【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい 作:ディストピア
年末は破魔の矢の製造の為に分身と共に今年も仲良くデスマーチを熟した、分身の方も去年のデスマーチの経験と、1年間属性矢を作り続けた経験が生きて、熟練の業で去年よりも遥かに多い数の破魔の矢を作成した*1
そんなこんなで年も開けて1999年の2月
偶然とはいえゴールドにんじんの育成に成功し、以降も継続的に収穫出来ている事からか、農業の楽しさに目覚め*2
元々異界操作技術に関しての知識も書物を読み漁って学んでいたが、デスマーチが終わってから、空間転移技術の向上も兼ねて異界操作技術を本格的に学ぶ
合格点をもらったので、個人用異界として【壺中天地】を素材持ち込みで探究ネキに作ってもらった*3
とりあえず、結構な品質の素材を持ち込んで作ってもらったからか、異界の広さも中々のもので、四国に近い広さが有る
だが、今回は関係ない
数日掛けて色々考えて準備を整え、事務に事前に連絡を取って許可をもらい、農業部が所有する実験栽培用の壺中天地、その一角の高温多湿の環境を再現した地、田んぼを作るのに良さそうな場所を借りる
田んぼを作る範囲を決め、土を耕す為に地面に両手を付き、自身を中心とした広範囲を対象にマハガルーラを発動、地中の土を削り、巻き上げ、掻き混ぜる事によって広範囲を一気に耕し*4、ついでに大地に霊力を込める
次に水源から水を引き、田んぼに水を流し入れ、水が溜まるのを待つ
その間に農業部で購入した米の苗を取り出す
十分な水を引けたので塞き止め、苗を一本一本手作業で植える、その際に、苗の一本一本に霊力を込めながら植えていく
一通り植え終わり、田んぼの中心の土を掘り、収納バッグから取り出したモノを埋める、そして収納バッグからあらかじめ作っていた看板を取り出し、立てる
ある程度離れた場所を同様に耕し、水を引き、霊力を込めながら苗を植えていく、植え終わると先程と同様に収納バッグから物を取り出し、田んぼの中心に埋める
田んぼから出て、再び看板を立てる
二つの看板にはそれぞれこう書かれている
【いちご
【コラー
いちご飯の生育実験田んぼの中心に埋めたのは、最高級イチゴを3粒ほど
コラー原米の生育実験田んぼの中心に埋めたのは、河豚等のコラーゲンがたっぷり含まれた食品達だ
二つの田んぼに豊穣の力を込めてから区画の外に出て、結界を展開して時間加速を起動
農業部が使う結界の術式をそのまま使っているので、追肥などは結界側に機能が組み込まれていて、時間加速中でも設定した分量を施す事が出来るため、非常に助かる
初めての実験なので、工程が変わる都度時間加速を止めて確認する手間を掛ける
苗がしっかりと根付いたのを確認すると時間加速を一旦停止し、田んぼの水をかけ流しに変更し、豊穣の力を込めてから再び時間加速
中干しの時期になると再び時間加速を停止し、田んぼから水を抜き、6日分時間を加速させた後に再び水を張り水量を調整した後にかけ流しにし、豊穣の力を込めて時間加速
穂が実り、収穫の時期がやって来たので水を抜き、10日分時を加速し、乾燥させてから刈り取りを始める
耕しと違い、稲刈りは手抜きをせず、地道に鎌で刈り取っていく
刈り取り終わった後は干して、しっかりと乾燥させる
それを田んぼ二つ分終わらせる
流石に腰と膝が痛いので回復魔法も使ってしっかり休憩
脱穀と精米を慎重に行う、コレは製造部の興味のある人達が手伝ってくれた*5
そうして出来上がったのが、私の目の前に広がる【桃色の米】と、プルプルしている【輝く米】
「出来た、いちご飯*6とコラー原米*7、時間加速で一気にやったからか本当に疲れた」
手伝ってくれた人達も一緒に喜んでくれる、だが問題はまだある、見た目は成功していても味が悪ければ失敗だ
そんなわけで、不味くても構わないと考える有志達で実食開始
いちご飯とコラー原米を炊き上げる
炊きあがったいちご飯とコラー原米、私が先に食べたのは、いちご飯
