【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい   作:ディストピア

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ごちゃまぜサマナーの話が次から次に短い期間に更新されたから頑張って書き上げました


第50話

 

 

11月のある日の正午

 

 

姫路港に入港した大型クルーズ客船、そこから数多くの人が降りてくるが、何故か客船からはとある音楽が大音量で垂れ流されている

 

 

そんな光景をスマホのテッラを使って撮影……動画を配信している青年が居た

 

 

「大型クルーズ客船の威容すげー、客もかなり降りてきてるな、なんだ?…………コスプレしてる人達も降りてきた」

 

ズーム機能を使い、コスプレしている者達の姿を捉える、テッラの画面に映る人々、それは西洋甲冑等の鎧に身を包んだ者達、その腰には西洋剣が帯剣され、その手には槍やハルバードを持っている、それ以外にも、背中から天使の翼が生えている者、頭に天使の羽根が刺さった者、身体の一部が異常に肥大化した者、身体の一部が機械化した者、実に様々な人物が映し出されているが、奇妙な事に老若男女問わず、全ての者達が恍惚の表情を浮かべている

 

 

「随分と気合の入ったコスプレイヤーだな、にしても、会場外でコスプレするとか常識ねーな」

 

そう笑って見ていたが、近付いてくる人物達の姿を視界に収めて異常に気付く

 

 

「なんだ?………画面には天使の翼が生えてる人が映ってるのに、直接見たら翼なんて付いてない、なんでだ?」

 

 

不思議に思うも、青年にはまだ余裕があった

 

 

「それに流れてる音楽って、讃美歌か?」

 

そう呟いた直後、スマホを手から落とす、しかし、拾おうとはせず、突如として膝を付き、涙を流し始め

 

 

「おお、主は来ませり、主は来ませり!!」

 

クルーズ客船を仰ぎ見ながらそう叫んでいる、異常なのは、この行動をとっているのが彼一人ではなく、周囲の人達も同じ様に『主は来ませり』と口にしているのをスマホが捉え、その声を動画として配信し続けている

 

 

 

「極東の黄色い猿でも、我々が救い主であると理解出来るのですね、実に素晴らしい光景だ」

 

船から歩いて来た、西洋甲冑に身を包んだ男がそう口にする

 

 

「薄汚い異教徒共も、恥知らずな裏切り者共も、此度の聖戦にて身の程というものを教えて差し上げましょう、正義も大義も我等に有る、故に我々に敗北の二文字はありえない」

 

 

そう言いながら大袈裟な動作で振り返り、己の守護天使、主天使のドミニオンに向かって跪く

 

 

周囲の者達が、讃美歌によって浄化された日本人も膝を付き、仰ぎ見ながら偉大なる天使を讃える言葉を次々に口にする、それに気を良くしたドミニオンは笑みを浮かべ、左手に持った本を跪く従者に渡し、左拳を振りかざす

 

 

「我等が主の威光をこの異教の地に知らしめるのです、我が言葉は神の言葉、我等の行いは神の代行、恥を知らず、知恵も足りぬ、薄汚い異教の黄色い猿どもに、穏健派を名乗りし裏切り者達に、正義の鉄槌を下すのです、この聖戦にて主の威光を知らしめよ!!」

 

 

船から降りてきた同胞たる千を超える天使の軍勢、忠実なる下僕のメシアン、讃美歌によって浄化された民衆、それらが一人残らず拳を振り上げ雄叫びを上げる

 

 

「さぁ、行きなさい」

 

ドミニオンのその言葉に従い、大量の天使が、多数のメシアンが、讃美歌によって浄化され純化した民衆が、姫路に雪崩込み、その力を存分に振るい始める

 

 

 

_________________________________________________

 

 

午後3時

 

 

「………そんな」

 

 

呉支部を訪れていた私は、姫路を訪れていたジョーカーニキからの電話によって最悪の状況を知らされる

 

 

 

大型クルーズ客船から現れたメシア教の一団が、虐殺をしながらも賛美歌や天使の言葉によって一般人を洗脳して手駒を増やしながら大暴れ

 

 

