彼は悪魔ではなく人間です   作:TKMG_タカムギ

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先に謝っておきます、泡瀬洋雪ファンの皆さん、すみません。


第十話:世界の一部

『ねぇプルソン、心臓破りのときのあれ、どうやってやったの?』

「えぇ…君がそれ知る必要ある?」

『知りたいことに悪いことはないだろ』

 

 家系能力の覚醒、自分はそんなの初めて聞いた。

 

 自分は悪魔が体の中にいるだけで、実際はただの人間。家系能力なんてものは使ったことないし、存在すらもしない。そんな自分にとって、悪魔ごと個別に存在している能力というものは、見ていて聞いていて、とても興味深いものだった。

 

「どうやってやったって言われても…魔力の調整とイメージ、としか言えない。あれ、僕の兄から教えてもらったんだ。…いや、教えてもらったて言うのは違うかもだけど」

『…じゃあプルソンって、家系能力無しで隠れろって言われたら出来る?』

 

 我ながら意地悪い質問だ。悪魔の強さというものはいろいろなもので図れるが、やはり一番の強さの要因は家系能力だと自分は思っている。それを使えなくなったとき、悪魔はどうするのか。家系能力は、本当にその家系ならではの能力なのか。色々気になってしまった。

 

「無理。絶対無理。僕達なんて生きてるだけでいろんな悪魔に認識されてるんだし。少しでも顔を出そうもんならすぐに見つかるよ」

『じゃあ、やっぱ俺じゃ無理かぁ〜…』

「え、やろうとしてたの?」

『だって、お前の家系能力強いし』

 

 相手から認識されなくする、聞いてみると少し微妙だが、普通に考えればかなりの能力だ。相手から認識されるようなことをしなければ、自分は一生相手の意識の外、目をつけられることがなくなるのだ。

 

「…まぁ、少しでも地味になればある程度はいけるんじゃない?ある程度は」

『地味になるっつってもなぁ…』

「うん、それも絶対に無理だね。だって僕達……問題児(アブノーマル)じゃん」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

『な、なぁ?俺と組も「ごめん無理…」…』

 

 …どうも、悪目立ちは好かない、紅月魁雅です。

 

 雄英高校体育祭二種目、騎馬戦。この競技は、周りの生徒達3人とペアを組み、自分を含めた合計4人で行うこととなる。なら当然、競技が始まる前にすることと言えば、メンバー決めだ。幸い、予選通過者は43名もいる。取り敢えず片っ端から声をかけて誰でもいいから決めよう…と、思っていたのだが…

 

『ここまで断られるとは…流石にショック』

 

 まぁそりゃそうか、俺予選2位で、ポイントめっちゃあるもんな。こんな奴と組んだら狙われること間違いなしだ。だから、俺を選ばないという行動は普通に最善なのだ。

 

 …だけど、まじでどうするか。このまま誰かが声をかけてくれるまで待機ってのもあるけど、ここまで半数近く話しかけて無理だったし、相手から来てくれるとは思えない。しかもずっと一人で待ってると、学校でペアを全く作れなくて最終的に先生と組むタイプの生徒みたいになりそうだし、なるべく早く決めたい。もうこの際、誰でも…

 

「ねぇ紅月君、一緒に…『無理!』えぇ!?」

 

 前言撤回!だーれが1位と一緒になるか!1000万は大人しくしてろ!

 

「そ、そこをなんとか…!」

『無理なもんは無理。そこまでしてヘイト買いたくねぇよ』

「うっ…」

 

 …ったく、コイツも俺と同じか。

 

『…んじゃ、()()()は?』

「アイツって……常闇君のこと?」

『アイツなら攻撃と防御どっちも両用出来るだろ。それともなんだ?アイツじゃ力不足って言いたいのか?』

「い、いや、そういうわけじゃ『だったらアイツと組め。ずっと仲良いやつと仲良しごっこしてる場合じゃないのはお前も分かるだろ』」

 

 もうコレ以上絡まれても面倒だし、さっさとこの場を去る。…だけど、ぶっちゃけ他人のこと気にしてる場合じゃない。俺だって早く決めないと、本当によくわからない弱いやつと組んでしまう可能性がある。

 

