寡黙な生徒   作:いえカニ

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初投稿です(迫真


寡黙な生徒と歌住サクラコ秘密計画
寡黙な生徒と歌住サクラコ秘密計画1


ーーートリニティ学内ーーー

 

 

学園内の広場を横切るノーネーム。

金色の髪が夕日に照らされ、柔らかな光を反射している。

今日も彼女はいつものように仕事を探しに、知り合いの所へ向かおうとしていた。

 

しかしその道を、シスターフッドのメンバーたちが塞いだ。

揃った足並みで彼女の周囲を取り囲む。

 

「ノーネーム、サクラコ様がお呼びでございます」

 

リーダー格の一人が丁寧に告げるが、その声にはどこか緊張感が漂っていた。

 

「…」

 

ノーネームは少し首を傾げ、金色の瞳を瞬かせる。

驚きも警戒もなく、淡々とした様子だ。

 

「抵抗せずついてきてください」

 

シスターフッドのメンバーたちは静かに道を開け、ノーネームを囲むようにして歩き出した。

 

道中、他の生徒たちが不安そうにこちらを見つめ、ひそひそと話し始める。

 

「ねえ、あれ…誘拐じゃない?」

 

「もしかして拉致…?」

 

ノーネームはその囁き声を聞いても特に気にした様子はなく、むしろ楽しそうに唇を緩めた。

 

 

ーーートリニティ大聖堂:地下ーーー

 

 

重厚な扉がゆっくりと開かれると、そこには静謐な空間が広がっていた。

まるで別世界のような神聖さに満ちた場所――それがシスターフッドの地下聖堂である。

 

「サクラコ様、連れて参りました」

 

シスターフッドのリーダーが丁寧に頭を下げ、ノーネームを招き入れる。

 

「ありがとうございます、皆様。下がってよろしいですよ」

 

歌住サクラコが優雅に微笑み、手を軽く振る。

 

「しかし、サクラコ様。相手はノーネームです。何をするか…」

 

「大丈夫です。これから二人でお話をするだけです。下がってください」

 

「わ、分かりました…」

 

メンバーたちは一斉に頭を下げ、ゆっくりと退室していく。

扉が静かに閉まり、部屋にはサクラコとノーネームの二人だけが残された。

 

サクラコはそっとノーネームの方へ向き直る。

 

「……あ、あの…怖がらせてしまっていたらごめんなさいね?」

 

「…♪」

 

ノーネームはサクラコの顔を見上げ、ニコッと口元を緩める。

むしろ楽しそうな表情に、サクラコはホッと胸を撫で下ろした。

 

「良かったです。それでは、早速お願いしたいことをお伝えしますね」

 

サクラコは小さなテーブルの上に、数枚のビラを並べる。

それはどれも手書きで、丁寧な文字が綴られていた。

 

『シスターフッドは皆様のために慈善活動をする清廉潔白な組織』

『お悩みやご相談は、ぜひシスターフッドへ!』

『作:歌住サクラコ』

 

サクラコは胸を張り、ビラを掲げる。

 

「見てください、私が心を込めて書きました!」

 

ノーネームはじっとビラを見つめ、次にサクラコの顔を見上げる。

その目には少しばかりの驚きと尊敬の色が滲んでいる。

 

「ふふっ、嬉しいですわ。ノーネームさんもご存じかとは思いますが、私たちシスターフッドは、少々誤解されている部分がありまして…」

 

「…」(コクコク

 

ノーネームは小さく頷く。

 

「このビラを配れば、誤解を解く手助けになると思うのです!」

 

「しかし…私たちシスターフッドのメンバーが大勢でビラを配ると、また誤解されてしまいそうで…」

 

サクラコは頬に手を当て、困ったように首を傾げる。

 

「私達でこのビラを配り、私たちは皆様のために慈善活動を行う清廉潔白な部活だとアピールをするのです」

 

「…」(コクコク

 

ノーネームは再び頷き、その瞳には「任せて」と言わんばかりの力強さが宿る。

 

「もちろんちゃんと報酬もご用意しておりますよ」

 

サクラコは懐からシスターフッドのロザリオを取り出し、ノーネームの前に差し出す。

 

「以前からこれが欲しいと仰っていましたよね? ぜひ、受け取ってください」

 

「…♪」

 

ノーネームの瞳が輝き、口元がふわりと綻ぶ。

まるで子供のように純粋な喜びの表情だった。

 

「では、よろしくお願いしますね、ノーネームさん」

 

サクラコが明るく声をかけると、ノーネームはしっかりとビラを抱えて立ち上がる。

彼女の顔には明るい笑顔が浮かび、力強く頷く。

 

二人は扉を開け、地下聖堂を後にする。

 

 

ーーートリニティ校門ーーー

 

 

「シスターフッドをよろしくお願いします♪」

 

私は笑顔いっぱいで、両手に持ったビラを一枚ずつ生徒さんたちに差し出します。

 

「ひっ!し、失礼しました!」

 

しかし、目の前の生徒は小さく悲鳴を上げると、足早に逃げ去ってしまいました。

 

