危険な勧誘   作:ダークネスドラゴン

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何というか…FAIRYTAILの二次創作の更新が最近少ない気がする。

この作品を投稿するまでは読む専だったのでちょっと淋しいですね。






思念体の背後

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に泊まった日の翌日、俺はギルドの1室にいた。

 

俺の前には紅茶がおいてある。これは看板娘のミラジェーンさんが用意してくれたものだった。俺の正面には緋色の髪の騎士、エルザさんが座っていた。対面で座り、それぞれの前にティーカップ、真ん中にはつまみ物がある。

 

ようは2人きりの密会だった。

 

 

「待ってくれ、もう1回全部聞かせて貰えるか」

 

 

まあ、内容はゆっくり飲み物を飲みながらする話ではないが。

エルザさんが再度、今回の悪魔の心臓(グリモアハート)との戦いで起きた事を説明するよう催促する。俺は再度身の上に起きたことをエルザさんに話した。

 

 

「そんな…馬鹿な…」

 

 

信じられないと言わんばかりに目を見開いた。俺はそれに対して肯定の意味を込めて頷く。

目の前にいるエルザさんの顔が変わった。勿論いい意味ではなく厳しい方向にだ。

 

 

「…急すぎて今直ぐには受け入れきれない、…本当なのか」

 

「分からない。だが敵の首領(悪魔の心臓のマスター)の首を跳ねようとした際に奴が言ったことだ」

 

「…悪魔の心臓(グリモアハート)…、なんて事を…」

 

 

俺がそう言うとエルザさんは強く歯噛みした。ギリギリと音が聞こえてくるくらい。

 

 

…ジェラールが…

 

 

小さく誰かの名前を呟いた。ジェラール…。エルザさんの知り合いだろうか。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々と再会した翌日、ギルドの一室を借りて俺はエルザさんと密会をしていた。

内容は悪魔の心臓(グリモアハート)のマスターがあの時に言ってたことと、俺の上司であるジークレインさん、そして、ウルティアさんの事だ。

 

…ハデスの話は初め信じたくなかった。苦し紛れの嘘だと思いたかった。ジークレインさんが思念体でいるのはあくまで忙しいからであって、裏工作をしてる訳ではないと信じたかった。ウルティアさんに対しても俺の本心、否、願望は同じだ。

 

しかし、昨日のジークレインさんの一瞬だけ見せた顔が脳裏にちらついて離れなかった。まるで計画を壊されたと言わんばかりの表情。

 

そして、ウルティアさんのハデスを見る目…。

 

心でいくら信じようとも、彼らから垣間見れたあの時の様子はまるでハデスの言葉が真実であると裏付けしているようだった。

 

2人を信じたい気持ちと、信じ難い現実の間に挟まれた気分だった。

 

そして、結局ジークレインさんが自分の側近のウルティアさん、否、悪魔の心臓(グリモアハート)に操られて禁断区域にある楽園の塔の建設に関わってる可能性がある事を一応エルザさんに報告した。

 

すると…、彼女には心当たりがあるのか先程言った表情になってしまった。

 

 

「…以上が奴から聞いた話だった」

 

「…聞いても良いか?」

 

 

エルザさんの声が低くなる。俺は頷いた。

 

 

「…お前から見たジークレインはいつも思念体なのか…?」

 

「ああ、いつ見ても思念体だ。本体を見たことがない。つまり…」

 

「本体は楽園の塔にいる可能性があると言う事か…」

 

 

エルザさんも俺と同じ結論に至ったようだ。

 

 

やはりジークレインが…ジェラールと結託している…

 

 

エルザさんは小さな声で呟いた。しかし俺の耳には聞こえてくる。

 

俺は一歩踏み込む事にした。聞かなければならないと思った。

 

 

「エルザさん、俺に教えてください。ジークレインさん、そして、ジェラールの事を」

 

「……」

 

 

エルザさんは俯いた。俺は黙って待つ。彼女が何か言い出すのを…

 

沈黙が支配する。

 

エルザさんは俯いたままだった。

 

しかし…

 

 

「私は、幼い頃、楽園の塔で働いていた奴隷だった…」

 