通報を受けて武装して訪れた自衛隊が防壁を築いたが、その防壁の内側に、賛美歌によって洗脳された一般人が背後から大量に押し寄せて瓦解、一般人への攻撃を躊躇う隙を付いてメシアンが天使と共に強襲したため蹂躙され全滅

 

 

他の地でも同様に、守っていた民衆が賛美歌で洗脳され、防御の内側で暴徒と化して攻撃を仕掛けてくる、そのせいで混乱して瓦解し、防御陣地が崩壊している

 

 

マリア候補として女覚醒者達は捕らえられ、クルーズ客船の甲板にてメシアンと天使達が彼女達を次々に、休みなくその身を穢し蹂躙し続けている

 

 

客船の窓が割れた客室からは次から次へと天使が現れては空に飛び立っている、双眼鏡で内部を確認した者からの報告によると、妊娠した女達が次から次に天使を出産し続けているらしい

 

 

 

息も絶え絶えの様子で此等を伝え終わった直後、電話の向こうでジョーカーニキが大量に血を吐き、水面に何かが倒れる音がした後、もう返事は返ってこなかった

 

 

 

「………………蓮くん」

 

 

私は俯いたままそう呟き、右手に持ったテッラを握り潰して破壊する

 

 

 

 

ジョーカーニキこと雨宮蓮から伝えられた情報、ソレは私を怒り狂わせるには十分過ぎる情報だった

 

 

 

今この瞬間にも、その身を汚されている女覚醒者達の中に、雨宮椿、橘朔矢、アーシア・アルジェント、リント・セルゼン、神里綾華、そして……………リュールが確認されている

 

 

「………………一切鏖殺だ、邪魔をする者も皆死に絶えろ」

 

白目が漆黒に染まり、真っ赤に輝く目で、殺意と憎悪に染まりきった声で、完全に魔性に落ちた状態で、私はそう口にした

 

 

 

 

 

 

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午前5時

 

そんな予知夢(・・・)を見て、最低な気分で目が覚めた

 

 

「夢見が悪過ぎる」

 

 

リュールを起こさないように気を付けて部屋から出て、洗面所で顔を洗い、コップに注いだゴールドにんじんのキャロットジュースを一気飲みする

 

 

「私の予知夢はこのままだと確定で訪れる未来を視るもの、少しの小細工では回避不可能で、現状の的中率が百発百中なのが嫌になるけど、だけど、だからこそ回避もしやすい」

 

 

一部は時が来るまで視た事自体を忘れるが、予知夢で視た笑い話の類からエグい事柄の数々を思い出し、空になったコップに再びキャロットジュースを注ぐ

 

 

「何の行動もしなければ確定で訪れる未来、東京で事件に巻き込まれる未来を観たなら、東京に近寄らなければ問題無い、事件自体は起きても私は巻き込まれない、偶発的な事故なら後日起きる可能性はあるけど」

 

 

チョコレートケーキを1ピース分を一気に食い切る

 

 

「今回の場合、そもそも大型クルーズ客船を姫路に入港する前に潰せば問題無い、変えようと思えば簡単に変えられる、拠点を潰した後に突然無から戦力が生えてくるわけでもないし、直近で呉支部に行く予定は………明後日か」

 

予定表を確認し、呉支部に行く日程を確認する、ついでに夢で見た船体に描かれていた船舶名を元に調べる

 

「予知夢の実現は最短で明後日か、大型クルーズ客船による世界一周旅行を行う最後の船………ね」

 

 

呉支部には少し無茶をしてもらうかな、まぁ幼女ネキの要望に応えた結果発生する、無理無茶無謀なデスマーチに比べれば遥かにマシだと思うけど

 

 

 

 

 

 

 

少し時が流れて2日後の午前9時頃

 

 

 

姫路港まで後3時間ということもあり、姫路に乗り込んで行う聖戦+マリアの確保の最終準備の為にメシアンが船内を走り回り、天使達は新たな戦力を産み落とすマリア(母体)の様子を確認している

 

 

