危険な勧誘   作:ダークネスドラゴン

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タイトルのままです。


そして…遂に…



タイラントⅡ

 

 

妖精の尻尾のギルドが燃えていた。同時に建物が破壊され、徐々に崩れ落ちていく。妖精の尻尾の面々はその様子を色んな場所から見ていた。

 

 

ドオオオオオオオッ

 

ガラガラッ

 

 

「っ…俺達のギルドが…」

 

「よそ見とは余裕だな」

 

「ぐふっ」

 

 

ギルドメンバーの1人が倒れた。それに続くように敵兵達は勢い付き、その物量で妖精の尻尾の面々を押し潰しにかかる。

 

 

「がはっ」

 

「はははっ…、最高だぜ、正規ギルドを潰すってのはよう!!」

 

 

敵兵に殴られ倒れ伏す味方。1人、また1人と昨日まで騒いでいた仲間達が倒れていく。ルーシィは全員の姿こそ見えないが、何となくそれを分かっていた。

 

 

「くくくっ…、ここ以外は殆ど壊滅したも同然だな」

 

「っ…」

 

 

ゼルの言葉にルーシィは歯噛みした。彼女はもう限界だった。これ以上ギルドメンバーが自分の為に潰れて行く姿を見たくなかった。

 

 

「あたし…」

 

「ルーシィ、行っちゃ駄目だ」

 

 

ふらふらと自分を護っているナツ達の前に出ようとする。ロキが気付いてその前に出て来て身体で進路を塞いだ。そのまま後方に下げ、自分が前に出る。

 

 

「ほう、まだその娘を庇うか」

 

「当たり前だ!!ルーシィはお前達のものじゃねえ!!」

 

「お前達なんかに渡さねえよ!!」

 

 

ナツとグレイがゼルに言い返す。ゼルはそれを見て「ふふん」と鼻を鳴らすと手に魔力を込めた。

 

 

「どうやら俺が任務を達成するにはお前達が邪魔なようだな」

 

「へっ、やっと分かったかこのクズ野郎」

 

「徹底的に邪魔してやるぜ」

 

「僕は星霊界に帰らないよ」

 

 

実力差は分かっているはずなのに引かないナツ達。ゼルの眉が釣り上がった。

 

 

「ほう、ならこんな決着のつけ方はどうだ?」

 

 

ゼルの手から魔法陣が発動した。

 

 

「装備魔法、苦痛の枷(ペイン・チェイン)を貴様等3人と1人に装備」

 

 

声と共に紫に光る魔法陣が発動した。ガチャン、ガチャンとその場の4人に手枷が付けられた。3人の手枷は銀色、ルーシィの手枷だけ赤黒い。

 

 

「な、なんだこの枷は!?」

 

「くっ…外れねえ…」

 

「な、何これ…」

 

 

ナツ達が枷に気付いて外そうとするが枷は外れない。

 

 

「無駄だ例え強力な魔道士でもこの枷を外す事は出来ない」

 

 

ゼルの言う通りナツが炎で枷を焼こうとしても枷は溶けなかった。しかし、この手枷には1つ妙な所があった。

 

 

「へっ、けど、たかが片手に1つ付けられただけの枷に何の意味があるんだってな」

 

 

そう、全員枷を付けられたが、右手だけに装備されており、左手には枷が繋がってない。要はナツ達は全員自由に動けるのだ。

 

 

「ふっ、すぐ分かるさ。俺は更に装備魔法発動。

消滅の足枷(バニシング・チェイン)火竜(サラマンダー)に装備」

 

「ぐっ…」

 

 

続いてナツにだけ装備されたのは闇魔界の足枷を連想させる黒い枷。鎖と重りの黒の鉄球が付いている。

 

 

「これで娘を捕らえる準備は整った。行くぞ」

 

「上等だ、この野郎!!」

 

「来られるもんなら来てみやがれ!!」

 

 

ナツとグレイがゼルに向かってそれぞれ炎と凍気を纏い突っ込んでいく。

 

 

「火竜の鉄拳!!」

 

「アイスメイク・氷聖剣(コールド・エクスカリバー)!!」

 

 

炎と氷の巨剣がゼルに迫る。

 

 

「無駄だ…」

 

 

ゼルは呟いた。

 

瞬間、衝撃音が鳴り響き、血飛沫が飛び散った。

 

