【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい 作:ディストピア
これは、鏑木紫が9歳の時に何かが違っていた可能性
集会所に男女合わせて20人の人が集まっている、その全員には同じ村に住む住民という以外にも共通点が有る、20人全員が
その中に一人だけ、他の者と比べて、桁外れに膨大な霊力を宿した少女、鏑木紫の姿もあった*1
「
「今日は異界に関する大事な会議の日で、戦力になる奴は全員集合だって話だから、9歳の紫ちゃんも来てるってのに、初めての遅刻が今日って…………何してんだ?」
「あの………重蔵さんは確か今年で57歳だから、腰や膝を痛めてしまったんじゃないですか?」
私は大人達に対して、おずおずと挙手をしながらそう口にする
「あ〜〜ぎっくり腰になった可能性は確かにあるか、嫁さんと息子は未覚醒だから此処に行かせて良いのかの判断もし辛い…………って状態か」
「そりゃ確かに判断に困るな、俺ん所は息子も一緒に居るから関係ないが、未覚醒の家族に戦いの事は伝えていても、会議に加えていいかは別だからな」
「仕方ねえ、あと10分経っても来なかったら会議を始めるぞ」
里長のその言葉に皆が頷く
そして、8分が経過した頃、一人の男性が集会所に駆け込んで来た、表情が心做しか喜色に染まっている気がする
「遅いぞ重蔵」
「わりいわりい、けど…………遅れた分を取り戻せるだけの良い報告は出来るぜ」
「良い報告だ?………突然異界が崩壊したってか?」
「確かにそれは良い報告だ」
「化け物との戦いをしなくて良くなったなら確かに嬉しいわね」
そんな事は無い、そう思いつつもそうあって欲しい事を口にし、何人かがそれに続く
「異界は崩壊してねぇが、異界での戦いが格段に良くなるって報告だ」
覚醒者が増えたという報告は無く、
ならば何だ?…………という空気が広がる中、喜色溢れる表情で彼は口を開く
「街の方で相談出来てな、それでなんと、
そう口にした重蔵さんの背後から、ぞろぞろと神父服の男性、シスター服の女性が入ってきて、総勢30人の宗教家らしき人達が出入り口付近に広がる、まるで
「重蔵!!…………この国の霊能者を狩ったのはメシア教じゃと伝えた筈じゃ!!!!」
激昂した里長がそう叫ぶ様に口にするが、興奮しすぎたのか咳き込み、胸を押さえて苦しみ始めた
慌てて里長に駆け寄る人、重蔵さんに詰め寄る人、ただ混乱する人が居る中
そんな事を気にするだけの余裕が私の中に無かった
「メシア……………教、それって」
血の気が引き、顔を青ざめさせ、体が震えて歯をカチカチ鳴らす
今まで神楽世界だと思っていた、思い込んでいたこの世界が、女神転生に酷似した世界であると、目の前で召喚されていくエンジェル達を見ながら、ようやく理解する
「こんな小さな村に覚醒者がこれほど居るとは驚きですよ、特に、そこの少女が素晴らしい、我々から視ても膨大な霊力を宿し、癒しの力まで扱えるとは」
聖母に相応しい…………と、神父が興奮しながら口にする
女神転生の世界だと、最低最悪のメシア教に目を付けられた、その最悪な現実に意識が遠退きそうになる中気付く
周囲の人が一人、また一人と、集会所に集まっていた人がバタバタと倒れていっている事に
「なに…………が…………なに………………この眠気…………」
突如感じるあまりに強い眠気に倒れそうになるが、床に手をつき、なんとか堪えるも、私以外の全員が倒れ伏し、深い眠りについている事に気が付く
「膨大な霊力に加えて、高い魔法抵抗力をお持ちのようだ、非常に素晴らしい」
眠気に負けそうな意識の中、その言葉を聞いて私に、私達に何が起きているのかを理解する
「睡眠…………魔……法…………ドル…………ミナー…………」