 一つ、組むグループとして理想的な条件は、ポイントがかなり高くて、緑谷とかには及ばない程度。結局、どれだけポイントが高かろうが、合計で1000万ポイントを超えなければ狙われることは早々ない。ここにいる者たちは、全員全力で勝ちを取りに来てる。だったら、一番高いポイントを真っ先に取りに行くことは間違いないのだから。

 

 今なら他のクラスもだんだんとグループを作ってきた。今この場で、その条件にあうグループを探さなければならない。ポイントが高くて素の状態で勝利に近い、だけど緑谷ほど高くない、そんなグループを………

 

『…なぁお前等、一緒に組まないか?』

 

 

 

 

 

 

 

                     ●

 

 

 

 

 

 

 

 

【さぁ上げてけ鬨の声!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙を上げる!

 

『…ぶっちゃけまだ不安だけど、本当に大丈夫そ?』

「おう!任せとけ!」

『…ま、いっか。じゃあいっちょ暴れてこい………………鉄哲!

 

 これは、遡ること数分前…

 


 

「お前…A組の悪魔じゃねぇか!なんだ?喧嘩なら買ってやるから来いやオラァ!」

『暑苦しいしうざい。こんなときに喧嘩売りなんてするわけないでしょ。グループに入れてほしいってお願いをしにきただけ』

「はぁ!?冗談じゃねぇ!」

 

 …駄目だ、めっちゃ殴りたい。大丈夫、魁雅は我慢できる子。

 

「落ち着けって鉄哲。また拳藤にシメられる。…それで、わざわざA組じゃなく俺等B()()を選ぶってことは、それなりの理由があるってこと?」

 

 よかった、まだ話が通じるタイプの人間だ。隣のトゲトゲしてる人も話は通じそう、大人しそうだし。さっきからずっと絶望してるけど。

 

『あぁ、…と言っても、簡単な話だ。お前等が俺と騎馬を組むにあたって、ちょうどいいポイントだったからな。そこのバカは10位、マトモな人は5位、トゲトゲさんは4位…そして俺が2位、このグループだったら、初手からかなりの高得点を持てる。緑谷グループよりも目立たなく、だ』

「…よく私達の順位を把握していますね」

『今はそんなのどうでもいい。どうだ、今の話を聞いても「嫌に決まってんだろ!」……』

 

 あのさぁ、コイツまじで殴ってもいいかな。そろそろ我慢が出来る魁雅君でも限界が来るよ。だって人間だもの。

 

「鉄哲お前なぁ……悪い、コイツは相当オツムが足りて無くてね」

「同意します」

「はぁ!?お前等それが仲間に言うセリフか!?」

『…あの、そろそろ答え聞いてもいい?取り敢えずそのバカ以外から』「おい!」

 

 頼むから。時間ないんだって。もう殆どのクラスメイトがグループを作って計画を立てるとこまで進んでいっている。このままじゃ計画なしに自滅しに行くだけだぞ。

 

「…俺はその話、乗った」

「はぁ!?骨抜お前ッ、本気で言ってんのか!?」

「一回頭冷やして考えてみ鉄哲。物間とかお前はあんなこと言ってるけど、今この場は別に、A組を倒すこととを目標としてない、勝つことが目標だろ?勝てる可能性が高い手段が目の前にあるのに、わざわざそれを手放すわけないじゃん」

「私も、同じように思います。あなたも、その気持ち悪いプライドをそろそろ無くしたらどうですか?そのようなものは、何も生み出しません」

 

 …なんだ、B組ってマトモじゃん。話聞いてる限り相当俺等(A組)に対抗心だったり劣等感を抱いてるイメージだったけど、それは一部の層に限った話だったらしいな。まぁ、コイツラもまだ高校1年生。すぐ誰かをライバル視するような年頃だし、そんなもんか。

 

『…なぁテツテツさんよ。お前、この体育祭で勝ちたいか?』

「は?そりゃあ勝ちてぇに決まって『じゃ俺と手を組め』」

『お前の欲、願いは勝ちたい、ただそれ以上も以下もねぇだろ。だったら、俺がそれを叶えてやるよ。それ相応の対価として、俺と手を組むことになるけどな』

「…お前」

 

 …さぁ、これで少しでも心動かしてくれ、もうすぐ時間だ。多少でもこっちに気を許してくれれば、後は無理やりグループを組める。なんとかして…

 

