【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい   作:ディストピア

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第35話

 

 

4月後半

 

 

夕方

 

「自衛隊の退魔部隊でデモニカスーツの実戦テストやら色々してくれていたおかげで改良型が開発されたので追加購入しました」

 

 

おおー!!と歓声が上がる

 

 

視線の先には新型のデモニカスーツと、新たに購入した退魔装備が並んでいる

 

 

 

「全重量25kg………凄く軽量化されてるね、簡易礼装の重ね着も可能、他の性能は以前の初期型と一緒だね、改良前の最初期型に愛着あるならそのまま使っててくれても良いですよ」

 

 

コレが新型デモニカスーツ……と、新たに購入した新型デモニカスーツの周囲に群がる姫路支部所属の人員達

 

 

「あの………支部長」

 

「なんですか?」

 

事務員が挙手しながら尋ねてきたので聞く姿勢になる

 

 

「自分が調べた所、デモニカスーツは安くても一着で4000万円は余裕でしていた筈ですが、それを追加で三着ですか」

 

 

一着4000万円、それを聞いて固まる者達

 

 

「値段については今は気にしてないですね、私とリュールとセキトは十分強いですが、それでもたったの3人です、同時に対応できるのは三箇所まで、他の場所には皆さんに対応してもらわなければなりません、将来的には必ず、今以上に悪魔関連の事件が増えます、増えてから戦力増強をしては遅すぎる」

 

 

「だからこそ、余裕がある今の内に皆さんの戦力を少しでも増強出来るように手を打っています、一億二億でそれが出来るならば安いものです」

 

 

私のその発言を聞いて、何故か目を潤ませて感動しているのが何人か居るが

 

 

人を率いる感覚はよく分からないな、前世ではそもそも他人に一切興味が無かったし、人間不信で人間嫌いだったから、その記憶を持ってるせいで実は他人には警戒から入ってるし

 

少しでも早く私を信用・信頼させる為に実績を稼ごうとしてるだけなんだけど、裏稼業で命が安くて軽いからかこの程度でも感動するものなのだろうか?…………前任者が悪過ぎて相対的に私の評価が上がってるだけかな?

 

 

 

まぁ自分が新人レベルの時に高性能な装備をポンって渡されると、警戒するか喜ぶかの二択かな、渡した理由が戦力を高めて死なせない為だと言われたら………余程卑屈じゃない限りは好感度が上がるか

 

 

流石にちょろ過ぎないか……と心配になるレベルなんだけど、まぁ張り切ってレベルを上げてくれるなら別に良いか

 

 

 

「玩具の見た目の退魔装備を開発しているホビー部と交渉して、もう何種類か仕入れられるようにしましたから是非とも購入してくださいね、コレがカタログです」

 

にっこり笑ってそう伝えると、渡したカタログを何人かが覗き込むように見ては、コレは自分に合っている、コレはアイツの戦闘スタイルに合ってそうだとか盛り上がっている

 

 

「それからデュエリストの皆さんに朗報です、一般販売にも幾らか回しますが、来月から1ヶ月のパック仕入れ量が今の倍に増加します」

 

「なにっ、それは本当か!!」

 

「今の内に金を貯めてパックを買うしかあるまい」

 

「うひょひょ、オレの昆虫デッキを強化できるようなカードを引きたいぜ」

 

「オレは恐竜カードを引きたいザウルス」

 

 

来月から入荷パック数が倍になると聞いて誇り高きデュエリスト(戦士)達が盛り上がる、それは良いのだが…………インセクター羽蛾っぽいのとティラノ剣山っぽいのがさっき居なかったか?

 

 

インセクター羽蛾のあの分かり易いおかっぱ頭と特徴的な眼鏡を掛けた少年の姿は見えない、気の所為か?…………小さいから人混みに埋もれてるだけかな?

