一応、ストーリーは最後まで考えていますが、書き溜めとかしてないのでいつ完結するか……そもそも続けられるか分かりません。
それでも良いと思う方、是非見ていって下さい。
私、
『番組の途中ですが、緊急速報です』
数日ぶりに家族全員で食卓を囲んでいた晩の事、好きだった動物番組を見ていたら突然テレビの画面が切り替わった。
『現在、○○県○○市の上空にて、謎の黒い物体が───』
「……へ?」
急に画面が変わり、私は驚いた。……いや、正確には、画面に映し出されたソレに驚いた。
テレビに映し出されたのは、街を覆うほどに巨大な球体状の黒いナニカ。この世に生まれて五年ぽっちの若造だが、ソレが普通ではない事を本能で理解できた。
(え、いや、ナニコレ? なにあの巨大G○○TZ)
あまりのショックからだろうか、私の眠っていた前世の記憶が叩き起こされ、五歳児とは思えない語彙で無意識に語っていた。
(いやいやいや、本当に何? 今日で地球終わるの?)
『ご、ご覧下さい!』
(今度は何、って、えぇ……)
驚くのはまだ早かった。次に映し出されたのは、なんだかカラフルな色合いの少女達が空を飛び、黒い球体に飛び込んでいく様子だった。
(……)
幼児の頭ではキャパオーバーな非現実的光景、それを目の前にして私は暫く放心しつつ、頑張って言葉を絞り出した。
(ニチアサ始まった?)
これが私がこの世界をニチアサワールドと捉えた最初のキッカケ、ついでに前世の記憶を思い出した日でもある。
後日、あの謎の黒い物体は世間から忘れ去られていた。両親に聞いてみたがなんの事か分からないと言われて、結局アレが何だったかは今でも分からない。
ただ今にして思うと、アレは多分あの世代のヒロイン達の最後の戦いだったのだろう。最終決戦時のスケールが普段より大きいというのは、ニチアサじゃ常識だからね。
そしてあの日を堺に私は、この世界をニチアサワールドだと捉えるようになり、その考えを裏付けるように、毎年どこかの町で不思議な事件や現象が起きているという噂がネットに上がっていた。きっと毎年新シリーズが始まっているんだろう。
まあ、当事者でない私には、実際に何が起きていたかなんて考えも付かない。きっとこれからもそうだ。……そう、つい先月までは思っていた。
(まさか私が、ニチアサワールドのヒロインになるなんてね)
改めて自己紹介をしよう。私の名前は
(まあ、ニチアサのヒロインを名乗るには存在が汚すぎるんだけど)
世界観、というよりヒロインと、彼女達が立ち向かっている悪の組織の立ち位置について少し説明しておこう。
敵組織の名前はリビディアン、妖精界からやって来た妖魔という種族の集まりだ。
彼らの目的は、人々の負の感情から生まれる闇の魔力を回収する事にある。その為に彼らは闇の魔力が具現化させた存在、魔獣を操り街中で暴れさせて、人々に恐怖を齎していた。……そんな状況に気付いた一人の妖精は、現地の人間に協力を求めて、彼らを止めようとする。
妖精に選ばれた彼女達こそ、人々を守る為にリビディアンと戦う正義の
そして私もその一人。魔法少女として魔獣達と戦い、同時に我が息子(性別的に娘?)の荒ぶる性欲と格闘する日々を送っているのだった。
(いやおかしいでしょ)
最後だけ絶対におかしい。途中まで良い感じだったじゃん。まっとうにニチアサやってたじゃん。なんで最後エロに走った??? 突然のヘアピンカーブ並みの路線変更やめてよ曲がれる訳ないでしょ。
(まあ生えたものは仕方ない……仕方なくないけど仕方ない)
無い物ねだりをしても何も変わらない。まあ私の場合は無いんじゃなくて付いてるんだけどね。って、やかましいわ。
(かなりキツいけど、抑え切れない訳じゃない。彼女達が近くに居ない状態なら問題なく戦える)
エルエム曰く、私のモノは魔力由来で生えているからか、魔力に敏感らしい。だから強い魔力を持つ魔法少女が相手だと、すぐに反応しておっきっきしちゃうだとか。オブラートに包んで最低だ。
「は〜〜〜……そろそろ学校に着くし、気持ち切り替えなきゃね」
深い深いため息を吐き出した後、学校の校門が見えてきた私は顔を上げて前を向く。
(……っと、あれはもしや)
そして、校門前のある物を見て、私は
我が校たる
恐ろしく目立っている二台の車。その内の一つであるリムジンから如何にも侍女といった格好の女性が出てきて、後ろの扉を恭しく開ける。
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