「めっっっちゃくちゃかっこいいじゃねぇか!」

『…はい?』

「いいぜ、気が変わった!お前と手を組んでやる!よろしくな!」

 

 待って、なんか違うんだけど。めちゃくちゃ笑顔になって手を差し伸べてきてるのはまぁ成長と言える。だけどさ、ここまで信用されちゃうとこれからが色々と面倒になってくるんだけど。

 

『…やっぱ、こいつバカ?』

「まぁ」/「はい」

『納得〜…』

 

 …だけど取り敢えず、これでやっと念願のチームメンバーが出来た。後は作戦だけ…

 

『んじゃ、時間ないからさっさと話すよ。作戦なんだけど…「俺が騎手をやる!」…え?』

「ん?何だ?」

「…すまん悪魔さん、もうこれは先に決めてた」

『えっあ、ふーん…………あっ、時間ないんで自己紹介だけしますね』

 

 …これはこれは、話が色々変わってくるんですけど。

 

『俺の名前は魁雅、紅月魁雅。本当になんとかして、お前等を勝たせる』

 


 

【3!】

 

『おい鉄哲分かってるよな?』

 

【2!】

 

「あぁ勿論だ!」

 

【1!】

 

「『絶対に…』」

 

【GO!】

 

『無茶すんな「暴れてやるぜ!」ちがーーーう!もういい凸るぞ凸るぞ!』

 

 正直言って俺が騎手になればポイントめちゃ稼げたんだけど…すでに決まってるならそこで騎手変わってって言うの申し訳ねぇじゃん!かといって馬でハチマチ取る手段なんて俺にはねぇしよ!サポートするしかなくなったじゃねぇか!

 

『取り敢えず狙うは1000万(緑谷)、取ったら即逃げ!いいな?』

「分かってらぁ!」

 

 馬の俺、骨抜、塩崎で緑谷の側まで距離を縮める。

 

「紅月君!?早く逃げ…」

『骨抜、”柔化”!』

「わってるよ」

 

 ドロォ…

 

「沈んでる!あの人の”個性”か!」

『さっすが推薦枠骨抜!どんどん攻めるぞ!』

「おう!」

 

 骨抜の個性、柔化。周りの地面を沼地にするのは、騎馬戦の馬にとってかなりの弊害。だが問題は…緑谷がそれをどうやって抜けるか、だから…

 

「飛んだ!?サポート科のか!追えぇ!」

『発目のアイテム使ってんのか…!骨抜は俺と周り警戒、塩崎は鉄哲といっしょに常闇と緑谷の相手!』

 

 今この場で”威圧感(しつけ)”を使うと鉄哲達まで巻き添え食らっちまう!むやみに()()()は使えねぇし…今はこいつらを信じるしか!

 

「紅月!緑谷の後方から一人!」

『一人って…障子!?どうなってんだありゃ…ってか”個性”!骨抜頼む!』

「無理だ!今使うとお前等までハマる!」

「わ!!?おいなんか舌伸びてきたぞ!」

『だーもう騒がしい!舌ってことは…梅雨ちゃんか!障子あれ相当めんどくせぇな…』

 

 攻めようにも意外と守り硬いし、様子見ようにも障子の中が見えなくていつ梅雨ちゃんの攻撃が飛んでくるかもわかりにくい…やっぱこれ、一組一組がちゃんと強いわ。緑谷だけを狙ってもジリ貧だ。

 

 そんなことを考えているうちに、緑谷チームは発目のアイテムでその場から離れる。地面にあるモギモギを見る限り、障子の中に峰田もいるな。

 

『…塩崎、障子の中にいるやつからこっそり取れねぇか?今あいつら、緑谷しか見てねぇ』

「任せてください」

『ナーイス』

 

 さっすが塩崎、あっさりと峰田からポイントを奪い去った。あの障子のガードが帰って周りを見えなくさせてたんだろうな。…さて、一応初期のポイントと合わせてかなりの数ポイントは集めてる。ぶっちゃけ後は逃げ切るだけでいいんだけど…

 

『まだ、暴れ足りないだろ?』

「あたりめぇだ!」

「だけどどうする、今緑谷は轟と対峙してる。それ以外狙うにしても、ポイントが地味に高いからヘイトも買うかもしれない。少し出遅れてるぞ」

 

