彼は悪魔ではなく人間です   作:TKMG_タカムギ

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年齢関係で書き間違えてた場所がいくつかあったので修正しました(2026/04/07)


第七話:新人SDの苦難苦闘

『はぁっ…はぁっ…っだからぁ!俺は高校生なんですって!慈悲はないのか慈悲は!』

「はぁ…心苦しい」

『表情筋がピクリともしてねぇよ!』

 

 どうも、運動神経は悪い方、紅月魁雅です。

 

 …そうだよな運動神経悪いよな俺。なのになんで筋トレばっかさせられてるんだろ。

 ダンベル持ったり腹筋させられたり走らされたり、そんで挙句の果てには…

 

「それでは、もう一度この板を割ってください。割れるまで終われませんよ」

『ふざっけんな!さっきので十分だろ!』

 

 定期的に木の板割るように命令してくる。鬼か。いや悪魔か。

 しかもそれを筋トレ→板割り→筋トレ→以下エンドレス…って感じで続けてくる。

 

 SDには強さが必要とオペラ先輩は言ってて、実際に素手で板を割ってはいた。

 俺も、一回目は割れたよ?何ッ回も叩きまくってついに割れたくらいだけどね。俺まだ15だよ?いや今年で16にはなるけどさ。

 

「あの〜…オペラさん?これって…」

『入間!俺の唯一の癒やし!なぁ聞いてくんね!?あの悪魔マジで狂ってるって!』

「魁雅が見たことないテンションになってる…!?」

 

 扉からチラッと顔を出した入間を見つけた瞬間、すぐさまそばへと駆け寄った。

 

『もういい!オペラ先輩!一旦休憩!俺は入間にあんたの愚痴をたっくさん話してきますよーだ!それじゃ!』

「……はぁ、分かりました。30分だけですよ」

 

 入間の腕を掴み、すぐさま外に出ていく。

 

「…やはり、彼もまだ子供なのですね」

 

                      ●

 

『マジであの悪魔…俺を人間として見てねぇだろ絶対…』

「手とか大丈夫?結構怪我してるけど…」

『大丈夫大丈夫、こんなん唾つけときゃ治る』

 

 はぁ、マジで癒やし。

 

 サリバン邸の庭で、寝そべりながら入間と話す。

 …あぁ、もう夕焼けが見える時間か。昼過ぎからやってるから、流石に疲れた。

 

『俺、コレだけのために魔界に来たんじゃないんだけどなぁ…』

「魁雅って、ソロモンさんに魔界に連れてきてもらったんでしょ?なんでわざわざそんな危険を犯してまで魔界に来たの?」

『んー、特に深い意味はないよ。ただ好きなものを知りたい、見たいってなっただけだ』

 

 本当に、それだけ。

 

「…すごいなぁ」

『何が?』

「僕、昔からそういう場面に直面してたから分かるんだけど、何も知らないことをするって、凄く怖いんだ。だって、何も知らないから。…だから、そんな未知数なことをしようとする魁雅がすごいなぁって…」

『…そんな褒められたことないから、照れる』

 

 赤くなってしまった顔を、思わず隠してしまう。

 日頃からそこまで褒められる経験がないからなんとも言えん。

 

「ふふっ。それに、魁雅は僕を守ってくれるんでしょ?僕だって、魁雅の努力を無駄にしたくない。だから、あまり無茶はしてほしくないけど…もし本当に僕を守ってくれるなら、頼ってもいいかな?」

『…ずるいな、お前』

「え?」

 

 これで天然なんだろ?全く…

 

 仕方ないな

 

『わーったよ、好きなだけ頼れ。俺は一生、お前とサリバン様のSDになってやるよ。入間様

「うん!ありがと!」

 

 …ま、なるようになるだろ。ケセラセラってやつよ。

 

「言いましたね?」

『えっ!?こ、この声は…』

 

 嫌な予感しかしないのだが…

 

「あなたのそのやる気、しかと受け取りましたよ。それほどのやる気があれば、もう休憩は必要ないですよね」

『あんたマジでッ…!入間!助けて…』

「主人に助けを求めるとは、まだまだですね」

 

                     ●

 

『くそぅ…せっかくいい雰囲気だったのに…』

「それはそうでしたが、あなたを強くする方法を一つ思いついたので」

『えぇ…?どうせ筋トレとかじゃないんですか…?』

「半分正解です。もう半分は、ソロモンさんの魔力を使います」

『ソロモンの?』

 

 確かに、今あいつが体の中にいるから悪魔の体になれて、魔力も使えるけど…

 あいつの魔力を使うなんて、本当に出来るのか?