「ああ、行ってくる」
侍女の手を取ってリムジンから現れたのは、腰元まで真っ直ぐ伸ばした艶やかな黒髪が印象的な、凛とした美少女である。
(今日もキラキラしてるなー)
一目見て気品の良さが伺える容姿に仕草、内面も清く正しく美しく、常日頃から誰かの為に動くその在り方は品行方正を体現したかのようで、ケチをつけれる要素皆無な完璧淑女。
「いつ見ても綺麗だなぁ」
「天宝院さん、今日もお美しい……」
「私、先輩だけど天宝院さんにはお姉様って呼びたくなっちゃう」
「純度百パーの生お嬢様尊い。あのご尊顔を拝めるだけでこの学校に来た価値あり」
「推せる」
ご覧の通り、学校内での評判も非常によろしい。
……さて、だとするともう一台の黒塗りベンツも天宝院家の物なのかと言えば、実は違う。
ベンツの助手席から人が出る。その者の様相はデカくゴツく、黒いスーツをキッチリ身に付けた巨漢であった。
「「「……」」」
その他にも二人、似たような見た目の強面の男がベンツから現れて、後部座席の扉を開けると両手に膝を付けて頭を深々と下げる。
「「「ご苦労様ですッ!!!」」」
「……」
そんな呆気に取られる光景の中、後部座席からぶっきらぼうに現れたのは、金髪ショートボブの小柄な美少女である。
(今日もギラギラしてるなー)
小柄で愛らしい顔立ち、まるでチワワのような見た目であるが、その身に纏う空気感はチワワと呼ぶには余りにも荒々しい。滲み出る覇気は見る者を畏怖させ、さながら抜き身の刀の様であった。
関西最大の極道組織、
「ひぇ……」
「お、陸千さんよ」
「いつ見てもとんでもない迫力……」
「あの見た目でオラオライケメンなのギャップしかない。一度その小さなおみ足で踏まれてみたい」
「萌え」
ご覧の通り、学校内でも畏怖の対象として見られていた。……なんか一部変なのが居るけど。
「……」
「……」
「……なあ、今日は徒歩で行くとか言わんかったか?」
「ああ、そうしようとしたがメイドに止められた」
「はんっ、相変わらず過保護やな」
面と向かい合った二人は、周囲からの好奇の目なんて気にせず談笑を開始する。
「そういうお前こそ、今日も車に乗ってきているようだが?」
「チッ……同じや。あの馬鹿共ときたら何言うてもお嬢の頼みでもそれだけは〜とか言い張りよる」
「ふっ、互いに大変だな。どうする? どちらも失敗に終わったが勝負は引き分けか?」
「せやな、折角なら今日返ってくるテストの点で勝負しよう思うとったけど、そういう話は前にせんかったし、今回は引き分けでええわ」
家の事情なんて関係ない。そう言わんばかりに談笑する二人の間にわだかまりは無かった。
「……天宝院さんと陸千さん、いつも思うけど普通に仲良しだよね」
「うん、ぜんぜん想像できない組み合わせだけど、どうやって仲良くなったんだろ?」
違和感の拭えないいつも通りの光景、二人の仲が良い事に周囲の野次馬達は不思議そうにヒソヒソと喋り合っていた。
(まあ確かに、知らない人から見ると不思議な光景か)
二人がどう知り合ったのかは私も知らないけど、二人がどういう関係性なのかは知っている。
彼女達こそ世間で噂されている魔法少女、その内の二人なのだ。
マギアブルー、天宝院カナタ。水の魔法を扱う青の魔法使い。水の矢を自在に操り、冷静な分析力で仲間達を勝利へ導く。魔法少女の優秀なリーダーである。
マギアイエロー、陸千レイナ。身体強化の魔法を扱う黄色の魔法使い。小柄で華奢、加えてステゴロ、しかし肉弾戦においては最強格。魔法少女の頼れる切り込み隊長である。
リビディアンを相手に共に戦う仲間、それが二人の関係性だった。
「そうか、それは少し残念だ。今回のテストは自信があったからな」
「はっ、よう強がれるわ。結果なんぞ目に見えとるのに」
「むっ……それは驕り過ぎじゃないか?」
「なに言うとるん、今日返ってくるテストは数学やで? 他の教科ならともかく、数学はいつもアタシの方が上や」
「それが驕りと言うのだ。まったく、少し自信過剰になってないか?」
「ほおん? 一度も数学で勝っとらんのによう言うわ」
「今日までは、だ。ますます勝負できないのが残念だぞ、勝利すればその伸びた鼻を折ってやれたのに」
「……ええやん、いっちょやったろうやないか。逆にその自信ぶち折ったるわ!」
徐々にヒートアップしていく二人に、周りの者達はハラハラした様子で眺める。
(あー、また始まった)
二人はこうしてよく言い争うけど、やはり相性が悪いのだろうか?