この大型クルーズ客船は本来は普通に世界一周旅行を楽しむためのものだったのだが、半終末直前にメシア教に目を付けられて制圧され、移動拠点として悪用されながら戦力を増強し続けていた、普段は海上を航行している為にその事を察知されることなく暗躍し続けた、半終末が訪れている為に寄港予定の港に訪れなくても疑問に思われることなく、悠々と活動し続ける事が出来ていたのだ

 

 

半終末以降は時間加速した異界化した船内の人間牧場でメシアンの数を増やし、サイボーグ化の人体改造、天使人間化の人体改造、マリア(母体)を用いた天使増産、資質が低い者を脳缶化して賛美歌を歌い続けるMAGバッテリー化、クローン製造&強化改造、確保したMAGで既に居る天使の強化、新たな天使召喚、各地でメシア教過激派に出荷と補給、本当に色々な事を行い続けていた

 

 

 

破魔ネキが予知夢で視た姫路への侵略が成功してしまったのも、日本の方針が民衆には【海外は少し物騒】程度の認識を維持させる事だったのも要因の1つである、海外の状況が正しく広まっていれば【豪華客船による世界一周旅行】なんてものを行えるだけの余裕が無いと、誰もが理解し、それ故に異常を察して逃げることも出来ただろう、しかし、海外の情勢を知らぬが故に【久々に大型クルーズ客船が入港した】程度の認識に留まり、避難は行われず、逆に騒ぎに対して野次馬根性で人が港方面に集まるという事態になってしまい、そうして集まった民衆(野次馬)はクルーズ客船から流される讃美歌で洗脳され、防衛の為に動いていた面々を背後から襲撃する敵となってしてしまったのだ

 

 

 

 

日本に向かう大型クルーズ客船の前に大型ドラグーン【ジグラート】が二機浮いており、その内の一機の上にはブラックナイトスコード・カルラが直立で立っており、その開いた胸部、コクピットには破魔ネキが汚物を見る目を向けながら立っていた

 

 

天使達がブラックナイトスコード・カルラの、破魔ネキの存在に気が付いた直後、ジグラートから射出されたソードビットが船の推進器を貫き破壊していた

 

 

「アレは……そうか、我々の作戦に事前に気が付き、作戦決行前に自ら乗り込んできたか堕ちた聖者、童姿(わらべすがた)の魔王よ」

 

破魔ネキの存在に気が付いた天使、ドミニオンがそう声を上げる

 

 

「メシア教から見て堕ちている、邪道を進んでいる……って評価は寧ろ望むところですね、メシア教の逆の道を、正道を歩み、正義を成しているって事ですからね」

 

そう呟きながらブラックナイトスコード・カルラのコクピットに乗り込み、ヘルメットを被る

 

 

「にしても、誰が【童姿の魔王】ですか、好き好んで子供体型で居るんじゃないんですがねぇ」

 

 

カルラの全天周囲モニターが起動して周囲の様子を映し出し、船から大量の天使が湧き出してくるのがよく見える

 

 

「三機目のジグラートはギリギリ未完成だったから持ってこれなかったけど、この程度なら二機のジグラートで充分ですね」

 

 

ジグラート一機から30機のファングを射出、ジグラート二機合わせて60機のファングが飛び交い、ある場所では天使達をファングが貫き、別の場所ではファングから撃ち出されたビームが天使達を貫いていく

 

 

「実戦形式でデータ収集する為にジグラートに計測機器を積んでるどころか、人員が乗ってるから撃破には注意しないとね」

 

 

デカいから整備用空間が有るどころか、コクピット部が内部に増設され、ガンダムZZのメガライダーみたいに何故か居住性が有り、バスルームは流石に無いが、シャワールームが存在していたり、水と食糧を保存する機能が存在したりと、簡易移動拠点としての能力が何故かあったりする、三機のジグラートの内の一機だけの話ではあるけど、いっその事メガライダーそのものの再現を依頼しようかな?………………必要無いか

 

 

 

「おのれ童姿の魔王、これ程の機神を手に入れていたとは、クソ、この攻撃の数と威力の高さは厄介過ぎる」

 

 

カルラの腕を組んだままの体勢でジグラートから撃ち出したファングを操っていたが、ドミニオンを含めた一部の天使が必死に回避し続けているのを見て、ジグラートから飛び上がりカルラの遠隔操作兵装【サハスラブジャ】を射出し、擬似反重力機関【レヴィテーター】を起動させ、深紅の光の翼を展開して浮遊する