 

『まぁ…やるだけやってみますけど、出来なくても怒んないでくださいよ?』

 

 オペラ先輩はコクリと頷いた。

 

 …と言っても、やったことないからどうすればいいか分からないのだが…

 

「魔術で大事なのはイメージです。魔力も同じ要領で行けるかと」

 

 イメージ、かぁ……なるほど。

 自分の体の中にあるソロモンの魔力を、全体に流し込むイメージ…

 

 …よし、いい感じ。このままこのまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピキッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『っあ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!』

「カイガ!」

 

 痛い

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

 なんでだ、少し出しただけなのに、魔力が、抑えられない。腕からソロモンの魔力が目に見えるほど溢れ出ている。

 腕の中の骨、筋肉、そして皮膚が無理やり弄られているような痛みがする。

 それに…何だ、この感情は。

 

「今助けます、カイガ!」

『オペラ先輩…駄目ッ…!』

「ッ!?」

 

 今近づいたら…絶対に、駄目だ。

 痛みが増していく今でも、それだけは絶対に分かる。

 

『クソがッ…収まれよ…!』

 

 なんとか腕を抑えて魔力を止めようとするも、魔力は収まることを知らず、狂ったように出てくる。

 

 …もう、駄目だ

 

『…全部「よく頑張ったね、カイガ君」』

 

 トンッ

 

『っあ……サリバン、様…?』

「全く、君も無茶するね。破壊の悪魔の魔力だというのに」

 

 突然現れたサリバン様が俺の額に触れた瞬間、魔力が一気に落ち着き、痛みも全て引いた。

 

「申し訳ございません、サリバン様」

「大丈夫、それより今はこっちだ」

「あーあ、もう少しで乗っ取れそうだったんだけどな」

『ソロモン…?お前、俺の体に何を…』

 

 疲れ果てた俺の体から、ソロモンが少し不服そうな顔で出てきた。 

 痛みは引いてきたから、ヨロヨロとなりながらもその場に立つ。

 

「魔力を渡しただけだ。まさか、本当にお前ごときが俺の魔力を使えるとでも思ってたのか?」

 

 …あぁ、そういうことか、バカか俺は。

 

 日頃から家で引きこもってまともに運動してなかった俺…ましてやただの人間が、破壊の悪魔ほどの魔力を使うなんて、体に負荷がかからないはずがない。

 

「あなた…一体どういうおつもりで?」

「どうも何も、乗っ取りたかっただけだよ。今の状態じゃ、俺はコイツには逆らえないしな」

 

 …乗っ取りたい?

 

「…サリバン様」

「そうだね、彼には少し…分かってもらわないと『待って』」

 

 ソロモンに手を出しそうだったサリバン様を止める。

 

『…悪魔が強欲ってのは、間違ってなかったんだ』

「は?何言って…」

 

 …ヤバい、ちょっと待って本当に…

 

 

『やっぱり魔界に来てよかった…♡』

 

 

 最ッ高にゾクゾクしてきた。

 

『いいね、面白いじゃん。お前の欲は確かに理解した。だからさ…勝負しようぜ。お前の欲と俺の欲、どちらが上か。お前は俺が絶対…使いこなしてみせる』

「…好きにしろ」

 

 ソロモンは目的を達成した訳では無いが、少し満足気に俺の体へと帰っていった。

 

『…てなわけでオペラ先輩、これからも指導オナシャス』

「…本当に、良いのですか?」

『そうでもしないと、あいつに勝てないんですよ。別にいいでしょ?入間』

「えっ!?ば、バレてた…?」

『うん、最初から』

 

 俺が特訓に戻ってから、ずっと扉の外からチラチラ見ていた。

 

「僕は…確かに魁雅が守ってくれるのは嬉しいけど、もしまたさっきみたいになっちゃうなら…」

『なーに言ってんだ、俺はSDでお前は俺の御主人様だ。守られるのが義理ってもんじゃねぇか?』

「…」

『俺の欲は、あいつの魔力を使いこなしたい、そんで、お前を守りたいの2つだ。…オペラ先輩は主人に期待することがSDの本質って言ってたけど、俺の欲のために、今回はその逆をしてくれないか?』

「…うん、分かった。それなら、魁雅の覚悟、今ここで聞いてあげる」

『了解』

 

 同時にその場で膝を地面につき、入間に向けて手を差し伸べる。

 

 …こういうことしたことないから、なんか緊張するな。

 

 

『入間様。貴方様は私に…”期待”を、してくれますか?』

「…はい!」

 

 


 

『…あったなぁ、そんなことも』

 

 …長い時間思い出に浸りすぎてたな。いつの間にかご飯を食べ終わっていた。

 

