危険な勧誘   作:ダークネスドラゴン

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妖精達との再会です。





妖精達との再会

 

 

「ここよ」

 

「…久しぶりだな」

 

 

ミラジェーンさんに連れられて妖精の尻尾に来た。

この門を通るのも何週間ぶりだろう。広い敷地だ。

 

 

「入るわよ」

 

「はい」

 

 

門をくぐる。そのまま進もうとして気付いた。

 

目の前…、敷地の真ん中に見慣れない建物が建っていた。ミラジェーンさんはそちらに向かうので俺もついて行く。

 

近づくに連れて骨組みが見えてくる。木材で創り上げた新築中の建物だった。

 

 

「古いギルドは幽鬼の支配者(ファントム・ロード)にやられちゃったからね。今新しい建物を新築中なのよ」

 

「凄い…。良い出来になりそうですね。

…もしかして妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバー全員で作ってるんですか?」

 

「そうよ。因みに…設計図書いたの私♪」

 

「おおっ、建築の才能があるんですね」

 

 

凄いな。おっとりした見た目に反して、こんな強みも持っているとは。普段はきっと酒場の看板娘兼ねバーテンダーをやっているのだろうが、建物関連にまで詳しいなんて…。ミラジェーンさんは天才なのかもしれない。

 

 

敷地の真ん中の建物まで2人で歩いて行く。

 

 

「仕事はどうしてるんですか」

 

「仮説カウンターを作ってね。そこで依頼を受注しているの」

 

 

ギルドができるまでは即席のカウンターで依頼の受注を済ませてるらしい。なんというか、趣きがあるな。

 

建物の近くに行くとその場に残ってた人達が此方を見る。ミラジェーンさんに気付くと皆声をかけてくる。

 

 

「あ、ミラちゃん…と…げっ…評議員!?」

 

「な、何だ!?また誰かやらかしたのか!?」

 

「評議員だとっ!!テメエっ、いつも俺達の事ばかり睨み聞かせやがって!!」

 

 

仮説ギルドからブーイングが飛んでくる。

 

…そう言えば評議員の服のままだった。本当は着替えないといけないのだが、色々と疲れてそれどころじゃなかった。

 

…にしても随分と嫌われてるな。妖精の尻尾(フェアリーテイル)が悪いのか評議院がクズなのか…。

 

 

「うえ〜ん、またやらかしたのか〜、お前らのう…」

 

「ま、マスター、気を確かにっ、まだ決まった訳じゃありませんっ」

 

 

あ、マスター・マカロフが泣き出した。必死にあやしているのは…エルザさんだった。

 

 

「あらあら、早速嫌われ者になっちゃったわね♪」

 

「あの…、もしかして楽しんでます?」

 

「うふふっ♪」

 

 

……。ミラジェーンさん…。酷い…。この状況を楽しんでるようだ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々から睨まれながらも彼らの方に向かっていく。

 

奥からドタドタと此方に向かってくる音がする。

 

 

「また評議員かよ〜!!だ〜、本当にうるせー奴らだな〜!!文句ばかり言うのもいい加減にしねえとぶっ飛ばすぞ!!……て、この匂い!?」

 

「ナツ、駄目だよ。評議員に逆らっちゃ…って、えっ…!?」

 

「ったく…、うるせぇ奴が来たか…あ?」

 

「あっ…」

 

「嘘っ…」

 

「お前は…!!」

 

 

次々に俺の顔を見て固まる一同。どうやら覚えていてくれたようだ。何週間も経ってるから流石に忘れられたと思ってた。

 

 

「久しぶりだな…」

 

「「「「「「ブルー!!!?」」」」」」

 

 

途端に驚く一同。俺と関わりのある人間は特に驚いている。

 

 

「嘘だろっ…まじで評議員になってたのか!!」

 

「マジかよ、てことは俺達を捕まえる側か〜!!」

 

 

評議員になってる事を驚くグレイ。冷や汗を浮かべる桜髪の少年、改めナツ。何か後ろめたい事でもあるのだろうか。

 

改めてギルド全体を見る。もう夕方だと言うのにかなりの人数がギルドに残っていた。

 

奥の方を見る。

とある2人を見つけた。彼女達と目が合う。その表情が変わっていく。

 

1人は俺を見るなり表情を明るくして。

もう1人は頬を薄っすらと赤らめ、その瞳に涙を浮かべて俺を見詰める。その表情が驚きから喜びの表情に変わっていく。

 

 

「ブルー…」

 

「ほ、本当に…」

 

「や、随分と心配かけたな」

 

 

片手を上げる。

 

瞬間、思いっ切り此方に駆け寄ってきた。

 

 

