【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい   作:ディストピア

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第22話

 

 

3月下旬のある日

 

 

自宅のソファで寛いでいると、何やらセキトの様子がおかしい、人の姿で元気にスクワットをしていた筈なのに、頭を押さえて何かに耐えているような、そんな素振りを見せているので声を掛けようとしたら、突然踏ん反り返り、ソファに座っている私を見下ろしてきた

 

 

「我が名は海神ポセイドン」

 

セキトの身体を操り喋る者はそう名乗った

 

 

「ポセイドン…………ですか」

 

「娘、随分と不服そうだな」

 

セキトの口を使って喋るポセイドン、何やら不満そうだ

 

「不服というか、ギリシャ系列で干渉してくるなら私の本霊とか、ケンタウロスから賢者ケイローン、馬なことから神馬クサントスやブケファラス辺りが干渉してくると思ってましたから、ポセイドンは馬に関係深い競馬の守護神だけど、最初に来るか〜……と、海神様が何の用ですか?」

 

 

「ぬぅ…………我が最初であったか、そなた等が戦ったアキレウスの写し身、その経験を獲得したアキレウスの本体が自慢気に語っていたのだ」

 

 

「へぇ…………アキレウスがねぇ」

 

アキレウス、その名を聞いてイラっときた、9月上旬にバラされてからもう数ヶ月経っているが、それでも不意に名を聞かされれば苛つきもする

 

 

「何故にそんなにも不機嫌になるのだ、英雄に相応しき技で自身の踵を見事に射抜いた女勇士で、消える前に戦った者達全てを褒め称えたと聞いていたのだが」

 

あの(・・)大英雄アキレウスに褒め称えられた、その経験から話題に出せば喜び機嫌が良くなる、そう思っていたポセイドンの思惑は、第一歩目から盛大に踏み外している

 

 

「私の本霊が太陽神アポロンだという事は、知る者が最小限になるように隠していた事です、それを、戦場全体に響き渡る程の声量で盛大にバラされて、多少褒められたからって、そのマイナスが消えるわけじゃないですよ」

 

そう言い切る紫だが、完全に目が据わっている、怒気も隠していない、なんなら呪詛まで漂い始めている

 

 

 

「アイツはそこまでは言っておらなんだ、女の秘密を暴いて怒りを買ったと何故言わんかった、これでは我の思惑が上手く行かんぞ」

 

そう小声で呟くポセイドンだが、しかし、操っている身体が悪い、無駄に声が良いせいで*1よく聞こえている

 

 

「貴方の思惑が…………何ですか?、英雄と煽てれば都合良く利用できるとでも思っていたんですか?、そういえば、ギリシャの英雄はそんな単純バカの集まりでしたっけ?」

 

「それに、本霊がアポロンだからといって、アポロンの立場で扱われる気は無いし、動く気も無いですからね」

 

苛ついているからか、ガイア連合の大半の面々が知らない、キレている状態の口の悪さを発揮しながら睨み付けている

 

 

「それに、セキトの身体を無理矢理動かしてますが、セキトの精神や人格は無事なんでしょうね?、問題が起きていたらギリシャ神話に喧嘩を売りますよ、『ポセイドンのクソ野郎に身内を害されたから喧嘩を売りに来た』と大々的に宣言しながらね」

 

それなりに長い付き合いになっているセキト、その精神や人格を心配しているからこその不機嫌である

 

 

「それだけは止めてくれ、この者の精神は無事だから、それだけは本当に止めてくれ」

 

もはや懇願しているポセイドン、最初の踏ん反り返り、尊大に振る舞っていたのが嘘のように情けない

 

 

「コレで本当に神様ですか…………情けない奴、で…………何の用件なのか言ってください、人に生まれし私が神たる貴方の話しを聞いてあげますよ」

 