 

「がはっ」

 

「ぐあっ」

 

「…っ…!!!」

 

 

ナツとグレイが吹っ飛ばされた。

 

ロキが目を見開くとそこには鉄球が飛んでいた。無数の棘が付いた巨大な鉄球をゼルが飛ばしたのだ。鉄球によってナツは肩、グレイは腹部にダメージを受け、吹き飛ばされた。

 

 

「ぐうううっ…!!!」

 

「ルーシィ!?」

 

 

そして、それだけでは無かった。後ろでルーシィが苦悶の声をあげてバタリと倒れ、蹲ったのだ。

 

 

「…っ…!!!何、これ…!!」

 

「ルーシィ!?どうしたんだ!!」

 

 

気付いたロキが振り返った。ルーシィは痛みに苦しんでいる。

 

 

「い、痛い…!!」

 

「ルーシィ、何が起きて…!!」

 

「次は星霊、お前の番だ」

 

 

ロキはルーシィの身体を見て言葉を失った。ルーシィの肩と腹部から血が出ていたのだ。ゼルがロキを見やる。

 

 

「馬鹿な、いや、これはまさか…」

 

「お前の考えてる通りだ、星霊よ」

 

 

ロキの思考を読んだゼルが近づいてきた。ロキはルーシィの前に身構えた。ゼルは片手に魔力を纏い。今度は巨大な銀の大鎌を創り上げた。

 

 

「次はお前だ、大鎌(デスサイズ)

 

「くっ…」

 

 

一瞬でゼルがロキの目の前に迫った。ロキは咄嗟に光の魔力でガードしようとした。自分がダメージを受けてはならないと本能的に悟ったのだ。

 

しかし…

 

 

ズザンッ

 

 

「ぐうううっ…」

 

「っ…」

 

 

防御しきれず、その身体に大鎌の強い一撃を受けた。あまりの威力にロキは倒れた。

 

 

「ううっ…」

 

「っ…ルーシィ…!!」

 

 

ルーシィに魔法は当たってないにも関わらず、ルーシィの身体から血が噴き出していた。

 

 

「こんな馬鹿な、これじゃまるで…」

 

「気付いたか、俺の装備魔法の効果に」

 

 

ゼルが嘲笑うように歩いてくる。その横でナツが立ち上がった。

 

 

「ほう、流石に一撃じゃ倒れないか…」

 

「当然だ、燃えて来たぞこの野郎!!」

 

 

ゼルは再びナツの方を向いた。ナツが全身に爆炎を滾らせる。

 

 

「滅竜奥義…紅蓮爆炎刃!!」

 

「その魔法はもううんざりだな、大鎌(デスサイズ)!!」

 

 

ナツが炎を纏ってゼルに突撃してくる。ゼルは背中を向けたまま銀の大鎌を振るった。

 

 

「ナツ!避けろ!!」

 

 

ロキの声と同時にナツの爆炎とゼルの大鎌がぶつかり合った。そして…

 

 

「ぐあああああっ…!!」

 

 

爆炎が斬り裂かれて、ナツの身体が大鎌で斬られた。衝撃で火花が辺りに跳んだ。炎が掻き消えた。ナツはその場に斬り伏せられた。

 

 

「ぐうううっ…」

 

「ルーシィ!!」

 

 

同時にルーシィの身体もダメージを受けた。彼女はあまりの痛みに絶叫する。

 

 

「はあ、はあ、…」

 

「くくくっ…、足で纏いの娘よ、気付いたか?お前を護っている仲間がどれ程の痛みと疲労を感じているのかを」

 

 

ナツ達の後ろでルーシィは荒い呼吸を整えた。ナツを斬り伏せたゼルが離れた位置からルーシィの方を見下ろしていた。

 

 

「この装備魔法、苦痛の枷(ペイン・チェイン)は装備された者同士の痛みを連携する。娘よ、お前以外の仲間の痛みを全てお前にも降りかかるようにした。どうだ、お前達の仲間はこれ程の苦しみを受けているのだぞ?それでもギルドに残りたいか?」

 

「っ…」

 

「ふっ、まだ足りないか…まあ良い…」

 

 

ルーシィは答えられなかった。その様子を見たゼルはナツ達の方を向いた。

 

 

