危険な勧誘   作:ダークネスドラゴン

33 / 51


今回は騒動の後です。

原作に戻りたいと思います。





大暴れの後

 

 

「嘘だろ…」

 

 

正気に戻り、倒れ掛かってきたエルザを抱き止めた俺は眼の前の光景を疑った。

 

俺の眼の前には倒れ伏す妖精の尻尾の面々、及びジュビアと更にどうやって脱獄してきたのか分からないが幽鬼の支配者の元マスター、ジョゼがいた。

 

皆、身体にダメージを受けているか、魔力が吸い取られているかのどちらかであり、重症に近い者もいる。

 

 

「っ…どうすりゃ良いんだよこんなの…」

 

「ブルー…」

 

 

唯一無傷なのはルーシィ1人だった。暫く唖然として棒立ちになっていた。だが取り敢えず皆の傷と魔力だけでも治さないとと思い、魔法を発動させようとすると1人起き上がる気配がした。そちらを見る。

 

 

「やれやれ、牢獄から出られたと思ったら、まさか同じ人間に2度も痛めつけられるとはねえ」

 

「ジョゼ…」

 

 

立ち上がったのは元ギルドマスターのジョゼ。彼から感じられる魔力も殆ど空だった。恐らく俺が吸収したのだろう。唯でさえ闇属性を多用する彼の魔力は暴走した俺にとって特に吸収しやすい魔力だったに違いない。

 

 

「どうやら貴様をギルドに入れた私の目は節穴だったようだ。敵だけでなく自分の味方までも傷つけるような奴だったとは。本当にギルドに相応しくない人材だ」

 

「……」

 

 

何も言い返す気が起きなかった。控え目に言って無様だとしか言いようが無い状況だった。俺の様子を見てジョゼは鼻で嗤った。

 

 

「ふん、折角の復讐のチャンスだが、今の情けない貴様を潰しても何にもならないな。魔力欠乏症の私はどうせ捕まるだろうし、牢に戻るとしよう」

 

「ま、待ってくれ…、マスター・ジョゼ…」

 

 

牢獄に戻るジョゼの足が一瞬止まる。即座に魔法を発動する。

 

 

「…せめてこれだけでも受け取ってくれ…犠牲(サクリファイス)…」

 

「……」

 

 

ジョゼに魔法をかける。ジョゼの身体が暗く光り、魔力が回復していく。そして、その光が闇の閃光となって宙に浮き上がり、俺に降り注ぐ。

 

 

「!!!……」

 

 

かなりの反動ダメージが俺を襲う。魔力の高まっている俺でこのダメージだ。ジョゼが俺を止める為に受けた苦しみはこんなものじゃ無いだろう。

 

 

「すまない…俺はお前を助けられない…、それしか出来ない」

 

「ふん、余計なお世話だ。取り敢えず自分の身の心配をするんだな。街中の奴らが貴様の悪行を見ていた」

 

 

ジョゼはそれだけ言うとERAの方に戻って行った。

 

残されたのは俺達。

 

 

「ブルー、取り敢えず、皆を運ぼう。私達のギルドに…」

 

「…ああ…」

 

 

ルーシィの声掛けで俺はやっと動く事が出来た。皆、気を失っている。全員に犠牲(サクリファイス)だけを発動して回復させてから1人ずつ抱えていく。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ブルー、大丈夫だから、ね…?」

 

「……」

 

 

ルーシィが俺を慰めるように肩を叩いた。ギルドの医務室で俺は彼らが目を覚ますのを待っていた。

 

ERAの監視の為に思念体を残し、妖精の尻尾(フェアリーテイル)にジュビアを含めた彼らを運んだ後、マスターや彼らの仲間に俺は謝罪した。彼らは表向きには許してくれた。実際にはギルドの仲間を傷つけられて許せないだろうが。ナツの相棒である猫からはかなり怒られた。

 

マスターに1つだけ()()()をして医務室を借りた。気絶した4人を医務室に寝かせた。そのまま出ていく訳にも行かず、誰かが目を覚ますのを待つことにした。目的は勿論、謝罪の為だ。

 

 

「……」

 

 

気分は最悪だった。こんな事を起こさない為に眼に封印をかけて貰ったのに結果はこの有様だ。もう二度と周りに迷惑をかけないと決めたのに…

 

 

「俺は、どうすれば良いんだ…」

 

「ブルー…」

 

 

ボソリと思わず呟いてしまった。ルーシィにも聞こえたようで顔を覗き込もうとしてくる。

 

医務室の扉が開いた。

 

 