毒を吐く、息をするように毒を吐き、とりあえずソファに座り直して姿勢を正す、思いっきり背もたれに背中を預け、腕を組み、脚まで組んでいるが*2、一応話を聞く気にはなる

 

 

「何故そんなにも偉そうなのだ、我は神だぞ」

 

ポセイドンのそんな疑問に

 

「神とはいえ今は悪魔でしょ、悪魔相手に何故下手に出ないといけないのです?」

 

そう真顔で言いながら首を傾げ、悪魔交渉の基本中の基本ですよ……と続ける

 

 

「悪魔交渉…………か、そうであったな」

 

悪魔交渉、ポセイドンはそう言われて落ち込んでいる

 

 

「変に隠し事をせずに話をしてくれるならば、悪魔ではなく神様と呼んであげますよ」

 

そう、最低限の譲歩は伝える

 

(見抜かれる様な)隠し事をしない、その程度の事すら出来ないならば神とは扱わない……と、分かりやすく伝える

 

 

「我等ギリシャ神の使いをガイア連合に遣わす、その者達にそなたの矢を格安で売って欲しい」

 

「私の矢…………って、アキレウスには普通の矢しか使ってませんが?」

 

「神々の間でも話題のスレの雑談で知った、そなたは強力な属性矢を複数作れると、我等の信徒を助ける為にも大量に作り、大量に売って欲しい」

 

「………………それなら何故真っ当な手段で連絡を取り、正攻法で交渉しないのですか?」

 

 

「ん?…………だから今こうして交渉しているのだが?」

 

人に人化したセキトの顔だが、それでも本気で困惑し、本気で言っている事は理解できた

 

 

それ故に、額に手を当てため息を付き、そのまま口を開く

 

「今のコレは正攻法の交渉ではなく、裏工作の分類ですよ、事前に交渉で口裏を合わせて自分達に有利な契約をしろ…………と、言っているに等しい状況なのですが」

 

頭が痛い、本気で言っていると理解できてしまったから頭が痛い

 

 

「なんと…………そうであったか」

 

「天然ですかこの神様…………デメテル様とかアムピトリーテー様辺りに相談していてくださいよ、多分ツッコまれますから」

 

「ギリシャ神話でも強力な力を持つ神の一柱の我が神託を下し、どの様に動けば良いかを伝えるのは交渉では無かったのか」

 

「ソレは交渉ではなく命令ですよ、ああ…………ギリシャ神話では神の神託は絶対でしたっけ?、ヘラのせいで妻子を亡くしたアルケイデスに、ヘラの栄光を意味するヘラクレスを名乗らせるなんて事すら平然としてますし」

 

なんというか、警戒してるのすら馬鹿らしくなるが、それが手の可能性もあるので警戒心は維持しよう、言葉を告げながら内心で決める

 

 

「アレはヘラが勝手にした事で、我等オリュンポスの神々の中でもギガントマキアの前に、力を借りねばならぬ英雄にあの様な仕打ちをした事は問題に成っておる、アレがオリュンポスの総意だと思われるのは流石に心外だ」

 

「人たる我等の間には、オリュンポスの神々の間でのやり取りなど伝わっておりませんので、分かっている範囲でしか喋れませんよ」

 

「それは…………そうなのだが」

 

「最近は遠出をする予定も無いですし、神使を遣わせる時に『ギリシャの神の力を受け継ぐ者にも交渉の場に同席して欲しい』とか、事前に伝えていれば、おそらく私も交渉の場に同席しますよ」

 

交渉のやり方自体をあまり理解していない分霊からの干渉なのかと思い、仕方がないので、私から助け舟を出す

 

 

「神使として来た者の態度次第では私から安く売れないか提案はしてあげますよ、ただし、『我々はオリュンポスの神々の使いである』って偉そうに踏ん反り返っていて、『我等に力を貸すのは当然の義務である』みたいな態度だと駄目ですね、むしろ足元を見て高値で売りたくなります」

 

 