 

ザウルス………ティラノ剣山の方も黄色いバンダナの後頭部は見えるのだが、前面のデザインが分からないが、ドレッドヘアーっぽい髪と筋肉質な身体で見た目的にもそれっぽい

 

 

 

「コレがワイの新たな退魔ビーダマン、ワイルドワイバーンや!!」

 

「コイツが俺の新たな相棒、退魔ビーダマンのファイティングフェニックスだ!!」

 

 

ホビー部の新たな退魔装備の中の新作の退魔ビーダマンを手にはしゃいでいる2人が居る

 

 

 

見るからに小学生ではないが、赤髪の青年とツンツンした黒髪の青年だ………学ランだし高校生かな?

 

コロコロコミックで連載していた【爆球連発!!スーパービーダマン】の主役と相棒の姿をした人物までもがこんな悪魔と戦う世界に居るとは…………原作も色々ヤバかった気がするが、それでも血腥(ちなまぐさ)い世界で戦う人物達ではなかった筈だ、やはり実際に生きるにはメガテン世界は糞だな

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

支部長室で仕事をしていると姫路支部に所属している村の人が尋ねてきたので

 

 

「紫ちゃん、辰義さんから預かった物を持ってきたよ、どう扱うかは好きにして良いってさ」

 

 

「ありがとうございます立花綺咲さん」

 

 

「良いわよ、元々霊草を売る為に来る予定だったからついでに頼まれただけだしね」

 

 

「そうですか、霊草の出来はどうですか?、豊穣の術は栽培地全てに使いましたけど」

 

 

「紫ちゃんが結界を張ったからか、豊穣の力のお陰か目に見えて霊草の具合が良くなったよ、質も量も増えてくれたから嬉しい限りね」

 

「それは良かった」

 

そう言って微笑むと、なんか満足気に見てくる

 

 

「里で新たに育ててもらってる霊草やグルメ食材の様子はどうですか?」

 

「魔剣ダイコンブレードってのとドンパッチソードは畑に並んでいるよ、それに黒草だっけ、牧草地にすると良いって言うから甲子園球場二つ分の土地で育てたけど、一面黒草だらけで、紫ちゃんがブラックカーペットって呼称していたのが分かる光景が広がっていたよ、繁殖力が強いからか何度か刈り取ってるのにすぐに伸びるから取り放題だよ、【あらゆる果物が実る大樹】の効果でもあるのかな」

 

アハハと笑いながら言っている、黒草も立派なグルメ食材だから高値で売れるし、牧草としても優れているから使い道は沢山有る

 

 

『終末後にもファミチキを!!』を実現する為に、養鶏場のスポンサーになって、黒草を食べさせるように言ったりしようかな

 

経営する場合、新しく養鶏場を作るのは手間だから、経営不振の養鶏場を買い取った方が楽だね、鶏を集める所からしなくて済むし、まぁ必要ならするけどね

 

 

備蓄が溜まれば牧場にも手を出すかな、牧場を姫路に限定しても【アイリスの里】や【チャイルズファーム】とか色々有るし、加西市の方も含めて幾つかの牧場に黒草を食べさせるように交渉して貰おうかな、アポロンの牧畜の神としての権能を試す機会でもあるし、黒草だけでも出来る事が沢山有る

 

それに、ファミチキではないが、神戸牛を残せる可能性は喜ぶ黒札が多そうだ、なにせ和牛肉のトップブランドだ、残す価値は有るし、メガテン4……だったかな?、神戸を抱えておきながら特別な牛の肉(・・・)*1を食べる状況になる事態は全力で回避したい

 

 

 

「要件は終わったけど、ちょっと抱きしめて撫でて良い?」

 

「……別に構いませんが」

 

「じゃあちょっと失礼して」

 

 

ぎゅ〜と抱き締められて、頭も撫でられる

 

 

3分程したら満足したのか、礼を言ってから部屋から出て帰っていった

 

 

 

「祖父十五郎の遺品ですね、手記のたぐいは…………有った」

 

十五郎の手記と共に、それより前の代からの手記も見付けたので読む、一部が巻物なのは………時代的に仕方が無いね

 

 

 

