toi.2639、あれから5年たった。カラムは8歳になった。ピリフィアー暦で言うと4歳くらいなので、歩けるようになり簡単な言葉も話すようになった。成長したな。あれ以来少しずつ手紙の頻度が遅くなりながらも手紙が切れたことはなかった。それでも今日は来なかった、明日は来るだろうか、という心配が増大することも多かった。3日ほど空くこともあった。
それで今日も手紙が来たカラムがよちより歩きで手紙を見に来る。
「お母さんの手紙―!」
「待って、カラム。お父さんが開けるからね。」
今日の手紙はどうだろう。
「!!」
手紙の端が血に滲んでいた。いや、血で滲んでいるのはそんな珍しいことではないんだが、今回のはけっこうべったりとついていた。もしかして、と思って私の心臓の音が止まらない。止まっても困るけれど止まらない。
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ガルタへ
元気でしょうか?今日も手紙を送ります。
困りました。ハフリスンターリブの本拠地に侵入して下から殺していったのはいいんですが、いくら殺しても上が現れません。その間に兵士も3分の2くらい失って10分の1ほどのシャスティが死にました。何人の人間がハフリスンターリブのところまで行けるんでしょうね・・・。
今日もハフリスンターリブの幹部と一対一で戦ったから血がよりべったりついています。見栄えが悪くてごめんなさい。絶対に生きて帰ってきますのでカラムを宜しくお願いします。
明日、ついにハフリスンターリブのボスであるハタ=ハフリスンターリブ(Hata=HahurisnTaarib)と相手することになります。不安もいっぱいですがこの戦いに勝てば王国に光をもたらすことができます。おそらく強敵でしょう。
生きていたら、また・・・
P.S.
この手紙以降は、戦闘の関係で手紙を書くのが厳しくなると思われます。なので、永久に手紙が来なかったり、帰ってこなかったりしたら、おそらくもう会えないでしょう。
ツァピウルより
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今回の手紙はかなり重い内容だ。もうかなりの年月がたったが、もうそこまで進んだのか。ハフリスンターリブの奴らとずっと戦って大変であっただろう。連戦は疲れになる。シャスティ達も一旦引いたりするなりして休めばいいというのに。
それにしてもこの手紙以降は手紙が届かないのか。それ少し不安だな。次にツァピウルを見るころにはもう屍になっているのかもしれない・・・。そんな私をよそにカラムは不思議そうに泣いている私を見ていた。ああ、カラムよ。母親に続いて次はお前が戦うこととなるのかもしれないというのに。
そう考えて初めてここ、ディスナルにたどり着いたときに事を思い出す。もし、あのままこの町の制圧をしていたら、ツァピウルとこんな関係となってお互いに想いあうような仲にはなっていなかっただろう。そして気が付いたらxelkenのところにいたんだっけか。そういえば私はその時の記憶があまりない。いったい何をしたんだろう。なぜ気が付いたらあそこにいたのだろう。なぜあのラネーメ公営地下鉄の社長と意思疎通ができたのだろう。今思えば謎である。
ふと、私は思い出せるとこまで思い出してみた。拉致られて、身動きが取れないところを必死にもがいていたのは覚えている。それで・・・たしか自分はハフリスンターリブであるというのを理由に自分だけ逃げようとしたんだっけか・・・あれって成功したんだっけか?あのまま戦争になったのだろうか?そうなるとそこから記憶がない。そうだ、そこからだ。それで気が付いたら謎の牢屋の中でベッドで寝ていてツァピウルと謎の男が横になっていた。よし、かなり思い出せたな。そこからどうしたんだろう?
xelkenには記憶を操るような技術があるんだろうか?ふと瞑想をしているとあるものを思い出した。ウェールフープで相手の記憶を操作するというものだ。もしかしたらなんかの拍子に捕縛されて記憶を操作されて洗脳されたのかもしれない。そのままxelkenに操られた?ってことは私はxelkenと同じことはしたことになるのか?最悪だ。私は向こうでは事実上犯罪者だ。
ああ、どうしよう・・・
「お父さん?」
なんだろう、女の子の声が聞こえる・・・かなり小さめだ。
「お父さん?」
うるさいな・・・なぜ私をお父さんと呼ぶ・・・
「は!」
カラムの声だった。
どうやら寝ていたようだ。気が付いたら早朝だ。いつもならばカラムよりも早く起きるのだが、なぜかカラムのほうが先に起きている。いったいどうしたのだろう。
「誰かきてるよ?」
・・・え?客?なぜだろう。なぜこんな時間に。
そう思って身支度をしてイルキスを出て門まで向かう。そして門を開けると一人の男が立っていた。