はふりの書   作:witoitaa

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#19ネステル・アルパ

銃弾を素手でキャッチした夜も明けて朝になった。私が起きたころにはすでにツァピウルは支度を進めており、私が起きるのを待っていた様子だった。

「おはよう」

「おはようございます」

昨日言った通りネステルへ行くのだった。私も用意をせねば。といってもウェールフープで移動するのである程度の食糧とかがあれば。

伸びをしながら起き上がる。

「・・・!」

支度をした時のツァピウルの美しさに翻弄されつつも布団は自分で片づけてケンスケウ・イルキスから出ることにした。

「私が不在の間、ケンスケウ・イルキスとディスナルはふたたび狙われるでしょう。なので、ここの見張りをしてくれる町の方を雇います。」

「やっぱり危険なのかな」

そしてある一人の男性を連れてケンスケウ・イルキスの前に立たせて武器を持たせた。

これで準備は整った。いざ、ネステルへ。

「ネステルへ行くのは久々だな」

「ディスナルへ来る前はネステルに住んでいたんですよね?」

「そうだな。ハフリスンターリブに各地の調査を依頼されていたから、基本的にいろんなところに住んでいたけれどやはりネステルが一番長かった。」

「私はおそらくネステルへ行くのは10年ぶりだと思います。」

「あれ?前にも行ったんだ。」

「ハタ王国のシャスティは基本的に成人するとスカルムレイ陛下のもとへ挨拶に行くのです。なのでスカルムレイ陛下はだいたいのシャスティの名前は覚えておられます。たぶん」

ふーん、という感じで聞いていた。

「まあ私は田舎者ですから私の名前を覚えてくれているという保証はないですね。データに残っているわけではありませんし、スカルムレイも変わります。」

ふむ、これはさすがに知らなかった。王国に住んでかなり経つけれどウィトイターだったせいでトイター教周りはあんまり詳しくなかった。

 

「さて、この辺でウェールフープを発動するか。」

「ええ、そうしましょう」

意識を集中させる。そしてネステルへの経路をイメージする。

そしてはっと目を開いて叫ぶ。

「iska lut xelkener!」

 

――

 

ある郊外に私とツァピウルは現れた。ここはネステルのなかでももっとも南にあるオートゥロム通りの少し外のようだ。なぜここにテレポートしたかというと、もちろん怪しまれないためである。いきなりアルパの真ん前に現れたら・・・ねえ。

「ここは・・・ネステルですか?」

「あそこに『オートゥロム・イキュル』って書いてあるだろう?」

「あ、本当ですね」

ネステル市内は形は四角形であり碁盤のように通りが置かれている。これはオートゥロム通りとイキュル通りの交差点というわけだ。

 

ここからネステル市の中心まで行く。アルパはこのネステルの都の真ん中にある。歩くとかなり時間がかかるので王国鉄道を使ってネステル駅まで行ってあとは徒歩で行く。

「よし、王国鉄道に乗ろう。」

「あ、はい」

 

ってことでオートゥロム駅へ着いた。ネステル駅へは列車で行けば4駅しかない。

「自転車レンタルで借りていけばよかったかな」

そして列車に乗る。ツァピウルはやはり電車に乗るのは成人以来のようだ。私はここにいたころは毎日のように使っていたが。

それにしても懐かしい。かつてはここで毎日を暮していた。

二分くらいでクトゥロム駅についた。私が住んでいたところだ。駅からハフリスンターリブのアジトが見える。もちろんネステルのアジトだけあってスカルムレイとかにばれないように非常に分かりにくいところにあるけれど。この風景も懐かしい。

いろいろ思い出している最中に次の駅へと発車した。

次はリトゥロム駅だ。なぜこんなに駅名が似ているかというとネステルの通り名に沿っているからである。あえて直訳すると「二条通り」とか「三条通り」とかになる。

 

やがてナトゥロム駅につく。

ここから歩いて数分のところにネステル・アルパがありここにスカルムレイが住んでいる。やはりアルパ。非常ににぎわっている。が、ハフリスンターリブがいることもあってかなり緊張した雰囲気になっている。それでも大陸側のイザルタとかその辺に比べればまだまだ平和な方だ。

 

二人でアルパの門の前に立つ。すると門の前に立っていた二人の門番が反応する。

「君たちはなにものだ?どこからきた!」

「私はケンソディスナルです。スカルムレイ陛下へ一言告げたく参りました。」

「な、ケンソディスナル氏!?あのディスナルからはるばるここまで・・・いったい何を告げに来た?」

「それは・・・あとから陛下本人に直接聞いてみてください。」

「ふむ、ならば通れ。」

「ありがとうございます。」

なんだろう。ハタ王国のなかではシャスティの一家というのは力を持っているはずなんだがこの門番は特に敬意とかそういうものは感じられない。上の位なのだろうか?私は聞いてみた。

「確かに私たちケンソディスナル家は力を持っている方ですがここはアルパです。そういうものは通用しないのです。」

「そうなのか。」

よほどスカルムレイが力を持っているのであろう。それにツァピウルのこの丁寧な口調もたぶん元からだ。そう思い、アルパ前の謎の通路を歩いていく。後ろには案内の男がついていた。

「ところで君・・・何者だ?」

案内の男が私に話しかける。

「私か?私はガルタ=ツラエルトゥロム、彼女の友人だ。」

「はっ、君みたいな庶民がこのケンソディスナル卿と知り合いだとは驚きだな。」

「ハフリスンターリブの思想の影響だろう」

「ふん・・・そうかもしれんな」

 

謎の階段を上っていきやがて謎の一室の前にたどり着いた。

「スカルムレイ陛下、ケンソディスナル卿が参られました。」

すると中から非常に艶めかしい声が聞こえてきた。

「あらあら、ディスナルから?いいわ、入れて頂戴」

「承知しました。」

「ご苦労様、ダスデア。下がってよいわよ」

「はい。」

すると案内の男は一歩下がった。

「では、ケンソディスナル氏。入ってくれ。何を告げたいのか知らんが」

ケンソディスナルに続いて私も入ろうとする。しかし、案内の男がそれをさせない。

「おい、礼儀を弁えろよ。我々男はあの一室には許可なしには入れない。」

「ほう、そうか、失礼。私は田舎者なので。」

するとそこへツァピウルが来た。

「いいですよ、ツラエルトゥロムさん。横に並びましょう。」

「あ、おう」

「ふん、好きにするがよい」

私は緊張しながら謎の一室の中に入った。

 

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