先日の農家曰く、南スケニウの中心につくまで二週間はかかるとのこと。これではさすがにきつい。もう宿を出てから3日立ったが、さすがにずっと歩きっぱなしだと足も限界が来る。
なにか楽できそうなものはないだろうか。この国はまだ鉄道技術が発達していないし行き届いていない。遠くへ行こうとすると時間がかかる。
――いっそウェールフープで移動するか・・・
ウェールフープを使えばおそらく数秒で着くが、着く場所によってはやばいかもしれない。いきなり町のど真ん中に現れたらそれはそれで困る。そのせいで攻撃をされたらどうしよう。もっと厄介なことになる。
やはり地道に歩いていくしかないのか・・・。せめて馬とかでも使えたらいいのだが。
そんなことを考えていると少し開けたところについた。ここはなんていう町なのだろう。近くには屋台があったり、家があったり、結構盛り上がっているところのようだ。もしかして、もう南スケニウに着いたのか?ためしに、近くで焼き鳥を打っている屋台の人に聞いてみた。
「あの、旅のものなんだが、ここはなんというところだ?」
「ここはワストゥルだが?」
「ワストゥルか・・・どうもありがとう。」
「ちょっと待ちなアンタ」
「え?」
「ほれ、食え!」
「んぶ」
屋台の人は私の口に焼き鳥をブチ込んだ。そして私は口をもぐもぐした。
おいしい。しかし、何のつもりだろうか。
「うまいだろう?」
「え、あ、うん」
「よし、40ケテな」
「なん・・・だと?」
く、なんか知らんけれど金とられてしまった・・・。まあまだあるけれど。
さてここはなにかの祭りでもやっているのだろうか。まあ、細かいことは後から調べよう。そこでワストゥルという場所を調べるために地図を広げる。見てみると、目標としている南スケニウの「ディスナル」との中間地点であった。どうやらここはもともとディスナルという集落から都へ向かう途中みたいだからそこに宿とか市場とかが集まって栄えたみたいだ。海も近い。漁業とかもしてそうだ。
「折角だからすこし立ち寄っていくか。かるく観光する程度に。」
街道のわきにあった商店街らしき通りに入っていく。すると先ほどよりもより多くの屋台が並んでいた。見ると、焼肉とかかれた看板さえもある。ほかには、麺類などを売っているところが多い。商売は自由なのだろうか?聞いてみることにした。
「まあ、自由っちゃあ自由かな。でも今日出ている屋台は多分年末祭とかトイタネイン前期祭とかがほとんどだと思うよ」
どうやら祭りの時期らしい。そういえばハタ王国の暦では今はもう晩年なんだった。そりゃ盛り上がるわけだ。
あの農家の言うように、今まで歩いてきて異邦人だと絡まれることはあまりない。あの人が思っているよりも南の地域は寛容なのだろうか?はたまた風のウワサってやつか?
そんな疑問を後に、とりあえず、うどんのようなものを売っている屋台で食事を済ませてから再び旅立つことにした。
「ごちそうさま」
「はい毎度あり。ところであんた、この辺ではあまり見ない顔なんだが、お客さんかなんかか?」
「私は旅のものだ。ネステルから来た」
「はぁー、ネステルからか!そりゃずいぶんな都会から来たな!」
「そうか?」
「そりゃそうだ!こんな田舎からしたらあんなところねえ」
と、屋台のおばさんが横で作業していたおじさんに話を振った。
「んえ?ああ、そりゃそうだ。特にこんな時期は冷えが激しいからなあ。体の中まで凍りそうだ」
「ネステルってあれだろう?その辺の建物に入れば普通に暖かいって話だよなぁ、坊や?」
屋台で同じように食事をしていた少年に話しかける。
「え!?そうなの?すごいなー」
どうやらここではあの辺はかなりあこがれの地のようだ。
「そんなにあこがれるのか。私の財政力があれば、今この屋台にいる人全員くらいはネステルへ連れて行くことができるが」
「え?本当かい?どんな金持ちなんだよ」
おばさんが少々驚く。
「さっすが、都会もんは言うことが違いやすねー」
と、横のおじさんが言う。
「ほらほら、客がつっかえている。あんたも今日はこれでお帰り」
「わかった」
商店街を後にしてふたたび街道にもどる。来た方向を確かめて左向きに歩き出す。
まだ太陽は沈んでいない。どうやら3時とかそのあたりのようだ。