「ブルー、良かった!!無事だったんだ!!」

 

「ブルー!!本当にブルーだ!!もうっ、本っ当に、心配したんだからっ」

 

「や、2人共、元気そうで良かった」

 

 

駆け寄ってきたのは以前世話になったレビィとルーシィ。

ルーシィの方は少し涙ぐんでる。心配かけたな。

 

2人を皮切りに徐々に俺の周りに人が集まってくる。

 

 

「ブルー…、本当にブルーだ…」

 

「なんというか、評議員か…案外似合ってるかもな…」

 

「久しぶりじゃのう」

 

「マスター・マカロフ。お久しぶりです」

 

 

後ろの方にいる未だに俺であることに半信半疑の面々。片手を上げて挨拶をするマスターに軽くお辞儀する。

 

レビィとルーシィが俺の制服の腕に触れてくる。

 

 

「わあ…、評議員の制服だ。凄く格好いい!!」

 

「ブルー、制服凄く似合ってるよ」

 

「お、本当に?なら着た甲斐があったな」

 

 

俺の制服を褒めてくれる2人。評議員の制服なんてと思ったが、2人がそう言ってくれるなら案外捨てたもんじゃないようだ。…奥からレビィの仲間の青年2人が睨んでいる。

 

 

「ブルー、俺と勝負しろ〜」

 

「やめとけナツ、ボコボコにされるぞ」

 

 

他の面子も次々に駆け寄ってくる。なんというか居心地が良いな、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は。温かみがある。

 

奥から更に1人歩いてくる。

 

 

「ブルー、無事だったのか」

 

「エルザさん、貴方には心配かけた」

 

 

あれから数日経ってる。この様子だとギルドで待ってた彼女は俺の事を大分心配していたのだろう。本当に良い人だ。

 

 

「ふっ、噂は聞いた。悪魔の心臓(グリモアハート)のマスターを討ち取ったらしいな。私の心配は無用だったか…」

 

「…危ない戦いだった。初めて罪を犯すところだった。俺一人では…」

 

「皆まで言うな。お前にそこまで言わせる相手だとは…やはりジークレインの奴…」

 

 

彼の名前を呟き、表情をしかめるエルザさん。

しかし、俺の身が無事であった事に安心してくれてるのかその表情は多少穏やかだった。

 

…俺も彼女に話す事がある。

 

 

「…実はなんだが上から一週間の休暇を貰った。エルザさん…後で話がある。忙しい所悪いが、時間貰っても良いか?」

 

「構わない、私もお前に聞きたい事があるからな」

 

 

彼女には聞きたい事が山のようにある。向こうも同じようだ。内容は勿論、ジークレイン、そしてこの前の闇ギルド、悪魔の心臓(グリモアハート)の事だ。情報交換ついでに、この際親交を深めるのにも丁度良い。

 

マスター・マカロフが此方に来た。

 

 

「ブルー、無事で何よりじゃ。ここにいる全員が気にしておった」

 

「マスター・マカロフ、それに妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆様には大変ご心配とご迷惑をおかけしました。本当、何から話せば良いか…」

 

「そう、気張る必要は無い。折角じゃ、しばらくうちにいなさい。ここにいる皆もお前さんの話を聞きたがっておる」

 

「マスター、ありがとうございます」

 

 

どうやら俺は暫くの間ここにいられるようだ。

会話を聞いていたレビィがガッツポーズを決めた。

 

 

「やった!!ブルー、私に色々聞かせてね」

 

「もう、本当、ずっとここにいても良いのに…」

 

「どぅえきてる」

 

「ハッピー!!でも、まあ良いかな…」

 

「ルーちゃん♪独り占めは駄目だよ♪」

 

「むむ…」

 

 

何やら牽制し合う女子2人。そんなに俺の話が聞きたいのだろうか。

 

俺はミラジェーンさんに連れられて奥の仮説カウンターに座らされた。

 

 

 

 

ギルドのカウンターで俺はルーシィと話していた。彼女の隣には何処かで見覚えがある茶髪の男性がいる。

 

 

「…そっか。父親と話をつけに行くのか」

 

「うん、ずっと迷ってたの。私がこのギルドにいて良いのかなって、でもね、私を認めてくれる人が出来たんだ」

 

「ルーシィは僕を助けてくれた。僕にはルーシィが必要だ。だから彼女には幸せでいて欲しいんだ。彼女の星霊としてオーナーがピンチになったら僕は何時でも助けに入るよ」

 

「獅子宮レオか。黄道十二門のリーダーがついてるとは。頼もしいな」

 

「ふふ♪良いでしょ♪」

 

 

サングラスをかけた茶髪の青年が「ふっ」と笑う。

 