「あっ…」

 

私の声は虚しく空を切ります。

笑顔で、できるだけ柔らかい声を心掛けているのですが、どうも私の言葉は届いていないようです。

 

ふと、ノーネームさんの方を見てみると、彼女は黙々とビラを配っていました。

一見すると順調そうですが…。

 

「…」(ピラッ

 

ノーネームさんがビラを差し出すと、目の前の生徒が怪訝そうな顔をしました。

 

「えっ?何このビラ?こんなのいらないわよ。ていうかアンタ無言で気味悪いのよ。近寄んないでくれる?」

 

その生徒はビラを目の前で破り、地面に捨てました。

そして、ノーネームさんに冷たい視線を投げかけます。

 

ノーネームさんは一瞬驚いたような表情を浮かべ、次に眉を下げて小さく俯きました。

それでも彼女は地面に捨てられたビラを拾おうと屈み込みますが――

 

バッ!

 

そのビラは、生徒の足で踏みつけられました。

 

「そこのあなたっ」

 

私は思わず声を上げ、その生徒とノーネームさんの間に立ちます。

 

「受け取ったビラを目の前で捨て、人の悪口を言うなんて…そんな行為、許されません」

 

その生徒はビクリと肩を震わせ、目を丸くします。

 

「ノーネームさんに謝りなさい」

 

私が真っ直ぐその生徒の目を見つめて言うと、彼女は口をパクパクさせた後、か細い声で言いました。

 

「ひっ…ご、ごめんなさいっ!」

 

生徒は小さく頭を下げると、そのまま走り去っていきました。

 

「ノーネームさん、大丈夫ですか?」

 

ノーネームさんはゆっくりと顔を上げ、ニコッと微笑みました。

その表情には「大丈夫だよ」と言わんばかりの優しさが滲んでいます。

 

「…♪」

 

私はホッと胸を撫で下ろしました。

 

しかし、ノーネームさんは再び地面に落ちたビラを拾い、申し訳なさそうに私に差し出してきました。

 

「気にしなくて大丈夫ですよ。ビラはまだたくさんありますから」

 

そう言って、私はノーネームさんの頭を優しく撫でました。

ノーネームさんは少し恥ずかしそうに目を細め、嬉しそうに頷きます。

 

しかし――

 

「なかなかビラ配りが上手くいきませんね…」

 

私たちがどれだけ頑張っても、受け取ってもらえるビラは少なく、むしろ私たちを避けるように皆さんが通り過ぎていく。

 

「普通に配っているだけなのに、皆様怖がって逃げてしまいますし…。どうすれば良いのでしょうか…」

 

「…!」

 

その時、ノーネームさんが私の袖を引っ張りました。

 

「何か思いついたのですか、ノーネームさん?」

 

ノーネームさんは小さく頷き、指で向こうを指さしました。

 

 

ーーートリニティ学内ーーー

 

 

ノーネームさんの案内で私たちは学内に向かいました。

 

「ここで…どうするのですか?」

 

私は不思議そうに彼女を見つめます。

 

ノーネームさんは黙ったまま、持っていたビラを取り出し、壁にペタリと貼り付けました。

 

「なるほど!」

 

私は手を叩いて感心しました。

 

「受け取っていただけないなら、学内に貼って目に留まるようにすれば良いのですね!」

 

ノーネームさんは自信たっぷりに頷きます。

その表情はどこか誇らしげです。

 

「それでは、早速貼っていきましょう!」

 

私たちは学内の掲示板、壁、目につく場所にビラを一枚ずつ貼っていきました。

 

「ここも良いですね!」

 

「…♪」

 

ノーネームさんは黙々と、しかし丁寧にビラを貼り続けました。

 

……

 

「これで全部貼ることができましたね!」

 

二人で協力し、校内の至る所にビラが並びました。

廊下、掲示板、階段の手すり、カフェテリアの入り口――。

 

どこを見ても、私の作ったビラがズラリと並んでいます。

 

「これで、シスターフッドが皆様のために善良な活動をしていることが伝わりますね!」

 

私は満足げに微笑み、ノーネームさんの方を向きました。

 

「こちらが報酬のシスターフッドのロザリオです。本日は本当にありがとうございました」

 

私はノーネームさんに小さなロザリオを手渡しました。

 

ノーネームさんはそれを大事そうに両手で受け取り、ゆっくりと首にかけました。

 

「…♪」

 

彼女は満面の笑みを浮かべ、小さく嬉しそうに頷きます。

 

その姿はまるで小さなシスターのようで、思わず私も微笑んでしまいました。

 

「ふふっ、これでシスター服を着れば、本当にシスターフッドの一員ですね」

 

ノーネームさんはくすくすと笑い、私の言葉に頷きました。

 

 

ーーートリニティ・テラスーーー

 

 

優雅な午後のひととき。

桐藤ナギサはテラスに広がる陽光の下、湯気を立てる紅茶カップを手にしていた。

 

「ふふふ…今日はとっても平和ですね。紅茶がとっても美味しいです。」

 