「分かった、気を付けよう、そのような者を神使に出すべきでは無いとな、気の強い者よりも気の弱い者の方が良いのか?」

 

 

「へりくだり過ぎるのも相手に失礼です、『こんなに頭を下げて頼み込んでいるのに、了承してくれないなんて酷い奴だ』って、逆恨みしてくる可能性もありますしね」

 

 

「交渉事は難しいのだな」

 

「難しいからこそ専門家が居るのですよ、言葉を用いて戦っているようなものですからね」

 

「そうか」

 

「一応、我等ガイア連合のトップにはこの事も伝えておきますよ、下っ端の義務ですから」

 

「仕方あるまい、問題が起きれば下の者は上の者に報告する義務が有る、それは今より遥か古の時代より変わらぬ事だ、たまにそれすらも怠る愚か者が居るがな」

 

腕を組みながら頷くセキト(ポセイドン)

 

 

「セキトと騎乗している者に水中呼吸が出来る様になる加護を与えてくれるならば口利きしても良いですよ、いずれは道具で実現できる事だとは思いますがね」

 

「属性矢の代金の一部の前払いという事か、分かった、この者に水中呼吸の加護を残していくとしよう」

 

「加護を与えたからといって、私の死後の魂を自由に出来るとかは考えないように」

 

「分かっておる、ハァ」

 

そう気合を入れるポセイドン、数秒の間セキトの全身が青く光る

 

 

「加護は与え終わったぞ」

 

 

「ではセキトの身体より出てお帰りください、海神ポセイドン様」

 

「うむ、では、さらばだ」

 

一瞬セキトの身体が光り、急に脱力したからかセキトが膝をつく、しかし、倒れる事はなかった

 

 

「貴方に戻りましたね…………セキト」

 

「ハイ、意識自体はうっすらとありましたが、体を動かすどころか指の一本すら己の意志で動かす事が出来なくなるとは、我等式神に縁の在る神が憑依する事が有ると話には聞いていましたが、この様な感覚なのですね」

 

己の無事と、どの様な状態であったかを語るセキトに私は微笑みかけ

 

 

「先程の事をショタおじに報告しますので家を出ます、晩御飯までには帰ってきますから留守番を頼みます」

 

「分かりました、留守は御任せあれ」

 

 

私服姿のまま靴を履き、転移で移動し、ショタおじの所に移動する

 

 

 

「やあ破魔ネキ、態々来るなんて珍しいね、何か有ったのかな?」

 

「ええ、先程ですが、セキトにポセイドンが憑依し話しかけて来ました」

 

その後は、ポセイドンとのやりとりを詳細に伝える

 

 

 

「成る程ね、そんな事があったのか、対応も悪くはないね、少し偉そうにし過ぎかとは思うけど、誤差の範囲だね」

 

話を聞き、そう言葉を口にしながら頷くショタおじ

 

「それで、破魔ネキはどうしたいのかな?」

 

「ポセイドンに伝えた通り、神使として来た者の態度次第ですね、まともであれば最高で三割引、悪ければ逆に三割増、こんな所ですかね、属性矢を作る事自体に否は無いですよ、私の代わりにメシア教のクソ天使を殺してくれるって事ですからね」

 

そう言って嗤う、悪い笑みだ*3

 

 

「悪い顔してるね〜、普段の破魔ネキしか知らない人に言っても信じないんじゃないかな?」

 

「私があくどい笑みを浮かべる事を知らない人は浅い付き合いの人ですし、メシア教の話題の時には結構してますよ、それすら知らない人って事ですから、関わる事すらほぼ無い他人ですよ、そんな人達からの評判なんてどうでもいいです」

 

 

「割とドライだよね」

 

「別に普通の事でしょ、日常的に殺意や憎悪を振り撒きながら生活する人はいない、普段は人当たりの良いペルソナ(仮面)を被り、素の自分を見せるのは親しい者だけ」

 

 

