【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい   作:ディストピア

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転生したら退魔巫女だったんだが(匿名鬼謀氏の改訂後)

 

 

(何だ? ……暗い。目を開けても何も見えないし、体も動かない)

 

(いや、動かないんじゃなくて何かに全身を包まれて締め上げられてる? ……巨大なヘビかなんかに丸呑みにされてるのか?)

 

自分の状況を大雑把ながらも理解し、助かろうと無理矢理に手足に力を入れる。

 

 

(少しずつ動いてる。向かってる先が口か肛門かで…………気にするだけ無駄か。此処から出れなきゃ死ぬだけ。成人男性を丸呑みに出来るような巨大蛇っぽい生物の糞塗れになろうと生きられるならマシだ!!)

 

 

何十分か、何時間かも分からぬ足掻きを続けた結果。

 

 

その目に光を感じた。

 

 

 

(光、外に出られた!!)

 

助かった喜びから雄たけびを上げるように声を上げると、赤ん坊の泣き声が聞こえた。

 

 

(視界が霞んでいて周りが分からないが、赤ん坊を巣に持ち帰っていたのか? 助けたほうが良いよな)

 

体の痛みを感じつつ、赤ん坊の泣き声を聴きながら、そう考えていると。

 

 

 

「初産じゃから時間は掛かったが……喜べ、元気な女の子じゃよ」

 

「女の子か、なら名前は…………(ゆかり)だ。今日からお前の名前は鏑木紫(かぶらぎゆかり)だ」

 

 

そんな会話が聞こえた。

 

(鏑木紫? ……ソレって確か、凌辱系エロゲの退魔巫女の名前だった筈。それに、出産?)

 

 

「産まれたばかりじゃと言うに…………凄まじい霊力じゃな」

 

「確かに…………この子が希望の子になればいいが、産まれたばかりの娘に里の未来を託すような願いを抱かねばならないとは…………我々が戦力になれれば良かったのですが」

 

「今の里の戦力では…………その子が大人に成る間では持たぬじゃろうな。最悪……八に成る前に戰場(いくさば)を経験する事になりかねんな」

 

 

(アレ? ……鏑木紫って確か退魔とは無関係の神社出身のフリーランスの退魔巫女だった筈じゃ? それに抱き抱えられてるのって……俺か? 生まれ変わったら、負けたら凌辱不可避の退魔巫女に?)

 

 

そんな事を考えつつも眠りについた。

 

 

 

後に知るが、産まれた直後に頭をフルに使っていた為か、高熱になってヤバかったらしい。

 

 

 

 

――八年後。

 

 

闇夜の中、()()()ならば青髪に見える黒髪の少女が、体格に似合わぬ、自身の身とさほど変わらぬ大きさの弓に矢を番え、的を見ていた。

 

「やぁ」

 

掛け声と共に放たれた矢は、光を纏いながら真っ直ぐに的に向かい、突き刺さる。

 

 

「見事、霊力による身体強化は上出来じゃ…………が」

 

 

「はい…………中心から外れて端のほうに当たってます」

 

そう落ち込みながら言う少女。

 

「まぁ……年齢を考えれば上出来じゃがな。弓道の28mの倍以上の60m先の的を射ておるんじゃからな。……矢羽根まで突き刺さっておるし」

 

そう感心しているのか呆れているのか分からぬ雰囲気で話す老婆

 

 

 

「自力で武装強化のみならず、破魔矢を放つ事まで出来るようになった。お主程の才が有ればもっと高みを目指せるじゃろうに。この里には霊力による身体強化の初歩が辛うじて、口伝とそれを身に着けた子供が一人残されていただけで、他は皆死に絶えて失われてしまったからのぉ。戦後のどさくさに、おそらくは国中の霊能者は狩り尽くされ、残ったのはこの里同様に断片的な知識と技術が残るのみ」

 

 

「もう少し都会の方ならば協力できる名家も有ったかも知れぬがな。……退魔師の情報を調べられる様な手段を持たぬ故、探すことも出来ぬ」

 

そう言って項垂れる老婆。

 

 

「里長!!」

 

そう叫びながら、右腕が血塗れの男が必死の形相で駆け込んで来た。

 

 

「異界での戦いで前線が崩壊しかかってる! このままじゃ化け物が溢れ出てきちまう!」

 

 

「オイラは肩に噛みつかれちまって、応急処置の為に下がっていたから伝令を頼まれたんだ!」

 

 

「わかった、すぐに向かう。…………紫、お主は」

 

「私も行きます」

 

「しかし、お主は未だ」

 

「いや、皆が死んだら私も結局死にますよ。近くの街が何処に有るかも分からないから逃げられないし、後方から援護射撃してるのが一番生き残れるかな、って思うし」

 

「そうか。……付いて来い」

 

「はい」

 

 

 

 

 

その後は異界でガキとスライムの群れに、ひたすら矢を放ち続けて活躍。前線も持ち直して勝利した。

 

 

 

 

なお、その際の思考は大体。

 

 

スライム姦嫌だー! 輪姦ヤダー! 凌辱回避~~~!!(泣) だから死ねーーーー!!!!

 

 

 

だったりする。

 

 

 

 

鏑木紫はレベルが上がった。

 

癒しの力(ディア、メディア)*1を覚えたので、突然癒しの力が発現して周囲含めて大慌て。

 

 

以後、歩く救急箱としても活躍する事になる。

 

(総戦力が自分含めて21名居るが、戦闘後に全員治療しても霊力が尽きない程度には、紫の霊力は有る)

里(村)の総人口は120人程度の場所。

 

 

 

 

 

――更に7年後。15歳になったある日(数え年では16歳)

 

 

 

「中学卒業を期にスマホとノートパソコンゲットしたけど、パソコンはともかくスマホってこんなに早く一般化してたっけ? ……前世より色々と発展が早いの?」

 

そう呟きつつ、ネットの海で色々な情報を収集していく。

 

 

「1996年になっているのに阪神淡路大震災が起きてない? …………霊力とかが有る世界だから、地鎮祭が上手く機能したのかな?」

 

 

「前世じゃ聞いた事もないガイアグループなんて大規模企業が、ネットインフラ含めて日本全国で大々的に活動してる」

 

 

「他は……メシア教の称賛記事に、世界各地でのテロ騒動に、新作ゲーム記事。…………ちょっと待って、メシア教? あのメシア教なの? …………メガテン世界の最低最悪のメシア教?」

 

顔は青ざめ、冷や汗を大量にかき、目眩すら感じながら呟く。

 

 

「この世界って、まさかメガテン世界なの?」

 

 

 

転生者・鏑木紫は、この日ようやく、自身が今を生きる世界の事を知り、絶望した。

 

*1
スキル名は理解してないので性能低下




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