風がそよぎ、バラの香りが鼻をくすぐる。

ティーセットの上には、繊細なガラス細工のようなティーポット。

静かに広がるティータイムに、ナギサは満足げに目を細める。

 

しかし――その静寂は突如として破られた。

 

「大変です、ナギサ様!!」

 

扉を勢いよく開け、ティーパーティーのメンバーが飛び込んできた。

紅茶のカップが揺れ、テーブルクロスが風に舞う。

 

「どうしたのですか?そんなに慌てて…」

 

ナギサは眉をひそめながらも、優雅さを保とうと努力する。

 

「シスターフッドの長、歌住サクラコと…ノーネームが政治活動をしております!」

 

「!!?」

 

ナギサは思わず紅茶を口に含んだまま、**ブッ――!**と噴き出してしまった。

紅茶の滴がテーブルクロスに小さなシミを作る。

 

「な、何ですって…?」

 

「さらに、サクラコ様がノーネームにシスターフッドのロザリオを渡しているところが目撃されたそうです! これはもしかすると…!」

 

報告を受けたナギサは、紅茶のカップをテーブルに置き、額に手を当てる。

 

「……」

 

目の前が暗くなったような気がした。

もう何も考えたくない。

考えたくないのです――!

 

 

ーーートリニティ学内ーーー

 

 

ナギサが目を開け、廊下を歩くと――至る所にシスターフッドのビラが貼られていた。

壁、掲示板、階段の手すり、さらにはカフェテリアの柱にまで。

 

『シスターフッドは皆様のために慈善活動をする清廉潔白な組織』

『お悩みやご相談は、ぜひシスターフッドへ!』

 

見慣れた字で書かれたビラが、至る所に貼られている。

 

しかし、そのビラを見た生徒たちの表情は――

 

「ちょっとこれ、やりすぎじゃない?」

「こんなにビラを貼るなんて、なんか逆に怪しいよね…?」

「シスターフッドって、やっぱり何か後ろめたいことがあるんじゃない?」

 

廊下のあちこちで、冷たい囁き声が飛び交う。

 

「なんか最近、シスターフッドの動きが妙に目立ってない?」

「あれ、政治活動とかじゃないの?」

「いや、だってノーネームにロザリオ渡してるとか…普通じゃなくない?」

 

生徒たちは集団でひそひそ話しながら、ビラを指差し、冷ややかな目で見ている。

 

さらに角を曲がると、そこで目に飛び込んできたのは――

 

ノーネームが首にシスターフッドのロザリオをかけ、嬉しそうに微笑んでいる姿だった。

その周囲には、少し距離を取るように生徒たちが集まり、ひそひそ話している。

 

「ねえ見て、あれロザリオ…?」

「シスターフッドの象徴だよね…? なんでノーネームが?」

「やっぱり、何か裏があるに違いないわ…」

 

――噂はすぐに形を変えて広がっていく。

 

「シスターフッドがノーネームを勧誘したんじゃない?」

「あの子、なんか…シスターフッドの秘密を知ってるとか…?」

 

冷たい視線、疑惑の目、広がる不信感。

 

ナギサは思わず天を仰いだ。

 

「はぁ…もう何をどうすればいいのですか…!」

 

桐藤ナギサは天を仰ぎ、大きくため息をついた。

しかし、すぐに表情を引き締め、鋭い瞳で前を向く。

 

「――いいえ、考えている暇はありませんわ。事態がこれ以上悪化する前に動かなければ!」

 

ティーパーティーのメンバーたちはすぐさま動き始めた。

各自が手に小さなヘラや掃除道具を持ち、手際よくビラを剥がしていく。

 

「こちら、掲示板はほぼ回収完了しました!」

 

「階段の手すりも確認しました。残りは少しです!」

 

廊下では、メンバーたちが一枚ずつ慎重にビラを剥がしていく。

一部のビラはしっかりと貼り付けられており、なかなか剥がれないものもあったが、彼女たちは根気強く作業を続ける。

 

ナギサもまた、両手に手袋をはめ、カフェテリアの柱に貼られたビラを一枚ずつ剥がしていた。

 

「ふぅ…、一体どれだけ貼られているのですか…!」

 

額の汗を拭いながらも、その手は止まらない。

 

夕暮れ時――。

ティーパーティーのメンバーたちが校舎の中央に集まった。

彼女たちの手には、回収された大量のビラが入った袋がいくつも抱えられている。

 

「皆さん、お疲れ様でした。これでようやく、少しは落ち着くでしょう。」

 

メンバーたちは息をつき、互いに労いの言葉を交わす。

 

ナギサはゆっくりと視線を巡らせる。

壁も掲示板も、カフェテリアの柱も――もうビラは一枚も残されていなかった。

 

ティーパーティーの迅速な行動により、学内に広がったシスターフッドのビラは全て回収されたが、シスターフッドは今回の件で余計に誤解されるのだった。




サクラコ様ってどのような性格なのかいまいち分からないのですが変ではないでしょうか?
誤字、脱字がありましたらご報告ください。
今後とも黒歴史作成していきますので応援よろしくお願いします。
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