その事に気付いても、最早手遅れ、自身に迫る二体のエンジェルが私を持ち上げた事を感覚で理解し、そのまま私は意識を失った
その後を語ろう、住民が120人程の小さな集落、その中に居た21人の覚醒者は全員が捕らえられ、残った100人程の住民はメシア教の手により洗脳されて陥落
集落そのものがメシア教が活動するための拠点として大改造され、外国からもメシア教の人員を招き入れられた結果
メシア教により運営される、メシア教の為の、メシア教徒が住まう街として発展、深い山々も開拓されて居住区画が年々広がり、それに伴い住民も増えていっている
そんな中、私はメシア教徒の一員として生きていた
跪いて両手を合わせての神への祈り、その時に祈りなんてせずに瞑想を行っている不良信徒だ
心までメシア教徒になんて成ってたまるか
10歳の時に、立派なメシア教徒として教育が施された友達のちひろちゃんが霊的に覚醒して裏側に来た
私は聖女を天使に近付ける為という名目で各種薬物の投与や改造が施され、実験の一環で切り落とされた両腕は再生処置が施されたが、その両腕は次の日、ちひろちゃんの両腕になっていた
ある実験の為に、歳が同じで血液型も同じだったから、私の血を投与し、両腕も取り替えたらしい
11歳になって、初潮が来て体が少女から大人へと変わり始めた頃に、ちひろちゃんと共に天使に犯し抜かれ、身体を汚された、メシア教の教育の影響か、それをちひろちゃんが喜んで受け入れていたのが泣きたくなるくらいにただ辛い
狂う事も、壊れる事も出来ない、無駄に強靭な自分の精神が本当に嫌になる
その年の間に二十体程、天使の子を産まされたが、母体としての利用を止めて、高性能な天使人間への改造素体として私は利用されるらしい
合間合間に海外にも飛び、人々の傷を癒す聖女様としての活動もさせられているが*2、私にはもう逆らう気力は無い
12歳になって、この身に融合させられ、取り込んだエンジェルの数は三十二体、アークエンジェルの数は二十五体、プリンシパリティが四体になった、ついでに天使を大量に取り込んだからか両性具有になった
覚醒の影響で青かった髪は、完全に色が抜け落ちて白髪になって脛まで伸び、瞳も金色に染まり輝いている*3
背中だけでなく側頭部からも天使の羽が生えて、背中と合わせて四枚羽になっている
メシア教の技術者達が私の改造を下地に、霊的資質が高い者の血肉を移植することで、霊的資質が低くても性能を向上させる事が出来るだけの技術を獲得し、その実証素体としてちひろちゃんが選ばれ、既に八体のエンジェルと融合した天使人間となり、両性具有にもなっていた
だが、度重なる薬物投与や肉体改造で、洗脳教育が施されていても彼女の精神に異常が起き始めていた
私も精神が不安定になってきた自覚がある、改造処置以外では拘束はされておらず、ちひろちゃんと同じ部屋で過ごしている
そんなある日、ちひろちゃんが眠っている私を犯してきた、紫ちゃん紫ちゃんと何度も繰り返し私の名を呼びながら私の上で腰を振っていた
その日から、互いに犯し犯される日々が続いて、互いが互いの子を身籠った
13歳になってすぐに、互いが天使人間だからか、人間としては非常に短い時間、半年程で同じ日に出産した
しかし、産まれた子を一度も抱く事無く、研究素体に役立つと口にする技術者達に取り上げられた、私達2人を一緒にすることで子を成すことを期待していたらしい
それを理解してももう遅かった、ちひろちゃんは私と行う男の快楽、女の快楽、その両方に溺れる事で完全には壊れ切らず、狂い切ってもいない、本当にギリギリのところで踏み止まっている、幼い頃からの秘めていた想いも後押ししているらしい*4
彼女程ではないが、私もまた、彼女と共依存の状態で自我を保っている自覚が有る、彼女と過ごす日々が精神安定になっていて、今更止められない*5
