【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい 作:ディストピア
量産型式神の【プリニー】と【氷棲族】の販売が始まって少し経過し
2001年8月のある日
先月から日本神解放作戦が開始され、兵庫県にあるゴズテンノウ封印の地【天王谷】、此処は鬼電される神託とかの関係で脳缶ニキが担当になって解放していたが、異界を改造したのも別に良い、しかし、出現悪魔に【フード 神戸黒毛和牛鬼】が居るのはどう反応すれば良いんだろ?
神戸牛を残そうと色々と考えていたのだが、美食の立場をフード悪魔に取って代わられたりしないだろうかがかなり心配になる、相手が美味しく食べられる事に特化したフード悪魔だからなぁ、牛の体を支えられる大きさのタラバガニの脚だし、普通の神戸牛の立場が……………試しに食べたらかなり美味だったし
それにしても、神戸牛の定義が神戸の牛ではなく、但馬育ちの牛の中でも基準を満たした牛に与えられるブランド名だと知った時は慌てた、但馬牛を残すとなると兵庫県の北部にまで手を伸ばさないといけない、しかし、今の私にそんな余力は無いし、時間を掛けて北部にも手を伸ばすしか無いが、【聖域鉄杭】を一直線に丹馬市に向かって埋めて聖域を伸ばすにしても、いったい何十万本の聖域鉄杭が必要に成る事か、考えるだけで頭が痛い、流石にブーストニキに但馬市にまで手を伸ばして……とは言えないし、兵庫県全域を管理するには広過ぎるし
但馬牛の血筋だけを保護して、兵庫県南部で牧畜用の異界で繁殖させて数を増やして育てるって手もあるが………悩ましい
いや、これは今考える事じゃないな、日本神解放作戦の中、私は淡路島に存在する異界の中に居た
日本でも珍しい伊邪那岐と伊邪那美の両方を祀る神社に存在する異界の中に、伊邪那岐と伊邪那美の分霊が封印されている
それは良い、黄泉比良坂の方にも伊邪那美が居るが、此処にも居るのは構わない、伊射奈美神社は日本中に有るし、分霊ってそんなものだし
伊邪那美が伊邪那岐の事を恨んで憎んで呪っていながらも愛しているのも構わない、伊邪那美がヤンデレなのも別に問題無い、けれど、コレは無いだろう、鬼灯様から事前に聞いては居たが、馬鹿をやってる日本神の実例を見せられると精神的にキツイな、封印されてる日本神の方をブチのめしたくなる
「伊邪那岐と一緒に居られる事を他の分霊に自慢しまくった結果、他の地の伊邪那美からの妬みと嫉妬の念が積もり積もって異界が暴走状態って、流石に無いわ〜」
遠隔視で視える異界の奥にて、封印の結界の中で伊邪那美を背に庇いながら脅威に立ち向かう伊邪那岐、コレはいい、問題なのは、伊邪那美を狙う脅威が他の伊邪那美からの恨み辛みが形となった怨念だって事だ
伊邪那岐は伊邪那美を庇いながら伊邪那美に攻撃されているっていう妙な状態で頑張っている
伊邪那岐と伊邪那美が結界内に封印されているのに、その封印を外から破壊しようとしているのが他の伊邪那美の怨念って、伊邪那岐が伊邪那美を庇えば庇う程に怒り狂ってるよ、火に油を注ぐってあんな状況の事を言うんだろうなぁ(遠い目)
その様子を視ている私の解説を聞いて、リュールもセキトも、なんなら自衛隊の面々も呆れ返って反応に困っている
しかし、普通の視界でもはっきり視える巨大な姿、ペルソナ4ゴールデンのラスボスの伊邪那美の姿をした、巨大悪魔が四体も居るんだが、アナライズした結果はLv50程度が四体だからまだマシか、ラスボス性能じゃないのが救いかな
リュールとセキトには周囲の悪魔の相手をしてもらいながら伊邪那美×4との戦闘が始まった
戦闘開始後30分
四体居た伊邪那美の巨体が崩れ落ち、残りは一体となった*1
『おのれ小娘、邪魔をするでない、妾は其処の妾を叩き潰さねば気が済まぬのだ!!』
「一応私は其処の封印の中の伊邪那岐と伊邪那美を解放しに来たので聞けないですね、それに、『淡路島の異界で伊邪那美様が他の分霊達に、私は伊邪那岐とずっと一緒だもんね〜とマウントをとって、煽り散らかすなんて馬鹿をやっているので、見掛けたらボコって下さい』って、鬼灯様から頼まれているんですよ!!」
