そのうちこの部屋にも入ってきて降参を命じるに決まっている。だが、そこはxelkenらしく、堂々と出てきて皆殺しだ。そう考えていた。
するとさっき私が入ってきた壁からスカーナさんから伝言を預かったという兵士が来た。エリも私も驚いた。
“司令より命令です。このビルの制圧をやめて、ラネーメ地下鉄の本線を狙います。それだけでもかなり奴らにとって損害です。”
“え、今日の遠征で我々三つの部隊はこのビルを中心に襲うと聞いていたが・・・予定が変わったのか?”
“はい、見てのとおり警察がたむろしているので屋上へ突破して空から逃げてやるというようです。もちろん捕虜は全員連れて行きます。”
“ふむ・・・上の命令なら仕方がない。エリ、行くぞ。”
しかしエリは何かを疑うような顔をしていた。
“どうした、エリ?”
“お前、あの誓いの言葉を言ってみろよ。”
“?”
目の前の兵士がすっとぼける。
どうやらエリは目の前の兵士の立場を疑っている様子だった。
“んな・・・!エリ!”
“ラブヌトラート、ここは戦場なんだ。ついさっき現れて自己紹介もしないでやってきたやつがいきなりこの作戦を大幅に変えるような伝言を届けに来たんだぞ!?それならばスカーナさんが直々に無線あるいはこちらまで来て連絡を入れるはずだ!”
“そ、そうなのか?”
兵士の顔は依然、平常である。実は警察か誰かが成りすましているのか?
“おい、どうなんだお前!xelkenのあの誓いの言葉を俺たちに言ってみろ!”
“クックックッ”
兵士が不気味な顔で嘲う。ついに頭がおかしくなったか?
“なるほど、所詮脳筋バカのxelken.valtoalだと思っていたが・・・さすがに引っかからなかったか・・・!”
“な・・・お前!”
“そこの青年の言う通り、私は君たちの仲間でもないし君たちの上司から伝言を授かったわけでもない”
“ちっ、やはり・・・お前はどこの人間だ!所属を言え!”
“ならばこれでわかるだろう。”
なんと、奴はリモコンを取り出して巧みに操作した。
“!?”
“君たちには言った筈だ。このビルにはそういう仕掛けが多いと・・・!”
“なんだと?”
“つまり、普段新入社員の研修に使っているこの部屋は・・・すべてうちの列車によってつくられている!”
“えええええええええええええええええええええええええええええええええええええ”
なんと、こいつはあのキチガイ社長だった。しかしこいつには謎が多すぎる。ケートニアーなのか、なぜこんなにメカが好きなのか。なぜ社長なのか。見た目はたしかにラネーメ人だが。
“そういうわけだ。xelkenの若旦那たちよ!”
“くっ、おのれ!”
“スライスパンのようにぺちゃんこになれ!”
すると左右の壁のコンクリートだと思っていたところは実はただの薄い皮であり、それらがすべて破れるとさっきのきれいな直方体をした列車が現れた。
“!?”
そして迫ってきた。このビルは忍者屋敷か・・・。
“やばい!潰れる!”
エリがあわてる。
“おい、お前ら!お前らの力で頑張って壁を押し返せ!”
“イェッサー!”
私は兵士たちに迫ってくる壁に抵抗しようと全員で押し返すように指示をした。
なんとか壁が迫ってくるのを止めることはできたが止めているのは人力。いつ力が尽きるかわからない。それにしてもなぜこの社長は壁を使って押しつぶすのが好きなんだ・・・
“おのれ、社長!”
すると、社長はすでに姿を消していた。はと後ろを見る。
なんとステージにはガラスが貼ってあり社長と捕虜にしていた新入社員たちが避難していた。
“君たちの死に際はこの私が娶ってあげよう”
“断る!”
咄嗟に私は上下にウェールフープを発動して天井と地面に穴をあけようと試みた。しかし、
“なん・・・だと?”
なんと、上下がいつの間にかあのジェンガのような列車になっていた。
やばい。このままでは本当に潰される!
“いちかばちか、NZWPをぶっ放してみるか・・・?”
“こんなところでやったらさすがに俺らでも吹っ飛んじまう!”
エリはそれをさせない。たしかにケートニアーの私たちでも吹っ飛んでしまうかもしれない。ならば鉄さえも溶かしてしまうほどのWPレーザーを放って丸ごと溶かすしかなさそうだ・・・
“エリ!高圧WPレーザーだ!”
“もはやそれしか方法はないか・・・!”
すると兵士たちの力も尽きてきた。中には壁によって中へと追い込まれる兵士に挟まっているものもいた。
“仕方ない!喰らえ!”
ついに鉄さえも溶かすようなWPレーザーを放った。予定通り、それらのレーザーはジェンガ列車の車体を液体にして見せた。壁がすべて液体となり、うまいこと外に流れる。何とかなったと思いきや、高圧レーザーが社長たちを隔てるガラスに当たって乱反射した。
“!!!”
当たりは爆発した。そのあと私はどこかに吹き飛ばされたと思うのだが、どうも気を失ってしまった・・・