「はっはっは、甘いぞリパコール氏よ!」
「あら、結構危ないように見えたわよ?」
「なんのこれしき・・・!」
リファンはジャンプして距離をとって手を前に出す。どこからか列車が現れてリパコールを轢こうとする。
「やったか・・・」
「あいかわらずね、リファン。その戦い方。まだウェールフープに抵抗を持っているの?」
「急に列車を出現させるのはウェールフープだ。私もそこまで頑固ではない」
「あ、そう。じゃあ今日はそんなあなたがすぐにウェールフープ動力に変えたくなるようにしてあげるわ。」
リパコールが先のとがった試験管をもって構えた。社長も手を前に出して構えた。
と、そこへ誰かが近づいてリパコールの体にしがみつく。
「ちょっと、放してよ!」
「駄目だよ姉さん!落ち着いてよ!」
リパコールの妹であるイヴァネがリパコールを止めようとしていた。リパコールは必死に離れようとする。
するとどこからか野太い声がした。
「私は我慢できーん」
突然男がこっちに来てイヴァネから取り上げようとするようにリパコールに抱き付いた。
「きゃあああぁぁぁぁ誰!?誰!?」
リパコールが珍しく女みたいな声を出す。男は見た感じ40歳くらいだろうか。リパコールの胸部に吸い付いていた。
「り、リファン、どうする?」
「リパコールが何とかするだろ。」
するとリパコールが懐から先のとがった戦闘用の試験管を取り出した。そして目を赤く光らせた。
「試験管「リパコールスタージェネアフェル」!」
!?
リパコールが叫ぶと試験管が無限に飛び出して男を突き飛ばした後にすべての試験管が方向を変えて男に向かった。男は串刺しにされた。
「ア・・・グヘッ・・・」
男は血を吐いて倒れた。ネートニアーなのだろうか。
それにしても、リパコールって人気なんだな。
ツァピウルは手で口を押さえておびえていた。カラムもおびえていた。
「ツァピウル、カラム。気にするな。」
「あの男ってまさか女ならだれでもいいんじゃ・・・」
すると男が立ち上がった。
「!?」
リパコールが驚いてさらに舌打ちをする。
「・・・ケートニアーか」
何だろうこれは。とても宴とは思えない。
「リファン、リパコールが戦ったりみんなが暴れだすのはラネーメ晩餐会ではよくあることなのか?」
「ああ、酷い時はビルが吹っ飛ぶ。」
「まじかよ」
男はウェールフープを放って周りに威嚇をしてリパコールへのセクハラをうかがっていた。なんという変態。これはFFを呼んだ方がいいのではないだろうか。
「リファン、通報しないのか?」
「いやいや、そういう連邦の厳しい罰とかから離れることができるのがラネーメ晩餐会だよ。あいつがそんなにリパコールが好きならタックルすればいいしリパコールが受け入れないなら奴が殺せばいい。どっちにしても後でFFへは報告して捕まえるよ。」
「大丈夫かよそれで」
男はどうやらこちらを見てニヤリとした。
「ん?」
これはツァピウル、カラムを狙っているか?
「君に決めたぁぁぁぁぁぁ」
やっぱりツァピウル、カラム狙いだ。
「させるか!」
私は二人の背後に移動して二人を肩に背負ったままジャンプをした。
「ちょ、奴がこっちに来る前にウェールフープすればよかったじゃないですか!」
おぶられたツァピウルがこちらを向いて喋る。
「わるいな。ツァピウルやカラムをこうやって思いっきり触るのは久々なんで。」
「」
男は壁に激突した。
私は後ろを向いた。
「おいラネーメ人。名前なんて言うんだ?」
男はこちらを向いて喋った。
「Ales lanerme フガッ」
すると名前を言い終わる前にリパコールの漏斗が男の口にはまる。漏斗が引っ掛かって男はうまくしゃべれなくなった。
「そんな奴の名前なんて聞かなくて結構。ここであなたを消せばね!」
なんと手荒な科学者だ。
リパコールはさっきの紫色の液体が入ったビーカーからスポイトで液体を吸い上げて、漏斗を介して男の口の中に入れた。
「は・・・」
「あなたの体の中にイールドを入れることによって一時的に造発モーニ体を麻痺させたわ」
「なん・・だと・・・」
「さあ、死ね」
リパコールの手から光線が出た。すると男の姿は消えた。
「なんだ?何をしたんだ?」
リパコールは長い髪を押さえてこちらを向いた。
「あの男をこの壁の反対側に転送したのよ。」
壁の外か。ここの方向の外ってなんだっけ?
「その壁の向こうは確か外だ。下にまっさかさまだな。」
「ご愁傷様です。」
――
しばらくは特に喧嘩もなかった。逆にそれは面白くないとリファンは言う。でも、やっぱり平和も大事だと思う。こうやってみな穏やかに食事をしたり、飲んだりするのが一番いいと思う。私はそのことをリファンに言った。
「あっそ」
リパコールもそれ以降は特に何もしなかった。よくリハンカと豆腐のことで殴り合いになったがリファン曰く「なんでもない」らしい。
ユエスレオネに避難してもファイクレオネ人はファイクレオネ人。特別に人格が変わったわけでもない。人が死んでも何も思わない。つい数百年前、スステがスカルムレイとなった時の王国からすれば本当におかしく思える。だが、今や王国でもハフリスンターリブは処分された。王国と連邦の外交はこれからなのかもしれない。
やがて宴会はお開きとなった。気がついたら少し明るかった。
そのあと、テレビで古理派の派閥に変化があったことが報じられたが我々の知ったことではなかった。