はふりの書   作:witoitaa

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#5 新興独裁勢力 #6 反逆ののろし

「実は、このあたりでは人が突然閃光に包まれて消えるという事件が多発しているんです。」

「え・・・?」

私はどこかに余裕があるような顔で驚いた。

「ハフリスンターリブを知っていますか?」

「ああ、前に誰かから聞いた。」

・・・すると何かを思い出した。そういえば、あの時の農家が言っていた。「人が突然消えるという事態が頻発している」と。もしかしたらそのことかもしれない。

「この町では人が突然消えるのは完全にハフリスンターリブの仕業だとされています。しかも、最近は、ハフリスンターリブの影響力がここまで来てしまいました。」

そういえば、ここはハタ王国の中でも端っこの方に存在する町である。しかも、ハフリスンターリブはちょうど真反対のハフルに拠点を置いていると聞いている。

「ハフリスンターリブには王国でも勝てないような不思議な魔法を使って王国を乗っ取ろうとしているのです。

人が突然消えるのもそういう不思議な魔法に関連して言われているものだと思われます。」

おそろしいな。その辺の町を歩いていたら突然自分が消える。それよりも周りの人間が驚くであろう。突然目の前にいた人間がいなくなる。こんな恐ろしいことはない。

「人々は完全に怖がってしまって、外にも出られないというわけです。」

「ふむ、なるほどな・・・これは悲しいことを聞いてしまった。」

「ふふ、気前がよろしいのですね。」

 

「こちらの事情も教えたほうがよいか?」

「ええ、是非。あなたが何者なのか。何故この町に来たのか。」

「私は、表向きはただの旅人だ。」

「あら、そうなんですの。ようこそケンソディスナルの統治するディスナル地方へ。歓迎いたします。」

「ああ、どうも。それでだ、私はずっと都会暮らしをしていたわけだ。」

「都会と言うと・・・イザルタとかネステルですか?」

「ああ、ネステルだ」

「あらま、ずいぶんなところから来られましたね。いったいどんな目的で?」

「知りたいか?」

「ええ。」

「実は私はハフリスンターリブの一人だ。」

 

すると、ツァピウルの驚く様子がうかがわれた。

「・・・え?・・・え??」

無理もない、さっきまで本当に親密にお話をしていた相手だ。

「では、この町へはテロを起こしに・・・?」

「そりゃ、出発した時は、そういう目的であったが・・・」

私は、迷いを感じていた。こんな平和な町を制圧して何になるのか。彼女らもまた反逆者としてハフリスンターリブの裁きにかけるというのか。

それは人道に反している。ならば私が今できることは、この危機から救うことだ。

「もう君たちを殺す気はないよ。友達じゃないか。」

「・・・!」

「だから私がこの場でやるべきことは一つ。君にいち早く会って、民たちをまとめてもらってハフリスンターリブへの抵抗の意思を示すことだ。」

「あなたは・・・本当の救世主なの?」

「そうだ。」

「実は謀っているのではなく?」

「どんなに疑うんだ。本心からそう思っている。」

「あ、ありがとう・・・」

まだ何もしていないというのに。そうだ、念のため、こちらの名前も紹介しておこう。

「私の自己紹介が遅れたね。私はガルタ=ツラエルトゥロムという。」

「あら?普通のユーゴック名なのですね?」

ツァピウルが首をかしげる。

「だが、こちらで身を隠すための名前だ。」

「え?あのファイクレオネで命名された名前があると?」

「そうだ。ファフス・ラヴヌトラート(FAFS.lavnutlart)という。」

「ファフス・・・ラブヌトラート?」

「ラ"ヴ"ヌトラートだ。」

「ラ・・・ヴ・・・?」

そうだ、ユーゴック語にはこの音はないんだった。これは転写に困る。

「ラヴヌトラート。まあラブヌトラートでもいいよ」

「そう、よろしくね!ラブヌトラートさん!」

なんと素晴らしい笑顔であろうか。

「あ、一応言っておくけれどリパライン名ではFAFSが姓だからな?ラヴヌトラートは名だ。」

「え!じゃあ今私、下の名前で男性を呼んじゃったのね・・・」

ツァピウルが落ち込む。ハタ王国では男性よりも女性のほうが立場は上だ。レディーファーストがさらに強くなった感じ。

「ごめんな。ユーゴック名では逆だったんだよな。ケンソディスナルが名字だろ?」

「そうです。ケンソディスナル家ですから」

しばらく彼女と冗談を交えて雑談をした。彼女の笑う顔は非常に愛らしく、もう自分の本来の目的が目の前にいる女性たちを殺すことなのだという自覚が薄れてしまうほどであった。しかも、まわりに出歩いている人はいない。この広場には二人しかいない。私たちはのめり込むようにお話をしていた。そして、私はついに、王国民に決して言ってはいけないことを言ってしまいそうになった。

 

――

 

「!!!」

気が付くと彼女はもう目の前から姿を消していた。360°どの方向を見ても彼女の姿が見当たらない。すると、靴のみがその場に残されていた。

「・・・!!まさか」

すると体全体に謎の痛みが生じた。全身が軽くなったような気がした。すると、目の前が闇に包まれた。さきほどまでの水たまりも広場もすべて見えなくなった。

 

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