「やっほー、お邪魔してごめんね。ルーちゃん、

ブルー、お茶淹れたよ」

 

「あ、レビィちゃんっ、待ってたよっ」

 

 

項垂れていたら部屋にもう一人入って来た。

 

 

「ブルー、ほら、飲んでっ」

 

「…ありがとう」

 

 

差し出されたティーカップを取り敢えず受け取った。

 

 

「元気出してねっ、ほら、ブルーのお陰で助かった人もいるんだよっ」

 

「そうだよ、ブルーがいなかったら評議員が全滅してたんだからっ」

 

 

2人が俺を励ましてくれた。答える気力も無かったが、取り敢えず飲み物だけでも頂く事にした。

 

 

「聞いたよ、本当に大変だったね」

 

 

紅茶を飲み終えるとレビィさんは俺の隣に座った。

 

 

「私、状況を知らないけど、強いブルーがこんなになって帰ってくるんだから相当な事だったんだって分かるよ。ほら、手もこんなに腫れてる」

 

「…全然平気だよ」

 

「そう?私には全然そうは見えないな。ブルーの魔法って、他人は回復出来るけど、自分の傷は治せないんでしょ。少ししか見てないけど私ちゃんと分かってるんだからっ」

 

 

レビィさんは俺の肩を叩いた。「だからね…」と俺の方を見ないまま続ける。

 

 

「ブルーは十分頑張ったよ。皆、ちゃんと生きてるもん。闇ギルドと戦って生きて帰れるなんて凄く幸運な事なんだよ。そんな奇跡を起こしたブルーは本当に凄いんだからっ」

 

 

そして、俺の背中を撫でた。反対側の隣に座ったルーシィが俺の額に手を当てる。心なしか視界が歪んだ気がした。あれ…?

 

 

「本当に大丈夫だから」

 

 

何故か2人の姿がぼやけて来た。やたら眠くなって…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

バタリとブルーが倒れかかる。あたしは咄嗟に入って重たい彼の身体を支えた。レビィちゃんも反対側を支えた。2人掛かりなのに彼の重量がずっしりとあたし達の身体にかかる。

 

 

「重いわね…」

 

「男の子だもん、きっと凄く強いから…」

 

「それもそうねっ、持ち上げるよ、せーの」

 

 

体格が小さいレビィちゃんと2人で彼を背負い込む。そのまま2人で何とかベッドに運んだ。

 

 

「眠ったね…」

 

「うん…」

 

 

スゥ、スゥと寝息を立てて深く眠っている。

 

ガチャリと医務室の扉が開く音がした。レビィちゃんの仕事仲間のジェットとドロイ、それにマックスが入って来た。

 

 

「眠ったか?」

 

「うん」

 

「よし、急いで消毒するぞ」

 

 

3人が救急箱を開いてブルーの傷を塞ぎにかかった。全身傷だらけだ。急いで包帯を巻かないと。私達も手伝いに入る。睡眠薬が効いているせいか疲労のせいかブルーが目を覚ます様子は無い。

 

 

「…起きたら何言われるかな」

 

「仕方無いよ、少しの付き合いだけど、こうでもしないとブルーは休まないもん」

 

「そうだよね…」

 

 

レビィちゃんとの計らいで彼には眠って貰うことにした。

殆ど彼の事を知らないけど、これでもあたしは人を見る目はある。ブルーは真面目過ぎるから、気絶させてでも休ませないときっとその内壊れちゃう。少なくとも今は評議院に戻せない。

 

それに…

 

 

「捕まっちゃうかもしれないよね…」

 

「そうだね、街中の皆が見てたから」

 

 

あの騒ぎはERAの空だけでなく、マグノリアの街にまで広がっていたみたい。もしかしたら私達以外にも魔力を奪われた人が‘’いない‘’とは言い切れない。

 

寝息も聞こえなくなった。そのまま気絶したように眠っているブルーを見詰める。

 

 

「大丈夫だから…ちゃんと隠れててね」

 

「今度は私達がブルーを護る番だよ」

 

 

眠っている彼にそう語りかけた。騒ぎが収まるまでは出ちゃ駄目…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「っ…」

 

 

目を覚ます。知ってる天井だった。確か妖精の尻尾の医務室?