伊邪那美の周囲を炎翼で飛び回りながらそう告げると、一瞬狼狽えたかのように巨体が震える
『鬼灯、鬼灯だと!!、小娘、貴様はあの冷血闇鬼神の使いだというのか!!』
「縁あって出会う機会が有り、その時に頼まれただけで、別に使いじゃないですよ」
こんな会話の間にも、自衛隊が遠距離から撃ち込み続ける多種多様な属性弾、機械弓から属性矢も放たれている
援護射撃をしながらも、自衛隊員達は『鬼灯って誰?』『闇鬼神って何?』……って反応をしているが
『ええい、小娘も他の人間も鬱陶しい』
巨体の伊邪那美がそう言うと、銃で援護射撃をしていた自衛隊員達に極大な魔力が収束し呪詛に染まっていく、それを見て慌てて自衛隊員達を背に庇う位置に飛んで移動する、自衛隊員達の背後では氷棲族タイプの式神、統率者に設定している高性能の【エレイト】と、率いられる7体の【クリオー】が能力向上効果のラブリーソングを大合唱で歌い続けている*2
(大雷なら炎翼で受け止めて電撃を拡散させる事でダメージを抑えられるし、自衛隊員達に雷撃を落とさないようには出来ていたけど、呪詛は、幾千の呪言だけは防ぎようが無いし、発動も止められない、幾万の真言が使えない以上、真っ正面から力で突破するしかない)
『人間よ死に絶えよ、【幾千の呪言】』
砲撃の如く放たれた極大の呪詛、それを正面から迎え撃つ
「燃え盛れ浄化の焔、呪詛なぞ焼き払え」
火の神依の術式を起動させ*3、一時的に火炎特化型の霊能となり、穢れを焼き払う浄化の焔の大斬撃の【断罪】を放つ
浄化の焔の大斬撃は【幾千の呪言】の呪詛の砲撃に真正面から拮抗し、徐々に呪詛を焼き払いながら伊邪那美に迫っていく
『馬鹿な、この妾が妾達の怨念の集合体に過ぎぬとはいえ、小娘一人の力に押されるなど…………ありえぬわ!!』
伊邪那美がその言葉を発すると同時に【幾千の呪言】に更なる力を込め断罪の大斬撃を少しづつ押し返し始める
「この期に及んでまだイチャツイてるバカップル夫婦は両方一発ぶん殴るから、いい加減倒れろーー!!」
【分神創造】
生み出した分身に浄化の炎を放出したまま刀を渡し、受け取った分身は断罪の炎の出力を更に上げる、分身の後方に下がりながら体勢を直し、左腕に巻き付けている武器型式神を特殊な弓の形態に変化させて霊力の弦を引き絞り、本体と分身二体で同じ場所に狙いを定める
「コレで、トドメ!!」
一点突破の為の、霊力で構成された矢で全力全開の浄化の炎を纏わせた破魔矢を、三本の破魔矢を全く同じ場所に射ち放つ
分身が放っている断罪の極大斬撃諸共に幾千の呪言を打ち貫き、そのまま伊邪那美の巨体の鎖骨周辺を貫き粉砕して吹き飛ばして浄化し、貫かれた幾千の呪言の呪詛は浄化の焔に焼き払われて、破魔矢の力も合わさり浄化されて消えていく、3体の分身も持続時間を過ぎた結果消滅、落下を初めた刀を掴み取り怨念の伊邪那美を見る
怨念の伊邪那美は、巨体の身体と伊邪那美本体を繋ぐ部分が消し飛んだ為に伊邪那美本体の身体が宙を舞い、巨体は崩壊し消滅しMAGとなって霧散していく
『見事だ人の子よ、怨念に過ぎぬとは言え妾の呪詛を貫き、妾を打倒するとは』
宙を舞っていた伊邪那美の身体が浮遊し姿勢を保つが、徐々に身体が崩れていっている
『そなたの宣言通り、其処の妾を一発殴ると言うならば、この場は大人しく引いてやろう』
怨念の伊邪那美のその言葉に、封印の結界内の伊邪那美が『は?』って反応をしているが、それを無視して私は溜め息を付いて急降下、結界をすり抜けて侵入し*4、呆けている伊邪那美の顔面を侵入した勢いそのままに右拳で殴り飛ばし、右腕を引いてそのまま裏拳で伊邪那岐の頬を殴る
尚、空気を読んだのか怨念の伊邪那美の言葉を聞くと同時に伊邪那岐は横に移動し、伊邪那美の正面を開けていた
『カカカッ、本当に迷いなく殴り飛ばしおった、やると言えば本当にやる、その姿勢は鬼灯殿にそっくりじゃな、其処の妾の無様な姿を見れて満足した、この場はこれで消えてやろう』
カッカッカッと愉快げに笑いながら怨念の伊邪那美は消滅した
「終わりましたか」
最後の怨念の伊邪那美の消滅を見届けて、そう口にしてから溜め息を付き、再び封印結界をすり抜けて外に出て、外から結界を破壊する