 あの後もずっと特訓して、最終的にはソロモンの魔力を100%まで引き出すことが出来た。

 テストやら師団披露(バトラパーティー)やら色々あったけど…それもこれも、入間と問題児(アブノーマル)の奴らのお陰かな…

 

 ………はぁ。

 

『帰りたい、なんて強欲…口に出すだけ無駄だよな』

 

 情報収集のために雄英に入っても、結局は何も情報を得ていない。USJで出会ったヴィランたちも、少しは期待したものの、何も手がかりはなかった。このままずっとこの状況が続けば、この行動は完全に無駄。何の意味もない。

 

 本当に、やってて意味があるのか?こんなこと。

 

 …考えすぎだな。

 

『明日休みだし、お見舞いのついでに散歩でもするか…』

 

 気晴らしに、な。

 

                      ●

 

『消太さーん、リンゴ持ってきたよー』

「魁雅か、もう少し静かにしろ病院だぞ」

『よく喋れてるねソレで』

 

 完全にミイラ状態の人間と会話してるのだが。この人の生命力と回復速度どーなってんの…

 まぁ絶対死ぬことはないだろうとは思ってたけど。

 

『全く無茶しちゃって…少しは俺を頼ればよかったのに』

 

 隣にある椅子に座って、リンゴの皮むきを始めながら喋る

 

「生徒に頼りっきりの教師がいるか。お前には緑谷達を守っててほしかったんだ」

『あいつらならなんとかなると思うけどね〜。まだまだひよっこ中のひよっこだけど』

「ひよっこだから駄目なんだよ。…それで、今回のあのヴィラン、お前も気づいたか?」

『へぇ、消太さんも気づいてたんだ。慣れてきたね』

「おかげさまでな」

 

 恐らく消太さんが言いたいヴィランというのは、あの脳無とやらのことだろう。

 

 あいつには悪魔の魔力が使われていた。それもかなり強大な。あれほどの魔力となると、もしかするとソロモンと同等か、またはソレ以上か……どちらにせよ、この人間界で悪魔の魔力が使われているのは異常だ。消太さんもいつも俺の魔力を見てるからヴィランの魔力に気づけたのだろう。

 

「お前から見て、あの魔力はどうだ?」

『どうって言われてもさぁ…ヤバいってことしか分からないね。多分あの死柄木って男も、相当やばい事に手を出してると思う』

「ヤバいことってなんだよ」

『…うーん、多分悪魔を召喚したんじゃない?』

「召喚だと?」

 

 うん、これしか思い浮かばない。だって、悪魔が人間界に来ること自体がかなりレアケースだ。サリバン様ですら人間界への不正渡航で捕まりかけてるんだし、そんな中ただヴィランに手を貸すと言った理由だけで、わざわざ人間界に足を運ぶ悪魔がいるとは思えない。

 

『別に、召喚することだけならヤバいことじゃない。俺もやったし。だけど問題はその取引内容。悪魔に願いを叶えてもらう場合って、それ相応の対価が必要なの。そんで、死柄木ってやつ、USJで”一人使った”とかいう発言してた』

「…お前、その話本当か?」

『消太さんも気付いた?今回の事件の重みが』

 

 まぁここまで話せば理解出来てしまうのも無理はないだろう。

 

『恐らく死柄木は、願いを叶える対価として一人の人間を生贄にした。そして悪魔は、それ相応の願いを叶えてくれる。だからその召喚された悪魔は、かなりヤバい願いでも普通に叶えるだろうね。悪魔にとって人間の命は、とっても魅力的だから』

「それを、あのヴィランたちが使っていると…」

『しかもあいつらは、他のヴィランを道具だとしか思ってない。多分平気でまた一人の人間を生贄にするよ。今回のUSJだって、助ける素振りを全く見せなかったし』

 

 ここまで色々話してきたけど…まだ一番の問題点が残ってる。

 こればかりは、俺でも解決が厳しいかもしれない。

 

『それに、今回召喚された悪魔は多分めっちゃ強い。あの脳無に貼られた魔力を見て察した。その悪魔が直々に潰しに来るって考えると…戦争でも始まりかねないかな?』

「やめとけ洒落にならない」

『まぁでも実際、悪魔の力は強力だよ。恐らく今回の事件の最終的な解決策は、その悪魔をどうするかだね。はいリンゴ皮むけたよ』

「ありがとな」

 

 皮のむけたリンゴを消太さんの口まで持っていく。

 …その状態で食べれるの?マジで言ってる?