 

 

「くっ…」

 

「あっ、起きましたか」

 

 

痛む身体を起こした。知ってる人物の声が聞こえてきた。そちらを見ると青髪をショートに切った女性がいた。何と言うか…

 

 

「随分雰囲気変わったな、ジュビア…」

 

「お、おはようございます。目が覚めたんですね」

 

 

オドオドしながら声をかける彼女にどう反応していいか困ってしまう。自分の身体を見ると無数の包帯が巻かれていた。

 

これは…随分手間をかけさせてしまったな。また返さなければならない借りを作ってしまった。

 

 

「…ずっと待ってたのか?」

 

「あ、はい、ジュビア、貴方に言わなければならない事があって、その…」

 

 

言葉が纏まらないらしい彼女だが、俺からも言わなければならない事がある。

 

俺はベッドから降りて彼女の前に両膝をつき、そして頭を下げた。要は土下座した。

 

 

「その…済まなかった。貴方には随分迷惑をかけた」

 

「えっ…」

 

「俺を止める為に頑張ってくれた事は知ってる。どれだけ大変だったかも少しは想像出来るつもりだ。だから悪かった…」

 

 

そう言って頭を床につけた。「あわわ…」と慌てる気配がする。

 

 

「か、顔を上げてください、ジュビア気にしてません。それに聞きました。貴方が私をこのギルドに…

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に紹介してくれたって」

 

「それくらいしか出来なかった…今の俺は…」

 

「そ、そんなに気にしないでください、魔力も戻してくれたってルーシィさんから聞きましたっ」

 

 

なんて言えば良いのか分からない。妖精の尻尾の面々にはどう顔向けすればいいのだろう。

 

 

「だ、大丈夫ですっ、ああ、もう、グレイ様と同じギルドに入れてくれた事を素直にお礼を言うつもりだったのにっ、言えないジュビアは悪い子っ」

 

「…困られても困るんだが…」

 

 

彼女の反応に少し笑ってしまう。何と言うか気が軽くなった。今更のように周りを見る。ナツもグレイもエルザさんもいなかった。ギルドの中の魔力を探ったがいない。

 

何処に行った?

 

そう言えば聞きたい事がある。

 

 

「すまない、あれから何日経った?」

 

「えっと、5日くらい経ってます」

 

「何っ」

 

 

5日だと?評議院はどうなった?あのジークレインやウルティアが悪魔の心臓(グリモアハート)をそのままにしておくとは思えない。俺の思念体が消えた以上、逃がそうとしてくるだろう。

 

それに…

 

 

「エルザさんは何処に行った…」

 

「えっ、えっと、星霊から貰ったチケットでナツさんとグレイ様とルーシィさんと猫と一緒にアカネビーチに今朝出発しました。ブルーさんに気を使わせたくないって」

 

「詳しく聞かせてくれ!!」

 

「ブ、ブルーさん!?え、えっと…」

 

 

ジュビアを問い詰めながら俺は焦る気持ちを加速させた。俺の予感が悪ければ彼、彼女達には…

 

ジュビアの話が終わり、俺は立ち上がった。服を着替える。

 

 

「ジュビア、あリがとう」

 

「ブ、ブルーさん?何処に行くつもりですか?」

 

「秘密だ」

 

「あ、駄目ですっ、ブルーさん!!」

 

 

こうしてはいられない。急いであの場所に行かなくてはならない。

 

 

身支度を整えて医務室を出る。出入り口を目指す。

扉を空けて酒場のカウンターのある広間に出ると一斉に皆此方を向いた。

 

 

「!!」

 

「あ、ブルー」

 

「ブルー、治ったのか?」

 

 

レビィさん達が近寄ってくる。心配してくれるのは嬉しいが今はそれどころじゃない。

 

 

「皆、あリがとう、用事が出来た。後でお礼する」

 

「えっ、ちょっと、駄目だよ。まだ隠れてなきゃ、ブルー、ブルー!?」

 

「ごめん!!」

 

 

レビィさんの制止をすり抜けて俺は走った。

 

殆ど出来上がって来たギルドのカウンターをすり抜ける。

 

 

外に出る。目指す場所は決まっていた。魔力は…回復途中だった。ドウッと力を放出し、飛び上がる。そのままジェット機のように水平飛行した。一刻でも早く着かねばならない。

 

 

「お前の思い通りにはさせないぞ、ジークレイン…!!」

 

 

 

 





はい、ということで楽園の塔に向かう主人公。


さて、原作に今更戻りましたが、エルザさんはどうなるのか。

そしてジークレイン(ジェラール)、そして皆の運命は如何に…!!

アンケート回答してくれた方あリがとうございます。

今日は大晦日ですね。




現時点のヒロイン達から主人公への好感度どう思う?

  • 高過ぎ(原作のキャラのイメージと違う)
  • 思ったよりも高い
  • こんなもんかな(だいたい合ってる)
  • あまり好感度を感じない(もう少し高く)
  • 低い(もっと高くなるはず)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。