はふりの書   作:witoitaa

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#23 イザルタシーナリア

結婚生活を初めて2年たった。トイター暦で2年なのでピリフィアー暦にすると1年くらいだ。

私も料理にだいぶなれてきた。ツァピウルの笑顔を見るのは楽しかった。

しかも、今日は中でも特別な日。ついにケンソディスナル家に女の子を授かったのだ。なんとうれしいことだろう。今まで他人だと思っていたツァピウルがまさか子を持つほどになるとは。ハフリスンターリブにいたらこんなこと絶対なかった。生涯独身だっただろう。まさにこの子は私たちのために生まれてきたようなものだ。これからの明るいケンソディスナル家のため、明るい王国の未来のため、この子はユーゴック語で「~のため」を表す「カラム(Karam)」という名がつけられた。Karam=Kensodisnar、いずれはこのディスナルの象徴となってほしい。私たちはこの子を育てることにした。

 

ふと思ったことがある。赤ん坊を抱きかかえる姿はツァピウルにとても似合っている。

 

そんなある日の夜、ツァピウルは私に話を持ちかけてきた。

「賽は投げられました。」

「え?」

「この紋章を見ください。」

そこには十字架があり中心には丸、そこには有字でH-Tと書かれていた。

「これは?」

ツァピウルは語りだした。

「これはイザルタ地方にあるイザルタ・イルキスの主、レイマング=イザルタシーナリア(Reimang=IzartaSyiinaria)が中心となっている団体「独裁反対武装連盟」の紋章です。」

「へえ?」

「イザルタでより本格的なハフリスンターリブの討伐運動が広まっているってこと。普通はあの周辺にこれが届くはずなんだけれどスカルムレイなどの助言もあってここケンスケウ・イルキスにも届いたと考えられます。」

「それは・・・つまり・・・」

「私もこの運動に参加することになったということです。」

「そんな無茶な!私が行く!」

「あなたは・・・」

ツァピウルはカラムを見る。

「この子を次の世代に生かしてあげてください。」

「そんな・・・」

「私はハタ王国に、そしてスカルムレイにこの身をささげたトイター教のシャスティの一人。逃げるわけにはいかないのです。」

その時のツァピウルの目は真剣だった。非常に男らしく、強気で、誰にも負けないような顔をしていた。女だけど。

非常にいい顔をしている。これはやってくれる目だ。私は彼女を信じてカラムのことに精を尽くすことにした。

「わかった。君に加担しよう。この子は私が命を懸けて守る。がんばってハフリスンターリブを討伐してくれ・・・」

「もちろんです。」

「ちなみに、いつごろに予定しているんだ?」

「今はtoi.2631ですね?では3年後のtoi.2634です。」

「その三年の間は何をするんだ?」

「心の準備という感じです。まあ、作戦計画を立てたりですね。」

よかった、まだ近くにいてくれるようだ。ツァピウルは強い。そう簡単に死ぬわけがない。それまでにこの子を立派に育てないと。

そう思って、生きている時間を楽しむことにした。

ハタ王国では歩けるようになったらウドゥ・ミトの習得をなるべくさせるらしい。しかし、そのころにはツァピウルはここにはいないと思われるので私に基本的な動きを教えることにした。今までウェールフープに頼った戦闘をしていたので体術も学ぶことにした。すべては後の世代に語り継ぐため。そういえば、一族にケートニアーが混じっていた場合はその子もケートニアーとして生まれる可能性もある。カラムはどうなのだろう。だが今はそんなことよりもまずは技術を教わらなければ。

ウドゥ・ミトはやはり基本はナイフ投げを中心とする。とてつもないコントロール力が必要だ。私にこれができるかどうか・・・。

とりあえずは鼻水を拭いたちり紙を遠くにあるゴミ箱まで投げて捨てるといった練習を行ってみた。しかし、そこは長く生きているだけのことはあって習得は早かった。私は安心した。

また、ウドゥ・ミトではナイフのほかに剣を使って戦う。「ミト」といいながら剣を使う。剣術なら何年か前にやったことがある。だが、王国の剣は「剣」というより「ペン」だ。

ウェールフープ技術が渡来して戦闘にウェールフープが取り入れられた。それはハタ王国の伝統的な筆記具「メシェーラ」にも表れており、ウェールフープ技術を利用してペンでウェールフープを起こせるようになった。

 

――

 

あれから二年たった。

ここはイザルタ。アラナス島進出以前はスケニウに続く第二の都市であった。

数千年前、古代文明イーグティェルーアルー文明が栄えたハタ王国の中でもっとも歴史が深い地。ここではスケニウに中心が移ってからもなお人々はこの町のこれからのため頑張ってきた。そこの土地の繁栄の象徴ともいえるイザルタ・イルキス。今日、そこではほかの町から集まったシャスティ達が一堂に会していた。

「皆さん、よくぞ集まってくれた。」

一人の女性がしゃべる。

「暁は来た!あの邪知暴虐なハフリスンターリブを必ず排除するのだ!」

「そうだ!」

「すべては王国の未来の為に!」

ここではハタ王国の歴史上最大の「ハタ人によるハフリスンターリブ排除」が計画された。その名も独裁反対武装連盟。

彼女はそれらを指揮する最高司令官となった。名前をレイマング=イザルタシーナリア(Reimang=IzartaSyiinaria)、イザルタ・イルキスの持ち主であるシャスティであり、ハタ王国史上最強の”ゼースニャル・ウドゥミト”の使い手である。

この場に、ディスナルよりはるばる来たケンソディスナル氏も来ていた。

いずれにしてもこの場に集まった者達は精鋭の中の精鋭であった。

 

天気は快晴。ここにハタ王国へ反旗を掲げる者がまた犠牲となるのであった・・・

 

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