まだ見ぬ世界へ   作:コアラのマーチ

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よろしくお願いいたします


姉妹とは

「んっ」

 

私が眠りから覚めると、周りは片づけをしていた。

 

「お? 起きたんですね。おはようございます」

 

お皿を持って片づけをしていた京ちゃんが、私に気づく。

 

「目、覚めた?」

 

遥ちゃんも私に気づいた。

 

「はっ! 遥ちゃんに寝顔見られちゃった……」

 

恥ずかしくなり、枕に顔を埋めた。

 

「恥ずかしくなんてないよ。疲れて当然だよ、無理してるんだから」

 

「無理してるって?」

 

無理している感覚はなかった。再開した同好会は楽しいし、疲れなんて感じなかった。

 

「私、お姉ちゃんが疲れてるんじゃないかって思って、同好会での様子を見たくて見学に来たの」

 

「そうだったんだ」

 

私が座っているソファーに、遥ちゃんが座る。

 

「でも、同好会でのお姉ちゃんは今まで以上に楽しそうで、『ようやくやりたいことに出会えたんだ』って思って、本当に良かった。それに、お姉ちゃんが同好会をとても大事な場所だって感じてるのも分かった」

 

「ありがとう。彼方ちゃんのそこまで見てくれたんだね」

 

真剣な眼差しで、遥ちゃんは言葉を続けた。

 

「うん。だからね――私、これ以上お姉ちゃんに迷惑かけたくないの」

 

突然の言葉に、私と周りは驚いていた。

 

「そんな、迷惑なんて思ってないよ」

 

「ううん、違うの、今まで京平さんに助けてもらってたから大丈夫だったけど、普通の人だったら倒れてるよ」

 

「京ちゃんに?」

 

私は首を傾げながら、京ちゃんを見る。

 

「寝てる時に話したんだ。俺が魔法使いで、彼方さんに魔法を使ってたことを」

 

そう言って京ちゃんは、手のひらに光を集めて見せてくれた。

 

「これがその魔法。スリープヒーリング。前にかすみにやった魔法の眠りバージョンだ」

 

「そんな……今まで気づかなかった」

 

「寝てる間にしてましたから」

 

それから私は今まで京ちゃんがしてくれたことを全部聞いた。

数日前から体調を気にしていたこと、アルバイトが最近多かったことも気になっていたこと、少しでもサポートをしたかったということを。

 

話が全部終わり、改めて遥ちゃんが私と向き合う。

 

「それでね、お姉ちゃん。私、スクールアイドルやめる」

 

その言葉を聞いて、時が止まる。

 

「え? えーっ!」

 

立ち上がって、遥ちゃんの肩を掴む。

 

「ど、どうして?」

 

「このままだと、お姉ちゃん、無理しそうだから」

 

さらに京ちゃんの方を見て、言葉を続けた。

 

「だから、京平さんもお姉ちゃんに言わなかったんですよね」

 

「この魔法を使って無理した人間が一人いたからな」

 

京ちゃんはせつ菜ちゃんを見て、せつ菜ちゃんはギクッとなっていた。

 

「そんな、彼方ちゃんは無理してないよ! ほら、この通り、大丈夫だよ」

 

「全然大丈夫じゃないよ! お母さんが大変だからってアルバイトも掛け持ちして、奨学金もらってるからって夜遅くまで勉強して……そんなの、普通だったら倒れちゃうよ!」

 

遥ちゃんも立ち上がって、真剣な目で私に言う。

 

「あの……それが原因で、スクールアイドルをやめるということですか?」

 

しずくちゃんがそっと質問をする。

 

「はい」

 

「だ、だめ! 遥ちゃんは夢を諦めたらダメ!」

 

「お姉ちゃんが苦労してるの分かってて、夢を追いかけるなんてできないよ」

 

遥ちゃんは、肩に置いていた手を払う。

 

「そんなの気にしなくていいんだよ。遥ちゃんは大事な妹なんだから」

 

「どうして? 妹だったら気にしちゃいけないの?」

 

「心配させちゃってごめんね。彼方ちゃん、もっと頑張るから」

 

その言葉で、遥ちゃんは唇を嚙みしめた。

 

「お姉ちゃんのわからずや!!」

 

涙をにじませながら叫んで、遥ちゃんは部室を飛び出した。

 

「遥ちゃん!!」

 

私が声をかけるが、止まらない。

 

「私、追いかけてくる!」

 

侑ちゃんが走りながら言う。

 

部室の中は、私のせいでどんよりとした空気にしてしまった。

 

「彼方さん、今日ってアルバイトですか?」

 

そんな空気の中、京ちゃんが声をかけてくれる。

 

「うん、2時間後にアルバイト入ってる」

 

「そしたら、シャワー浴びたら一緒に行きませんか?」

 

「うん、わかった」

 

――彼方さんがシャワーに行った頃、部室では。

 

「本当に申し訳ございませんでした」

 

俺、京平は歩夢さんに土下座をしていた。

 

「私、言ったよね? 魔法の内緒はダメだって。小さい頃の約束、破るの?」

 

椅子に座って足を組みながら、怒っている。

 

「違うんだ。これは小さい頃から持ってたんだけど、使い道がなくて口にしなかったんだ。寝不足なんて知らなかったから」

 

「それは小さい頃のお話だよね?」

 

腕をトントンとしながら怒る。

 

「他に隠してることはある?」

 

「ありません」

 

同好会メンバーは、俺を哀れな目で見ている。

 

「幼馴染に内緒にしてたのが悪い」

 

璃奈がボードを持ちながら言う。

 

「まぁ、約束してたならきー君が悪いかな」

 

愛も同情はしなかった。

 

「次、内緒にしてることあったら――どうなるか分かってるよね?」

 

「はい、私の人生すべてを使って貴方様に奉仕活動をします」

 

「違う。侑ちゃんも入れて」

 

「はい」

 

土下座をしながら、ありがたい言葉をもらう。

 

「京ちゃん、次は本当にないからね」

 

歩夢は許してくれた。

 




資格勉強があって少し短めで申し訳ありません
次の月曜日にまた更新するのでお願いします
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