 

『それじゃ、俺は言いたいこと言ったしもう帰るよ。残りのリンゴは看護師さんに食べさせてもらって』

「お前は今から何するんだ?今日は休校だろ」

『お散歩してくる。気晴らしに』

「何のために休校にしてると…」

『気晴らしのため〜』

 

 そう言い残し、病院を去った

 

                     ●

 

 

『げっ、もうすぐ体育祭じゃん…どうせ過激なやつなんだろうなぁ…』

 

 だって、ヒーロー育成学校の体育祭だよ?全てが想像できてしまう。

 町中を散歩しながら、スマホに書かれた予定を見て少しゾッとする。そもそも、なんで皆はそこまでしてヒーローになりたいのか。入間も野望はヒーローになりたい的なこと言ってたけど、正直まだピンとこない。

 

「いいかヒーロー共!これ以上俺を追うのをやめろ!さもないと、ここ一帯全部ぶっ壊すぞ!」

「やめて!離して!」

 

 …あー、騒がしい。魔界とあんま変わんねぇなここも。

 

 人だかりが出てきてると思って覗いてみたら、またすぐにヴィランだよ。しかも今回は誘拐タイプ。誘拐タイプなら実質人質にも使えるから、プロヒーローも迂闊に手を出せていない。

 …ってかあれってマウントレディとシンリンカムイか。最近先輩後輩不仲関係がメディア上でもよく分かると噂の。多分一車線で通路が狭くてマウントレディは巨大化出来てないんだろう。

 

「小癪な…!最近アンタみたいなタイプすっごく多いのよ!やりずらいったらありゃしない!」

 

 確かに、今プロヒーロー側は結構不利なのかもな。子供を助けようとすると、こいつの宣言通り辺り一帯が全部ぶっ壊されるかもしれないし、それを考慮したうえで無理やり助けようとしても、今度は子供を殺されてヒーローとしての尊厳を失う。だからといって状況を見ようとして大人しくしようとすると、子供を連れて行かれる。小者ヴィランにしては結構考えてるな。

 まぁヴィラン側もすぐに逃げようとすると隙を晒し襲われる。だから適度にヒーローに攻撃しつつ、様子を見ている状況になっているのだろう。

 

(どうせヒーローが勝つだろ。俺は気晴らしのために散歩してんだ。こんなの見る余裕は…)

「おいそこのガキ!止まれ!」

(なんッでだよ!)

 

 本当になんでだよ!俺お前に何もしてねぇじゃんかよ!

 

 念の為絡まれないように人混みの後ろの方にいたのに…地味に目がいいのやめろ!ムカつく!

 

「お前…死柄木が言ってた機械腕のガキだな…?」

「あの子、雄英の…」

『死柄木…?』

 

 なんか聞き捨てならない名前が聞こえたなオイ。そこから翼で少し飛び、人混みを飛び越えてヴィランの前に寄る。ってか俺マウントレディに会ったことないのにもう存在知られてんの?どゆこと?

 

『…はぁ、確かに俺は機械腕だよ。…だったら何?』

 

 色々話を聞いてみたくなったから、ちゃんと手袋を外して自分の右手を見せる。

 

「気が変わった。連れて行くのはお前だ。お前が大人しくついてくれば、このガキの命は解放してやる。だが、お前が抵抗をして場合…このガキの命はないと思え」

「ッ…!本当に小癪ね…!」

『…あのさぁ、お前本当に殺す気ある?』

「は?」

 

 ヴィランとヒーローが唖然としている中、ゆっくり、ゆっくりとヴィランとの距離を縮める。

 

『お前、全ッ然殺気感じないんだけど。ってかもはやビビってるでしょ』

「お、おい!近づくな!大人しくしろ!」

『人生捨ててヴィランになったくせににビビってんの?人を殺すのが。ここまで盛大にやるなら家の1つや2つぐらい壊して見せてよ。そのほうが観衆も湧くと思うんだ〜』

「こ、これ以上近づいたらマジでッ…!」

『”やってみてよ”』

「ッ〜…!あぁ分かったよ!今ココで、周り全部ぶっ壊してやらァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何も、起こらない…?」

「は?いやちょっと待て、確かに俺は今個性を…」

『お見事お見事!いやぁ実によく出来た”個性”だ。コレなら確かに、家ぐらいなら壊せるね』

 

 周りが呆然としている中、俺は話し続ける。

 

『まァ一つ可哀想なこととしては…俺のオトモダチの”個性”の方が一歩上だったな』

 

 ”問題児の世界(アブノーマル・ワールド)” アガレス・ピケロ家系能力・寝床(マイエリア)

 