「破魔ネキの場合、そのペルソナ(仮面)が嘘で出来ていないってだけだよね、やりたい事をやりたいようにやっているだけ、その為の仮面が、人当たりの良い善人ってだけでさ」

 

 

「嘘は付くのも付かれるのも、不快で不愉快ですからね」

 

 

「確かにね、神使が来るって話が来たら破魔ネキにも伝えるよ」

 

「お願いしますね」

 

そう言って、ショタおじに別れを告げてから星祭神社に移動する

 

 

 

ショタおじに別れを告げても、分身がそこらに居るから変な感じではある

 

 

「さて…………と、とりあえず製造部の鍛冶担当の人の所に行って、下層の素材で火炎属性の刀を打ってもらえるように頼みに行くかな、その後は…………適当にまだ読んでない本を読み漁ろっと」

 

 

そう呟きながら、腕の良い鍛冶師に話を付けるために歩を進める

 

 

*1
cv緑川光

*2
ギリギリ膝が隠れる長さのスカートです

*3
比較的最近のアニメだと

ガンゲイル・オンライン二期のフカ次郎を挑発するレンちゃんの悪い笑み




セキトLv45

耐性
物理耐性、火炎吸収、疾風耐性、衝撃耐性、呪殺無効、破魔耐性、混乱耐性、麻痺耐性、毒耐性、暗黒耐性、睡眠耐性

スキル
物理スキル
ひっかき、噛みつき、狂いかみつき、食いちぎり、まるかじり、暴れまくり、喰らいつき、突撃、ぶちかまし、ぶっ潰し、ハードヒット、ヒートウェイブ、鎧通し、会心波、貫通撃、怪力乱神、会心剣、絶命剣、暗夜剣、渾身剣、刹那五月雨斬り、アクセルクロー、ダマスカスクロー、バウンスクロー、ヤブサメショット、モータルジハード、ブレイブザッパー、メガトンプレス、マッスルパンチ、地獄突き、アカシャアーツ、ファイアブレス、ウインドブレス、毒ガスブレス、火龍撃、風龍撃、白龍撃、黒龍撃、至高の魔弾

魔法スキル
アギダイン、マハラギダイン、ザンダイン、マハザンダイン、ガルダイン、マハガルダイン、ハマバリオン、マハンマオン、ムドバリオン、マハムドバリオン、メギドラオン

回復スキル
ディアラハン、メディアラハン、パトラ、メパトラ、リカーム

補助系
タルカジャ、マハタルカジャ、ラクカジャ、マハラクカジャ、スクカジャ、マハスクカジャ、タルンダ、マハタルンダ、スクンダ、マハスクンダ、ラクンダ、マハラクンダ、チャージ、力のドナム、会心の覇気、貫く闘気、挑発、咆哮、火炎ブロック、衝撃ブロック、疾風ブロック、呪殺ブロック、破魔ブロック、念話、千里疾走、水中呼吸、水上疾走、水中疾走

自動系
弓の心得・伍、槍の心得・伍、剣の心得・参、武芸百般、反撃、ハイリストア、大活脈、勝利の息吹、龍眼、食いしばり、セーフティ、奈落のマスク、火炎ギガプレロマ、火炎ハイブースタ、呪殺ギガプレロマ、呪殺ハイブースタ、破魔プレロマ、破魔ブースタ

生産系
業火矢・参

汎用系
会話、食事、変化


オリジナルスキル
千里疾走
長時間・長距離移動を可能にする無尽蔵の体力、速のパラメーターの一時的な急上昇、全力疾走時の耐久力と力の向上

水中呼吸
自身と自身に騎乗する者が水中でも呼吸が可能になる

水中疾走
水中で任意の場所の水を踏み締めて疾走る事が出来る

水上疾走
水面の水を踏み締めて疾走る事が出来る
足を止めれば沈むが、歩く程度でも脚を動かしていれば沈まない

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