「ナツ、グレイ、分かってるよな?」

 

「おう、ルーシィがこれ以上傷つかない為にも俺達はやられる訳にはいかねえ!!」

 

 

そう言うと3人は再びルーシィを庇うように立ち、ゼルと向き合った。

 

 

「今度こそ決める!!レグルス・インパクト!!」

 

「アイスメイク・戦神槍(グングニル)!!」

 

 

ロキが光の魔力を放出し、グレイが再び巨大な槍をゼルに向かって放出する。

 

それに対してゼルは魔法陣を発動した。紫黒の巨大な魔法陣。

 

 

地獄の獄炎(ヘル・ファイア)!!」

 

「っ…ナツ!!」

 

「おうよっ」

 

 

炎が放たれたと同時にナツが突撃していく。炎の滅竜魔道士のナツにとってゼルの爆炎は最高の魔力増幅源だった。

 

 

ドオオオオオオオッ

 

 

グレイとロキの魔法はゼルの爆炎にかき消されたが、今回もナツが炎を喰らって魔力を回復するはずだった。故にこれはゼルの戦術ミスだと彼らは思った。

 

しかし…

 

 

「無駄だ。地獄の獄炎(ヘル・ファイア)!!」

 

 

ドゴオオオオッ

 

 

「ぐあああああああ!!!」

 

「ナツ!?」

 

「何故!!」

 

 

炎に突っ込んでいったナツの身体が炎に焼かれた。そして、大ダメージを受けて吹き飛ばされた。ナツの身体がガクンと傾いた。そのままバタリと倒れる。

 

 

「なんで…」

 

「無駄だと言ったはずだ。お前につけた装備魔法、

消滅の足枷(バニシング・チェイン)は滅竜、滅悪、滅神魔法の特性、属性の耐性を無効化し、その属性の吸収を不可能にする」

 

「なっ…馬鹿な…それじゃ…ナツは…」

 

「ふん…、その青年が滅竜魔道士である事はお見通しだ」

 

 

なんとゼルの装備魔法、消滅の足枷(バニシング・チェイン)によってナツの炎に対する圧倒的な耐性が失われていたのだ。防御の姿勢すら取っていなかったナツはゼルの爆炎の直撃を受けて大ダメージを受けてしまった。それも再起不能に成る程の威力の攻撃を受けてしまった。

 

そして…

 

 

「…があああああ…!!」

 

「「ルーシィ!!」」

 

 

苦痛の枷(ペイン・チェイン)によってダメージを共有しているルーシィにもダメージが降り注ぐ、ルーシィは倒れたまま、血を噴き、痛みに泣き始めた。

 

 

「くそっ…」

 

「まだ、俺の攻撃は終わってない」

 

 

ゼルは片手を上げると魔力を高めた。同時に辺りの地面が割れ、破壊されていく。そして、ゼルの元に魔力が集まっていった。

 

 

「これは…大地の魔力を吸収しているのか…!!」

 

 

ロキはあまりの光景に戦慄した。ゼルの手の上には徐々に巨大な岩が幾つも形作られていき、やがてそれは恒星の如く爆炎を纏った。

 

 

「隕石だと…!!」

 

「しかもなんて、数だ!!」

 

「これが我が最大の魔法。その身で受けろ、大地の爆発(ガイア・エクスプロード)!!」

 

 

ドオオオオオオオッ

 

 

一気に降り注ぐ大量の巨岩の隕石。グレイとロキは必死に魔法を放つが破壊しきれない。

 

故に…

 

 

「「ぐあああああああっ!!!」」

 

 

2人は隕石を身体に受けて大ダメージを受けた。大きく負傷し、体内の魔力が霧散する。

 

 

「ぐうううっ…!!」

 

「くそっ…」

 

 

グレイとロキはあまりのダメージに立ち上がれなかった。それは後ろにいるルーシィも同じだった。

 

 

「っ…、うっ…」

 

 

ルーシィは何とか鍵を手に取った。そして…

 

 

「ロキ、強制閉門…」

 

「なっ、ルーシィ…!!」

 

「ロキ、あリがとう、でももう良いの」

 

 

ルーシィの強制閉門により、ロキは星霊界に強制的に戻された。ロキを戻したルーシィはゼルに向かって必死に声をあげた。

 

 