 骨抜の言う通り、少し痛い状況ではある。確かに、最低限ポイントは取れているし、このまま勢いで少しでも取れれば4位以内に入ることは出来るだろう。…だが、今は殆どの生徒がポイントを取ろうと緑谷のところに集まっている。少しでもそこに計画無しで凸ろうもんなら、ヘイトは緑谷じゃなく俺達に来る。一気にポイントをもぎ取られて終わりだ。

 

 仮に緑谷のところにいない生徒から取ろうとしても、そこは高ランク組にポイントを取られた低ランク組の争い。たとえそこのポイントを取れたとしても、もらえるポイントは恐らく、雀の涙ほどしかないだろう。…だが

 

『大丈夫だ、言っただろ。勝たせるって』

 

 一回でも約束してしまったなら、守る以外はない。

 

 この手は体力と魔力消費がえげつないから使うのは控えたいんだけど…まぁもとよい使う予定だったし、ここで解禁って感じか…

 

『…お前等、こっからは一切目立つことはするな』

「は?いきなり何言って…」

 

『とっても暑い日に、アイスが地面に溶けるように、ゆっくりゆっくり空気の中へ染みていく』

 

「紅月お前っ、早くしないと「待ってください鉄哲、静かに」お、おう…」

 

『沢山の音が聞こえるけど、気にするな。俺等は今……』

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『じゃあプルソン、せめてお前の兄さんから言われたこと俺にも教えてくれよ』

「も〜しつこいな…」

『いいじゃんいいじゃん、いつか役に立つかもしれないし』

「…えっと、確か、自分のことを…」

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界の一部だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「って、思えって言われた」

 

 

 

 

 

                      ●

 

 

 

 

 

 …すげぇ、塩崎、骨抜、そして紅月が、()()()()()()

 

 あんなに大きく音を立てて争っている中に入っているというのに、観客も、選手も全員自分たちを認識していない…!これが、悪魔の力なのか?だとしたらこいつ、相当化け物じゃねぇか…!

 

 俺でも信じられないくらい相手からハチマチが取れる。相手の横を堂々と通って堂々と奪っても、誰も全く目を向けない。いいぞ、この調子だ!どんどんポイント……を……

 

『暴れるな』

 

 …紅月の顔が、ない。

 

 いや、声は聞こえてる。だから正確に言えば消えているわけではない…目に見えないほど、透けている。さっきまではかろうじて見えていた顔、そして体も、今は完全に見えなくなっている。だが紅月の言う通り、これは相手から認識をされていないだけだ。少しでも大きい声や音を出そうものなら、すぐに相手に認識されちまう。

 

 だからこのまま大きい音を立てずに試合終了まで地道にポイントを盗んでけば…

 

『っぷはぁ!もう無理!限界!』

「「「えぇ!?」」」

 

 …ここにきて、初めてB組三人の声が揃った

 

 

 

 

 

 

                    ●

 

 

 

 

 

 

『あーキツかった!3人同時とか普通に考えてバカだろマジ!』

【ど、どどどどういうことだぁぁぁ!?さっきから妙に鉄哲チーム見ねぇなって思ってたが、なんと消えていただとォ!?いつの間にかポイントも大量に取ってやがる!他の奴らも自分のポイント確認してみろ!取られてるかもだぞ!?】

 

 プレゼント・マイクの実況を聞き、いろいろな生徒が自分のポイントを確認している。中には安心しているものもいれば、驚きを隠せていない生徒もいる。

 

「おい紅月!何だ今の”個性”!?」

『”問題児の世界(アブノーマル・ワールド)、プルソン・ソイ ”認識阻害”覚醒!普段は俺だけを隠すけど、俺の努力次第で周りにも影響を及ぼす!」

 

 だがまぁこの技、相当な集中力と魔力の調整が必要で、維持するだけでもスゲェ体力使うのに…それを4人同時、更に馬となった状態で動き続ける状況を加えると、そりゃあもう息をする暇もないほど神経を使う。流石の俺でもかなり疲れる。

 

『まぁ、こうなりゃ後は…』

「「「取り返す!/取り返せ!」」」

「「「『逃げ切るだけでいい!』」」」

【さぁ鉄哲チーム、ついにここでガン逃げモード突入だァ!このままポイント死守なるかぁ!?】 

 