 

 

 

「くそぉぉぉぉぉ」

 

サハスラブジャの4門のビーム砲による移動の制限が加わり、逃げ場を失ったある天使がサハスラブジャのビームカッターによってその身体を両断されて消滅する

 

 

 

「おのれおのれおのれーーーー!!」

 

 

この場で最強の天使、車輪で回転しながら避け続けていたソロネが脳天からビームで撃ち貫かれ、絶叫しながら蒸発して消滅する

 

 

「我等を封殺しながら船を蹂躙する余裕があるとは」

 

息も絶え絶えな様子のドミニオン、彼が横目で見た大型クルーズ客船の様子、メシアン達を蒸散させながら船体を貫き蹂躙して破壊していく多数のファングの姿、テンプルナイツも、サイボーグ化した者も、讃美歌で純化した者達も、天使を産み落とし続ける母体も、一切の区別なく、貫き、蒸散させ、消滅させていく

 

 

「我等メシア教以外に、これ程の力が存在するなど在ってはならないのです」

 

 

片足が消滅しながらも必死に飛び回り、そう叫ぶドミニオン、その言葉を聞き、不快になりながらカルラの右手をドミニオンに向け

 

 

刃を展開していないファングがドミニオンの背中に直撃、吹き飛ばされたドミニオンに更にファングが次々と体当たりして跳ね飛ばし、完全に体勢を崩し

 

 

「落ちろ」

 

 

カルラの右手から魔法陣を展開し、ドミニオンの上空に複数の氷の槍を生成して射出、右肩、両腕、左掌、腹部、左足付け根、両翼を氷の槍が貫き、そのままクルーズ客船の甲板に突き刺して固定する

 

 

「さて………と」

 

 

全てのファングをジグラートの中に戻し、船にカルラの両手を向けて魔法陣を展開する

 

 

 

1つ、2つ、3つ……とクルーズ客船の周囲に黒い球体が出現していき、10秒が経過する頃には大小様々な黒い球体が数百個浮かび、船の上空に展開される

 

 

「何……を………するつもりだ」

 

氷槍に貫かれ、船に固定された状態でドミニオンが視線を向ける

 

 

 

船の上空の黒い球体が、重力球がその力を発揮し、船の瓦礫を、海水を吸い上げ、クルーズ客船そのものも重力球に引っ張られて浮かび上がる、それぞれの重力球が瓦礫を引き寄せ、引き千切り、粉砕していく

 

 

 

「超重獄に……堕ちろ、(フェイク)・ブラックホール・バスターキャノン」

 

 

重力に引かれて上空に持ち上げられたクルーズ客船の下方にも重力球が展開されていき、超重力の塊を作り上げる

 

 

 

巻き上げられた大量の海水も、船の瓦礫も、残った船体も、生き延びていた多数の天使も、メシアンの亡骸が、被害者達の亡骸が、その全てが超重力によって圧縮され、圧し潰され、圧殺されていく

 

 

 

そうして残った1m程度の大きさの球体をアギバリオンで消滅させる

 

 

「流石に此処まですれば予知夢は回避できたかな?」

 

 

意識を向ければジグラートに乗り込んでデータ収集していた者達が興奮しているのを感じ取る

 

 

 

「ん………機体越しに感情を感じ取るとか、ニュータイプとかイノベイターとかに目覚めてないよね?」

 

 

武装のデータのみならず、ヘルメットで私の脳波をデータ化し続けてるし、それを観測して興奮しているって、変な変革が起きてないか少し心配になってくる、GN粒子が無いからイノベイターへの覚醒は無いと思うけど、だけど、粒子を介した結果として覚醒した者の事を指すなら、覚醒者なら粒子抜きでも該当する可能性が有るからなぁ

 

 

 

「まぁ、惨劇を回避できたからそれで良いか」

 

 

サハスラブジャをウイングユニットに戻してジグラートに着地し、二機のジグラートをカルラと共に空間転移で呉支部に帰還する

 

 

 

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