どうやらこの数週間の間に妖精の尻尾(フェアリーテイル)でも色々あったようだ。

 

何でも星霊王に過去の人間との間に起きた事故が原因で、罰則として星霊界から追放された星霊、獅子宮のレオがいた。

 

レオはかつて、自身のオーナーである星霊魔道士のカレン・リリカの元で同じく星霊である白羊宮のアリエスと共に働いていた。

 

しかしカレンは星霊の扱いが悪く、自分に言い寄る男にアリエスをけしかけて相手をさせていた。それを見ていたカレンのギルドのマスターにカレンは説教を受ける。「星霊との関係を大切にしろ」と。

 

説教を受けたカレンはアリエスに八つ当たりをする。それを見たレオがアリエスと入れ替わり、自分達との関係を改めるように言った。

 

カレンは承諾せず、レオはそれならとカレンの魔力を利用して自分が人間界に居続ける事で、カレンがアリエスを呼べないようにした。

 

やけになったカレンは星霊無しで依頼に向かいその矢先に事故で死んでしまった。

 

悲しみに暮れるレオ。そのレオに対して星霊王は間接的にカレンを死なせてしまったレオに人間との契約を反逆にしたという理由でレオを星霊界から追放した。

 

そのレオがギルドにいて、それをルーシィが突き止めたらしい。星霊は基本的に不死の種族だが、それは星霊界に入ればの話で人間界に入ればその身体は消耗し、やがて光となって消えてしまう。

 

時が来たらこのまま死ぬつもりだったレオ。その身体が消える寸前でルーシィがレオを見つけ出して、必死に星霊界の門を開こうとしたそうだ。

 

その姿を星霊界から見ていた星霊王が遂にルーシィ達の前に現れる。ルーシィは星霊王に対してレオがやった事は罪じゃないと訴えた。「仲間を想って身を切る事は罪なんかじゃない!!」と叫ぶルーシィと彼女の星霊に星霊王は胸を打たれた。彼はレオを許し、彼を星霊界に戻した。その際にレオにルーシィの星霊となり彼女を護れと言い残す。

 

奮闘したルーシィは頼もしい味方をつけた。

新人ながら既にギルドメンバーに心から寄り添い、ギルドの立ち上げに貢献しているとは、素晴らしいことこの上ない。

 

以上がこの数週間の間に、ルーシィの周りで起きた事らしい。

 

 

「ふっ、というわけでブルー。ルーシィのナイトの座は渡さないよ。たとえ君でもね」

 

「そう来るか。なら俺も魔道士ギルドを統括する評議員という立場から彼女を魔の手から護って見せる。

もう誰にも魔道士ギルドの力を利用してルーシィのいるギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に攻撃はさせない」

 

「ふふ、例えギルドに攻撃してきても僕が返り討ちにするさ。しかしこれは強敵だ…」

 

「君こそ、ルーシィの側にいられるなんて、凄く羨ましいな」

 

「ロキ、それにブルーったら…、ありがと…

 

 

俺とレオ、もといロキの睨み合いを見ているルーシィが俺達を見て頬を赤らめた。流石に今の会話は少し恥ずかしかったか?余っ程なのか耳まで赤くしている。

 

後ろからドタドタと歩いてくる音がする。

 

 

「ブルー!!テメエ、ラクサスと勝手に勝負しやがって〜、羨ましいから俺とも勝負しろ〜!!」

 

「ナツ〜、空気読もうよ〜」

 

「あらあら♪」

 

 

ナツが俺に勝負を仕掛けてきた。どうやらミラジェーンさんからさっき起きた事を聞いたらしい。

あちゃ〜、あの人、余計な事を言っちゃって。ナツは炎を噴き出してやる気満々だった。全く俺を怖がらないのを見る限り、本当に力比べが好きなようだ。

 

俺は立ち上がった。

 

 

「よし、ギルドの裏でやろうか」

 

「流石ブルーだぜっ」

 

「あい、ナツ対ブルーが始まります。皆どちらに賭けるでしょうか。オイラはブルーで〜」

 

「そこはご主人だろ!?愛のない猫だな!?」

 

 

空飛ぶ猫のハッピーを見て皆が大笑いする。

何とも騒がしいけど楽しいギルドだ。本当に良いギルドだな。

 

俺はそう思いながらナツとハッピーに連れられてギルドの裏に向かうのだった。

 

夜になっても魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は騒がしかった。

 

 






原作との差異。

ルーシィが父親と話をつける時期が遅いのは、評議員に捕まった主人公を心配していて色々悩んでいたからです。しかし、ロキから必要とされ、更に今回主人公の身が無事だったことで遂に決意がつきました。
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