「もぐもぐ…………程良い酸味、噛めば噛むほどに苺の甘みもしてくる、いちご飯は味も成功だね」
いちご飯の甘みを堪能、口いっぱいに大量の苺を頬張ってる気さえしてくる
「まるで高級寿司の酢飯ような程良い酸味、その後に噛む程に口に広がる苺の甘み、独特な味だな、しかし、まだ向上の可能性があるな」
ある男性はまるで味の評論家のように言葉を述べる
「ははっ、この米すげープルプルしてるな、味も良い」
「凄い、食べた傍から肌がプルプルに成ってるわ」
評判を聞き、コラー原米も食べる
「ふむ…………こちらも独特な味で美味しいね、肌は……」
コラー原米を飲み込んでから頬や腕に触れるが、何かが変わった気が一切しない
「私は変化無いですね」
「えっ…………破魔ネキちょっと触って良い?」
「…………別に良いですけど」
農業部の女性に尋ねられたので許可を出し、腕や頬、首筋を触られる
「凄いすべすべでプルプルしてるけど…………これで変化無しなの?」
「体感何かが変わってる気はしないですね、そもそもすっぴんですし」
「え”っ……………………コレですっぴん?…………本当に?」
「化粧は一度もした事無いですね、前世が男でしたから知識もあまり無いですね、今世は16歳まで故郷の異界の戦いに出ていて、身嗜みに特に気を使ったことも無いですし、ごく普通で一般的な健康的な食生活、気を使ったのはせいぜいがボロは着ない程度ですかね?」
「コレが若さか…………って、破魔ネキ今何歳?」
「数え歳で19歳な18ですね」
「化粧一切無しの18歳で、このモチモチすべすべぷるぷるな肌と輝く髪………………改めて覚醒者って凄いのね」
「実年齢三十代で見た目十代なショタおじが居るじゃないですか、霊力とかで若々しさの維持がされてるんだと思いますよ、私もショタおじや探究ネキ同様に、産まれた時からの覚醒組ですし」
「ところで、いい加減触るの止めてもらえますか?」
先程からずっと触られっぱなしである、こそばゆい
「あっごめん、触り心地が凄く良かったからつい」
「まぁ……別に良いですけど、触られ慣れてないのと、くすぐったいのを我慢する程度ですし」
「種籾もきちんと残してるし、量産出来るかは俺達の腕次第だな」
「破魔ネキが豊穣の権能を使ってした事を、自力と【あらゆる果物が実る大樹】の力で再現する」
「頑張ってくださいね、ん?………………何か忘れているような、あっ………思い出した」
慌てて収納バッグの中を探し、目当ての物を取り出す
取り出されたのは植木鉢に生えてる数本のネギ
「何だこれ?、ネギっぽいけど頂上に白緑色の花?が球状についてるけど」
「ネギを食べてみた感じ、牛ホルモンに似たコリコリとした歯ごたえで、火を通すと甘みが増したり、ネギの苦味が際立ってより美味しくなりました、多分グルメ食材の【ホルモンねぎ】ですね、思いつきでドンパッチソードの再生の時に肥料として牛ホルモンを一緒に植えた上で豊穣の力を込めたらこうなりました」
「探究ネキ経由で【ゴールドにんじん】も渡されたけど、破魔ネキが農業に興味持ったのはグルメ食材の再現に何個か成功していたからか、偶発か狙ってかは別として」
いきなり農業に挑戦しに来た理由を察する農業部の人
「そういえばこんなの有ったな〜って感じで試しただけですが、成功したら嬉しいし、同じ食べるなら美味しいのを食べたいですからね、増産に成功したらいつでも食べられますし、喜ばれるのも嬉しいし」
「その気持ちは分かる、だから農業部に所属してるからな」
だな〜と周りも同意して頷いている
「じゃあ私はこれで失礼しますね」
「お疲れ〜」
「豊穣の権能を試しにまた来てくれても良いからね」
農業部の人達に別れを告げ、農業でかいた汗と拭いた程度じゃ落としきれなかった泥を落とす為にシャワーを浴び、髪を乾かしてから知識を求めて書庫へと向かう
数年以内に終末が起きてもおかしくないし、今の内により深く、陰陽術や神楽の知識を中心に調べよう
そう決めて、歩を進める