「お……お主、妾の顔を………」
「あの怨念の伊邪那美達は貴女が他の地の伊邪那美達に、『お主達と違って、妾は愛しの伊邪那岐とずっと一緒じゃ』的な自慢をした結果でしょ、あと、さっきも言ったけど鬼灯様にボコって下さいって言われていたし」
整った顔から鼻血を流しながら涙目で伊邪那美が睨み付けてくるが、気にしない
「それに、殴りはしましたが加減はしましたよ、派手に吹っ飛んでも威力自体は其処まで無いですし」
そう言って封印の近くにあった岩壁に腰の入った正拳突きを放ち、砕くのではなく粉砕し、その衝撃で亀裂が周囲に走り、岩壁が崩落する
「ほら、さっきの一撃には威力が乗ってないでしょう?」
そう言いながら振り返ってにっこり微笑む、伊邪那美は鼻を押さえながらコクコクと頷いている*5
その直後にリュールを背に乗せたセキトが降ってきてびっくりしている
「なんじゃ!?……ケンタウロスとかいう奴か!?」
「マスター、周囲に沸いていた悪魔の掃討完了しました」
伊邪那美の反応を無視してセキトがそう伝えてくる
「ハァハァハァ、週一で山梨支部にレベル上げに行っていて良かった、レベル上げてなかったらただの足手まといだったよ」
息を切らしながら、そう胸を撫で下ろしているリュール
まぁこの異界の悪魔のレベルは低くてLv15高くてもLv28程度だったけど、リュールはLv35だったし、数に押されてキツイよね、セキトを駆って周囲の悪魔と連戦に次ぐ連戦を30分程していた訳だし
その30分の間にLv35からLv37に上がってるし、中々の激戦だったようだ
リュールの足手まとい発言も分かる、姫路支部の所属になった時はLv24だった訳だし、そのままならレベル負けしてる
「破魔ネキさんちょっと良いですか?」
「はい?………なんですか?」
「先程の戦いの際に言っていた鬼灯様と闇鬼神って一体何の事でしょうか?」
「鬼灯様は閻魔大王の第一補佐官です、種族が鬼神、闇が深いのと合わせて闇鬼神ですね」
私の言葉を聞き、閻魔大王って本当に居るのかだの、種族鬼神とか強そうだといった言葉が自衛隊員達の中から聞こえてくる
「第一補佐官って、閻魔大王の絵画に一緒に描かれている補佐っぽい人の事でしょうか?」
「そうです、実は現代の事情を把握して裁判に生かす為に、十王の補佐官達は変装して現世視察とかしてたりするんですよ、そうして時代の移り変わりに対応してるんです」
成る程……と、理解を示す自衛隊員達
「小野篁さんの地獄と現世の行き来も実話で、現在は補佐官の一人として働いてます」
「あの逸話は実話だったのですね、もしや黒札の方々はあの世の方々との繋がりが有ったりするのですか?」
「いえ、流石にそれはないです、鬼灯様を知っているのは、日本神の解放前にガイア連合に視察ついでに訪れたからです」
そこで一旦言葉を止め
「曰く『日本神は現在封印されている馬鹿共のようなろくでなしばかりではない、一緒にされては現場で真面目に働く面々が暴動を起こしかねない』って事を伝えに来たんですよ」
可能な限り声を低くして、声真似をしながら言ってみる
封印から解放された日本神の馬鹿騒ぎや、あれこれ口出ししてくる図々しさ、その他色々の解放後のやらかしを知っているからか、『あ〜〜』と誰もが遠い目をしながら理解を示す
「日本神の中には封印されていない神も多いんですよ、例えばですが……」
MAGを大量に送り、産まれた時から私に付いている二神に一時的に実体化してもらう
ポンッて感じに私の左右の肩に実体化する、手乗りサイズの二柱の神【
「この二柱の神の名は【倶生神】、人が生まれると同時にその人の両肩に宿り、その人の一生の善悪を記録し、死後に閻魔大王に報告する神です」
「成る程、日本人全員に付いている神だから封印されていない、あの世とかで働き続けている神々も封印されていないという事ですか」
「身も蓋もない事を言ってしまえば、人を守る為に降臨していた神と、現世で遊ぶ為に降臨していた神、その両方が封印されている感じですね」
「な……成る程」
これには流石に苦笑い、しかし、解放された神々を知れば、遊ぶ為に降臨していた神の方が多い事が理解できてしまうのだ