……いや、この場合は逆に仲が良いのか。
(……っと、いつまでも人の会話を盗み聞く訳にもいかないな)
私はさっさと校門を潜り、
(人気者はすごいよなぁ、あんなに注目されて鬱陶しくないんだろうか?)
まあ、私も私で目立っている方なんだが。主に悪い方向で。
男で、しかも成人済みだった前世の記憶があるせいか、私は小中学校時代からずーっと同年代と馴染めず、ぼっち道を歩んでいた。何が悲しいって、みんな気を遣ってか知り合い以上友達未満の絶妙な距離感を保って接するのだ。
(子どもに気を遣われる大人って、ハハハ……おっと)
なんて自己嫌悪して落ち込みながら廊下を歩いていた私だが、ふと目の前の子が落とし物をした事に気付き、声を掛けた。
「不知火さん」
「はい?」
「ハンカチ、落としたわよ」
「え? わっ、ホントだ!」
彼女は少し恥ずかしそうにほんのり頬を赤らめながら、私が拾ったハンカチを受け取る。
「あ、あはは、ありがとうね下成さん」
「いえ、汚れる前にすぐ拾えて良かったわ」
いずれ誰かが見つけてくれるだろうけど、早く見つかる事に越した事は無いからね。
やる事をやった私は、そのまま彼女の横を通り過ぎて教室に入る。今日も変わらない学園ぼっち生活の始まりである。
……ちなみにさっきハンカチを渡した子、
▼▼▼
ハンカチを渡した下成さんは颯爽と去っていく。その後ろ姿を見ながら、私は赤く染まった頬を指でかいた。
(は、恥ずかしいとこ見られちゃったなー)
なんとも言えない羞恥心が私を襲う。
(そそっかしい子って思われたりしてないかな?)
「アースーカー氏〜?」
「うひゃあ!?」
ぼーっと下成さんが教室に入っていく様子を見ていると、後ろから聞き慣れた声の人物が私の肩に手を置いて呼びかけてきた。
「なな、なにりっちゃん?」
「なに? じゃありませんよ! ハンカチ落としとかまーたベタな事しちゃって、羨ましいぞコノヤロー!」
そう言って私の幼馴染、
「んみゅみゅ……べ、別に故意じゃないもん!」
「しっかしアスカ氏もチャレンジャーだね〜、相手が
「ねえ聞いてる!?」
絶対なにか誤解されてる。どうにか訂正しようとするものの、りっちゃんは止まってくれない。
「
「う、うん、知ってるけど」
なぜか妙に説明口調だけどりっちゃんの言う通り、下成さんはみんなから慕われている。うちのクラス(下成さんのクラスでもある)じゃそれは顕著だし、噂だと下成さんのファンクラブなんかもあるらしい。
「別に隠す必要なんて無いと思うよ? 彼女にラブな女の子は多いって聞くし」
「いやいやいや、だから別に私は下成さんにそういう気持ちないんだってば!」
「本当〜? じゃあ最近物憂げな顔浮かべてたのは、また別の理由が?」
「それは……」
それは、彼女について考えていたからだ。
『私は、穢れた存在だから』
(ホワイト……)
マギアホワイト。心の内に何かを抱えて、孤独に戦う魔法少女。彼女の事を思い出した私は、思わず表情を暗くしてしまう。
「……あーごめん、薮蛇ったか」
「う、ううん! 大丈夫。えっとそれで、その事についてなんだけど」
「言えないんでしょ? バイトやら企業秘密やらの関係とかで。分かってるって」
「う、うん、ごめんね」
魔法少女となって魔獣と戦っている事は、周りには秘密にしている。りっちゃんに隠し事をするのは心苦しいけど、話しても無駄に心配させるだけだし、知っている事で私達の戦いに巻き込まれてしまうかも知れないからだ。
「もー気にしなくて良いから。ほら早く元気出して? 明るいのがアスカ氏の数少ない取り柄なんだからさ」
「うん……って、数少ないって酷くない!?」