「お願い、あたしが捕まるから、これ以上仲間を傷付けないで…」

 

「ルーシィ!!」

 

「姫さん、駄目だ!!」

 

「駄目っ…!!」

 

 

ナツとグレイの言葉にルーシィは叫んだ。

 

 

「皆と一緒にいる時間は楽しかった。皆といる時は幸せだった。けど、今は仲間がこんなにすぐ近くにいるのに辛い。あたしはこれ以上、皆が傷付く所を見たくないの」

 

 

そして、ナツとグレイに精一杯笑いかけた。

 

 

「あリがとう、あたしと一緒にいてくれて」

 

 

ルーシィの頬に一筋の涙が溢れた。

 

ゼルはそれを見ていた。が、再び魔力を込めた。

 

 

「ふっ、良い娘だ。だが、捕縛する為にも気絶して貰おう」

 

「ぐっ…」

 

「がっ…」

 

 

ゼルは跳んだ。そして、ナツとグレイに一撃ずつ加えると2人を気絶させた。

 

これで正真正銘ルーシィを護る者は誰もいない。ただ身一つでその場にいるだけだった。

 

 

その光景を見たルーシィは全てを悟った。これで本当に終わりなんだと。もう皆との冒険も自分のしたい事も、もう出来ないと。

 

でもこれで良いんだ。皆は助かる。自分だけが捕まれば皆は何とか生き延びるだろう。

 

 

バイバイ…、妖精の尻尾。

 

ゼルがルーシィに向かって跳んだ。自分の終わりを悟ったルーシィはそれをただ見ていた。

 

 

 

そして彼女は目を瞑った。これから自分に来るであろう痛みに少しでも耐える為に…

 

 

 

ドッと轟音が辺りに鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

 

来るはずの衝撃はいつになっても来なかった。ルーシィは目を見開いた。

 

 

「……!?」

 

 

なんと、ルーシィに攻撃しようとしていたゼルが大きく吹き飛ばされていた。そしてその身体は宙を舞い、地面に落ちた。そのまま倒れている。それだけでは無かった。 

 

 

「これは…闇の魔法…?」

 

 

ルーシィの身体を闇が包んでいた。

 

 

「なんだ…痛みが消えていく…」

 

「これは…闇の魔力…?」

 

 

いや、違った。ルーシィだけではない。ナツもグレイもエルザの身体も、妖精の尻尾の全員の身体を闇が包んでいた。彼女の身体から痛みが消えていく。その闇はルーシィの身体の傷を全て治すと同時に暗い光となってある方向に飛んでいった。

 

 

犠牲(サクリファイス)…?」

 

 

そして闇の光はその方向にいる人物に突き刺さる。ルーシィはその魔法に見覚えがあった。

 

 

「随分と皆、痛めつけられたんだな」

 

 

聞き覚えのある声がルーシィの耳に聞こえてきた。無数の闇が突き刺さった方向を見る。感じた事のある魔力。それに安心感が伝わってきた。

 

闇の魔力と同時にルーシィの知っている青い魔力を身体に纏っている人物が振り返った。

 

 

「ただいま、って言うのは変だな。今、戻ったよ」

 

 

その姿はルーシィが知っている姿とは違った。けど、ルーシィにはその人物が誰なのかが分かった。

 

 

「ブルー…!!」

 

「久しぶりだな、ルーシィ、それに皆…」

 

 

ルーシィは歓喜の声をあげた。彼はルーシィの手を取り立ち上がらせた。

 

 

「どうして、その姿…」

 

「良いじゃないか、ただいま」

 

 

ルーシィの眼に映ったのは魔力の副作用なのか髪が青に変色し、身体つきも顔つきも以前とは異なる姿の…

 

 

「後は俺に任せろ」

 

 

ブルー・インフェルノが立っていた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 






という訳でブルーが復活しました。

何故この姿になったのかはいつか説明を入れます。


実はこの挿絵、他の小説で使おうと思っていたのですが、いざ小説を投稿してみると展開がチープだったせいかかなり低評価だったため、取り消しました。

何とか使いたかったのですがふととある展開(後の話で説明)を思い浮かべたのでこの作品で採用していきたいと思います。

因みに隻腕ではありません。



今回の話、書いてて辛かったです

どっちが強そう?

  • 黒髪の主人公
  • 青髪の主人公
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