃんのために料理を作っている川木君が同好会メンバーに話しかけた
「どうしたんですか?」
「いま肉じゃがを作っていたんだが、少し作りすぎてしまって誰か持って帰ってくれないか」
川木君は大きなお鍋を持ってみんなに相談をした
「まさか本当に料理を作っていたなんて」
「男の子なのに凄いね」
かすみちゃんはグギギと唸りながらエマちゃんは両手に拍手を送っていた
「京平さん!わたしの分はあるんですか!?」
せつ菜ちゃんは怒った顔で川木君に迫る
「お前の分はいつもとってあるだろう。それを考えても余るんだ」
「それならいいですけど」
「せつ菜さんって京平先輩に世話されているんですか?」
かすみちゃんが疑問をぶつける
「まぁ、調理室を使わせてくれるための条件さ」
「なるほど」
「それなら私貰ってもいいかな?」
私が手を上げて京平に話しかける
「本当ですか!ぜひ!ご家族の分も入れてますので!」
「そんな沢山もらっていいの?」
川木君は鍋のふたを開けて自分で持ってきたタッパーに入れていく
「大丈夫です!もらってください!」
「ありがとうね。それにせつ菜ちゃんが川木君の料理は本当に美味しくて毎日食べたいっていつも話してくれるから気になってて」
せつ菜ちゃんが京平さんの料理は世界一ですといつも嬉しそうに話していた
「せつ菜が俺の悪口言ってなくて良かったです」
「なんで悪口言わないといけないんですか!」
せつ菜ちゃんはムスーとなる
「ふたりは仲いいね」
私は二人の様子を見て微笑ましくなる
「お金はいくら払えばいい?」
「お金?いらないです」
「え?材料にお金かかると思うけど、」
「趣味で作っているだけなので」
?という疑問を浮かべながら川木君は答えていく
「せつ菜ちゃんも払ってないの?」
「わたしも払うって言ってるのですがこの通り受け取ってもくれません」
せつ菜ちゃんも呆れて、ため息をつくほどだった。
「本当にいいの?」
「俺は人にお腹いっぱいご飯を食べてほしいので!」
「彼方さん諦めてください」
そう京平はお金を取らないせつ菜にもお前の笑顔が代金だと言ってせつ菜の支払いを断っていた
「わかったよ」
川木くんがタッパーに移したことで、私は大きいタッパーと小さいタッパーの二つを受け取った
「ごめんね、大量にもらって」
「近江先輩、ごめんねではなく、ありがとうです!大量に作ったんだから気にしないでください」
私に渡した後はエマちゃんやしずくちゃんに分けていた
エマちゃんにも大きいタッパーに入れながら答える川木君
「ありがとう。京ちゃん」
「どういたしましてです!」
他の同好会メンバーに渡したことで川木君は持ってきた鍋がもうなくなっていた
「みんながいてくれて助かったよ」
川木君はルンルンになって調理室に戻ろうとする
「京平さんわたしの分は!?」
せつ菜ちゃんが川木君を捕まえて聞く
「いつも通り、調理室にあるぞ。それとも別の場所で食べるか?」
「いいえ!今日は調理室で食べたいと思います!早く急ぎましょう!!」
せつ菜ちゃんは手を引っ張って早くと言わんばかりに言う
「少し待ってろ、食べ物は逃げない」
川木君はせつ菜ちゃんを抑えながら、私を見る
「近江先輩、電車かバス移動だと思うので、匂いは漏れないようにしました。それとタッパーは渡すので返さなくていいですよ。どうしてもというならタッパーは捨てて結構です!」
「いやでも、それだと川木君が」
「タッパーは大量にあるので安心してください」
「早く行きますよ!」
「わかったから、引っ張るな」
せつ菜ちゃんと2人で調理室へと消えていった
「行ってしまいましたね」
しずくちゃんもタッパーを貰い茫然としていた
「京ちゃん、せつ菜ちゃんと仲いいからね」
エマちゃんも驚いていた
「あの二人ってどいう関係なんですか?」
「私にもわからないよ」
かすみちゃんの質問に私が答えたがそれはみんなが疑問に感じていることだった
「ただいま~」
私は練習が終わって、家についた
「お姉ちゃんお帰り、今日は早かったね」
「うん、アルバイトがお休みだったから」
私は迎えてくれた妹の遥ちゃんに事情を話す
「そうだ。今日ね、同好会のマネージャーが肉じゃが作ってくれたんだ」
私はマネージャーが渡してくれたタッパーを遥ちゃんに渡す
「肉じゃがを!?凄いね。でもなんで2つあるの?」
「お母さんの分ももらって来たんだ」
「そんなに大量に作っていたの!」
遥ちゃんは驚きながら私と一緒に居間に向かう
「そうなんだ。しかもお金はいらないっていうんだよ」
「えー!!」
さらに遥ちゃんは驚く
私は制服から着替えるため部屋に向かう
ポケットに入っていたスマホは震えていた
見てみるとメッセージが残されており、同好会メンバーのグループだった
『肉じゃがとっても美味しかった』
エマちゃんが話していた
『本当に美味しかったです。今度直接お礼言いたいです』
しずくちゃんからも好評だった
私はそのメッセージをみて遥ちゃんとご飯を食べることにした
「「いただきます」」
2人で机を囲み肉じゃがを口の中に入れる
「ん~美味しい!!」
遥ちゃんは目をキラキラしながらほっぺを抑えている
「本当に美味しいね」
「天才だよ。この味出せるの」
遥ちゃんはすごく褒めていた
「お姉ちゃんの料理もおいしいけど、マネージャーさんの料理も凄いよ」
「本当だね。男の子なのに凄いな」
「え!男の子のなの!もう胃袋掴まれたからお嫁に貰ってくれないかなー」
遥ちゃんは男の子という単語を聞いてニヤニヤしていた
「ダメだよ!遥ちゃんはだれにも渡しません!」
私は必死に遥ちゃんを現実に戻す
「でもこんな美味しい料理食べたら毎日食べたくなるよ」
その言葉を聞いてせつ菜ちゃんが毎日食べる理由がわかった気がする
「今度お礼言わないとね」
「ねぇ!名前なんていうの?そのマネージャーさん!」
「川木京平君だよ」
「川木さんって言うんだ今度私からもお礼言うね!」
遥ちゃんはニコッと笑いながら私と話ながらご飯を食べた
……そうそう、あの日が、私が初めて京ちゃんの料理を食べて、胃袋を掴まれた日だったんだよね。
彼方ちゃん編スタートしました。少しずつ書いていくので待ってください