 奴の”個性”は恐らく、地震関係。言うとすれば、自分の周囲に対して好きな震度の地震を起こせる…と言ったものか。だから今は、隣の家に集中して大規模な地震を起こそうとしたのだろう。

 それだけ聞けば結構強い個性だけど…別にそんなの、被害が出る前に地面が割れた場所をすぐ直せばいいだけの話。っぱアガレスの家系能力チートだな…使い方次第じゃまじで何でも出来るぞ。

 

『…んじゃ、十分チャンスは与えたわけだし、今度は俺の質問ターイム』

「テメェッ!近寄んじゃ…!」

 

 ”威圧感(しつけ)

 

「ぐッ…!?」 

 

 もうそろそろ終わりにしよう。聞きたいことは山程ある。ついでにこの子供と後ろのヒーローたちにも使っとこうかな。邪魔されたくないし。

 

『まず一つ、死柄木は何を企んでいる?』

「ッ…!んなこと言えるわけ…」

『”言って?”』

「…あいつは、悪魔に捧げる人間を集めてる」

『…なるほど』

 

 やっぱり俺の予想通りだったか。あいつは悪魔を召喚し、願いを叶えるための対価に人間を使う。…クソだな。昨日会った時からヤバそうだなとは思っていたが、まさかここまでだとはね。

 

『それじゃもう一つ、これは俺の私利私欲の為だから気楽に答えてくれればいい』

 

 

 

『…なんでヒーローは、お前等ヴィランを倒そうとすると思う?』

 

 

 

「…は?」

『だって、普通に考えてみろよ。お前最終的には手を出してるけど、途中まではヒーローに危害なんて加えてなかったよな?なのにお前はヒーローから暴力を振られる。そんなの、ただの権力を暴力として振り回してるだけだと俺は思う。お前はどう思う?』

「そんなこと、俺が知るわけ…」

『じゃいいや。”早くその子を解放しろ”』

「…分かった」

 

 バキッ!

 

「かはっ…!」

『よし、もう用済み』

 

 子供を手から離したところを、思いっきり回し蹴りで蹴り飛ばす。コイツに俺とソロモンの魔力を使う価値など全くもってない。素の俺で十分だ。

 

「あれ、動ける…」

『おいお前、大丈夫か?』

 

 子供の目線の高さまで頭を下げる。

 

『傷はなし…っと。回復魔術はいらなそうだな。お前の親はどこだ?』

「えーっと…今は…」

『…はぁ、一人で出たのか?んじゃ、家教えろ。連れてってやる』

「いいの?ありがとお兄さん!」

 

 今捕まったばかりなのに、そこから一人で帰らせるとか不安でしかない。正直早く家に帰って寝たいけど、これのせいでまた死柄木に持っていかれたら面倒でしかない。だからしょうがなくだ。

 

『お前の家はどこだ?まずはそっから…』

「その前に、何か私達に言うことがあるんじゃないの?」

『うぇ…見逃してくれませんかねぇ…?』

 

 早速歩き始めようとした瞬間、後ろにいたマウントレディに引き止められる。一緒にいたシンリンカムイも深刻そうな表情でこちらを見る。そういやずっと”威圧感(オーバーパワー)”で身動き止めてたな…解除するの忘れてた。

 

「その子は警察に責任をもって家に送り届けてもらうわ。あなたはまた別、ついてきなさい」

『…拒否権は?』

「ないわ」

『ですよね〜…』

 

 しょうがない、大人しく連行されるとしますか…

 

「ねぇねぇ、お兄さんどこ行っちゃうの?一緒に来るんじゃないの?」

『悪ィな。俺はまた用事ができたんだよ。これからは一人で勝手に家出るんじゃねぇぞ』

「うん!」

 

 …はぁ、純粋だな




〜用語解説のコーナー〜

・師団披露:師団(バトラ)とは人間界で言う部活的存在で、師団披露はそれぞれの師団の研究結果や出し物を保護者や生徒に見せ、師団同士で競い合う。

・人間界への不正渡航:サリバン様が、入間を魔界へ連れて行くためにした行動。基本魔界では人間界へ行くことが禁止されており、いくらサリバン様でも逮捕される場合も。

・アガレス・ピケロ:問題児クラスの一人。いつも眠たそうにアイマスクを付けているが、実際はかなりの美貌。口もかなり悪い。家系能力は”寝床”(マイエリア)、自分が触った地面の周辺を変化させることが出来る。

〜おまけ〜

魁雅君の年齢&誕生日を語ってなかったので今ここで。
年齢:現段階では17歳
誕生日:9月21日
もっと細かいことだったり時系列だったりはnoteで語ってるので、ぜひ。

裏話もあらすじにあるnoteのサイトから
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