 ポイントを大量に取得して1位になったところで、緑谷、爆豪、轟チームが一気に攻める。もう”認識阻害”は使えない。魔力も体力もほとんど使い果たしてしまったから。だけど、残り時間的に、自分たちの力だけでもなんとか逃げ切れそうではある。…だが。

 

 

 

 

「楽しそうなことしてんじゃねぇか、()()()()()

『は』

 

 

 

 

 ”脅威とは常に隣りにあるもの”、そう教えてくれたのは主人だったのに。

 

 

 そこで、俺達の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    ●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【3位てつて…アレェ!?オイ、心操チーム!?いつの間に逆転してたんだよオイオイ!】

「…何が起きたんだ?いつの間にか0ポイントになって終わったぞ…」

「あの小人の方(峰田)のポイント、穢らわしい取り方をしてしまった罰でしょうか…」

 

 …違う、鉄哲達は気づいてないけど、原因はしっかりと判明している。普通科の、紫髪だ。

 

 チーム名からして、名前は心操。俺が覚えている一番最後の記憶が、奴に話しかけられたこと。そしてその瞬間俺等の意識が途絶えて、いつの間にか試合が終わり、ポイントもなくなっていた。

 

 …完ッ全に嵌められた。確かに途中から、奴の動きが少ないと思い、警戒はしていた。だが、体力低下のせいで、最後はそこまで意識を向けることが出来なかった。全てアイツの思惑通りだ。影を薄くして、他生徒のポイントをただ待つことで高くしていき、最後に初見殺しで全て回収。

 

『_馬鹿かよ俺は…!』

「おい紅月、そんなに…『ごめん』」

『俺が、最後に警戒を怠ったせいで、こうなった。お前等を、巻き込んだ。欲を叶えるとか言ったのに、こんな結果になって、本当にすまなかった』

 

 頭を深く下げ、謝罪の意を示す。鉄哲達には、わざわざライバル視をしている(A組)を入れてまで対価を払い、俺を信頼してくれていた。なのに、結果は0ポイント。ここで、皆の体育祭が終わってしまう。謝っても謝りきれない。

 

「いやいや、別に紅月だけのせいじゃねぇって!俺等皆の責任だ!そうだろ?」

「えぇ、あなただけが罪を背負う必要はありません」

「まぁ、楽しかったしいいんじゃね?俺的には」

『いやでも、本当に…「あーもう面倒クセェ!さっさと顔上げろ!」』

 

  鉄哲………お前達、出れなくなっても良かったのか?トーナメントに。俺のせいでこうなったんだ。責める権利は十分にあるはずだろ。

 

「なんだお前、全ッ然男らしくねぇじゃねぇか!さっきまでのオメェはどこ行った!?」

『う…』

「悪魔だかなんだか俺は知らねぇけどな、人間、ミスするときゃミスするんだよ!それに、勝手に一人で責任全部背負ってんじゃねぇぞ!この試合に出てたのはお前だけじゃねぇ、俺等もだろ!?だから、その責任俺等にもよこせ!対価?欲?だったらよ、俺等がお前をチームに入れる欲を叶えてやったんだから、今度はお前が俺等の欲を叶えろ!分かったか?!」

『は、はい…』

 

 い、勢いで押し負けてしまった…

 

 鉄哲も勢いで喋ってたからか、息遣いが荒くなっている。こうもここまで他人のことで躊躇しないのは、やはり人間の良いところなのだろうか。

 

「ったく、さっきまでの威勢はどこ行ったんだ…」

「俺等もホントに全然気にしてねぇからさ、お互いこれからも頑張ってこうぜ。な?」

『び、B組…!』「そこでまとめるのですね…」

 

 

 

 

 

                   ●

 

 

 

 

 

 …そうしてなんやかんやあり、1時間の休憩後…

 

【さぁさぁ予選で落ちたやつも楽しめよ!?楽しい楽しいレクリエーションの時間だ!そんでその後は…進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!一対一の…ガチバトルだ!!】

 

 

 こっからは観戦タイムだ。ポップコーンくれ。

 




・もう鉄哲のチームに入った時点で大体気づいてると思うんですけど、魁雅君の出番がここで終わるわけ無いです。働け。
・魁雅君が発目の名前を知ってるのは作者のミスではないです。

P.S 騎馬戦って書くのむずくない?
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