「楽園の塔は、伝説の黒魔道士ゼレフ復活を目論む、ゼレフ教の信者達が建設を図ったものだ。通称Rシステム…」

 

 

それからエルザさんは過去を語ってくれた。

 

元々彼女はローズマリー村出身である事。幼年期はその村で暮らしていた。街から離れているが、比較的平和な村だった。

 

しかし、とある魔法教団が考案した死者を蘇らせる塔「楽園の塔」を建設する為に奴隷として捕らえられてしまった。村の大人はこの時皆殺しにされ、子供はほぼ全て捕らえられた(但しこの時、エルザは黒髪の自分より幼い少女を1人魔法教団から隠したらしい)。

 

「楽園の塔」で奴隷として働かされていたが、そこで自分と同じく奴隷として働かされていた1つ歳上の少年、ジェラールに出会う。ジェラールは正義感溢れる活潑な少年。彼を通じて様々な奴隷仲間と繋がっていく。

ある日、歳下の奴隷仲間であるショウから「楽園の塔」からの脱出を提案される。自身とジェラールを含んだ数人で脱出を試みるが、魔法教団に見つかってしまう。その際に誰が脱出計画の立案者であるか聞かれ、ジェラールが名乗り出たが、魔法教団の目に映ったのはエルザさんだった。

 

エルザさんは魔法教団に捕らえられ、拷問を受けて片目を潰されてしまう。牢獄に入れられていたが、そこにジェラールが助けに来た。ジェラールのお陰でエルザさんは一旦解放されるが、再び魔法教団に見つかり今度はジェラールが身代わりとして捕えられてしまう。

 

魔法教団と戦わなければいけないと決意したエルザさん。このままでは駄目だと「楽園の塔」にいる奴隷全員に呼びかけて反乱をおこした。しかし、武器を持ってる魔法教団に、劣勢を強いられ、奴隷達は押されていった。

 

そんな中、エルザさんを庇った1人の老人が魔法教団の攻撃で殺されてしまう。

 

仲間の死。それを見たエルザさんは悲しみと怒りによって遂に魔法を解放し、剣を生み出した。武器を持って魔法教団を逆に制圧していき、彼女に続いた奴隷達の死力を尽くして戦い、何とか魔法教団を倒す事が出来た。

 

魔法教団を壊滅させ、ついに自由を手に入れた労働者たちは、島からの脱出を試みていた。

 

エルザさんはジェラールを救いに再び牢に向かう。ジェラールと再会し、彼を島脱出用の船に連れて行こうとする。

 

しかし再会したジェラールの様子は変わり果てていた。それはまるで人の善悪が逆転したかのような様子だった。

 

 

「自由になる?いや違うな。エルザ、真の自由は此処にある」

 

 

だが、人が変わった様に悪魔の如く変貌したジェラールは、本当の自由があるというゼレフの世界を手に入れるため、魔法教団に代わりRシステム「楽園の塔」を完成させると言い出す。当然エルザさんは受け入れられるわけもなく反対。ジェラールは反抗するエルザさんに対し、楽園の塔の存在を口止めしつつ島から追い出し、かりそめの自由を与えた。

 

そして今後一切、島に近づくことを許さず、その約束を破った際には奴隷仲間であるショウたちを全てを消すと脅しをかける。

その一方で、他の労働者たちを再び塔を完成させるために引き戻すのだった…。

 

気が付くと島から脱出していたエルザ。

行き先に迷い放浪する中で、奴隷仲間の老人の背中に描かれていた紋章を掲げるフェアリーテイルを発見し、そこに身を置くようになった。

 

すなわちジェラールは自身に逆らったエルザさんを外界に放つことと引き換えに、奴隷仲間達を人質に彼らを8年間、楽園の塔建設に注力した。

 

その目的はRシステムを発動させてゼレフを蘇らせることであり、目的遂行のためには奴隷仲間を騙して働かせる等手段を選ばなかった。

 

 

時は経ち、3年前、エルザさんは評議院に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の始末書の提出にマスター・マカロフと共に出向いていた。上級評議員に始末書を提出した際に、とある男と目線が合う。

 

 

「お前は…!!」

 

 