「あはは! うんうん、その調子だよ」
「もうっ、なに笑ってるの!」
りっちゃんと話していく内に、私はいつもの調子を取り戻していく。
(そうだ、諦めるにはまだ早いよ私)
……
まさか彼女が、腰にイチモツを抱えているとは露知らずに。
▼▼▼
『フタバ、魔獣が現れた』
授業中、エルエムの声が突如として脳内に響き渡った。
『ッ、え、ええ、分かったわ……ねえ、毎度思うけどこのシステムどうにかならないの?』
突然脳内に他人の声が響き渡るから、いつもドキッとしてしまうのだ。
『ご、ごめん、驚かせるつもりはないんだけど、加減が難しいんだ』
『……はぁ、まあいいわ。それで、魔獣が出たのね。どこなの?』
『魔獣は此処から西にある商店街だよ……あと』
『……? どうかしたの?』
魔獣の居所を聞いて、すぐにでも向かおうと席を立ちかけた時、エルエムが何かを言い淀んだ。
『……そことは別にもう一つ、北の大通りに魔獣の反応があるんだ』
『……! なんですって』
魔獣が二体、それも別々の場所で同時に出現。それは今まで起こり得なかった事態だった。
どうして急に……そう思いはしたが、今はそんなことを考えてる暇はない。
『……エルエム、皆にはまだ?』
『う、うん、伝えてないよ』
『そう、なら皆には商店街の方の魔獣についてだけ話して。……大通りの方の魔獣は、私がやる』
『……! そ、そんな、危険すぎるよ!』
私の提案をエルエムが全力で拒む。声だけで、嫌というほど必死さが伝わってきた。
『いくら君でも、魔獣を一人で相手するなんて無謀だ!』
『なら皆が魔獣を倒して、私がまだ手こずっていたら、改めて皆に大通りに居る魔獣の事を伝えなさい』
『それでも無茶だよ! 何人かそっちにも回すべきだ』
それは至極まっとうな意見なんだろう。けど、私に限って言えば、それは悪手だった。
『エルエム……こんなことを堂々と言うのは死ぬほど恥ずかしいけど、近くに魔法少女がいると、どうしても私のアソコがヤバくなるの。そしてそれは、魔法の力が弱まるという事でもあるわ』
魔法の力の源たるリビドー。その内容は人によって違うが、私の場合は性欲がそれにあたる。
普通、リビドーが高まることで魔法の力が強くなる。けど私の場合は逆で、性欲が高まるほど魔法の力が弱くなる。この原因はエルエムも知らない。
『だから結果として、皆が居ない方が私としても都合が良いのよ』
『フタバ……』
『安心して、危なくなったら逃げに徹するから』
ニチアサのヒロインが死亡退場なんて、そんなシャレにならない鬱展開には絶対させない。
『……うん、分かった』
そんな私の覚悟が伝わったのか、最後にはエルエムも同意を示してくれた。
(よし、そうと決まれば早速向かおう)
……うん? 授業中に抜けれるのかって? そんなの簡単だ。
「先生」
「うん?」
「トイレに行ってきます」
ここはニチアサワールド。適当な理由で授業を抜け出しても、誰も気にしないのである。
……周りに魔法少女が居なければ、十全の力を発揮して戦える。そう私は思っていた。
甘かった。
「あら〜? あなたがマギアホワイト?」
アソコの敵は、
「うふふ、可愛いわねぇ♡」
ムチッ♡とした脚を包む黒タイツに、ドタプン♡と音が鳴りそうな豊満すぎる胸、そして身体の曲線丸見えなピッチリスーツ……と、男の欲が詰まったようなドスケベエロエロボディ。
「はじめまして、私はルスト。よろしくね♡」
「ーーー」
ピッッッキーン!!!
……その瞬間、私のアソコはガッチガチでビッキビキの有頂天になっていた。
(…………その
ここってニチアサワールドだよね???