「え?空に人が住んでいるんですか?」
スカルムレイが問う。
「ウェールフープは・・・かなり応用がきくんです。ここがこんな状況だからそれから避けるために上に逃げたということも考えられます。」
とはいえ可能性が低い。しかしここにきて早々こんなトラブルに巻き込まれるとは思わなかった。
「どちらにせよ、上に行って確かめてみるしかないのでは?」
私はしばし考えた。
「・・・そうですね。しかし、私がいない間、何かないかどうか気がかりです。あるいは別の人に行かせますか?」
「この中であそこの人たちに会って対応ができそうな人はあなたくらいしかいません。」
と、スカルムレイに言われる。
「む、そうですね。では、先に失礼いたします。」
「安心してください。我々、スカルムレイ軍は精鋭中の精鋭。あのモンスターなんて一瞬で翻弄できます。」
そして空中へと飛んだ。まだあの浮遊物体には到達できない。そう思いつつ下を見てみる。だんだん周りの状況が分かってきた。どうやら陰になっているのはこのあたりだけのようで少し遠くを見通せばすぐに日光がさしていた。
そしてどんどん小さくなるスカルムレイとそのほかの人たち。今頃王国はどうなっているだろうか。ハフリスンターリブが何かしていないだろうか。
今思ってみても自分の実の弟がハフリスンターリブの総長だなんて考えられない。なぜあいつは私と違う方向に進んだのだろう。
私は四人兄弟で生まれたらしい。私が長男で、その下に二人、その下にはハタがいた。独裁家ハフリスンターリブの子として生まれたのでハフリスンターリブの思想や、反王国的な思考もすべて叩き込まれた。やがて、四人は無事に成長し、中学生ほどの年齢にもなったころに、ウェールフープの力を試すために、兄弟全員が戦場に駆り出されて跡継ぎの為に訓練をした。私もその頃はこのことに抵抗を持っていなかった。おそらく、下の弟たちも、ハタも。
いつから私とハタはここまで思想が分かれたのだろう。残りの弟二人はどこに行ったんだろう。なんせ何十年も前のことだから覚えていない。もう100年以上も生きているとそうなるか・・・。
「!?」
自分の頭が何かにぶつかり、埋もれる。一時呼吸ができなくなるがやがて顔を出す。そして当たったものを確認する。
それは下の方で見ていた例の浮遊物体そのものであった。
「本当に空中に雲以外のものが浮いているとはな・・・」
そう考えて私は外側に回って入り口を探そうと考えたがそれよりもここに穴をあけたほうがよさそうだ。何かあれば私の名前を使えばいい。そう思いながらウェールフープを使って細長い穴をあける。すると、ある建物の中に出た。
ちゃんと顔を出して周りを見渡してみる。何かの建物のようだが、まさか本当に空中に文明があるとは思わなかった。しかも文字が作られており、リパーシェが使われている。そうか、あそこのリパラオネ人やラネーメ人はここに移住したのか。下の世界があんなことになってしまったから。とはいえこの周りを捜索してスカルムレイ達の居場所を確保しないと。
すると向こうから一人の男が現れた。
見た感じはリパラオネ人、身長は高い。よく見ると胸にFFと書かれている。・・・警察か何かかな?
“おや、君は?”
なんと、リパライン語にも聞こえるが若干新しい。どうやら私が王国にいた間に三代目に移行していたようだ。
“私はFAFS.lavnutlartなり。下の世界から逃げ込んできた。あと、連れが数百人いる。彼ら・・・いや彼女らの安全も確保してほしい。”
“な、FAFS氏!?それは失礼。なぜ下から現れたんだ?”
“いろいろと事情があってな。とりあえず今は助けを求めている。”
“わかった、早急に対応しよう。おっと、申し遅れた。私はレシェール・ラヴュール(Lexerl.lavyrl)という。特別警察の外交部に所属しているよ。”
とりあえず何とかしてくれるようだ。私は下にいるスカルムレイ達を上にウェールフープで持っていくことにした。