東京でいじめられていた健人はえみりとともに異世界・エンタルディアへと召喚されてしまう。
そこでは、エンタルディアを封印し若者たちの夢を踏みにじろうとする悪の組織・フェミレクターが暗躍していた。
そのフェミレクターの一人勉強院マナビが襲来。
健人はアストリアを召喚し、マナビに立ち向かう!
アストリアが名乗りを上げる。
「こいつ、
マナビは憤る。
「で、カッコつけたのはいいんだけど、どうやって戦えばいいんだ?」
健人は、初めての実戦に戸惑いを隠せなかった。
「落ち着くのだ健人。私の言う通りにやれば必ず勝てる」
アストリアの声が頭に響く。
「何をすればいいんだ?」
「お前と私は一つになっている。お前の1挙手1投足が私の動きになる」
アストリアの言葉に、
「なるほど、要するに、こういうことかっ!」
健人はすぐに行動する。
まっすぐに、ガクモンサウルスめがけて突っ込んでいく。
「えぇい! 忌まわしい!」
マナビが声を荒げる。
ガクモンサウルスが咆哮する。
「我らフェミレクターにとって、忌まわしき正義の守護者がぁっ!!」
怒りに身を任せて突撃する。
健人は剣を構える。
そして、
「
ガクモンサウルスを一閃のもと、両断した。
「ドン・キョーサン様、どうか、私の仇を!」
マナビの断末魔とともに、ガクモンサウルスが爆散する。
「俺のハートは、全力解放!」
決め台詞をバッチリ決め、健人は
「健ちゃん!」
えみりが健人に駆け寄ってきた。
「大丈夫!? ケガはない?」
健人にベッタリと触りまくるえみり。
その柔らかな乳房が、健人の童貞を危機に陥れる。
「あの! 俺は一生童貞で過ごしたいんですけど!!」
そんな叫びが、エンタルディアの空にこだました。
その一方で、エンタルディア最北の地・フェミレクター本部のある霊峰ホーミン。
本部内ではマナビが撃破されたことを受けて緊急会議が行われていた。
「マナビがやられたなんて……!」
「
幹部たちが紛糾している。
無理もない。
あらゆる娯楽を統制し、自分たちに都合のいい<夢のない公平な社会>を実現させようとしている。
その社会実現のためには、アストラナイトを抹殺するしかなかった。
「では、私が行きましょう」
と、会議室に一人の女声が入ってきた。
「暮魔さん、よろしくお願いします」
「すべては、夢のない公平な社会のために」
女性はその場を立ち去る。
「諸君、我々はすべてのエンタメを統制、破棄することで若者は夢を捨て、与えられた通りに動くという当たり前の意義を知ることになる」
「世界のエンタメを破棄し、夢のない公平な社会のために!」
「夢のない公平な社会のために!」
幹部たちはグラスに注がれたワインで乾杯した。
これから巻き起こる大戦争の、ほんの小さな前触れだった。
アキバリア王国城下町の長屋の1部屋、
「おはよう、健ちゃん!」
「おはよう、えみり」
健人とえみりは、長屋の1部屋を間借りして暮らしていた。
家賃は、フリージアが全額負担してくれているので、生活面では一安心だ。
「なぁ、えみり、SNS総フォロワー数5000万人のインフルエンサーとして聞きたいが」
「何?」
「子ども食堂始めないか?」
健人はえみりにこんな話を打ち出した。
というのも以前、
「最近身寄りのない子どもたちが腹をすかしていてね。そなたらの力でどうにか解決して欲しい」
フリージアから、孤児たちになにか食事を提供してほしいという依頼を受けていた。
このままでは孤児たちは餓死するか、食料欲しさに犯罪に手を染めてしまいかねなかった。
「じゃぁ、毎週火曜日に子ども食堂を開くっていうのは?」
えみりはすぐに行動を始めた。
「そう言えばえみりは、思い立ったらすぐ行動するやつだった」
健人は、すぐに食材の調達を始めた。
えみりは、子ども食堂が出来る空き店舗をフリージアを通じて確保し、健人は実家がラーメン屋ということで狩人からイノシシの肉や骨などを分けてもらうなど、準備に勤しむ。