子を産んだ数日後に癒しの聖女様の仕事が来た、富豪層の人を取り込む為に、溺愛している愛娘が事故で死にかける重傷を負っているから、それを助ける事で恩を売り取り込む計画の様だ
自分達でその事故を起こしておいて白々しい、相変わらずメシア教は自作自演がお得意らしい
14歳、相変わらずの薬物投与や肉体改造、天使との融合実験の日々が続く、プリンシパリティやパワーを取り込んだ数もそれぞれ二百体を超え、エンジェルとアークエンジェルは千体を優に超えている
その影響か、背中の翼の数が増えて頭の羽を合わせて三対六枚の翼になった
ちひろちゃんがまた私の子供を産んだ、彼女の産んだ三人目の子だ、子供を一人私に産ませて以降、彼女は男の快楽を求めることが減り、女の快楽だけで満足して私の子供を求める様に成った
無くなったわけではないから、結局は私も彼女の子供を再び身籠り、その年のクリスマスに私は二人目の子を産み落とした
15歳になったその日、私の中で決定的に何かが壊れて砕け散った気がする
日課にさせられた、十字架の前で跪いて両手を合わせて神へと祈りを捧げる…………ふりをして、瞑想を行うと、自分に何があったのかを理解する
私の中に存在していたギリシャ神話の太陽神アポロン、アポロンを介して繋がっていた月女神アルテミス、両者との繋がりが崩壊
太陽神の要素が太陽の統治者、太陽の運行を司る天使ウリエルとの繋がりへと変異していた
それに伴い、背中から生えた翼は三対六枚に、頭の羽を合わせて四対八枚の翼になっていて、頭上には微かに炎を纏い輝く光輪
そんな私の姿を見て、大天使様の器を自分達が作り上げたのだと歓喜に沸くメシア教の技術者達
そんな彼等を眺め、私の心は壊れていない、狂ってもいない、だが、諦めから達観とした心境になっていた
それでも、出来てしまった繋がりから精神汚染してくるウリエルを跳ね除ける
抵抗は諦めた、救いも諦めた、それでもまだ、心まで天使に染まるものか……と、その一念のみで奮い立つ
生きていても救いは無く、死後の安らぎも救いも無いと約束されてしまった、それでも、自分である事までは捨てられない
故郷の人達がちひろちゃん一人を除き、全員が死に絶えたと理解しても、自分が自分である内に、最高のタイミングでメシア教の敵に回れるチャンスを期待して、メシア教徒が警戒するガイア連合が何時の日か自分の元に訪れる事を願って、ただそれだけを希望に自分を保ち続ける
どれだけ儚くとも、縋れるモノが有るならば期待してしまう、そんな自分の愚かしさに笑ってしまう
そうして日々を過ごして更に数年の時が流れ、メシア教がメシア教穏健派とメシア教過激派に分かれて、メシア教徒同士で争うのを内心で嗤い見下しながら時を待つ
私達の故郷が有ったこの地から穏健派が出なかった事を残念に思う、誘われれば迷わずにその手を取り、穏健派の一派を守りながら戦ったというのに
まぁ、自分の身と、私に完全に依存し常に傍に居るちひろちゃんを守るついでに……だけど
そして時が流れたある日、メシア教穏健派がガイア連合と協力して日本国内に存在する、メシア教過激派の拠点の一つであるこの地へと攻め込んできた
「聞くが良い愚か者共よ、穏健派を名乗り我等を裏切りし者共よ、その目に焼き付けるが良い、この者達こそ、我等の最高傑作にして最強戦力だ」
そう言って、自分達に敵対する道を選んだ穏健派とガイア連合を見下しながら笑い、2人の天使人間を自分達の前に立たせる
その2人が天使の翼を広げて宙に浮く
熾天使ウリエル融合人間・ユカリLv80
「片方がハンパねーぞマスター」
「確かにな、こんな高Lvの天使人間まで作ってやがったとは、それもウリエルの依代かよ」
ガイア連合の戦力の一人、霊視ニキが相棒の式神の言葉に同意し、緊張から冷や汗を流す
完全に想定外の高戦力に他の黒札達も警戒心を上げる