手記によると、虚刀流を継承していたのは間違いないが、発祥が違うようだ、幕府打倒ではなく、純粋に対悪魔用の霊的格闘術だったらしい、だが呪いじみた【刀】を扱えない特性は有り、血と共に濃く強く受け継がれていたようで、ある代で【刀】から【武器全般】にまで強化されてしまったらしい、七代目の鑢七花と奇策士*2の夫婦の代から血の呪いを薄める模索もされていたみたいだが、その為の手段が男女問わず【最高レベルの武芸者】との間に子を作る事、武器を扱えない呪いを武器の達人の血で相殺して薄めていたみたいだ、まぁ八代目の女性から【強者】に惚れっぽい*3一族になってたみたいだから偶然の可能性も有るが

 

 

「私は弓も刀も使えるから、呪いは完全に打ち消されてるね」

 

 

武芸者の血の中には当然ながら霊能者の血も混ざっている、ある意味で人間の品種改良を、それも霊的格闘術の継承者と達人レベルの武芸者の血が混ざり続けて純化されていった結果、高い肉体資質と高い霊的資質が融合した血になっている、書記の記述が全て正しいならば、年号的に今から百年前に葛葉ライドウと共闘した事もあるらしい、というか当時の女当主がライドウと一夜だけ関係を持って、その一度で孕んだみたいだ……………………私ライドウの血筋なの?

 

 

 

なんか…………霊能的に非常に優れている資質を持つ私を生み出す為に、無理矢理にこじつけられてる気がする、『こんな血筋だから凄いんだよ♪』……って言われてる気がしてならない

 

 

あと、覚醒してるだけの格闘家扱いで根切りは回避したみたいだ、まぁLv10代で一騎当百は余裕なオニすら殴り殺す霊的格闘術の使い手とは見た目では分からんよな、YAMA育ちで10代前半の時に熊を殴り殺して狩猟していたらメシア教と遭遇はしたみたいだけど、山奥過ぎたのと野生児過ぎたからかむしろ保護するかどうか悩まれたみたいだ

 

記述によると昭和の時代に毛皮装備で住居は洞穴だったみたいだし、そんな極限状態でサバイバル生活していたら覚醒もするだろうと思われたのだろう、実際には自然の中で大地の息吹を感じながら生きる、修行を兼ねた趣味の最中だった訳だが

 

 

 

「ん?………コレだけは強い霊力を纏ってる、中身は……霊視が出来ないと白紙にしか見えない本だね、中身は……と」

 

 

この世界の虚刀流は別に一子相伝ではないんだな、弟子も居たみたいだし、虚刀流の業が失伝した場合や、修得希望者が居た場合の保険として、当主の霊的複製体が歴代当主の墓に存在する人造異界の中で眠っていて、墓に向かって【虚刀流を身に付けたい強い意志】を持つ者が墓に語りかけると異界が開くようだ、コレの構築には百年前のライドウが協力していたらしい、随分と親しかったんだな、まぁ一夜限りとはいえ関係を持てた程度には親しいか

 

 

しかし、記述が全て正しいならば、【血の記憶】から歴代当主の情報を読み取り、全員の知識・技術・戦闘能力を再現した分身を構築したって事になる、中々に凄い技術だな

 

 

墓の場所の詳細な地図も書いてある、島ではないんだな

 

 

「この情報は一応ショタおじに渡しておくかな、虚刀流擬きじゃなくて本物の虚刀流を学べる可能性が有るならば喜ぶ転生者は多そうだし」

 

 

格闘メインの黒札は実際居るしね、例えば私に最初にアイサツした人とかね、男鹿ニキとかが真・修羅勢では有名だね

 

 

それにしても、鑢七花と奇策士が夫婦か、原作でも奇策士殿は幼少時に鑢七花の母親と会っていた可能性が有るらしいし、鑢家の島流しが無くて、普通に育って婚約者にでもなったのかな?

 

 

 

さて、今日の仕事も終わらせて、地道な【聖域鉄杭】を霊脈に打ち込む作業をしよう、姫路と加西市の陸地には打ち込み終わったし、次は姫路方面に打ち込んでいこうかな、海は……淡路島に到達してから打ち込めば良いか、若干四国と大阪辺りにも干渉しそうだけど、海が安全になる分には良いことだろう

 

 

*1
牛の被り物をしたアレの肉

*2
名前の記述が無いがあの人か

*3
当初は父親狙いだったらしい

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