何とそこに居たのはあのジェラールだった。ジェラールが評議員の服装でエルザさんを見据えていた。

 

 

「…っ…」

 

 

エルザさんは怒りに駆られジェラールに斬りかかろうとする。しかし手でそれを制するジェラール。

「人違いだ。俺はジェラールの生き別れの双子の兄、ジークレイン・フェルナンデスだ」と言い除けた。加えて自分が思念体である事も付け加える。

 

その場はそれで収まったが、その日からジークレインさんのエルザさんへの監視が始まった。「楽園の塔」の件を周囲に話さないように口止めするだけでなく、双子の弟(ジークレインさんがそう言ってるだけで正体は不明)であるジェラールの行動(Rシステムの建造)を黙認していた。

 

 

そしてその状態が今に至るまで続いている。

 

明らかにジークレインさんはエルザさんに敵対的な行動を取っていた。

 

そしてウルティアさんだが、ジークレインさんが評議員としてERAにいた時から彼女の姿も評議院にあったとの事だ。

 

 

「…それが私の知ってるジェラールとジークレインだ」

 

「……」

 

 

エルザさんはそう言うと黙り込んだ。

 

俺はそれを聞いて頭の中を整理し始めた。

 

エルザさんの話とハデスの言ってたことを頭の中で照らし合わせる。脳をフル稼働させる。信頼を捨てる。

 

ざっくり簡単に纏めると…

 

 

 

・ジークレインさんはエルザさんと会う時から思念体のまま。

・ジークレインさんとジェラールは瓜二つの容姿。

・本来なら評議院の権力と武力で撃滅しなければならないRシステム、「楽園の塔」の建造を黙認している。

・ウルティアさんはジークレインさんの側近であり、彼を操っている。

・ハデス率いる悪魔の心臓はジェラールのRシステムの建造という禁忌の件の陰で様々な活動をしている。

・ウルティアさんは悪魔の心臓の一員

・ジークレインはRシステムの建造を行っている。

 

 

「……っ…しまった…!!!」

 

「ブルー…」

 

 

机を立った。こうしちゃ居られない。急に思考が働いてきた。

 

 

「評議院が…!!」

 

「ああ、もし私とお前が考えている事が同じなら不味いだろうな」

 

「すまないっ…俺は戻らなければならない」

 

「待てブルー、1人で行くな!!」

 

 

エルザさんから声が掛かるが、俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の1室を出た。

 

酒場である広間の扉を空ける。

 

 

「ブルー!?もう話終わったの!?」

 

「ちょ、ちょっと、どうしたの!?」

 

「すまない、用事が出来た」

 

「ブルー!?」

 

 

声をかける妖精の尻尾の面々。

しかし俺はそのまま妖精の尻尾の広間を突っ切り外へ出る。

 

何故だ。何故気付かなかったんだろう。

いや違う。信じたくなかっただけだった。

 

だがせめて評議院に思念体だけでも残しておくことくらいは出来ただろうに…!!

 

 

ピピピピピピッ!!

 

 

通信ラクリマが鳴り響いた。取ると昨日まで俺の部隊だった者からだ。

 

 

「ブルー様、悪魔の心臓(グリモアハート)の残存部隊の攻撃です。評議院の牢が破られました!!」

 

「そいつ等に手を出すな!!市民を安全な場所に移動させるんだ!!」

 

 

悪魔の心臓(グリモアハート)と戦わない様に指示を出す。戦った所でやられるだけだ。

 

…何で気付かなかったんだ。ジークレインが俺に休暇を与えた理由は、評議院の牢屋から悪魔の心臓(グリモアハート)を解放する為だったのだ。

 

理由ははっきりしないが恐らく俺を潰す為だ。

俺と悪魔の心臓(グリモアハート)を戦わせて俺を潰した後は…どうするつもりだろう。

 

答えがはっきりしないまま俺は評議院のある街まで走るのだった。

 

 






次回、評議院死す!?

いや、もう少し活躍(恥さらしかも)?して貰いたいです。


因みに皆様はフェアリーテイルの女性キャラクターで誰が好きですか?

私は星空の鍵編から冥府の門編辺りのルーシィ、後はユキノとカグラ、アイリーンのビジュアルが好きです。

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