それを物陰から見たフェミレクターの実行員・
「なんてことをするのかしら? 子供は親のそばでしか居場所がないというのに、勝手なことをするなんて不公平にして偽善よ……!」
はじ子は歯ぎしりをしながら健人たちを殺そうと画策した。
「よし!」
健人は、ラーメンの食材を一通り揃えた。
「健ちゃん、まさか豊楽軒のラーメンを作るの?」
「おうよ! 父さんの味を、今ここで再現して子どもたちに食べさせるんだ!」
豊楽軒とは、現実世界全体の7割に出店する大手ラーメンチェーン。
定番の中華そばから、ジャンキーな二郎系までも扱う商品力が人々の心を鷲掴みにしている。
健人は看板商品である中華そばを再現しようとしている。
その時、
「あなた達のやっていることは偽善です!」
はじ子の怒鳴り声が響いた。
その体格は、中年の女性大学教授を彷彿とさせる風貌。
ある大学の女性教授を思わせるメイクは、どこか不気味な印象である。
「偽善って、」
「子どもたちに美味しいものを食べさせてあげたくて始めようとしているんです」
健人たちは負けじと言い返す。
「いいえ、子供に勝手に食事と居場所を与えることは親として認めません! ここで処罰します! いでよ、
はじ子が左手を高く掲げる。
魔法陣が展開され、釘バットを持った虎の獣人型フェミックマシンが現れた。
逃げ惑う人々。
「こいつ、フェミレクターかっ!」
健人は驚きを見せつつも冷静になる。
「健人、私を呼べ! 今のお前なら詠唱無しで呼ぶことが出来る!」
アストリアの声が響く。
「わかった! 来たれ、アストリア!!」
健人が腰の剣を抜き放ちながら空にかざす。
魔法陣を展開してアストリアを召喚した。
「行くぞ!」
アストリアとユナイトを果たし、健人はギャクタイガーを睨む。
はじ子もすでにユナイトを済ませているのか、臨戦態勢を獲っていた。
「この町を壊して、キョーサン様に良い報告をしたいものね。 偽善者のいない世の中こそが、我らが望む夢のない公平な社会」
「そんなことさせるか!」
健人は、ロングソードで斬りかかる。
「甘い!」
はじ子も釘バットで斬り結ぶ。
「親として子供の人生を管理するの! 私たちが決めた道こそ、子供の幸せ! それなのに、最近の若者はっ!」
両者は一旦距離を取る。
「なにかに突出して、自分の個性というつまらないことをさらけ出している! だからこの世界を封印して、若者たちをしつけるの!」
ギャクタイガーが高笑いを始める。
「夢を捨てて、親の言うことこそが絶対の世界を作ると!」
その言葉に怒りを覚えつつも、
「アストリア、なにかすごい必殺技とかないのか?」
健人はアストリアに質問した。
「あるにはあるが、ぶっつけ本番で
「無茶を通して道理をブレイク! それが夢野健人だ!」
健人の覚悟に、
「わかった。 剣を天高く掲げ、魔力をチャージするんだ」
「OK!」
健人は剣を天高く掲げる。
刃に光が集約されていく。
「させるものか!」
ギャクタイガーが突撃する。
「今だ!」
「必殺!」
「「スタートゥインクルブレイク!!」」
アストリアが思い切り剣を振り下ろす。
巨大な光の刃がほとばしり、ギャクタイガーを真っ二つにした。
「ば、バカな! 親の言うことこそがっ! 親の言うことは、絶対だと言うのにぃーーっ!!」
はじ子が断末魔とともに爆散した。
「俺のハートは全力解放!」
戦いは終わった。
翌日、
「はい、お待ちどうさま」
健人たちはたくさんの孤児にラーメンを振る舞った。
子どもたちの笑顔に、えみりも嬉しそう。
「健ちゃん、これをモデルケースに、エンタルディア各地に広げてみたら?」
インフルエンサーえみりは、これは業務展開できるのではと期待した。
それは後のお話にしておこう。
次回予告
えみり「私だって、戦えるんだよ!」
健人「えみり!? ダメだって!」
???「私の出番だね。えみり」
えみり「よろしくね!」
次回、「推参! 幼なじみはサソリで忍者!?」
忍ばず手間なくパパッと登場!