ついにケンスケウ・イルキスにたどり着いた。私もツァピウルについていった。そういえば私がケンスケウに入るのは初めてだ。
「ああ、ラブヌトラートさん、こっちよ。」
私は案内された。なるほど、これがイルキスか。本堂に入ると座席がいくつかあってその中心には道があり、おくにはなにやらテントがある。あれがジルケタだろうか。
「あなたって、ウィトイターなのですか?」
「そうだな。ハフリスンターリブだったころからイルキスに赴くなんてことやったことはない。トイター教を排他する戒律もあったからな。」
「ですよね。」
「悪いな。だがいずれは入信しようと思う。」
「それは有難いですね。あ、客間はこちらです。」
するとジルケタの横の扉を開けて中へ案内した。木材を基調としている家。古風な感じがする。
そしてなにやら古い感じの部屋に案内された。
「さて・・・まずあなたに言っておきたい話が二つあります。」
「え?」
「まず一つ目です。私は50年(トイター暦で50年。西暦で言うと25歳くらい)ハフリスンターリブの時代に生きてきましたがようやく謎が解けたのです。」
「そうだな。これは王国にとって大きな事実だ。」
「そこで私がこのことを広報して皆さんに知っていただこうと思います。そのためにスカルムレイ陛下のところまで行き告げなければなりません。」
「ん、それによって王国部隊を動かすのか?だがそれをやるにしてももうスカルムレイも力を失っているんじゃあ・・・」
「いえ、スカルムレイ陛下が力を失ったとしても影響力は健在です。あの方がこのことを、私のことを信頼し、スカルムレイ陛下が呼び掛けてくれればよい宣伝になります。」
「なるほど・・・!そういうことか!」
「なので、明日には身を整えてディスナルを出発する必要があります。あなたにお供してほしいのです。」
「うーん、そうか」
「かなりの長旅になるとは思います。船が通っており港からアルパまでは鉄道がとおっているらしいので楽なのですが・・・スケニウまで行くのが難しいのです。」
たしかに、スケニウへはかなりの距離がある。私も痛感した。ならば・・・
「じゃあ、あの方法を使うか?」
「え?どういうことですか?」
「私がデュインからここに来る時、どうやったと思う?」
「まさか、ウェールフープですか?」
「そうだ、それを使えば鉄道よりも早いぞ!」
「な、なるほど!」
彼女は喜んだ。
「あ、しかし、それでも今から行くわけにはいきません。スカルムレイ陛下に会うのです。身支度は十分にしないと」
「じゃ、いずれにしても出発は明日以降だな。」
「そういうことになりますね。」
そうか、とりあえず今日はディスナルで一晩を過ごすことになりそうだ。しかし、前も見たんだがこの町には宿が見当たらない。
「ああ、あなたの寝床なら安心してください。私の隣で寝かせますんで。」
「ファッ?あ、はい、お気遣いなさらずに・・・」
「あ、そういえば、この家ってツァピウル意外に人はいるのか?」
「あー・・・」
ツァピウルは黙り込んでしまった。まずい、また悲しいことを聞いてしまったか。
「実は、両親はすでに他界していて、妹のタースマングは以前言った通り宿を経営する女将になったので・・・ここには私が独り暮らしをしているのです。」
なるほど。そういうことか。じゃあ、昔住んでいたご両親の布団が少なくとも一つくらいは残っているだろう。
「そうか、ならよかった。じゃあ私は少し外を散策してくる。」
「え、もう夜ですよ?危険です」
「私はケートニアー。死にはしない。そんなことよりこちらが君自身の心配をするよ」
「そうですか・・・行ってらっしゃいませ」