そんな中、天使人間の片割れ、ユカリが口を開く
「貴方がその
天使人間ユカリの、私のその言葉を聞いて警戒心はそのままに驚愕する男、喧嘩屋の姿に生まれし霊視ニキ、その姿につい笑みがこぼれる
「ユカリちゃんユカリちゃん、コイツラ殺せば良いの?戦うよ、殺すよ」
「待て……ですよちひろちゃん」
「うん、分かった」
私とちひろちゃんのやり取りに背後に居る過激派が慌てだした
「な……何を言っている、その愚か者共を殺し尽くすのだ」
過激派の男がガイア連合とメシア教穏健派を指差しながら、唾を吐き散らしながらそう口にするが
「愚か者……ね、私からすれば聖書の神ではなく、天使とメシアを信仰するメシア教は過激派と穏健派共に、一神教から外れた異教徒、邪教の徒なんだけどね」
私のその言葉に絶句し、口をパクパクと動かすが言葉が出てこず、混乱するメシア教過激派達
「長かった、本当にこの10年…………長かった、行ける場所が、逃げる場所が何処にも無かったから、今まで大人しくし続けてきたけど、もう…………その必要は無い」
その言葉と共に、宙に浮いたまま全ての翼を広げて振り返る、少し遅れてちひろちゃんも笑顔を浮かべて振り返る
そうして、メシア教過激派を見下ろし見下し嗤う
自分達が最強戦力の最高傑作と称した2人が、能力そのままに自分達の敵になった
彼等がそれを理解し、絶句し絶望する姿を見て笑いが込み上げる
「そう、そうですよ、貴方達クソド外道が心から絶望する姿を見る為に、身体をこんなに弄り回され改造されても耐えて耐えて耐え続けた、貴方達のその姿を見る為に、ウリエルの精神汚染すら跳ね除けて!!!!」
そう言って、更に絶望させるため、メシア教過激派の拠点と成り果てた故郷を囲うように、メシア教過激派の背後を塞ぐために、腕を振るい天まで届くような炎の壁を展開する、しかし、その炎は森の木々を一切焼いていない
「私達をこんな姿にしたお前達を、私達の故郷をこんなに変貌させたお前達を、絶対に…………一人も逃さない」
その後は当然の事ながら、最高戦力がそのまま敵になったメシア教過激派に勝ち目などある筈もなく*6、森を焼いていない事から熱を感じていながらも幻だと考えて炎の壁に飛び込んだ者は、当然そのまま骨も残さずに焼き尽くされる、それが各地で発生*7
その姿を見た者達が抵抗も逃亡も諦めて投降する者が続出
殺しもせずに捕らえる穏健派のその甘さに舌打ちしたくなるくらいに不快になりながらも我慢する
しかし、隠そうと思えば隠せるが天使の翼と光輪を持ち、更に私はウリエルの分霊の一体とすら融合してしまった天使人間
その辺の事情と、ウリエル故の天使への影響力を考えた結果、一神教に出向扱いとなった*8
私とちひろちゃんとの間に出来た子供を過激派が実験、研究に使っていて生き残りが居る可能性もガイア連合にはちゃんと伝えている
ちひろちゃんが暴走したりしないように今日も宥めて、身体を重ねて*9、落ち着かせる、私に完全に依存しきり、幼い子供レベルの知能しか残っていない彼女が完全に堕ちて暴走してしまえば私が処理する、それが私の決意
その日々は、世界に終末が訪れても変わらない*10
破滅はするが逆襲もする鏑木紫です
途中で心折れていた場合
過激派の望み通りガイア連合と穏健派の殲滅を開始
ダメージを負っても自己回復で復活、魔力が足りなくなれば近場の天使を吸収して魔力補充
天使人間チヒロが撃破された場合、彼女を構成する全てのMAGを吸収し確保、Lvが100まで跳ね上がった上で激昂し能力向上+攻撃が苛烈化
黒札達が敗北した場合、人間は研究素体行きで生き地獄でMAGを搾り取られ、穏健派に付いていた天使を全吸収でユカリが強化、式神達も喰らい取り込みユカリが更に強化
メシア教過激派の制御からも外れて暴走
ショタおじ以外ではほぼ対処不可能に