私は危惧を覚えていた。ツァピウルが、最愛の妻が死んだりしないかどうか。戦死したりしないかどうか。カラムは順調に育っていっている。こちらは何も問題がない。今日もツァピウルから手紙が来た。あの日以来、お互いに手紙を通じて状況を教えあうようにしている。心配だからだ。
今日の手紙には何が書かれているだろう。
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ガルタへ
今日も手紙を送ります。元気ですか?
こちらはイザルタより出発してから3日ほど経ちましたが未だ全員生存です。精鋭中の精鋭と言われているので負けてられません。イザルタ・イルキスからハフリスンターリブのいるハフルへは4日かかるらしいのであなたが手紙を読んでいるころにはすでにハフリスンターリブと対峙していると思われます。
かならず王国に光をともして帰ってきます。すべては二黄一緋旗のために。
ツァピウルより
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ツァピウルは手紙を書くのにまだ慣れていないのだろうか。その時何を感じたかとか、その時の情景を書いたりとかをしない。本当に、起こったことしか書かない。もしかしたら向こうの状況があまりにもきつすぎて詩みたいなのを書く暇がないのかもしれない。
ということでこれに続く形で私も手紙を書くことにした。
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ツァピウルへ
今日も手紙を送る。元気だろうか?
カラムは順調に育ってきている。もう歩けるようになった。言葉も少しずつ話すようになった。それでも私は子育てなんてしたことがないからいまだに困ることが多い。やはり女性にしか勤まらない仕事もあるのだろうか。
私がツァピウルのことで最も恐れているのはツァピウル自身の身の危険だ。死んでしまっては元も子もない。ハフリスンターリブに慈悲なんてものはない。私がいたころはそうだった。今、私とあなたが結んでいる「愛」でさえもハフリスンターリブは生きる上で障害になるとしている。しかも外の世界のものが入らないようにハタ王国を独立させた。そんな奴らに戦いを挑んでいるのだ。死なないでほしい。
ガルタより
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どうしよう、死なないでとかそんなことしか書けなかった。男なのに情けない。
でも、本当のことを書いた。ツァピウルも理解してくれるであろう。そんな両親の様子も知らずにカラムはイルキス内をはしゃいである歩きまわっていた。
こんな時こそ酒にすがりたいものだ。酒は私の気分転換にもなる。しかし、ハフリスンターリブでも、ファイクレオネでも酒は許されなかった。ハタ王国では許されているがあんまり公の場で飲まれることを好まない。
そういえば酒なんて何十年ぶりだろうか。