ネステルのある道路裏の森林に出た。するとすぐそばでカラムも突っ立っていた。よかった、無事に合流で来た。すぐにカラムに立ち寄る。
「大丈夫だったか?怪我とかはないか?誰にもあっていないか?」
「なにもなかったよ。」
ふーっと安心する。よかった。
さて、ハフリスンターリブに完全に指名手配された。私はお尋ね者だ。おそらくカラムもだろう。反逆者の直系の娘なのだから。さすがにここでは過ごしづらいかもしれない。なので本当ならばすぐにファイクレオネに逃げ込みたいところだが愛する妻を殺した連中をただ見放すわけにはいかない。スカルムレイに耳打ちしておかないと。
そう思って今日はネステル・アルパに来た。以前もあった門番の男に話しかけられる。
「ん?お前はどこかで見たような。」
「ケンソディスナルの夫だ。」
「え?あー、数年前に来たケンソディスナル氏の夫であったか。名を名乗れよ。」
「ガルタ=ケンソディスナルだ。スカルムレイ陛下と話がしたい。」
「おう?まあいいが、何を言う気だ?」
「それは、後で本人から直接聞くんだな。」
そして通してもらった。以前も見たことのある案内係の男がまた現れる。
「おい、お前。ケンソディスナルの夫なんだってな?なぜここに来た?」
「ハフリスンターリブのことだ。スカルムレイにぜひやってもらいたいことがある。」
私はついに気づいた。スカルムレイが言っていた「重要なもの」。それはハフリスンターリブ、およびxelkenが恐れる権威だ。たとえば王国のある人間を陥れようと思った時に一番有効なのはスカルムレイや公共機関、警察、その人の親などに告げるというのが一般的だ。それと同じで、xelkenとハフリスンターリブにもなにか所属する権威があるはず。それを見つける必要があると言っていたのだ。それなのに私もツァピウルもまったく気付かずに計画を実行してしまった。なんと私たちは馬鹿なんだろう。このことに気付くだけでツァピウルを死なさずに済んだ。という後悔がこみ上げてくる。
やがて一室に着いた。
「私は急を要しているんだ。女性であればこの娘を入れるから私もその中に入れてほしい。」
「うーむ・・・まあいいか、ケンソディスナルの夫ならば。」
「恩に着るぞ。」
私は一室に入り、再びスカルムレイと話すことになった。
「あらあら、あなたはあの時の若旦那ではありませんか。ケンソディスナル卿はどうなされましたの?」
「実は・・・」
スカルムレイにすべてを自白した。この方はまるで私自身の母親のように信用できる。今ではよい相談相手になってしまった。
「なんと・・・」
またスカルムレイは驚くがすぐに元に戻る。
「それは・・・大変だったわね。」
「そこでです。貴女は仰っておりました。『重要なもの』が一つ欠けていると。」
「そうです。欠けているのです。」
「我々はそれに全く気付かずに・・・こんなことを・・・」
「いえいえ、あなたが罪を背負う必要はないのです。私もあなたたちに任せずにその時にすぐに言えばよかったのかもしれません。」
「とにかく、今はそれが分かりました。」
「そうですか?では、言ってみてください。」
「奴らの権威となるものです。」
「ふふふ・・・さすが、男の人は頭が切れますね。あなたのような人でしたら、それが誰なのかすぐに分かると思ったのです。」
「ええ、ハフリスンターリブ、およびxelkenの権威となるものはファイクレオネの諸国です。すなわち、貴女が直接それらに勧告してくだされば、解決はかなり近づくものだと思っております。」
「ふふふ、さすがですわ。では、明日にでもそちらの方へ赴かねばなりませんね。」
「日程なのですが、どうなされましょう?」
スカルムレイは少し考えて後ろにいた役人らしき男に話しかけた。
「では、明日にでも。」
まじかよ。何も計画していないぞ。
「心配ありませんわ。あなた、強いんでしょう?」
「え、まあ・・・」
そんな感じで今晩は特別にアルパで泊めてもらって明日スカルムレイと共に例の世界に行くことになった。