尚、これらの会話中、私は常に炎翼で浮遊した状態を維持している
強力な悪魔が湧いた時に瞬時に行動に移せるように臨戦態勢は維持しているのだ
不機嫌な伊邪那美神と苦笑いの伊邪那岐神には、【和菓子の木】から収穫した大量の和菓子を収納バッグから取り出し、献上してご機嫌取りをしておいた
「この様な、物で、妾が、機嫌を直すと、思っておるのか…………此等の菓子は矢鱈美味じゃな」
文句を言いながらも次から次へと口に和菓子を運んで食べていた伊邪那美だが、途中から文句は出なくなっていた
伊邪那岐も随分と久し振りな和菓子の数々に喜び、美味しそうに食べていた
緊張感と、危機的状況故に頭を働かせ続けていた自衛隊員達にも、異界を出てから菓子を何個か配り、回復も兼ねて糖分補給をしてもらう
これにて、私が主体で参加した日本神解放作戦は終了、此処以外の異界にも参加はするが、あくまでも応援でしかない
日本神の解放が進んだので、絶賛引き篭もり生活を満喫中の刑部姫に協力してもらい、姫路城を中心とした火災や厄災除けの超広域結界を展開した
姫路全域を覆い尽くせる真円の範囲だからか、東側は加西市・加古川市、西側は宍粟市・たつの市・相生市・赤穂市の一部と島々が結界の範囲内に入ったが、まぁ問題無いし、良いことだろう
その日の夜
何故か私は山梨支部の訓練場に居て、長髪の黒髪赤目の少女黒死ネキ、外見的特徴が黒死ネキとかなり似ている◯◯ネキ*6に手渡されたボクシンググローブを嵌め、私に関する非常に恥ずかしい事を話し合っている三人を睨みつける
「潔く逃げませんし、見苦しく命乞いもしません………だから、どうかこれだけは言わせてもらえませんでしょうか?」
私は真っ赤な顔で◯◯ネキから渡されたボクシンググローブの嵌め心地を確認、私と同じように渡されたグローブを受け取りつつ、面白い反応をする
その反応に私達三者の無言の許可を感じ取ったのか、◯◯◯ニキが◯◯◯ニキに並ぶように踏み出し、告げる
「破魔ネキが『そう』なのかを俺達は知らない、だから今から言う事は的外れな事かもしれない、でも、どうか言わせてほしい」
例え無駄なのだとしても、これだけは言わなければならない、伝えなければならない、そんな思いが伝わってくる
◯◯◯ニキも二人に並ぶように一歩踏み出して、言葉を重ねる
「生まれつきなのか、加護のせいなのかは関係ねーんだ、どうだっていーんだ、そんなのは」
そう、生まれによるものか、誰かに与えられたものか、それは重要ではない
大切なのは、今そうである自分をどう思うか、どう向き合うかこそが重要なのだから
それだけは、これだけは、本心から私に伝えたかったのか、妙に真剣だ
千の、万の思いが込められた言葉を告げ、その後に親指を立てて、彼等は笑顔で私に告げる
「「「破魔ネキ……〇イパンであることを恥じるな」」」
「「「むしろ、誇りに思え!」」」
堂々と、誇らしげに語られた言葉
それに対する返答として、私・黒死ネキ・◯◯ネキによるトリプル・ギャラクティカマグナムを叩き込む
「「「ぐわぁ〜〜〜!!」」」
銀河をバックに吹っ飛んだバカ共は、何故か大きく仰け反りながら上空に吹っ飛び、そのまま訓練場の屋根をぶち破り、何故か錐揉み回転しながら落ちてきて、私達の背後の訓練場の地面に顔面から『ドシャアッ』と突き刺さり、顔面と左右に伸びた両腕で体を支えて三点倒立しているかのような体勢になっている、俗に言う車田堕ちと言うヤツだ
私は拳を振り抜いたまま、プルプルと震える
そして
右拳を突き上げた状態で、ベッドの中で目覚める
「…………イパンで悪いか」
軽く寝ぼけたまま無意識にそう呟く
「はぁ…………なんか妙な夢を見た気がする、恥ずかしくて怒りが湧き上がる、妙な夢を…………あんまり覚えてないけど、感情の動きだけは覚えてる*7」
この日は妙に精神的に疲れた状態で仕事を始める事となった
破魔ネキも歌を聴いてるので効果対象
視ている間に構築術式の解析が完了しているから出来る芸当
予知夢の類です、半終末後に現実となる
幼女ネキや三馬鹿の名前を認識できなかったのは、まだ出会ってないので存在自体を知らないから